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トヨタ86 スバルBRZのアウトライン

27日に富士スピードウェイで開催されたトヨタ・ガズー・レーシング・フェスティバル2011(TGRF2011)で、サプライズとして豊田章男社長が自らステアリングを握って登場し、「86」のデビューを宣言するという演出が行われた。
 86、BRZの大まかなスペックも公表され、ようやく全貌が明らかになりつつある。ちなみに車名バッジは数字の86の両側に水平対向エンジンのピストンを図案化したもの。
 
 トヨタ86という車名は、1983年に発売されたAE86型レビン/トレノに由来することは間違いない。ただし、AE86自体は当時としてはハイパワーの4A-GE型1.6Lエンジンを搭載し、装備を充実させた小型GT的な性格でスポーツカーという位置付けではない。しかし、このモデルの型式名をそのまま使用するというのも前代未聞だ。
 そのため今回の86のルーツは1965年に発売されたトヨタ・スポーツ800(UP15)とされている。このクルマは、当初からスポーツカーとして企画され、空冷・水平対向2気筒エンジンを搭載したFRモデルだった。
 一方、デザインにはトヨタ2000GTがモチーフとされている。
 このようなやや強引なストーリーだが、トヨタ86はトヨタのDNAを受け継いだスポーツカーとされる。同じ形態を取る、スペシャルティカーのクーペではないという。
 トヨタはセリカが2006年に、MR-Sが2007年に生産終了して以来、スポーツ系モデルは皆無という状態になっていた。このため2005年頃から商品企画部ではトヨタにおけるスポーツ・ブランドの消滅を危惧し、新たなスポーツブランドの立ち上げの研究が行われていた。これが、2005年の富士重工との業務提携を機に実現することになる。
 今回の86の製品企画は2007年にほぼまとめられ、2008年4月に86となるスポーツモデルの共同開発が発表された。トヨタではトヨタ・スポーツ800は関東自動車に開発委託するなど、各種のクルマを外部企業に開発委託しているが、富士重工の場合は独立した自動車メーカーでる点では異色の組み合わせといえる。
 今回の86では、商品企画、デザインはトヨタが担当し、設計、開発、製造は富士重工が担当するという役割分担となった。したがってエンジンはスバルの最新版のFB20型をベースに、86専用にボア・ストロークを専用開発。スバルではEJ20型の自然吸気エンジンでは190psを発揮するエンジンは以前にBL/BP型レガシィ用に搭載した実績があるが、今回は低中速を重視したロングストロークのFB型がベースのため、高回転用にボア・ストロークを変更する必要があったわけだ。結果的には、ヨーロッパ向けの水平対向4気筒ディーゼルと同じボア・ストロークになっている。
 また出力と排ガス性能を両立させるために、トヨタのD4-S、つまり直噴+ポート噴射のデュアルインジェクター方式としているので、シリンダーヘッドも新開発となり、事実上の専用エンジンとなっている。
 D4-Sの直噴の噴射圧は150気圧、ポート噴射は通常の燃圧という2系統。
 またエンジンの搭載位置が下がったため、オイルパンはやや扁平化され、内部にバッフルを追加している。

 エンジンは高回転化され、200ps/7000回転、205Nm/6600回転。許容回転数は7500回転で、トルク特性も含めて高回転型に見えるが、ピーク値はともかくかなり低速からトルクを出していると見られる。圧縮比は12.5。もちろんプレミアムガソリンを使用する。トヨタ側は200psの出力に相当こだわったようで、スバル側は180~190psを想定していたが,D4-Sの採用で200psとなった。
 またこの新型エンジンは、従来のスバル・エンジンは後方吸気と違って前方吸気に変更されている。これはエンジン搭載位置が後退しているため取り回しの上での必然だまた
ラジエーター上部から走行風圧をそのまま取り込む前方房外吸気になっている点も注目だ。水平対向エンジンのため、等長吸気となるが、排気系も近年のスバル・エンジンと同様に等長排気とされている。
 なおこのエンジンは、サウンドクリエーターを装備し、吸気の脈動を拾って級気音を増幅して室内に流すという吸気音メインのサウンド演出を行っている。
 シャシーはスバルのプラットフォームだが当然ながらFR駆動用にかなりの手直しをしている。フロントのストラット式、リヤのダブルウイッシュボーンはスバルの現行モデルと同じ。フロントダンパーのアッパーマウント位置の低下、タイヤとストラットとの干渉を避けるためにキングピン傾斜角の直立化などが行われているはず。同時にAWDよりホイールベースが短縮されている分だけ、フロントのロアアームは上下逆転させ、取り付け位置も変更されている。

