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フィアット社のツインエアーエンジンの開発と今後の展開

小型車用パワートレーンのパイオニア

 FTP社は1980年代から小型乗用車用コモンレール式ディーゼル直噴システムを開発しており、この分野でのパイオニアであると同時に、その後の技術的な方向性を決定したという。またF1用のトランスミッションの構想に端を発したセレスピード(AMT)、1970年代から着手されていた電気自動車(パンダ・エレットラ)など、現在に求められるパワートレーン技術の多くを先進的に取り組んできたという歴史も改めて強調した。
 近年では、小型ディーゼルエンジン用のマルチジェットⅡ(多段噴射用インジェクター)、ガソリンエンジンでは究極的なダウンサイジングコンセプトエンジンのツインエアに代表されるマルチエア技術、6速乾式DCTなど小型乗用車をリードするテクノロジーを実現し、小型車セグメントをリードしているのは紛れもない事実なのだ。
 この結果、ヨーロッパでの最近4年間はフェラーリ、マセラッティなどを含むフィアットグループがCO2排出量では最小、つまりトップになっており、フィアットグループの平均は125.9g/km、フィアットブランドのみに限れば123.1g/kmを達成している。

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 FPT社は今後の展望として、水素エネルギーの利用は限定的に留まる、EVは電池のエネルギー貯蔵能力に限界があるため主流にはなりえない、天然ガスは石油に代わる唯一の代替燃料となりえる、ハイブリッド車は現状ではコストが高く、大幅なコスト低減が見込まれる2020年以降には普及が加速すると考えている。言い換えると2030年頃までは内燃エンジンがパワーユニットとして主流であり続けると考えているのだ。
 
ツインエアエンジンの開発構想

 ツインエアエンジンのコンセプトは次のような構想のもとで開発された。
 A、Bセグメント用のエンジンは近年のターボ、電子制御バルブタイミング、直噴化などを装備することで、ディーゼルエンジンに近い燃費レベルを達成でき、より排ガス規制が厳しくなるディーゼルエンジンに対して競争力を持つ。したがって、可変バルブタイミング&リフト機能を持つマルチエアを採用し、気筒数をできるだけ減らし、小排気量・大トルクのターボチャージングを行うエンジンを実現するということだった。
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 1.0Lを切る排気量のエンジンとしてツイアンエアは企画されたが、3気筒か2気等かは大きな検討テーマとなった。
 3気筒と比べて2気筒の有利な点は、最適な気筒あたり排気量と摩擦抵抗の小ささである。一方デメリットとされる1次振動はバランサーシャフトを採用することで、バランサーシャフトを装備しない3気筒エンジンに勝ることができるとしている。
 もちろん2気等エンジンのパッケージサイズや重量は、A、Bセグメントの小さなエンジンルームにより適合しやすく、ハイブリッドシステムとの整合性にも優れている。また2気筒は点火プラグ数が2本、カム駆動はチェーンで、メンテナンスコストで有利、さらには開発や生産のコストも3気筒より2気等の方が低減できるといった総合的な事前評価の結果、2気筒エンジンの開発がスタートしたわけである。

 ツイアンエアエンジンは、同等出力の自然吸気4気筒エンジンに比べ、CO2は最大30%を低減できるのだ。
 なお、このツイアンエアは、2011年には自然吸気、天然ガス(CNG)という二つのバリエーションが追加されることになっており、12年にはターボの高出力版(105ps)が登場する予定だ。

ツインエアエンジンのキーポイント

 875ccの排気量で、ボア・ストロークは80.5×86mmで、特にこの80.5mmというボア径が最適とされている。また圧縮比は95オクタンで10.0とされ、ターボ過給されることを考慮すると高めである。シリンダーボアは製造段階でダミーヘッド装着により真円ボア加工が行われている。したがって、ピストンリングなども低張力化さるなど内部摩擦抵抗の低減策も徹底されているはずだ。

