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現在のカーデザインのプロセス

 クルマのデザインは、クルマの魅力や価値を左右する重要な要素である。また現在はひとつの自動車メーカーで多数の車種系列を持っているので、ブランド性を維持するためにもデザインは重要になってきている。これは最も古い自動車メーカーであるダイムラーベンツ社でさえ緊急の課題になっているのだ。
 かつてのクルマは、1人で、あるいはせいぜい数人でデザインを行ったが、現在では大組織の中でデザインの開発が行われている。また、現在のデザインは大量生産が基本となるため、工場の生産技術能力とも密接に関連がある。
 もちろん現在でもフェラーリやアストンマーティンなどに代表されるハンドメイドカーは存在する。このような場合はボディのデザインも純然たる手作りとなり、ベルトコンベアーのラインで製造されるクルマデザイン的な制約が異なることはいうまでもない。
 現在の量産車は、デザインと工場の生産技術が整合されていなければならないのだ。
 
 現代のクルマのデザインプロセスは、どの自動車メーカーでも似たようなシステムを採用し同様のプロセスをたどる。違いがあるとすれば、日本とヨーロッパ系メーカーとの違いだろう。日本の自動車メーカーはその企業で育てられたデザイイン・チームが基本で、それ以外に海外で募集された海外デザイン・チームを持つことも多いが、基本的には企業内デザインである。ヨーロッパのメーカーは、もちろん企業内でのデザイナーも育成しているが、それ以外に実力のある主任デザイナーはチームを組む弟子たちとともにメーカー間を転職するというプロフェッショナル・デザイン・チームも存在する。
 また概してヨーロッパの主任デザイナーはデザイン開発に当たって指導力を発揮するが、
日本の主任デザイナーはチームの調整型であることも少なくない。したがって日本の自動車メーカーでも、スバル、三菱、マツダのようにデザイン責任者にヨーロッパ人デザイナーが就任すると、強力で明快な指導力が発揮され、結果的に若いデザイナーの力が発揮できるといった現象も見られる。

 新しく作るクルマのデザイン作業は、ほぼ次のようなプロセスをたどる。
 まず、車両の企画構想にあたり、コンセプトの模索、コンセプトリサーチが行われる。
 もちろんこれはデザイン・チームが単独で行うわけではなく、車両を企画する商品企画部門、実際の開発を担当するチーフ・エンジニアを筆頭にした製品企画チームとデザイン・チームが連携して担当する。ここでは競合車の動向、消費者の動向、社会的なトレンド、流行などを踏まえながら、その次に来るものを予測することが求められる。
 同時並行的に、マーケットリサーチや現行車のユーザー調査し、これも参考資料となる。
 こうしたリサーチを経て、開発コンセプトが固められ、同時にデザインの構想が始まる。
 最も初期段階では、デザインをイメージしやすくするために、動物やキャラクターなどが選ばれたりすることもある。例えば、外洋型豪華クルーザーだったり、ジェット戦闘機であったり、黒豹だったり、100mランナーのスタート姿勢だったりする。
 こうしたイメージを念頭に置きながら、デザイン・チームはさまざまなスケッチを描く。
 また、デザイン構想の段階で、複数のデザイン・チームによるコンペティションが行われるのも常套手段となっている。トヨタであれば、本社チーム、東京デザイン・チーム、アメリカ・ロスのデザイン・チーム、ヨーロッパ・ニースのデザイン・チームという4チームによる競作になり、まったくの新型車の場合にはさらに社外のデザイン会社にもコンペ参加を依頼することもある。
 コンペの場合は、各チームがデザイン構想を提案し、それぞれのスケッチやレンダリング、1/4クレイモデルなどを見ながら主任デザイナーと開発チームがデザインの絞り込みを担当する。もちろん最適なものがなければ、デザインのやり直しとなる。
 ある程度デザイン構想が固まった場合は、想定ユーザー層を集めてこのデザインを見せて意見を聞く「デザイン・クリニック」が行われることも少なくない。この場合は、第3者のエージェントがメーカー名や車名を秘匿した上で、デザイン画やクレイモデルを見せ、反応や人々の意見を集める。このクリニックは、もっと後の1/1モックアップを見せて行うこともある。
 デザイン構想が決定すると実際のデザイ作業に入り、ボディの寸法要件を取り入れながら1/1モックアップが製作される。かつてはエクステリアだけではなく、インテリアのモックアップも製作されたが、現在はコンピューター上でのバーチャル・デザインによる検討が主になっているようだ。ボディの寸法要件とは、全長、全幅といった外寸から、室内の必要なスペース寸法、Aピラーの高さやフードトップ(フロントガラスの下端)高さなど設計上の数値がインプットされるということだ。
 こうしたパッケージングは、自動車メーカーごとに実行部署が異なり、車両企画部門、デザイン部門、車両開発部門などが行うようだ。
 
