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アルファロメオTCT FPTが開発した新世代トランスミッション

 アルファロメオMiToに油圧作動の連続可変リフト式エンジン、マルチエアと、新開発のデュアルクラッチ・トランスミッション「アルファTCT」を採用したニューグレード(コンペティティオーネ、スプリント)が登場し、10月14日から発売された。マルチエアエンジンとアルファTCTを新採用したMiToは今春から予約受付されていたが、ようやく正式発売となった。(アルファTCTはアルファロメオ社の固有名称で、ツインクラッチテクノロジーを意味する。FPT社は一般的なDCTの呼称を用いている)

14.jpg

engine_C6352.jpg
↑マルチエア・ターボエンジンと組み合わされたアルファTCTトランスミッション

 MiToは2009年5月の発売以来、1年余でエンジン、トランスミッションを大幅に革新するビッグマイナーチェンジを行うことになったわけだ。
 排気カムシャフトで駆動される油圧シリンダーにより吸気バルブのリフトを無段階に可変化した革新的なマルチエアエンジンの詳細については既報だが、このエンジンと同様にフィアットパワートレーンテクノロジー(FPT)社が新開発したデュアルクラッチトランスミッション「アルファTCT」の詳細がこのほど発表された。

 
 アルファTCTと名付けられた乾式デュアルクラッチに式の6速トランスミッションはC635型と呼ばれるが、この名称はMiTOクワドロフォリオヴェルテに採用されている6速MTと同一名称であり、このことが物語るように6速MTとTCTは共通の部品を使用し、同一の工場ラインで生産されることで投資コストを削減しすることが開発コンセプトのひとつになっているのだ。
 開発責任者のフランチェスコ・チミーノ部長は、開発の背景を次のように語っている。
 「時代の要求にあわせたトランスミッションはどうあるべきかという点を、基本的なところから考えました」
 現在の市場ではクラシックなMT、ヨーロッパを中心に小型車で採用されているAMT(シングルクラッチ式自動変速MT)、トルコンを使用したAT、、DCT(デュアルクラッチ式自動変速トランスミッション)さらにCVTがラインアップされているがそれぞれが特徴を備えている。
 それぞれのトランスミッションの特性は以下のようになる。
-------------------------------------------------------------------------------
 MT:最も軽量で低コスト。高効率。しかし燃費抑制が難しい。
 
 AMT:コスト、質量、効率、パワートレイン適合性においてベストバランス。しかし変速が遅く、駆動力の途切れが大きい。
 
 AT: 高コスト、重量大、専用設計が必要なほか、トルコンや油圧維持のために効率が悪い。しかし感性にマッチし、快適。
 
 DCT:MTと同等の構造で、コスト、重量も中間的。高効率、優れた感性性能、パワユニットとの適合性も良好。
-------------------------------------------------------------------------------
 チミーノ氏はこの比較に取り上げなかったが、CVTはベルトをプーリーで圧着する方式のため油圧を発生させるために効率はMTとATの中間的な存在。一方、駆動力の途切れのない無段変速という大きな特徴を持つ。またコストもAMTとATの中間だ。
 このようなタイプ別比較評価において、デュアルクラッチ式(DCT)は、最新のトランスミッションとして最適解として選択された。