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 電子制御油圧駆動のマルチエア(吸気バルブ側)は、FTP社とドイツのシェフラー(INA)社との共同開発で、シェフラー社が他社に販売した場合はFTP社にロイヤリティが入るようになっているそうだ。
 マルチエアは、可変バルブリフトを行うことでスロットルレスシステムとなるが、補助的な電子スロットルバルブは装備されている。またコスト的な制約もあって、燃料噴射はポート噴射としている。より大幅に性能向上が見込める直噴化は次のステップとされている。バルブ駆動はチェーンによるSOHCで、排気バルブはローラー式フィンガーロッカーアーム(油圧ラッシュアジャスター内蔵)で駆動される。
 バランサーシャフトは2個のローラーベアリング支持で、1度単位での回転バランス精度を保持する。
 シリンダーヘッドの燃焼室にはスキッシュエリアが設けられ、低流速時の均質混合を促進するようになっている。

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 小型ターボはマニホールド一体型で熱容量を小さくするとともに、最高過給圧は1.4気圧ときわめて高い。また耐熱温度も950度と高く、高出力スポーツカーエンジン並みの能力を備えていることにも注目したい。
 マルチエア機構は、カムシャフトの回転により加圧・蓄圧された油圧を電子制御ソレノイドバルブが制御して吸気バルブの開閉を行う。したがって、カムの回転とは無関係に吸気バルブを開閉、リフト変化させることができ、しかも他の電子制御機械式可変バルブリフトより摩擦抵抗が小さいのが特徴だ。
 ツインエアのバルブ開閉モードは複数あるが、吸気バルブの早閉じ、遅閉じ、2段階開閉などを行って入り、ミラーサイクル運転、大量EGR運転などを切り替えていることが分かる。言い換えれば、一般的な可変バルブタイミング機構なしでミラーサイクルやEGRを達成しているので、きわめてシンプル、合理的といえる。
 また、ターボと吸気制御により、875ccという小排気量エンジンにもかかわらず、1900回転で最大トルクを引き出し、3500回転まで最大トルクを維持するという最新の性能作りを達成している。こうした低回転・大トルクの特性により、より高いギヤで走行できるわけである。
 このため、他社の同クラスと比べ、ツイアンエアエンジンは出力、燃費において突出した存在でありセグメントにおけるベンチマークとなっていることが分かる。
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多彩な展開を盛り込んだツインエアエンジン

 第2世代のツインエアでは、直噴化の他に、排気バルブの可変タイミングの採用、0W/30という低粘度オイルの採用、より徹底したミラーサイクル運転を追求することになるという。これらにより、さらに一段と燃費の向上、CO2の削減が可能になるのだ。
 また天然ガス(CNG)エンジン仕様では80g/kmを狙っている。この天然ガスエンジンは出力的にも現在のガソリン・ツインエアとそん色ないレベル、80psが実現できるという。

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↑ハイブリッドモジュールを組み込んだ例

 トランスミッション部にモーターを組み込むことで簡単に成立する1モーター式パラレルハイブリッドシステムは、EV走行、ブレーキ回生、モーターによる加速ブースト、プラグインハイブリッドなどが想定されている。
 しかしながらA、Bセグメントではハイブリッドシステムのコストが車両価格に上乗せされると価格競争力が大幅に低下するため、FTP社では電池の価格が大幅に下がると予想される2020年頃までは量産化は遅らせると考えられる。
 ツインエアは単にダウンサイジングコンセプトによる新しいエンジンというだけではなく、将来にわたる拡張性や多用途性などを当初から盛り込んだきわめて戦略的な、大きな構想の下に企画されたエンジンであることが改めて確認できる。
 またツインエアとは別に、マルチエア技術のディーゼルエンジンへの適用も推進されている。マルチエアを採用することで吸気の幅広い制御が可能であり、同時に小型ディーゼルでは外部EGRに頼らず、効率の高い内部EGRを使用することで、より少ないデバイスで排ガス規制に対応できるとしている。大型ディーゼルについてもマルチエア技術を採用することで、燃費、排ガス性能を向上できる高いポテンシャルを備えているとしている。


↓マルチエアのディーゼルエンジンへの適用
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小型車用パワートレーンのパイオニア

