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アンダー/オーバーステア奇談

 最近はさすがに自動車雑誌の試乗インプレッション記事で、「アンダーステア、オーバーステア」の類の言葉は少なくなってきた。しかし70~80年代の試乗インプレッションでは、このUS、OSについての記述が30%ほどは必ず割かれていたものである。ちなみに、このUS、OS以外はエンジンのフィーリング、残りの40%はそのクルマのスペックの説明である。逆に、操舵フィーリングや、乗り心地、居住快適性などに触れられることは稀であった。
 もちろん、こうした試乗インプレッションでUS、OSの議論をするという風潮は自動車評論家やマニア層の誤解だった。簡単に言えば、山道のコーナリングでオーバースピードでカーブに進入し、ステアリングの切り遅れ、戻し遅れ操作をすれば間違いなくフロントタイヤは大きなスキール音を発生し、強いアンダーステア状態になる。これはいわばそのドライバーが人為的にUS状態を作り出しているにもかかわらず、そのクルマはUSが強い、とコメントされたものである。

 アンダーステア、オーバーステアという概念は、実は1960年代頃までは明確ではなかった。それ以前は、漠然とした「安定感」といった評価が行われていたようだ。50年代後半頃から、航空機でいう「発散と収斂」という操縦特性論や、欧米のUS、OS評価を参考にしながら、操縦安定性理論として、US/OS理論が次第に確立され、自動車メーカーの社内試験でも実験が行われるようになったものと考えられる。この後、US/OSの考え方が広まり自動車雑誌を席巻したという経緯があるのだ。
 US/OS理論はもともとはクルマの運動性能を実験・評価するために生まれ、その実験は半径15mの円周上を、クルマの舵角を固定した状態で緩加速し、走行軌跡の変化を記録するという方法が採用された。最初の頃は、軌跡の変化はバンパーからインクを地面に滴らせ、それを計測したという。
 もちろん、実際のクルマはUSになるように設計されているため、こうした実験では車速が高くなるにつれUSが強まり、最後にはOSに転じるとされた。実はこの原因は、当時はリヤ・サスペンションがリーフスプリング式であるため、リーフスプリングが支持するアクスル位置がずれてしまうことに起因することが多かったようだ。なおこの当時の高性能車で横向き最大加速度は0.7gていど、一般的な乗用車では0.5gくらいであったそうで、今から思えば恐ろしく限界が低かった。

11.jpg

 ちなみにこの当時は、大学の研究室でも自動車メーカーでも、理論的に最大横向き加速度は1.0gを超えることはない、つまりタイヤのグリップ力は1.0g以下と考えられていた。
 こうした実験から、スタビリティファクターという概念が生まれた。
 操縦安定性理論では、この他にクルマの方向安定性、復元性を計測するために手放し方向安定性試験も行われた。これは、直線走行をしているクルマに、急激な片側操舵を行い、その後はステアリングから手を放し、クルマの周期的な動揺の周期、収束時間、横向き加速度などを計測し、方向安定性を数値的に評価するというものであった。
 注意したいのは、US/OS試験、手放し方向安定性試験などいずれも、現実のドライビングではあり得ないシーンであり、数値を把握する計測であったということである。
 その後、さらにステアリング舵角に対するヨーレイトの応答周波数や、ステアリングの位相遅れなども計測されるようになり、操縦安定性試験が確立されたといってよいだろう。

 もちろんこうした試験は完成したクルマの試験方法であり、自動車メーカーでは狙いに合致した操縦安定性を得るための実験、研究が行われ、技術や経験が蓄積され、1980年代には日産の「901運動」のような、世界トップレベルを狙う試みも行われるようになった。
また、サスペンションのコンプライアンス・ステア、ロール、ピッチ、バウンス、アンチダイブ、アンチスクヮットなど、単純なジオメトリーだけではなく車体の姿勢に伴う操縦安定性や、乗り心地に関わるコンプライアンス、メカニカル・コンプライアンス、より大きな領域ではタイヤ特性、サスペンション・フレーム、ボディ、エアロダイナミックスにまで幅が拡げられている。
 また結果的に、クルマのグリップ限界が大幅に高められており、かつてのような単純なUS/OS論はさすがに影を潜めるようになったのだろうと思われる。
 これと似たような例として、前後荷重配分の話題もある。こちらはより原理主義的な話なので、現在でも話題になることは少なくない。BMWなどは未だに50:50優位論をぶち上げるもの火に油を注いでいる。もちろんこの議論は、パッケージング、駆動方式、そしてもちろんクルマのコンセプトなども合わせて考えないと意味がないのと思う。

 ところで、現在のUS/OSは自動車メーカーではどのように考えられているのか。US/OSはクルマの走行中の操縦性を示すが、これはそもそも前後輪のグリップ力のバランスの問題で、極端な特性の場合は容易に限界を超え、滑り出すのはそもそもそのサスペンションに大きな問題があることを意味する。だから、そのような事態が発生しないようなシャシー性能が求められるので、前後輪のグリップ限界を高めることと、例え限界を超えてもドライバーがパニックにならないような穏やかなUS/OS特性が追求されている。また昔よりはるかに高性能化しているため、US/OS特性と同等以上に、安定性が重視されていることは間違いない。

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