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3代目プリウス雑感

 第3世代のプリウスが発表された。すでにアメリカのショーへの出展や販売店でティザーキャンペーンなどが展開されているので、インパクトが薄まっているといえるが、4月からの予約受注はなんと8万台に達するというから、トヨタの販売力は健在だ。
 ちなみに今回のプリウスから、全トヨタ販売チャンネルでの販売となる点も注目したい。トヨタの重要な販売戦略であった多チャンネル体制を見直す契機になるのではないかと思われる。
 5月18日に行われた報道発表会は異例の内容であった。会場は質素な作りで、プリウスに関する技術説明は一切なく、トヨタのシリーズ・パラレル・ハイブリッド・システム(ストロングハイブリットと呼ぶ)がいかにシリーズ・ハイブリッド(マイルドハイブリッドと呼ぶ)より優れているかをショー化し、スピーチする豊田章男副社長の存在を強調するという、いわばかなり政治的ともいえる演出であった。
 当然ながら新聞社やテレビ局の記者は、世界最高の燃費車のイメージ、時代の最先端のエコカーであることを、報道することだろう。そういう意味では、結果的にではあるがイメージ戦略ありきのクルマということができよう。
 また報道機関の一部には、新型プリウスの最廉価モデルが205万円であることが驚きを持って語られているが、トヨタはここ3年ほど総額1兆円を目標にした原価低減運動を展開しており、その成果を踏まえれば装備レスの最廉価版の価格はそれほど無謀な価格とはいえない。新型プリウスは205万円~325万円の価格帯であり、最量販車種であり装備があるていど充実している「G」は245万円となっている。実際にはこの「G」をベースに、プラス25万円のツーリングセレクション仕様が最重点モデルとなるだろう。
 さらに、現行プリウスも併売されることもホンダ・インサイト対策ではないかと穿った見方があったがそれも見当違いで、この狙いは法人需要、タクシー向けに絞り込んだものなのだ。
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 新型プリウスは、プラットフォームはオーリス/マークXジオ系を採用し、ハイブリッドシステムは90%が新設計されている。もともとの開発コンセプトは、ワールドワイドに通用するクルマとすること、特にヨーロッパなどで走りの性能を向上させることなどであったと思われるが、この点は明確には公表されていない。
 またデザインの熟成にも力が注がれている。
 プリウス独自の「トライアングル・シルエット」を生かしながら、デザイン・フィロソフィーの「VIBRANT CLARITY」の要素をさらに煮詰め、「陶器の質感」を実現したという。サイドビューはきわめて強いウェッジ・フォルムとなり、前進しさらに傾斜したAピラー、ロングルーフのラウンド形状、リヤエンドを断ち切るなどの組み合わせで、モノフォルムを生かしつつダイナミックさを表現している。また従来型に見られたサイド面の弱弱しさを取り除くため、サイドショルダーにエッジを立て、立体感を強調している、といった点が特徴になっている。
 エクステリアでは、空力の追求も大きなテーマであり、フロントグリルの縮小、フロントバンパーの前端やコーナー、リヤエンドの空力処理、さらには床下のフラット化などによりCd=0.25を実現している。もちろん、こうした空力ボディはヨーロッパの高速道路で威力を発揮することを狙っているのだ。Cd=0.25は量産乗用車としてはトップレベルだ。
 ボディでは、ボンネットとフロントバンパービーム、リヤゲート、前後ブレーキ・キャリパーをアルミ化と、トヨタとしては異例のアルミ比率アップをはかっている。