 FTP社は1980年代から小型乗用車用コモンレール式ディーゼル直噴システムを開発しており、この分野でのパイオニアであると同時に、その後の技術的な方向性を決定したという。またF1用のトランスミッションの構想に端を発したセレスピード(AMT)、1970年代から着手されていた電気自動車(パンダ・エレットラ)など、現在に求められるパワートレーン技術の多くを先進的に取り組んできたという歴史も改めて強調した。
 近年では、小型ディーゼルエンジン用のマルチジェットⅡ(多段噴射用インジェクター)、ガソリンエンジンでは究極的なダウンサイジングコンセプトエンジンのツインエアに代表されるマルチエア技術、6速乾式DCTなど小型乗用車をリードするテクノロジーを実現し、小型車セグメントをリードしているのは紛れもない事実なのだ。
 この結果、ヨーロッパでの最近4年間はフェラーリ、マセラッティなどを含むフィアットグループがCO2排出量では最小、つまりトップになっており、フィアットグループの平均は125.9g/km、フィアットブランドのみに限れば123.1g/kmを達成している。
 FPT社は今後の展望として、水素エネルギーの利用は限定的に留まる、EVは電池のエネルギー貯蔵能力に限界があるため主流にはなりえない、天然ガスは石油に代わる唯一の代替燃料となりえる、ハイブリッド車は現状ではコストが高く、大幅なコスト低減が見込まれる2020年以降には普及が加速すると考えている。言い換えると2030年頃までは内燃エンジンがパワーユニットとして主流であり続けると考えているのだ。
 
ツインエアエンジンの開発構想

 ツインエアエンジンのコンセプトは次のような構想のもとで開発された。
 A、Bセグメント用のエンジンは近年のターボ、電子制御バルブタイミング、直噴化などを装備することで、ディーゼルエンジンに近い燃費レベルを達成でき、より排ガス規制が厳しくなるディーゼルエンジンに対して競争力を持つ。したがって、可変バルブタイミング&リフト機能を持つマルチエアを採用し、気筒数をできるだけ減らし、小排気量・大トルクのターボチャージングを行うエンジンを実現するということだった。
 1.0Lを切る排気量のエンジンとしてツイアンエアは企画されたが、3気筒か2気等かは大きな検討テーマとなった。
 3気筒と比べて2気筒の有利な点は、最適な気筒あたり排気量と摩擦抵抗の小ささである。一方デメリットとされる1次振動はバランサーシャフトを採用することで、バランサーシャフトを装備しない3気筒エンジンに勝ることができるとしている。
 もちろん2気等エンジンのパッケージサイズや重量は、A、Bセグメントの小さなエンジンルームにより適合しやすく、ハイブリッドシステムとの整合性にも優れている。また2気筒は点火プラグ数が2本、カム駆動はチェーンで、メンテナンスコストで有利、さらには開発や生産のコストも3気筒より2気等の方が低減できるといった総合的な事前評価の結果、2気筒エンジンの開発がスタートしたわけである。
 ツイアンエアエンジンは、同等出力の自然吸気4気筒エンジンに比べ、CO2は最大30%を低減できるのだ。
 なお、このツイアンエアは、2011年には自然吸気、天然ガス(CNG)という二つのバリエーションが追加されることになっており、12年にはターボの高出力版(105ps)が登場する予定だ。