FPT戦略

 
 デュアルクラッチ式、つまりDCTの採用で先行したVWグループには湿式多板クラッチ式と乾式クラッチ式の2種類が存在する。当然ながらFPT社でもDCTの開発にあたり双方を比較検討している。
 湿式クラッチが優れている点は、トルク容量が大きいこと、クリープのしやすさの2点で、乾式クラッチが優れている点は冷間始動性、全体質量、MTとの共用性、スタートストップ性との相性、燃費、コストと6点あり、総合的に見て乾式が有利という結論に達している。しかしながら、VWの乾式DCTのトルク容量は250Nmとされているが、FPT社はより大トルクのエンジンに適合させることになった。
 「乾式クラッチで許容トルク容量を最大限に増大させる事が最大の難関になった」とチミーノ氏は語っている。
 FPT社は、中型ディーゼルターボなどのトルクにも適合をはかる必要があったわけだ。FTP社は、DCTをコンパクトカーからミドルクラスの、デーゼル、ガソリンエンジン車に適合させる戦略で、その一方でA、Bセグメントに関してはよりシンプルでローコストのAMTを選ぶとしている。
 FPT社とは対照的に、プジョー/シトロエングループは次世代のトランスミッションとして、コンパクトクラスから大トルクのディーゼルターボまで適合できる新トランスミッションに6AMT(BMP6型)を選択した。すでにこの新型トランスミッションは年間80万基の規模を持つ新工場で生産を開始している。つまりプジョー/シトロエンはシングルクラッチ式自動MTを次世代トランスミッションと位置づけたわけだ。
 FTP社は、DCTを実現するための戦略として、MTとDCTでコンポーネントの共通化を最大限に追求すること、フロントLSD、4WDに適合できること、車両搭載性はMTと完全互換できること、下級セグメントや大量生産、各種のプラットフォームに対する適合性を実現すること、単一生産ラインでMTとDCTに対応し、MTとDCTの生産比率をフレキシブルにできるといった条件もクリアすることにした。つまりこうした大量生産を前提とし、生産ラインのトランスミッション生産量全体を拡大させることでDCTの開発コストやコンポーネンツのコストを吸収できるという結論に達し、開発が決定した。

DCT_MT比較
↑C635が他のMTとDCT比較。まったく同一のパッケージになっている。

 VWグループはDCTを次世代トランスミッションとして位置付け、自社のカッセル工場で大量生産を行っており、すでに累計は150万基を超えている。VW社のDCTの登場以後、各メーカーの特定車種にDCTは採用されているが、それらは極少量の生産であり、日本でも日産GT-R、三菱ランサーエボXなど、いずれもハンドメイドといえるレベルの生産数に過ぎない。
 FPT社は、VWと同様に本格的な大量生産を前提としたプロジェクトとしたことに大きな意義がある。

 C635の主要な特徴は、3軸構成、2分割ハウジング構造、最大入力350Nm、最大出力トルク4200Nm、既存コンポーネンツの多用、MTと同じ生産ラインで製造で、6速MTユニットと外観も搭載性もまったく同じとされている。
 ギヤのレイアウトは、3軸+リバースギヤアイドラーを備え、6速、7速とされている。
 6速の場合は変速比幅は6.7。なお「マルチエアエンジンとのマッチングでは、7速は不要で6速でじゅうぶんという結論になった」とチミーノ氏は語っている。

C635概要


TCT_unit.jpg

 シンクロは、1~3速がトリプルコーン、4速、Rがダブルコーン、5~6速がシングルコーンとなっている。なおウエット状態でのユニット重量は81kgときわめて軽量にまとめられていることも特徴だ。(VWの乾式7速DCTのユニット重量は70kg)
 
 デュアルクラッチ部分は、、奇数ギヤ用、偶数ギヤ用のクラッチがデュアルマスフライホイールを挟んでシングルベアリングで支持されるレイアウトで、奇数ギヤ用クラッチはクローズタイプでアクチュエーターの油圧によるプルロッドによってスライド動作し切断され、磨耗補正の機能も持つ。
 偶数ギヤ用クラッチは、オープン式でスレーブシリンダーで圧着させることで作動させる。なおクラッチユニットはLuk社製で、これはVWの乾式DSGとまったく同じである。

DC_unit.jpg
↑乾式デュアルクラッチ部の構造。プルロッド式クラッチ作動。

VW7g.jpg
↑VWの7速DSGはレバーでクラッチを作動させる。

 FPTは350Nmという最大入力トルクにするため、5度ステップのクラッチ温度管理を行う精密制御を採用、つまり乾式クラッチの限度ぎりぎりまで使用するようにしているという。
 このように極めてシンプルで小型軽量な構造としクラッチ作動エネルギーを最小限としているのが特徴だ。
 ギヤチェンジ機構は電子制御の電動油圧ポンプを採用し、小型で高効率を目指している。
 油圧制御は5個のフローソレノイドバルブと2個のプレッシャーソレノイドバルブ、そしてクラッチ作動用のフローソレノイドバルブとプレッシャーソレノイドバルブを備えている。
 ギヤ部分はMT用のC635、すなわちMiToクワドロフォリオ・ヴェルテ用と共通だ。
 アクチュエーターの油圧制御は高圧/低圧レベル制御を採用し、変速時に油圧変動を補正できる。
 発進やギヤ変速のモード選択(アルファDNAなど)にあわせたエンジン、トランスミッション制御、ブランド別の個性に合わせた多様なモードも内蔵している。

