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ダイハツ e:S

 2011年7月、ダイハツは9月発売予定の新型軽自動車に採用する、新しい低燃費技術「e;S」(イーステクノロジー=Energy Saving Technology)の概要を発表した。なお「e;S」という名称は2009年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカーの名称と同じで、コンセプトカーはLCA(クルマのライフサイクルアセスメント)を重視した「低燃費」、「低価格」、「省資源」の次世代スモールカー(軽自動車)とされている。

新型車デザイン


 今回公表されたイースは、このコンセプトをエンジン、トランスミッション、車体構造、空力など総合的にブレークスルーして実現した技術の総称とされているが、新型車の車名もコンセプトカーと同じになる可能性もなくはないだろう。
ダイハツは、このイーステクノロジーにより、既存の軽自動車(アイドリングストップなし)に対して燃費を約40%向上させ、ガソリンエンジン車でトップのJC08モードで30km/Lの燃費を達成するとしている。従来の10・15モードなら33km/Lくらいと考えられるからガソリンエンジンとして現時点でトップの燃費レベルといえる。そしてこの新型軽自動車は80万円を切る低価格にするとしており、この点もきわめて注目される。

 e;Sテクノロジーの概要をまとめてみると以下のようになる。
1:エンジン&トランスミッション
 ・燃焼効率向上とエネルギーロス低減を極めた新エンジン
 ・動力伝達効率をさらに向上したCVT

2:車両
 ・ボディの骨格合理化など、約60kgの軽量化を実現
 ・空気抵抗や転がり抵抗などの走行抵抗を低減
 ・エンジンルーム内の熱マネジメント

3:エネルギーマネジメント
 ・停車前アイドリングストップ機能付の新「eco-IDLE」
 ・エコ発電制御(減速エネルギー回生機能付)

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 まずエンジンだが、2009年の東京モーターショーには、コンセプトカーのe;Sとは別に、次世代コンセプトエンジンとして2気等の直噴ターボが出展されていたが、今回の新エンジンは、従来型のKF型3気筒エンジンをベースに新技術を盛り込んだ新型3気筒エンジン(第2世代のKF型エンジン)としている。したがって東京モーターショーに出展していた2気筒直噴ターボエンジンは、この次の世代という位置付けとなる。
この新しい第2世代KF型エンジンは可変バルブタイミング機構を装備し、圧縮比は従来の10.8から11.3に高めている。また、インジェクター噴射口の微細化などで噴霧微粒化を行い、燃焼速度を向上。点火プラグの基部に装備された燃焼をモニターするイオンセンサーを装備するのは従来と同じだが、これまでは主として冷間始動時の点火タイミング遅角に使用していたのに対し、新型はEGR(排気ガス再循環)の制御にも利用する。
 この燃焼モニターシステムは、エンジンの燃焼時に燃焼室内にはイオン電子が発生し、点火プラグと燃焼室壁面の間に電圧がかかると燃焼圧とほぼ同特性のイオン電流が流れるため、イオンセンサー(イオン電流検出回路)によってこれを検知することで、燃焼圧、燃焼状態をモニターするという仕組み。
このシステムのメリットは、エンジンの燃焼をリアルタイムでモニターでき、それに応じて直ちに(1万分の1秒単位で)点火時期やEGR量のコントロールをすることが可能になることだ。このイオン電流検知式のEGR制御は「i-EGRシステム」と名付けられ、当然ながらEGRバルブも高追随性のバルブとされているはずだ。
イースエンジンの基本コンセプトは低負荷時に大量EGRガスを送り込み、安定した燃焼を行いつつ、スロットル開度を大きくして、エンジンのポンピング損失を下げるということだ。エンジン本体は、カム駆動チェーンの細幅化による張力の低減、ピストンリングの張力低減、オイルシールの摩擦抵抗低減など、きめ細かな摩擦抵抗対策も加えられている。これらの新技術や改良を加えた結果、エンジン特性としては、低回転化、低回転トルクアップなどが達成されていると予想される。
 またエンジンユニットの軽量化のために樹脂製の電子スロットルを採用している。もちろんエンジン出力、電子スロットル、トランスミッションのCVTは協調制御を行い、燃費と動力性能を両立させている。エンジンルーム内では、バンパーの開口部形状の改善や吸気ダクトの取りまわしを改善することで、吸気温度を低めるというエンジンルーム熱マネジメントも徹底し、これはトルクアップを狙ったものとなっている。

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 CVTは、従来からの3軸タイプのインプットリダクション式CVTをベースに、さらに改良を加え、CVTケースの薄肉化、オイルポンプカバーおよびプラネタリキャリアのアルミ化など軽量化と、高効率タイプのオイルポンプの採用、CVT油圧の低圧化などにより駆動損失を抑えている。またギヤ比もハイギヤードにされ、エンジン回転数を低下させている。

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 ボディは、骨格のストレート化など合理的な設計により剛性の確保と軽量化の両立をはかっている。骨格部分を直線的にし、結合強度を高めることで補強材を低減したり、高張力鋼板の採用比率を高めることで、従来より約30kgも軽量化され、当然ながら鋼板の使用量も低減されている。

 また艤装では、シートの骨格軽量化、インストルメントパネルやドア内装などの樹脂部品の薄肉化など、徹底した軽量を実施している。こうした積み重ねで、車体全体では従来比で60kgも軽量化されているという。もちろんこれはコストダウンにもつながっている。タイヤは低転がり抵抗タイプにし、ハブやドライブシャフトなどの摩擦低減、摺動抵抗の低減も行われている。さらに車体の空力性能も従来より向上しているという。

