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トヨタの語る真実

 プリウスなど4車種のリコール届出のタイミングで2回目の社長、副社長による記者会見が行われ、この席で初めて技術的な説明が行われた。
 試験の想定条件は、20km/hで走行中にドライバーが30Nのブレーキ踏力を一定に保ちながら、つまり緩やかな減速をしている時、狭い範囲の凍結路面があると、その凍結路面上でABSが作動し、同時に減速度が弱まるが、凍結路面を通過直後にABS作動は停止して通常のブレーキ状態となるので、最初の条件どおりの緩やかな減速を維持する。
 このような凍結部を通過した時の条件で、通常のABS装備車は0.4秒の制動遅れが生じるが、プリウスの場合は0.46秒と0.06秒長くなる。
 この制動遅れにより、ドライバーの当初の停止目標地点で止まるためには、通常のABS車では+10N(約1kg)の踏み増しを要するが、プリウスの場合は+15N(1.5kg)の踏み増しが必要になる。
 逆にいえば、ドライバーは当初からの一定の、30Nの踏力のままでいた場合は、目標停止点まで12.3mであったと仮定すると、通常のABS車では12.9mで停止する。つまり60cmのずれを生じる。
 これに対してプリウスは1.3mのずれ(目標停止点オーバー)となるというのだ。
TOYOTA_01.jpg

 もちろん、これは上記のABS作動時の制動遅れとABS作動後の油圧低下が原因である。
 したがって、当初のトヨタの主張どおり、凍結部を通過した時点で+15Nのペダルの踏み増しを行えば、当初どおりの目標停止点で停止することができるということになる。
 
 トヨタの説明では触れられていないが、上記のような普通のABS車と、プリウスの ABSとの違いは、通常はABSの作動時にブレーキペダルにキックバック振動が発生するが、プリウスのABSはこの振動がほとんど発生しないので、ドライバーがABSが作動したことを感知できないことが大きい。豊田社長は、この点について「プリウスのABSは快適性(振動を抑制する)を重視してしまった」とコメントする。(後述)
 トヨタは従来のハイブリッド車は従来通りのABSを採用してきたが、30型プリウス、SAI、レクサスHS250hからは、油圧ブレーキはモーターによって発生する油圧を使用するのに対して、ABS時にはペダルのストロークで発生する油圧経路を使用するようになっていることが相違点で、図のようにモーターで加圧された油圧と、ペダル・ストローク油圧では油圧特性が異なり、0.3gのブレーキ力(ペダル踏力で4kg)で交差する。
TOYOTA_02.jpg


 つまり減速度が0.3g以下の軽いブレーキ時でABSが作動すると、ABS作動前のモーターポンプ油圧よりペダル・ストローク油圧の方が低いので、ブレーキペダル踏力が一定という条件では、油圧差の分だけ制動遅れが生じることを意味するわけだ。
 
 2010年1月生産車からとリコール対策は、ABS作動時にもABS非作動時と同じモーター油圧にすることで、結果的に油圧回復を従来型ABSと同等の作動遅れにしているのだ。
 これはABS用のECUのリプログラムにより行われる。ROMの上書き時間は10分間程度だという。
TOYOTA_03.jpg

 
 ここで特筆すべきは、ABS作動時のペダルのキックバックを避けることが構想されていたことであろう。繰り返しになるが、0.3g以下の、つまり軽いブレーキ踏力で緩やかに減速している状態は、前方にある信号機の停止線に合わせたり、あるいは単に速度調節のための、緊張感のない緩やかな減速状態で、ドライバーは突発的なABSの作動をまったく予期していない。
 ただ路面観察眼の優れたベテランドライバーであれば、このようなブレーキ状態でも長さ1m程度の部分的なアイスバーンはインプットされるであろうが。
 冬季の運転場面では圧雪路から部分的アイスバーンに切り替わるような状態で想定しやすいだろう。
 そして凍結部を通過した瞬間にABSが作動するが・・・従来型ABSであれば軽いブレーキ踏力にもかかわらず、ブレーキペダルのキックバック振動が生じ、ドライバーにABS作動をインフォメーションする。インフォメーションがあれば、ドライバーはブレーキペダルを踏み増しするのが自然である。
 しかし、プリウスはABS作動のインフォメーションをドライバーに伝えないため、制動遅れが生じ、なおかつドライバーはブレーキペダルの踏力をルーズに一定を保つことが考えられるのだ。もちろんこれも、経験の深いベテランドライバーであれば、脳内の目標ブレーキ力と実際の減速力とのずれを体感すると、反射的にブレーキペダルを踏み増すと考えられ、したがって修正したブレーキ力により目標ブレーキ力と合致させることができるはずだ。
 ところが踏み増しをせず、ブレーキペダル踏力を一定のままにすれば、目標ブレーキ力とのずれが生じ、空走感、ブレーキの抜け感がフィードバックされ、そこで初めてドライバーは驚く、あるいは目標停止点で止まれない、という実感をする。
 つまり今回の問題は、機構的な問題というよりドライバー心理を無視しているため、特定の条件でドライバーが不安感や違和感を強いられるということが問題なのだ。
 またこうしたドライバー心理の引き金になっているのは、ABS作動のドライバーへのフィードバック、つまりペダル振動がないというインフォメーションの問題ともいえ、大げさに言えばクルマに対する思想の問題ではないかと思う。
 ブレーキに関しては、一般的に、効くとか効かないとか、単純にブレーキ力=減速度や停止距離の問題とされがちだが、実際の交通環境では、減速感やブレーキからのフィードバック感が、アクティブセーフティの観点からは重要であり、減速感と車速の関係を見ると優れたブレーキはリニアは直線ではなく2次曲線の減速性能求められる。
 このようにマン・マシンのインターフェースがブレーキには何よりも求められる教訓のひとつとなるのではないかと思っている。

