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エネルギーとエンジン

 ダイムラーベンツ社が、日本やアメリカに新世代ディーゼル乗用車(E320CDI)の攻勢をかけたことを契機に、自動車雑誌ではディーゼル賞賛記事が目に付くようになった。またもちろん、以前からドイツのプレミアムクラスのクルマはディーゼル化が進んでいるので現地で試乗し、賞賛する声も多い。
 たしかにメルセデスSクラスなど、プレステージカーにまでディーゼルが存在し、販売比率が高いのも事実だ。
 ヨーロッパでは、平均走行距離が日本の乗用車の数倍であるため、燃費がよい、トルクが強力で扱いやすいといった点が評価され、ディーゼル乗用車が多いのは昔から定説だ。
 現在のプレミアムクラスのディーゼルともなると、音も静粛で、動力性能もガソリン車と同等かそれ以上である。
 しかし、ヨーロッパではディーゼル乗用車比率が高いために、石油の製品バランスが崩れ、軽油の価格はガソリンと同等になっているのだ。需給バランスも、アメリカとヨーロッパでは相互補完の関係になり、アメリカはヨーロッパからガソリンを輸入し、ヨーロッパはアメリカから軽油を輸入している。
 この燃料のアンバランスだけではなく、エンジンのコストもディーゼルは確実に高くなっている。特にユーロ4からユーロ5への切り替え、日本で言えば平成17年新長期排ガス規制に適合させるためには、排ガス処理システムの価格はさらにアップする。
 もともとディーゼルエンジンは、構成部品がガソリンエンジンのそれより高いのだが、排ガスや黒煙粒子の対策でさらにコストアップするため、ガソリン車よりかなり高価格にならざるをえないのだ。
 燃費がよい=Co2排出が少ないことが最大のメリットであったディーゼルエンジンが高コストになることは、結果的にディーゼルエンジンの普及が拡大するとはいえない要素になってくると思う。
 ディーゼルだけには限らないが、エネルギー供給、排ガス、Co2といった3要素を考えないと今ではエンジンの行く末は評価が難しい。
 バイオ燃料も、アメリカが推進策を採用しただけで大豆やとうもろこしの価格を国際的に大幅に引き上げてしまい、アメリカやブラジルの大規模農家は潤うかもしれないが、バイオ燃料の未来は明るくないことを実感させている。
 技術的にはセルローズ系から作り出すバイオ燃料も存在するが、燃料メーカーの試算では、コストはきわめて高くつくという。
 GTL(天然ガスから作る液体燃料)CTL(石炭から作る液体燃料)、ATL(アスファルトから作る液体燃料)といった合成燃料も、当分の間コスト的には石油にかなわない。石油会社にいわせれば、石油に勝る性能、コストの燃料エネルギーは存在しないというのである。
 実は石油価格もかなり高騰しているが、それでも他の燃料に転換するよりははるかに安く、また石油の埋蔵量も、予想よりはるかに広汎だという。したがって今の時点では石油依存は当分続き、逆に脚光を浴びているバイオ燃料はきわめて限定された存在とされている。このように考えると、水素を燃料とする次世代コンセプトは、かなり意味があるといえるのだが、クルマにとっては液体水素を搭載する技術、コストが大きな壁となっている。
 エンジン技術から言えば、ガソリンエンジンも高効率化が進められている。
 コスト的にはガソリンエンジンの方がディーゼルエンジンより有利といわれている。
 こうした新しいエンジンとハイブリッド技術の組み合わせが、今後のクルマの方向を示唆していると思う。

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