ツインエアエンジンのキーポイント

 875ccの排気量で、ボア・ストロークは80.5×86mmで、特にこの80.5mmというボア径が最適とされている。また圧縮比は95オクタンで10.0とされ、ターボ過給されることを考慮すると高めである。シリンダーボアは製造段階でダミーヘッド装着により真円ボア加工が行われている。したがって、ピストンリングなども低張力化さるなど内部摩擦抵抗の低減策も徹底されているはずだ。
 電子制御油圧駆動のマルチエア(吸気バルブ側)は、FTP社とドイツのシェフラー(INA)社との共同開発で、シェフラー社が他社に販売した場合はFTP社にロイヤリティが入るようになっているそうだ。
 マルチエアは、可変バルブリフトを行うことでスロットルレスシステムとなるが、補助的な電子スロットルバルブは装備されている。またコスト的な制約もあって、燃料噴射はポート噴射としている。より大幅に性能向上が見込める直噴化は次のステップとされている。バルブ駆動はチェーンによるSOHCで、排気バルブはローラー式フィンガーロッカーアーム(油圧ラッシュアジャスター内蔵)で駆動される。
 バランサーシャフトは2個のローラーベアリング支持で、1度単位での回転バランス精度を保持する。
 シリンダーヘッドの燃焼室にはスキッシュエリアが設けられ、低流速時の均質混合を促進するようになっている。
 小型ターボはマニホールド一体型で熱容量を小さくするとともに、最高過給圧は1.4気圧ときわめて高い。また耐熱温度も950度と高く、高出力スポーツカーエンジン並みの能力を備えていることにも注目したい。
 マルチエア機構は、カムシャフトの回転により加圧・蓄圧された油圧を電子制御ソレノイドバルブが制御して吸気バルブの開閉を行う。したがって、カムの回転とは無関係に吸気バルブを開閉、リフト変化させることができ、しかも他の電子制御機械式可変バルブリフトより摩擦抵抗が小さいのが特徴だ。
 ツインエアのバルブ開閉モードは複数あるが、吸気バルブの早閉じ、遅閉じ、2段階開閉などを行って入り、ミラーサイクル運転、大量EGR運転などを切り替えていることが分かる。言い換えれば、一般的な可変バルブタイミング機構なしでミラーサイクルやEGRを達成しているので、きわめてシンプル、合理的といえる。
 また、ターボと吸気制御により、875ccという小排気量エンジンにもかかわらず、1900回転で最大トルクを引き出し、3500回転まで最大トルクを維持するという最新の性能作りを達成している。こうした低回転・大トルクの特性により、より高いギヤで走行できるわけである。
 このため、他社の同クラスと比べ、ツイアンエアエンジンは出力、燃費において突出した存在でありセグメントにおけるベンチマークとなっていることが分かる。
 
多彩な展開を盛り込んだツインエアエンジン

 第2世代のツインエアでは、直噴化の他に、排気バルブの可変タイミングの採用、0W/30という低粘度オイルの採用、より徹底したミラーサイクル運転を追求することになるという。これらにより、さらに一段と燃費の向上、CO2の削減が可能になるのだ。
 また天然ガス(CNG)エンジン仕様では80g/kmを狙っている。この天然ガスエンジンは出力的にも現在のガソリン・ツインエアとそん色ないレベル、80psが実現できるという。
 トランスミッション部にモーターを組み込むことで簡単に成立する1モーター式パラレルハイブリッドシステムは、EV走行、ブレーキ回生、モーターによる加速ブースト、プラグインハイブリッドなどが想定されている。
 しかしながらA、Bセグメントではハイブリッドシステムのコストが車両価格に上乗せされると価格競争力が大幅に低下するため、FTP社では電池の価格が大幅に下がると予想される2020年頃までは量産化は遅らせると考えられる。
 ツインエアは単にダウンサイジングコンセプトによる新しいエンジンというだけではなく、将来にわたる拡張性や多用途性などを当初から盛り込んだきわめて戦略的な、大きな構想の下に企画されたエンジンであることが改めて確認できる。
 またツインエアとは別に、マルチエア技術のディーゼルエンジンへの適用も推進されている。マルチエアを採用することで吸気の幅広い制御が可能であり、同時に小型ディーゼルでは外部EGRに頼らず、効率の高い内部EGRを使用することで、より少ないデバイスで排ガス規制に対応できるとしている。大型ディーゼルについてもマルチエア技術を採用することで、燃費、排ガス性能を向上できる高いポテンシャルを備えているとしている。

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 それにしても日立金属製の高性能冷間工具鋼SLD-MAGIC(S-MAGIC)の自己潤滑性の評価が高い。塑性加工金型のカジリを防ぐメカニズムが最近わかったようで、摩擦面に自動的にナノベアリング状の結晶が生成されるとのこと。耐カジリ性の指標であるPV値も通常の鉄鋼材料の6倍と世界最高水準と報告されている。
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