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Fダクトの謎

MP.jpg
↑マクラーレンMP4-25。エンジン用エアインテーク開口部が上下2段に分かれている。この上部ががフラップ用のメインダクトではないか?

 今年のF1グランプリでは、マクラーレンが直線路で速いことが話題になっている。その理由が「Fダクト」を装備しているからだということで、上海グランプリから他のチームも続々とまねし始めたようだ。
 しかしマクラーレンガ先行開発したFダクト(通称)は現在でも謎の装置とされている。
 一体何なのだ?
 
 現在のところ明らかになっている点で考えると、リヤウイングのフラップ部分に対する吹き出しフラップ(Blown Flap)機構といえると思う。
 飛行機の翼に装備されているフラップ(可動翼)は、離着陸時の低速飛行時の揚力を高めるためのせり出し式の翼である。
 このフラップにもさまざまな形式があるが、その中のひとつに吹き出し式フラップがある。大きな角度でせり出したフラップはその背面で気流の剥離が生じ、空気抵抗が増大するとともに揚力も失う。これを防止するため、メイン翼とフラップの隙間に圧縮空気やジェット噴流を流す方式だ。
 もちろん飛行機の場合は大きな角度の付いたフラップを失速させずに有効に稼動させて揚力を増大する役割を持つ。

p125_1.jpg
↑吹き出し式フラップ
fig06.jpg
↑吹き出し式フラップの効果
 
 しかし、マクラーレンのFダクト(チームの正式名称はRW80という)は、直線路の走行でフラップを失速させて、空気抵抗を低減しているという説が現地では主流だ。
 2009年から現在のF1車両規則が採用されているが、従来からの大きな変更点はウイングによる空力効果を抑制することで、リヤウイングは従来の全幅1000mmの翼幅から750mmへと狭められている。
 このためリヤウイングの下向き揚力=ダウンフォースはかなり減少している。しかし、マシンとしては少しでも大きなダウンフォースを確保するため、大型のフラップを45度以上の大角度で装備している。
 したがって高速域での空気抵抗も相当大きくなっていると思われ、最高速も伸びにくいわけだ。

hakuri.jpg
↑大迎え角での気流剥離(濃紺部)F1はさらに剥離が大きいはず
flap.jpg
↑飛行機の主翼とフラップを上下逆にするとF1のリヤウイングに

 もともとF1は空気抵抗=Cdの低減よりウイングなどによるダウンフォースを重視しており、ダウンフォースによって大きなタイヤのグリップ力を確保しているのが実情だ。これによって4Gを上回るようなコーナリングのグリップ力を稼いでいるのだ。
 しかし翼幅が狭められたために、ダウンフォースを確保するためにはフラップの角度が大きくせざるを得ないので、空気抵抗はいっそう大きくなっているはず。
 もちろん、本質的には走行中の可変角ウイング装置がベストだが、走行中の可変ウイング・システムは規則で禁止されているのだ。過去には、走行速度が高くなりダウンフォースが増大するとフラップの弾性によりたわむタイプもこっそり採用されたが、これも禁止されてしまった。
 
 マクラーレンのRW80は、それに対するひとつの回答といえる。ただ、直線路とカーブの連続する路面で、ドライバーが手動でダクトを切り替えているといわれており(あくまでも推測情報)、これは可変ウイングと同じではないかという疑念があったが、F1協会は合法という判断を下した。
 マクラーレンのシステムは、ドライバー席の直前のボディ上面の左側にタバコ箱を縦にしたほどの小さなエアインテークが設けられているのが注目され、ここからリヤフラップ用のエアを導入しているというのだが・・・

intake1.jpg
↑ボディ前部上面にあるエアインテーク

 ボディ上面のこんなに小さな吸気ダクトで、リヤフラップへじゅうぶんなエアを供給できるとは考えられない。
 またこのような場所からリヤの翼部までエアの経路が長くしかも直線ではないからエアの流速は低下してしまうだろう。こう考えると、この前方の小さなダクトがリヤフラップへのエア供給用とはとても考えにくい。
 実は、エンジン用エアインテークの上部にもエンジン用インテークとはセパレートされたエア吸入ダクトがあり、このインテークダクトは一直線でリヤフラップに接続されている。インテークの面積や位置から考え、ここからリヤフラップ用のエアを導入していると考えるのが妥当だと思う。

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↑エンジン用エアインテーク上部にフラップ用エアインテークがある

 エアの経路としては、前部ボディ上面のエアインテークは細い導管を通って、エンジン用エアインテークからのエアとエンジンカバー内部で合流し、エンジンカバー(通称はシャークフィン)の上部を通ってフラップの中央部まで導かれていることは外部からもわかる。
 ここからフラップ内部で左右に分岐され、フラップ裏面のスリットからエアを吹き出すとのだ。こう考えると前方の小型ダクトはリヤフラップへのエア供給用ではなくラム圧センサー的な使い方ではないか?
 本来、この吹き出しフラップを機能させるためには、圧縮されたエアやジェット噴流が必要とされるが、この場合は走行ラム圧のみである。
 ラム圧がじゅうぶんに高くなるとリヤフラップにエアを流す、と考えた方が自然だ。ということは自動制御ではないのか?

flapR.jpg
↑フラップ部を後方から見る。水平のスリットからエアが吹き出す。ただし層流ではなく渦流か?

 これまでの現地雑誌などの説明ではフラップをストール(失速)させて空気抵抗をダウン=ダウンフォースもダウンさせるとされているが、もともと剥離して乱流域にラム圧のかかったエアを供給するため、むしろ気流の剥離を抑えることで空気抵抗を少なくしているのではないかとも考えられる。
 しかし吹き出しフラップの原理であればダウンフォースを増大させる方向であり、車速を伸ばすためには有効とは思われないし、そうであれば直線路だけで使用せず、常時使用しても差し支えないのではないだろうか? 
 逆に、フラップ裏面にエアを吹き出し、フラップの抵抗を増大させることなくダウンフォースを低減させるためには、フラップの裏面から細かな渦流を吹き出すことが必要だろう。
 つまりダクトからラム圧のかかったエアを導入しているマクラーレンのフラップの内部にはボルテックスジェネレーターが仕込まれており、裏面のスリットからは細かな渦流が吹き出され、フラップの裏面が層流ではなく乱流にする境界層制御が行われていると考えざるを得ない。
 
 これに対して追従する他チームは、フラップではなくリヤウイングの下面にスリットを設け、エアを吹き出す方式を採用しているケースが多いようだ。これは完全な吹き出し式フラップ、あるいは従来型のリヤウイング下面の空気流速向上を狙っていることになる。これはダウンフォースの増大策でなり、マクラーレンとは逆の効果である。
 どの方式が正解なのかはヨーロッパラウンドに入ると徐々に判明すると思う。

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