HydroUNITetc.jpg

 MiToコンペティチオーネにはエンジン特性、変速特性、パワーステアのアシスト特性、VDCの特性などダイナミクスを統合的に選択できるDNAシステムが装備されている。D(ダイナミクス=スポーツ走行)、N(ノーマル=市街地走行)、A(オールウエザー=滑りやすい路面)をドライバーがスイッチで選択でき、これにあわせて変速の速度やタイミングが自動的に変化するのだ。
 また機能としては、ブレーキを解放したときのクリープ機能、ヒルホールド機能、スタートストップ機能を採用している。

DNA.jpg

 
 なおクラッチの作動や変速は、エンジンECUとTCUの統合制御であることはもちろん、総合トルク制御ロジックを採用していることは言うまでもない。DCTは、必要駆動トルクから先読みした変速待機を行うことが大きな特徴で、1速→2速にチェンジした段階では、加速意志が検出されていれば次段の3速ギヤがすでに選択され待機状態にある。そして次の瞬間にはクラッチの断続だけで瞬時に変速される。
 これを実現するためには、走行状態における必要駆動トルクを演算し、その値を元にエンジンの要求トルクを決め、同時にトランスミッションの次段必要ギヤを決定するという総合トルク制御が不可欠なのだ。言い換えればDCTが成立するためには、エンジン、トランスミッションの総合トルク制御(出力比例制御)が行われていなければならないのだ。
 このDCTのTCUはエンジンECUと共通のボックスで、最短タスクサイクル2ms、CPUは120MHzで、専用CAN-BUSで接続される。
 
 チミーノ氏は、C635DCTの特徴を次のようにまとめている。
1) AT、CVTと同等の快適性を備えながら、優れた伝達効率、ドライバビリティを実現。
2) 小型サイズながらVW7速を上回る高いトルク容量を実現。
3) Bセグメント車にも対応できるコンパクト設計。
4) DCTとして高効率、軽量、小型、低コストを実現。
5) スタートストップシステムとの優れた適合性。
6) 電子制御油圧作動式クラッチとシフトアクチュエーターを採用し優れた作動性と小型軽量化を両立。
7) 出力比例制御に基づくECUとTCUの統合制御を採用し、耐久性に優れ、スムーズな発進や変速性能を実現。
8) 最高出力トルク4200Nmとすることで4WDにも適合。

 なお、このトランスミッションはMiToを手始めに、今後登場するアルファロメオ・ジュリエッタ、フィアット各車にも幅広く採用される予定である。

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Re: 日本のエンジンの将来は?

コメントありがとうございます。

> 欧州ではダウンサイジング(小排気量+過給)が明確ですね。
> マルチエアのような エレキ仕掛け は本来なら 日本発 と
> いたしたいところですが、もうこういう技術がメーカ主導で開発
> されていないところが残念です。

日本の現状は、開発予算の縮小のためか新たなコンセプトでのエンジン作りが後手に回っている
のは確かです、ちょっと残念です。

> 信頼性がどのくらいのものか分かりませんが、2ペダルのように
> 市場投入後に改良もフィアットならでは(?)かもしれません。

FPT社はグループ全体の開発を受け持っているので、案外効率的に対応できるのではと思っています。

> 個人的にはマツダのSKYエンジンに期待しています。
日本発では日産に続く第2弾で楽しみです。

日本のエンジンの将来は?

管理人様、こんにちは。

欧州ではダウンサイジング(小排気量+過給)が明確ですね。
マルチエアのような エレキ仕掛け は本来なら 日本発 と
いたしたいところですが、もうこういう技術がメーカ主導で開発
されていないところが残念です。

信頼性がどのくらいのものか分かりませんが、2ペダルのように
市場投入後に改良もフィアットならでは(?)かもしれません。

個人的にはマツダのSKYエンジンに期待しています。
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