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トヨタの何が問題なのか

 アメリカでのレクサスESでの死亡事故、つまり高速で走行中にフロアマットがアクセルペダルに引っかかりペダルが戻らなくなってそのままクラッシュした事故に端を発し、さらにフロアマットとアクセルペダルの干渉以外に、アクセルペダルの戻りが悪いというクレームにより、延べ900万台という多数のクルマのリコールに発展した。
 いずれもトヨタはアメリカで運輸省交通安全局(NHTSA)と協議を行いながらリコールに至っているが、どうやらトヨタは当初は自主的な改善を主張したようで、それに対してNHTSAはリコールを主張し、最終的に大リコールにに至ったという流れのようだ。
 最近になって運輸省側は、トヨタの説得に時間がかけられたことに不快感を示した。むろん、こうした経緯は純技術的な要件だけではなく、多分に政治的な要素が含まれていると見るべきだろう。
 
 ただし、現実的に最初の事故以来、マスメディアが次々に不具合情報をキャッチし、ニュースに流され、そうしたニュースが報道され尽くした後にトヨタが対応するという後追いの形になってしまったことは明白であり、情報戦に失敗したことでイメージを悪化させたと思う。
 CTS社のアクセルペダルについても疑問は残る。自動車メーカーがリコールする場合は供給元の部品メーカー名は明かさず、あくまでも自動車メーカーのリコールとして行われるのが常識とされるが、今回の場合は早々に歴史のあるCTS社の名前をトヨタが明かしてしまったことは、アメリカでは快く思われないだろう。
 また同じアクセルペダルのクレーム対応で、イギリス向けは半年ほど早く対策し、この情報を公開せず、アメリカ市場は半年遅れになったことも不信感を抱かせるものだ。
 CTS社のペダルはアメリカの工場で生産されるクルマ用に現地調達された部品であるが、依然として日本の自動車メーカーにとっては現地調達部品が盲点であることは確かなようだ。日本でのクルマ作りでは、歴史的に系列部品メーカーという確固とした枠組みがあり自動車メーカーと一体になった部品作りが行われてきた。
 しかし日本以外の自動車メーカーは、系列外の独立した部品メーカーから供給を受けることが一般的で、いわばアウンの呼吸が通じる系列部品メーカーとは企業文化が異なるのだ。これをどのように対応し、取り込むのかはトヨタに限らず、すべての日本の自動車メーカーが苦慮している点だと思う。
 また、最近のトヨタ副社長の会見では、部品としての各種の耐久試験は行ったが、実車でのテストが不十分だったことを認めている。
 この点は、フロントローディング開発、出図から12ヶ月でラインオフ、1発試作車というトヨタが先陣を切った日本発の開発法のしわ寄せといえないのだろうか?
 トヨタも以前は商品監査室という、ユーザー視点で商品テストを行う一種のクオリティゲートが機能していたが、現在はどうなのかはわからない。
 今では電気スイッチとなったプラスチック製のアクセルペダルだが、かなり昔には日本国内でもオルガン式アクセルペダル(ペダル下端が床付けのペダルで、その床の可動部が折損する事例)での不具合が発生し、オルガン式ペダルが姿を消すきっかけになった事例もあり、やはり基本中の基本の分は重視しなければならないことを改めて確認できたような気がする。
 
 プリウスのブレーキ問題は、以前からWEB上では書き込まれていたが、アメリカでのアクセルペダルのリコール問題に連動して日米のマスメディアがあぶりだした形になった。アメリカ運輸省はこの件も把握している点もマスコミの報道を加速させた。
 技術的にはアメリカのアクセルペダルの問題とは関連はないが、連鎖的に加速しながら展開するのは、以前の三菱自動車のリコール時と同様であり、じゅうぶんにメディア報道がなされた後に、トヨタの常務役員が会見するという点では、これも後追いの形である。またトヨタ側で販売店からこのクレームが正確に上げられていたかどうかの説明も明確に話されなかった。恐らくほとんど把握していなかったのでなかろうか。
 トヨタはメディアイメージ的に、レスポンスよく責任感を持って対応する真摯な姿勢を見せることに失敗したという点で、危機管理&危機管理演出がうまくできなかった。
 さらに、2月5日の夜の豊田社長の会見も今ひとつであった。直面しているプリウスのブレーキに関しては、社長のみならず担当エンジニア、あるいは開発責任者が出席して、より専門的に具体的に説明すべきだったと思う。メディアが提供している情報はほとんどが誤認識によるものなのだから。逆に言えば、社長や副社長、役員のレベルに、どれだけ正確な情報が上げられているのか疑問と感じる。
 低速走行時の1輪のスリップでABSが作動した時のクルマの挙動や、油圧の減圧から増圧へのリカバリー速度が他車と比べて速いのか遅いのか普通レベルなのかは、エンジニアは知っているはずである。
 豊田社長のコメントは一般論すぎた上に、「顧客第一主義」とか「現地現物」とか、トヨタ語で語ってしまったところは大きなマイナス点だ。これは記者会見に出席していたマスメディアの記者も理解できていないだろうし、一般人はさらにピンと来ないだろう。
 
 筆者はプリウスの低速走行時の1輪のスリップ時のABS挙動が異常というほどのレベルではなく、むしろユーザーに対するインフォメーションが不足していたと考えている。もちろん、タイヤがグリップを回復した時点でのリカバリー速度を上げることは必要と思われるが。
 この点はプリウスだけの問題ではなく、同様な走行条件では他車も同じ挙動を示し決して特異な例ではないからだ。プリウスの取扱説明書や新型車解説書には「下記の条件では,ABS作動時の制動距離がABS非装着車より長くなる場合があります。 [条件] 砂利道、新雪路の走行時、タイヤチェーン装着時、道路の継ぎ目などの段差を乗り越えるとき、凹凸路・石畳などの悪路走行時」とあるが、とても一般ユーザーに認知されているとは思われない。
 このプリウス問題に対しては、トヨタは確かに制御ソフトの修正くらいしか打つ手はないと考えられる。そういう点で技術分析をもっと明確に発信する必要があると思う。
 
 豊田社長は、渡辺社長以来の原価低減運動、それも1割とかいうレベルではなく3割、4割の原価低減を実現した後、新たなトヨタのクルマの味作りを提唱したのだが、そのとたんにリーマンショックによるさらなる35%の原価低減、そして今回のリコール事件の勃発と続き、トヨタの味作りの機運は頓挫してしまいそうな勢いだ。それはそれで残念である。
 当面は品質管理体制の立て直しが続くことになりそうである。しかし本質的には品質管理より、より幅広い設計視野であり、商品(監査)実験体制の充実がもっと重要だろう。短期開発を支えるためには不可欠なのだ。

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