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AUDI  2.0  TFSIエンジン雑感

 2009年のエンジン・オブザイヤーの1.8L~2・0Lクラスの賞を獲得したアウディ2.0・TFSIエンジンの姿が少しだけ見えてきた。このエンジンは横置き仕様でA3、縦置き仕様でQ5、そしてA4に採用された最新のエンジンだが、原型は同社に以前からあるVWとの共同開発の2.0Lエンジンだろう。
 排気量は1984ccで、ボア×ストロークは82.5mm×92.8mmというロングストロークのエンジンだ。型式名がALTと呼ばれた時代は5バルブ・DOHCの自然吸気で、130ps/5700rpm、最大トルク19.9kgm/3300rpmを発生していた。このエンジンは連続可変式カムシャフトコントロール機構やマップ式冷却制御を採用していた。マップ式冷却とは、通常時は水温を100度Cていどとし、高負荷時だけ80度Cに下げるというもので、内部摩擦抵抗を低減する手法の一つだ。かなりの高水温制御である。補助水温計を付けたりしたら「オーバーヒートしている!」となることは必至である。
 5バルブ、つまり吸気3バルブ、排気2バルブとしたのは、スモールボアでより大きな吸気バルブ面積を稼ぐためと考えられる。ビッグボアの場合は、4バルブ式で吸気バルブ面積を最大限に追求した方が吸気バルブ面積を稼ぐことができるが、スモールボアの場合は5バルブ式が有利となるからだ。こうした性能を追求しているにもかかわらず、最高出力回転数、最大トルク回転数ともに低めにしていることが注目できる。つまりより低い回転でトルクを稼ごうというコンセプトなのだ。
 このエンジンをベースに、TFSI(ターボ付きFSI。FSIは通常は燃料直噴とされているが正確にはFuel Stratified Injectionの略で「成層燃料(直接)噴射」という意味になる)にしたのが2005年に登場したBGB型だ。この時点で、エンジンはほぼ新設計となり、シリンダーヘッドのバルブレイアウトも通常の4バルブ式に改められた。そしてターボと直噴(FSI)を組み合わせることで、高出力、大トルク、低燃費=CO2削減を目指すコンセプトが確立されたのだ。
 この時点では200ps/5100~6000rpm、28.5kgm/1800~5000rpmという高出力、大トルクでそれが1800~5000rpmもの回転数でフラットに持続するという驚くべき特性が実現した。
そしてターボにもかかわらず圧縮比は10.3という高圧縮比となっている。これは直噴により燃焼室に噴射した燃料の気化に伴う冷却性能を生かし、ノック限界を高めているからだ。
 なお燃費は8.2L/100km(EUモード)。
 
 そして、2009年モデルから一段と進化した2.0TFSIが登場する。この新エンジンは、再び大幅な新設計となり、CDN型と呼ばれる。同系列に2.5L・5気筒のTT-RS用の2.5Lもラインアップされている。主要な改良点は、可変バルブリフト(AVS)をV6エンジンに続いて採用し、可変オイルポンプなども新採用していることだ。
Q5080137_small.jpg

 シリンダーブロックはねずみ鋳鉄製で、この重量は33kgと軽くアルミブロックと同等と思われる。つまり薄肉鋳造技術が高いのだ。鋳鉄製の理由は振動減衰性が優れているからだそうだ。2本のバランサーシャフトをクランクケース下側に装備。直列4気筒エンジン特有の振動を徹底的に押さえ込み滑らかな回転フィーリングを実現しようという執念は相当なものである。
 カムシャフトは60度の範囲で連続可変バルブタイミング機構を持ち、同時にAVSと呼ばれるハイ/ロー切り替え式の可変バルブリフトシステムを装備している。つまり考えられるデバイスはすべて装備しているのだ。
 この可変バルブリフト機構は、排気側のカムシャフトに採用されている。(AUDIのAVSは最初にV6エンジンに採用されているが、このケースでは吸気側に装備)。排気カムシャフトは2重構造になっており、中側とカムプロフィールを備えた外側はスプラインで噛合している。ハイ/ローの切り替えは、1対のカム上に取り付けられたソレノイドバルブで作動するピンにより行われる。スクリュー状の溝にピンが突出すると、外側のカムケースがスライドしてローカムからハイカムに切り替わるという仕組みで、ロー側はバルブリフトは6.35㎜、ハイ側は10.0㎜となる。ロー側は遅開きのタイミングで、このときは吸気バルブは早開きとなる。ロー、ハイの切り替えは3000rpmだ。
Q5valve1.jpg
cam2.jpg
ハイ・ローリフト切替機構