 デザインの決定は、2段階がある。最初はチーフ・エンジニア(開発プロジェクト責任者)が決定し、次の段階は重役会でデザインのプレゼンを行い、正式承認となる。重役会で否決された場合は、デザインの手直しが行われる。
 BMWのクリス・バングルの生々しい奇形デザインも、重役会で承認されたことで実現したのだ。
 デザインが正式に決定されると、新たに生産技術エンジニアも参加し、デザインの煮詰めが行われる。1/4クレイモデル、1/1モックアップは、イメージ図から立体に変換し、さらに立体面の仕上げをするモデラーと呼ばれる人々の技術、能力が重要になる。日本においてはモデラーは技能員(つまり職人)の扱いが多いが、ヨーロッパではデザイナーと同等の存在であり、現在でも日本とは格段の実力差があるとされている。これはやはり彫刻の歴史の差だろう。ボディの面の構成、仕上げなどは、紙の絵やCADでは表現されていないので、実際のクルマのボディとして立体化し、面と線の美しさを引き出すのはすべてモデラーの腕にかかっているのだ。ところで、この段階では、空力の検証なども同時に行われる。風洞実験を行ったり、CAEによるシミュレーションの結果を取り入れたりと、細部の手直しの工数は少なくない。
 生産技術のエンジニアは、ボディのプレス面や結合などが工場で実現可能かどうかを検証する。いくら美しいパネル面であっても、実際のプレス加工が困難である場合はデザインの実現は難しいからだ。
 以前は工場の技術が低くデザイン的な制約が大きかったが、現在ではインバース面と強いエッジを組み合わせる(BMWのように)、縦横の90度の角度を持つ小Rのプレス(インプレッサWRX・STIやGT-R)なども可能になってきている。もちろん生産技術エンジニアは、ボディ骨格の結合構造などもチェックする。初代ヴィッツでは、アウターパネルの一部の整合が取れず、やむなく部分的にレーザー溶接を使用するなどの例もある。これはデザインを優先させた例である。
 
 1/1モックアップを計測器での計測とCADにより、最終的な図面(現在ではCADデータ)に仕上げて行く。デザインが正式承認されず、まとまらなかったり、迷走した場合などは時間不足となり、1/4クレーモデルを使って計測するケースもあるといわれる。
 デザインの図面が仕上がる頃には、シャシー、ボディ骨格、室内のデザイン、艤装、エンジン/パワートレーン/排気系などの設計図面も仕上がるようになっている。
 実際のクルマの開発はここからがスタートとなり、トヨタが世界に範を示したように、図面の出図から14ヶ月以内でのラインオフが、自動車メーカーの常識になっている。出図以後の開発時間は機密とされることが多いが、日本では11ヶ月といった例もあるといわている。VWやBMWではリサーチや基礎開発には時間をかけるものの、出図から14ヶ月はかなり早い時期から達成されている。
 

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