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ニューヨークの次期イエローキャブ



 5月3日、ニューヨーク市はニューヨーク名物として世界的に知られるタクシー「イエローキャブ」の次世代車の供給について、日産自動車(と独占契約を結ぶことを発表した。このため2013年以降、市内を走る約1万3000台のタクシーを順次、日産のミニバン「NV200]に置き換えて行くことになる。17年以降はEVタイプも登場する可能性があり、日産は7月にNV200EVの実証実験に着手した。

 ニューヨーク市では、タクシーはオーナー会社、個人オーナーを問わずニューヨーク市タクシー&リムジン協議会(TLC)が統括し、ドライバーもTLCに登録された有資格者に限られる。またTLCに属するすべてのタクシーは黄色に塗装することが指定されている。
771px-Yellow_cabs_2.jpg

 これまでのイエローキャブはフルサイズセダンのフォード・クラウンヴィクトリアが90%以上と事実上独占状態であった。クラウンヴィクトリアは古いコンセプトで作られたFRのフルサイズセダンで、実態としては警察車両の中古車が多くを占めていた
 これ以外では、近年ではトヨタのミニバン(シエナ)、ホンダ・オデッセイなども使用され、2005年以降はハイブリッド車重視の政策により、フォード・エスケープ、トヨタ・プリウス、レクサスRXなども一部採用された。この他にごく少数ながらメルセデスE350ブルーテックも採用されており、全部で16車種の中からタクシーオーナーが選択できる仕組みになっていた。 
 
 ニューヨーク市、TCLは2007年に、多数を占めるフォード・クラウンヴィクトリアに代わる次世代タクシー、「タクシーオブトゥモロー」を選定することにした。フォード・クラウンビクトリアの生産が停止されることになったのがそのきっかけである。
 タクシーオブトゥモローのプロジェクトは、タクシー会社オーナー、タクシードライバー、利用者の代表が次世代タクシーを検討するもので。機能や乗り心地、車内の広さ、身体障害者の利便性などを考慮し、さらに低燃費で洗練されたデザインが求められることになった。2009年12月にTCLが自動車メーカー各社に提案を呼びかけて、コンペティションが開始された。
 コンペティションに参加した自動車メーカーは7社で、最終選考に残ったのは、日産NV200、トルコのメーカー、カルサンV1、そしてフォード・トランジットコネクトの3車だった。いずれもミニバンデザインである。
 2005年以降はすでにハイブリッドカー重視政策が採用されてきたのに、3車はいずれもガソリンエンジン車で、一部では政策の後退かともいわれたが、ハイブリッド車は高価格である点がネックのようだ。

 自動車メーカー側の提案価格は3万~4万ドルが大半だが、従来のフォード・クラウンヴィクトリアは2万ドル台のため、価格の問題も選考に大きく影響した要素といえる。
 フォード・トランジットコネクトは、ヨーロッパフォードが開発したフォーカスをベースにしたミニバンで、ディュラテック2・0Lエンジンを搭載。アメリカでも人気のある多用途ミニバンである。
Ford_transit.jpg

 トルコのカルサン社(http://en.karsan.com.tr/)は、もともとプジョー/シトロエン、ルノーのトラック、ヒュンダイなどをノックダウン生産している商用車製造メーカーだが、タクシーオブットゥモロープロジェクトに参加するために新たに開発部門を立ち上げて、斬新なタクシー専用車のV1を提案した。
 キャビンは運転席と3人乗車の後席、1人掛けの補助席というパッケージングとすることで、車いすのままで乗り降りできる広大な空間を実現。大型ガラスルーフを採用した点も特徴だ。V1のボディサイズは全長4826mm、全幅1922mm、全高1915mm、ホイールベー3251mmで、車両重量は1485kg。パワートレインはリヤにパッケージされたRR方式で、エンジンは天然ガス、電気、ガソリンと電気のハイブリッドなど、さまざまなパワーソースに対応可能する革新的なデザインである。
karsan.jpg

Karsan-V1-3-625x416.jpg

 日産のNV200(日本ではバネット)は、メキシコ工場(クエルナバカ)で生産され、今回のタクシーオブトゥモローのためにアメリカ日産がイエローキャブ専用の設計を盛り込んだ。
 タクシー専用装備は・・・
・ニューヨークタクシー全体での排出ガス低減と燃費向上を狙う2L/4気筒エンジン。
・現行タクシーに対して大きく改善した、4名の乗客とその荷物のためのゆとりのある室内空間。
・ニューヨークの街中での騒音低減のため、車外灯と連動することで警告音量を小さくしたクラクション。
・乗り降りを容易にするスライドドア、乗降用の補助ステップと手すり。
・見晴らしの良さを実現し、開放的な気分にさせるパノラミックルーフ(シェード付き)。
・運転席のエアコンがOFFでも独立して運転可能なブドウポリフェノールクリーンフィルター付き後席エアコン。
・本革調ファブリックを用いた、汚れにくく通気性の良い、抗菌仕様シート表皮。
・乗客用の読書灯、所持品の確認をサポートする室内フロアの足元照明。
・乗客用の電源コンセント(12V)とUSBプラグ(2つ)。
・客室とのパーティション備え付け時でも快適な運転姿勢をサポートする、リクライニングとランバーサポート機能付き6段階調整可能運転席シート。
・乗務員用ナビゲーションおよびテレマティクスシステム。

安全装備としては・・・
・運転席・助手席サイドエアバッグ付SRSエアバッグシステム及び前席・後席SRSカーテンエアバッグシステム 。
・トラクションコントロールシステムとビークルダイナミクスコントロール(VDC)。
・スライドドアは通常のヒンジドアと比べ、不意な開閉による歩行者・自転車等へのリスクの軽減に。 同スライドドアは、開閉時警告灯も装備。
 
 コンペティションの結果、この日産NV200が次世代タクシーとして決定された。
 価格は2万9000ドル。価格的にも受け入れられやすいレベルに落ち着いている。
 NV200は2013年後半から投入され、イエローキャブ全車が最終的にNV200に切り替わる計画だ。なお、ニューヨークのタクシーの総数は1万3000台で、年間の総走行距離は5億マイル、1日あたりの利用者数は60万人。
 日本のタクシーに比べ圧倒的に走行距離が長いため、耐久信頼性、ランニングコストが大きく問われることになるが、そのためアメリカ日産はタクシーオーナー、ドライバーが日常点検のトレーニング実施し、販売店でも迅速な整備を行えるように対策していくとされている。

NV200EV.jpg
↑NV200 EV実証実験車

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