 なお吸気ポートにはタンブル・フラップバルブを装備し、さらに連続可変バルタイも作動するというシステムを採用している。
 これらのシステムのコンセプトは、低回転時にはタンブル流を発生させて燃焼を改善し、
排気側のバルブは低く、かつバルブタイミングのオーバーラップを負荷によりコントロールすることで、燃焼室の掃気を促進すると同時に、排気ポート直後のターボへの排気パルスを強め、またできるだけスロットルを大きく開けることでポンピングロスを低減するというものだ。つまり、燃費、CO2の低減をはかると同時に、ハイリフトも実現するため、高出力化も達成するというものだろう。
 AVSはカムのハイ/ロー切り替えであり、ホンダのVTECの発想同様といえるが、使い方はかなりコンセプトが異なり、ターボを生かすデザインになっているところが特徴だ。
 もちろん新設計化にあたり、内部の摩擦抵抗低減も徹底されているようで、メインベアリング径は58→52㎜とされ、ピストン変更、ピストンリングの低張力化、高精度シリンダーホーニングなどが行われている。
 直噴の燃圧は従来の100気圧から150気圧にアップされ、ボルグワーナー製ターボの小型化、可変オイルポンプの採用なども行われている。圧縮比は9.8で、BGB型より少し低められているが、これは最高過給圧が高められているからだろう。
 カム駆動はチェーン式、バルブ駆動はローラーロッカーアーム式で、ピヴォットは油圧ラッシュアジャスターを採用している。
 オイルポンプは日本のエンジンがトロコイド式であるのに対し、より安定した油圧が得られるチェーン駆動のギヤポンプ式であることはドイツ製ならではだが、油圧をモニターして、ギヤポンプのギヤの噛み合い幅を制御して、吐出圧をコントロール式し、摩擦抵抗を低減しているのは芸が細かいといわざるをえない。3500rpmまでは2bar弱、それ以上で3.3barという油圧制御を行っているのだ。全体に油圧が低いことにも注目したい。
pump 2

 このオイルポンプ以外にも、エンジン上部に設置されたブローバイ/オイルセパレーターもきわめて凝った設計になっており、インテークとターボINLETの2ポートで圧力を取る2重のセパレーター、各ポートに対してはノンリターンバルブを備えで分離されたオイルはサイクロン形状の通路を通ってオイルパンに還流されるなどそのこだわりは圧巻で、クランクケース内部の圧力を下げて内部摩擦抵抗を減らすとともに、ブローバイガスを押さえ込んだ優れた設計だ。またオイルカートリッジも、エンジン後面の上部に設置するなどサービス性もきわめて高い。
 この新TFSIは、211ps/4300~6000rpm、35.7kgm/1500~4200rpmという出力を発揮する。
chart4_small.jpg

 なおFSI、つまり成層燃料噴射だが、どうやら始動時や冷間時は2段噴射を行い、1段目は点火プラグの近くにリッチな噴射をすることで着火性を高めるなど成層燃焼制御をしていることがポイントと思われる。またこの成層燃焼を行うことで冷間始動直後の排気ガス温度を上げ、触媒を瞬時に活性化させようとしているわけだ。
 ただ、アメリカ仕様はさらに冷間始動直後の排ガス規制が厳しいため、2次エアポンプも追加装備している。
 
 CDN型は、直列4気筒エンジンとはいえ、振動バランサー、ターボチャージャー、連続可変バルブタイミング機構、可変バルブリフト機構、高圧の直噴、可変油圧ポンプ制御などきわめてコストの高いシステムをもれなく装備し、さらに高価なHLA(油圧ラッシュアジャスター)やローラーロッカーアームの採用や、エンジン内部の摩擦抵抗を提言するために細部までこだわった設計は現在のエンジンのレベルから見て突出しており、特に日本のエンジンと比べると格段の差が生じていることが判る。確かに日本には2.0Lの4気筒エンジンで300psレベルに達するタイプもあるが、設計の精緻さにおいては残念ながらその差を認めないわけにはいかない。

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Re: TFSIエンジントラブル

> 走行距離15000kmで2番シリンダーの異常燃焼でスパークプラグの電極部溶損。
> シリンダー内部点検の結果、エキゾーストバルブ破損による異常燃焼で、スパークプラグ電極部溶損によるエンジン不調の発生。

一番推測として考えられるのは、2番シリンダーのインジェクターの不良(噴射量の不足)ではないかと考えます。さらにその原因は、噴射孔へのゴミ詰まり、またはインジェクターそのものの作動不良です。

2番シリンダーだけ燃料が薄めになり、燃焼室内部の温度だけが異常に上がり、排気バルブ、点火プラグの電極部が高熱で徐々に溶ける・・・という感じですかね。

いわゆるノッキングですと、もっと短時間で燃焼室が破壊されます。1.5万kmという走行距離を考えると、インジェクターが一番匂いますね。

この場合、シリンダーヘッド、インジェクターを全部交換が妥当だと思います。

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