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 インテリアも、先進性を強調しながらデザインの熟成をはかっており、センターコンソール上部をコマンドゾーン、ダッシュボード中央上部をディスプレーゾーンとする、エルゴノミック&ユニバーサル・デザインと称している。しかし、いわゆるセンター・ディスプレーはかなり横長になり、車速や燃料計、燃費計、走行モード表示など、中央はエコドライブモニター、左端部は各種警告灯が並ぶなど多くを表示するため、いささか煩雑な印象が感じられる。もしこれがカラーディスプレーになればずいぶん印象が異なると思う。
 ただ、プリウスは提案型デザインであらねばならないという宿命があるので、難しいところではある。ただ、2.0Lクラスの250万円ゾーンのクルマとしては質感の点で少しもの足りない。
 装備では、ブレーキ制御付きレーダークルーズコントロールが最上級パッケージに標準、上級パッケージにプリクラッシュセーフティとセットオプション。インテリジェント・パーキングアシストは、最上級パッケージに標準、他グレードにはHDDナビとセットオプション。ソーラーベンチレーション&ムーンルーフは「G」にオプション設定、「S」にはリモートエアコンシステムとセットオプション。プリクラッシュセーフティ・システムは最上級パッケージに標準、「G」にはレーダークルーズとセットオプションといった設定になっている。
 S-VSCは全車標準装備化されている。
 なお、プリウスは2代目から、先進を象徴するような商品性を付加するのがお約束となっており、2代目では取締役会で先行技術開発の項目の中からインテリジェントパーキングアシストが選択された。今回はソーラーベンチレーションのようで、イメージ的に太陽電池=先進エコということで採用されたように思われるが、駐車時のオートベンチレーションは、BMW7シリーズ、マツダなどでかなり以前に実用化されており、特に新規性はない。

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 新型プリウスは、エンジンを1.5Lから1.8Lに排気量アップするとともに、新しい試みを行っている。排気量アップは、高速走行モードでのエンジン回転数の低減により燃費向上対策である。1.8Lエンジンは2ZR-FXEと名付けられた高膨張比、つまりアトキンソン・サイクルであり、圧縮比は13。ボア×ストロークは80.5×88.3㎜。低フリクションのローラーロッカーアームを使用したDOHCである。
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↑電動ウォーターポンプ
 新技術としてはクールEGR(再循環排気ガスを水冷化により冷却損失の低減、排気温度の低減)、排気熱再循環システム(排気熱を冷却水で回収し、ヒーター利用やエンジン暖機性能向上に使用)、電動ウォーターポンプ(エアコンコンプレッサーが電動式のためウォーターポンプを電動化することで補機ベルトを廃止、必要時にのみポンプを作動、馬力損失の低減)が採用されている。電動ウォーターポンプなどは、すでにBMWでは以前から採用されている。
 新技術によりエンジン全体の熱損失を回収する試みが行われており、ロジカルである。燃費を重視したアトキンソンサイクルのエンジンのためというよりは、将来的には普通のエンジンにも拡大採用される技術だと思う。
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↑バッテリーユニット
 ハイブリッド・システムは、従来からのシリーズ・パラレル方式だが、新型は駆動モーターの出力アップ、電池の小型化が大きな開発テーマになっている。
 このシステムは、発電機と駆動モーターの2基のモーターを備え、走りは駆動モーターの出力に依存する割合が多いため、より大出力の、つまり大きな駆動用モーターが求められる。2個のモーター、大出力の駆動用モーターということで重量が増大するため、駆動モーターの高出力と軽量化を両立させるために高電圧制御を採用しており、2代目が500ボルトのモーター電圧であったものを650ボルトに電圧アップさせている。参考までにインサイトは100ボルトである。
 これにより駆動モーターは50kWから60kWに出力アップした。ホンダ・インサイトのモーターと比べると実に6倍の出力で、いかに強力なモーターかがわかる。ただし、最大トルクは400Nmから207Nmでと半減している。高出力・低トルクのモーターになったわけだ。このトルクの減少をカバーするため新型プリウスは駆動モーターに減速ギヤを採用することで、実質の駆動トルクを確保しているのだ。このようなモータを使用することで発進時の加速の立ち上がりなどは大排気量エンジン車なみといえる。一方、発電機は動力分割機構の性質上、きわめて高回転化が求められている。
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↑PCUのユニット
 バッテリーはニッケル水素式で、小型化と大出力化をはかっている。大出力の駆動モーターに対応するために、この方式では基本的に大出力のバッテリーが求められるが、これをできるだけ回避するために高電圧化を行っているわけだ。発電機や駆動モーターを制御するPCUは可変昇圧コンバーターを組み込み、コンパクト化を実現。
 なおエンジン出力は99ps、駆動モーター出力は82ps、最大トルクはエンジンが14.5kgm、モーターが21.1kgmである。システム合成出力は136psとなる。
 エンジン、発電機、駆動モーターは遊星ギヤで結合された動力分割機構であることは従来どおりだ。
 運転モードは、電動モード(可走行距離は最長2.0㎞)、エコモード、パワーモードの3種類で、運転席のスイッチで切り替えることができる。モード燃費は、10・15モードで38.0㎞/hだ。ハイブリッドカーの10・15モードテストでは、バッテリーの充電レベルはスタート時と走行後は同等になるように計測される方式だそうで、電力だけで走っているわけではなさそうだ。
 サスペンションについての説明は、プレスリリースにもほとんど存在しないが、フロント=ストラット、リヤ=トーションビームに変更はない。ただ、トレッド幅の拡大、ロール剛性の向上、ジオメトリーの最適化などにより直進安定性の向上、フラットライドが実現とされている。また電動パワーステアのフィーリングも改善されたとされているが、走りのイメージはやはり2.4Lエンジン並みの動力性能に集約され、ハンドリングについての印象は薄いといわざるをえない。
 
