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スピード(2)

 1960年代までの日本では、オートバイやクルマの動力性能テストは、公道で行うことが通例だった。東京なら第2京浜国道の多摩川の近くがその場所だった。0→400m加速タイム、最高速の計測も行われた。当時は、警察署に道路使用許可を得ていたためか、警察官の立会があり、オートバイの最高速ではフライング乗り(タンク、シートの上に腹這いになり足は後方に伸ばすのでペダルは操作できない)、といった曲芸走行を行った。
 同じく、地方にあるオートバイメーカーなども、近隣のフラットな道路を使って、警察官の立会のもとで動力性能試験が行われ、実にのんびりとした時代であった。
 その後は各メーカーがテストコースを作り始めたが、当時のトップメーカーとなったホンダでさえ、荒川テストコースは実は荒川の細長い河川敷を使用した直線路で、かろうじてゼロヨン、最高速テストを行うことができたが、純粋に動力テストの計測用で、巡航といった概念はなかったのだ。
 日本初の高速道路、名神高速道路が完成したのは1965年だった。最高速100㎞/hと、当時としては画期的なスピードで走行できるはずだったが、実際には当時の日本のクルマではオーバーヒートなど故障が続出したし、例え100㎞/hで走行したとしてもエンジンは不気味な振動や音を発生し、また絶えずステアリングを微修正する必要があった。つまり100km/hていどの巡航でも直進性が悪く、かなりのベテランがステアリングを握らない限り蛇行する有様だった。だから一般的なドライバーにとっては、高速走行はとても疲れるというのが実感だった。ただし、開通当時は、通行車両が極めて少なかったため、前後の視界に他車が入ることは稀で、交通環境としては申し分なかった。
 この高速道路開通にあわせ、トヨタはRT40型コロナのPRのために名神高速の小牧-西宮間で10万㎞往復耐久テストを行った。58日間で276往復走行を行ったそうだ。
 1969年、東名高速道路が全線開通し、この東名・名神高速道路により、日本にもようやく本格的な高速時代が開幕した。
 またこのようなインフラの整備を見越し、自動車メーカーも高速テストコースを建設し始めたが、財団法人の自動車高速試験場(後の日本自動車研究所)も1964年に自動車高速試験場を谷田部で運用を開始した。全長5.5㎞のコースで1.5㎞の2本の直線路を繋ぐバンクの設計速度は180㎞/hで、バンク角は最大45度、バンク部分は400Rであった。この試験場がオープンした時点では、自動車メーカーのテストコースより谷田部コースの方がはるかに高速であったため、その後の長い期間にわたり、自動車メーカーが高速走行試験を行うためにはこのコースを専有し通うのが通例となった。
 自動車メーカーが谷田部を上回るスケールのテストコース(プルービンググラウンド)を建設し運用を開始したのは1980年代に入ってからである。
 谷田部高速試験場
↑日本自動車研究所・谷田部高速周回路
 
 日本における高速走行の歴史はこのように浅いといえるが、巡航性能に関してはテストコースとはまた別の話である。エンジンやシャシーの作りががっちりされるようになった1980年代以降は、日本自動車試験場の谷田部コースや、自動車メーカーのプルービンググラウンドの高速周回路を160km/hで走行するのはきわめて容易であり、不安感もなく、郊外の道路を50㎞/h程度で走るのと同レベルのスピード感である。さすがに200㎞/hレベルの最高速を試すにはバンクでの縦Gや空力的な安定性などに対して神経質にならざるをえないのだが。
 高速周回路は、路面が滑らかなアスファルトで、凹凸やうねりがなく、コース自体もフラットで、コース幅も12m・3車線以上という幅がある一方通行のため、通常の道路のようなストレスがないのである。
 もちろんテストコースの中にはヤマハの袋井コース、スズキの竜洋テストコースなどのようにレース用サーキットを模したコース形状で路面もローカル道路のように荒れた舗装も存在するケースや、トヨタの東富士試験場での高速ハンドリング路など、いわば総合的なハンドリング試験を行うコースも存在している。
 ただ、実際のアウトバーンのような速度の高い道路を再現するのは難しく、1980年代に建設されたトヨタの士別試験場、日産の陸別試験場、ホンダの鷹栖試験場の高速周回路にはアウトバーンを模した大きなカーブや路面状況を設けているが、やはりじゅうぶんとはいえない。テストコースはあくまでテストコースであり、実際の道路環境とはまったく異質なのである。
 ドイツやヨーロッパの自動車メーカーは、自社内のテストコースは定量的な試験を実施することに限定され、高速走行の試験や評価はアウトバーンやアルプス路を走って行われるというきわめて当然の話である。
 アウトバーンのような高速道路は公道であり、各車線での他車の動きや風、雨や雪などの天候、路面の荒れやうねりなど、高速周回路とはまったく別次元の要素が入り込んでくる。このような環境のもとで、エンジンの回り具合や振動・騒音、乗り心地、操舵フィーリング、ブレーキ・フィーリングなどを熟成することで、ドライバーや乗員にとっての安心感や快適さが高められ、巡航速度を向上させることにもなるのだ。また巡航速度が高いと言うことは、日常域でもより大きな安心感や余裕性能となることはいうまでもない。
 ステアリング・インフォメーション(プレシージョン)、ステアリングの正確さ、リニアリティ、穏和な小舵角応答、バウンシングの安定感、ボディのダイナミック剛性・・・といった断片的な言葉は、こうした新しい次元に向かってのキーワードである。
 高速道路におけるさまざまな性能は、いわゆる物理的に記録される最高速度とはまったくカテゴリーが異なっている。最高速やゼロ発進加速性能などもクルマにとっては重要な指標のひとつではあるが、実際の走るスピード、巡航性能はこのような定量的な指標では表すことができないということは、1990年代以降の日本のクルマにとって依然として大きな課題になっているのである。

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