コメント

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Re: タイトルなし

わざわざコメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。

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Re: タイトルなし

電動ポンプが失陥した場合のバックアップは、ペダル・ストロームによる油圧が働きます。
ですから、純機械的なバックアップは行われます。これは、今回のリコール問題になったABS作動時の油圧と同じですね。

Re: 車との対話

コメントありがとうございます。

まさにおっしゃる通りと我々も考えています。単にシステムの油圧の問題ではなく、やはりその手前のインターフェースがしっかりしていれば、今回のような事件は起こらなかったと思います。

トヨタは、ABSのペダル・キックバックを不快なものと考えていたのがボタンのかけ違えであり
そのようなシームレスな方向を模索していたと思いますが、今回で少し考えが変わればよいのですが。

今回のリコール車種から電源が落ちた時のバックアップのキャパシタが廃止され、
ブレーキの踏み込む力のみで電源なしの非常時は止まる事を想定していますが、
今回のリコールでABS作動時もポンプ圧力を使う系統に変更になりましたが
何らかのトラブルで電源の落ちた場合は、踏みこむ圧で止まる油圧系統に切り替わるのでしょうか?

車との対話

今回、トヨタの技術的解釈のコメントは、WEBニュースで拝見し、貴殿のブログの書き込みをまた、拝見に参りました。
もっと、こちらの記事を他の方に見ていただきたいと感じる次第です。

今回この技術的解釈から、私感ですが、本来車と言う物は、人間の五感を働かして、手の平で、フロントタイヤのグリップを感じ、右足で加速時、減速時のトラクションを感じ、腰から背中全体で車の姿勢挙動を感じ、振動、音、においで変化を感じ動かす物と教えられました。
今は、快適空間を求め、何もかも電子制御に任せ、単調な操作で動く物になりすぎた感じがします。
今回も、ABSの作動時、ペダルにキックバックなどがもう少しあって、車の状態がもう少し人間に伝わっておれば発生しなかったのでは思います。
実際無意識のうちに、目標とする停止位置に対して、ブレーキをかけ、減速Gを感じながら調整する、其処にイレギュラーなスリップ、ABSの作動、この時点で、それを感じれば、無意識に対応していたと思います、この入力が無いので、そのままの状態を人間は維持していて、そこで減速が少なくなり、今までの入力感覚上の停止目標に向かって行なった動作と差が生じて、補う行動をする、すなわちこの補う行動を起こす要因が今回のABSの作動のパタンが引き金になり、空走感を生み出したのではないでしょうか?
かなり、偏った考え方ですが、車に乗っているのではなく車に乗せてもらっているように思います。
人馬一体ならず、人車一体となるべく運転上の車との対話が弱くなった感じですね。

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。
早速訂正させていただきました。

分かりやすい技術的な解説ありがとうございます。もっと多くの方がこの解説を見ると良いですね。
ところで1枚目の写真上の文章の20Nは30Nで、1枚目写真下の文章の1.5Nは15Nの書き間違いだと思われます。

Re: トヨタの原因説明の疑問

コメントありがとうございます。

トヨタが詳細説明をするまでは、自動車評論家、マスコミで回生ブレーキ→油圧ブレーキの切り替えの問題と言っていましたが、それは誤りと思います。回生ブレーキの遮断は、電気的に瞬時に行われ、油圧はスタンバイしています。これが問題であればいかなる状態のブレーキでも空走が発生します。

問題が生じているポイントはABSが作動した時です。それもハード・ブレーキでのABS作動ではなく、軽い踏力時のABS作動です。ABSが作動するときは瞬時に回生は遮断され、油圧のみになっています。

ですから、過去ログでもの私たちが書いたように、ABSから復帰するときの油圧の問題と考えてきました。それが今回明らかになったわけです。

複合(回生+油圧)ブレーキが、油圧単独に切り替わるのは過去のプリウスから採用されており、回生遮断時でも問題はでていませんね。




のみ利いている状態からのABS等の作動説明だと思います。今回問題になっているブレーキ抜け・空走はTVでもあったとおり低・中速(30~50km/h)で回生ブレーキと油圧ブレーキが両方利いている状態からのABS等の作動問題だと思うのですが、トヨタはどうしてもその説明はしたくないのでしょうか?
> 問題の本質を外れていて、このトヨタの説明だけでは納得できない感じを持っています。

トヨタの原因説明の疑問

トヨタの原因説明は20km/h走行時の話で、すでに回生ブレーキも働かず、油圧ブレーキのみ利いている状態からのABS等の作動説明だと思います。今回問題になっているブレーキ抜け・空走はTVでもあったとおり低・中速(30~50km/h)で回生ブレーキと油圧ブレーキが両方利いている状態からのABS等の作動問題だと思うのですが、トヨタはどうしてもその説明はしたくないのでしょうか?
問題の本質を外れていて、このトヨタの説明だけでは納得できない感じを持っています。
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