 プリウスのハイブリッドシステムは、要約すると大出力の駆動モーターを持ち、市街地走行モードではできるかぎりモーターで走行するシステムであり、また専用の発電機を備えているため、駆動モーター用に適宜充電を行い、またより広汎に減速時のブレーキ回生を行うことでエネルギー回収を行うということである。
 駆動モーター/バッテリーで走る比率が多いため省燃費、エコというイメージが先行しがちになっているが、駆動モーター用の電源となるバッテリーを充電するのはエンジンのトルクとブレーキ回生であり、エンジンによる発電充電は効率的ではない。エンジンの熱効率は30%、発電&充電効率は約60%とすれば、石油エネルギーの18%といった効率になる。ただ、ブレーキ回生により熱エネルギーを回収することで燃費の向上をもたらしているのであり、ブレーキ回生の比率が他のハイブリッドカーより現在のところ多いというのが真実だろう。
 パラレル方式のハイブリッドカーでも、エンジンとモーター間のクラッチの装備、モーター/発電機の容量増大、ブレーキ回生の強化を行えばプリウスと同レベルの燃費になるのではないだろうか。
 また高速走行、特にアウトバーン走行に近づくほど、ブレーキ回生の威力が少なくなりエンジンはフル稼働となり、発電機もフル稼働に近付くため、燃費レベルはそれほど驚異的なレベルとはならない。つまり、市街地モードと高速道路燃費では乖離が大きいのが特徴である。2代目プリウスは、都内走行で、冬季は18㎞/L、夏季は15㎞/L、年間平均で16㎞/Lといわれるが、新型プリウスは年間平均で18㎞/Lくらいではないだろうか。
 もうひとつ、今ではプリウスは低炭素社会を目指す尖兵とされているが、それはハイブリッド技術であると断言してよいのかどうか、躊躇せざるを得ないのだ。
 低炭素社会というからにはWell to Wheelの観点が不可欠であり、さらにバッテリー製造メーカーの視点からは、バッテリー製造に関わる消費エネルギーは膨大で、大容量バッテリーを使用するハイブリッドカーは自車の燃料タンクしか見ていない幻想のクルマだという見解もある。
 現在は明らかに社会現象としてのハイブリッドカーブームになっていると断言でき、ハイブリッドカーでなければ売れないとさえ言われているが、省燃費、高効率化の様々なトライアルはまだこれからといえると思う。

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