F_sus.jpg

brzR_sus.jpg


 エンジン搭載位置はAWDのスバル車と比べて240mm後退し、搭載高さも120mmダウンしている。前者はフロントデフが不要な分だけ後退させ、後者は前輪駆動用のドライブシャフトの取り出しが不要な分だけ下げられるというわけだ。
 この結果、86の重心高さは460mmで、オイルパンのないドライサンプ式エンジンの本格スポーツカーと同等レベルになっている。この点が86の最大の訴求点になっており、ハンドリングのアドバンテージになっている称しているのだ。VSC(ESP)は、ノーマル、スポーツ、OFFの3モードに切り替えられるようになっている。
 タイヤは市販バージョンでは16インチ(205/55R16)、17インチ(215/45R17)がメインだが、オプションで215/40R18、225/40R18とされている。
 パワーステアは電動式で、ギヤ比は13:0とクイックな設定。これはスバルのスポーツモデルのギヤ比だが、トヨタとしては異例のクイック比といえる。
 86は低重心によりフロントのグリップを高めることになり、リヤは横力トーイン変化特性によりグリップ・コントロールの幅を広げているものと考えてよい。このあたりをスイートスポットの広いハンドリングと表現しているのだろう
 またエンジン搭載位置が後退して、フロントアクスル上に位置するため、前後荷重配分は53:47になっている。バッテリーはエンジンルーム内に。
 トランスミッションはアイシン製の6MTと6ATで、ATはスポーツATとしてダイレクトシフトを追求。またシフト制御モードは、ノーマル、スポーツ、スノーとMモードをスイッチで選択できる。
 MTもシフトシーフィーリング、品質を追求してかなりの部品を新設計しているという。
 車両重量は1250kg前後と見られる。
 リヤデフにはトルセンLSDを装備する。

 デザイン的には、水平対向エンジンならではの低いボンネットと、強い表情のフロントマスクをしているものの、ロングノーズのクーペ・スタイルとしてまとめられている。フロントマスクは「キーン・ルック」と呼んでいる。またBRZはヘキサゴン・グリルとし、ヘッドライトの中央寄りをバンパーでカバーすることで86とはかなり表情が異なっている。なおヘキサゴングリルにはスプレッドウイングは設けられないようだ。
 ボディの特徴は、ルーフは中央部を凹計上にしたパゴダルーフ。ボンネットはアルミ製にしている。またルーフサイドレールなどは980Mpa以上の超高張力鋼板を使用するなどは、スバル設計であることがわかる。
 また空力性能は、フロア下を成型パネルでカバーするなどにより、Cd=0.27と優れたレベルになっている。

wbody.jpg

funder.jpg


 インテリアは機能性を重視しながらもシンプルにまとめられ。極端なドライバーオリエンテッド・デザインとはしていない。ドアトリムは、カスタマイズできるようにニーパッドやショルダーパッドは脱着式になっているのが特徴。
 メーターパネルは中央に大型のタコメーターを配置し、スピードメーターはやや小径だ。
 またステアリングホイールは、トヨタ初の365mm径となっている。またステアリングポストはチルト&テレスコピックとしている。
 シートはセミバケットタイプで、着座位置は地上高400mmと、意識的に低められ、スポーツカーらしさを強調。シートスライド量は240mm。
 シートは4座席とされているが事実上は2+2である。

 なお、日本ではこのFR駆動の2ドアクーペというパッケージは、一般ユーザー向けではなく、限られたマニア層狙いとなり、年齢層は45歳以上といったところだろう。
 アメリカではトヨタは若者向けのサイオン・ブランドで販売するようだ。
 また、このトヨタ86/スバルBRZ用のプラットフォームとパワートレーンを使用して4度セダンやクロスオーバーカーといったバリエーションを展開することで採算ラインに乗せると推測できる。

 

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