 アイドリング・ストップシステムは、新開発の「eco-IDLE」を採用している。従来のアイドルストップは、クルマが停止した段階でエンジンが停止するが、新システムはブレーキを踏み、車速が7km/hになるとエンジンがストップするのだ。これはCVT車としては世界初で、早めにエンジンストップすることで、リカバリー噴射量を大幅に減らし、エンジン停止時間を長くすることができ、より燃費低減効果が大きくなるわけだ。またアイドリング・ストップシステム専用部品を減らし、軽量化・コンパクト化を実現している。

 また、実用面でも、エンジン再始動時のナビのリセットを防止する、補助電源一体型アイドリングストップECUとCVT用ECUを統合するなどしている。そしてブレーキはヒルホールド機能を内蔵し、さらにエンジン再始動時にCVTに油圧を供給する従来の電動オイルポンプを廃止し、機械式の蓄圧方式としているようだ。
さらに軽自動車としては初の減速エネルギー回生機能を持つ「エコ発電制御」を採用している。減速時にオルタネーターの発電量を増加させ、同時にバッテリーは充電電流の受け入れ速度の向上や蓄電量をアップした専用品としている。つまり減速時に最大限の発電を行い、巡航時や加速時は必要最低限の発電に抑えることでエンジン負荷を減らすシステムとしているのだ。

 このようにイースクノロジーは、パワートレーンのみではなく、クルマ全体でエネルギー効率を高め、燃費を向上させ、JC08モードで30km/Lを実現することは、技術的に停滞気味であったコスト低減最優先の軽自動車の中にあって画期的といえる。また、このような新技術の投入と、大幅な低価格化を両立させていることも評価できる。低価格を実現したその手法も興味がある。
ダイハツのこの技術攻勢は軽自動車だけではなくコンパクトクラスにまでインパクトを与える予感がしてくる。


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BMW iコンセプト

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 BMWは、今年2月に脱化石燃料を指向したモビリティの展開を専門に行うサブ・ブランド「BMWi」を発足させた。
 しかしBMW i は、単にEVなどにシフトしたということではなく、新たなプレミアム・モビリティを提案するサブブランドとされ、この新しい分野でもプレミアム自動車メーカーとしての優位性を確保することが目的だ。
 BMW iブランドの象徴となるエンブレムは、これまでのBMWのバッジの外側に立体的なブルーのリングを加えたデザインになっている。
 BMW i は専用開発したクルマとその新車種に関連するサービスから成り、専用開発・生産から始まり、製品とサービスを展開する。より具体的には、BMW iブランドは最初から電動化されたモビリティにターゲットを絞り、テレマティックスや情報通信技術のサービスを展開するということだ。
 新サブブランドの第1弾として、2013年からBMW i3 、BMW i8 の2モデルの導入が決定されている。またBMWグループ自体も今後数年の間にモビリティ・サービスを大きく拡大する計画で、その布石として総額1億ドルを投じてニューヨーク市にベンチャー投資会社「BMW i ベンチャーズ社」を設立している。
 この戦略は2007年から将来の自動車社会に対する提案を模索していたBMWグループのシンクタンク「プロジェクトi」で煮詰められた結論だ。プロジェクトiとは、BMWナンバーワン戦略(質的にナンバーワンの企業であることを追求する)のもとで、持続可能で先駆的なモビリティ・コンセプトを開発し、企業とビークル・プロジェクトの両方に技術ノウハウを展開。そしてプロジェクトiの最終目標は、パーソナル・モビリティにプレミアムな製品とサービスを提供できるトップメーカーになるということだという。
 2011年7月、BMW iは2台のコンセプトカー、i3、i8の概要を公表した。なお現時点ではコンセプトカーとされているが、限りなく量産仕様に近く、すでに量産開発が進行しているといえる。

iコンセプト

 i3は、メガシティビークルという別称を持っている。メガシティビークルとは、人口800万人以上の都市での使用を想定した都市モビリティビークル、すなわち純粋のEVとされている。i3のコンセプトは、EVシステムとカーボンキャビンという新しいアーキテクチャーで実現した世界初のプレミアム電気自動車とされている。
 一方のi8はすでに公表されていたビジョン・エフィシェントダイナミックスのコンセプトカーデザインをそのまま使用し、未来志向、インテリジェンス、革新性を備えたスポーツカーで、プラグイン・ハブリッドカーとされている。

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↑i3

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↑i8

 いずれもクルマも「LifeDrive」コンセプトをキーワードに開発されている。
 従来のEV、BMWでいえばMINI EやBMW ActiveEなどは既存の内燃エンジン搭載車を改造してEVとしているが、これは重量などの点で大きなな制約が生じる。このため長期的に見るとEVとしては最良の回答とはなりえないというのがBMWの結論だった。
 したがってEV専用の、電気駆動システムのすべての技術的要件(大型バッテリーを含む)を満たしつつ、軽量化、航続距離の最大限の延長、余裕のあるスペース、走り、そしてバッテリーと乗員の安全性の確保を新たなパッケージング、コンポーネンツレイアウトを採用することで実現することにした。
 結果的に「LifeDrive」コンセプトでは、ふたつの独立ユニットから構成される。ひとつはドライブ・モジュールで、このモジュールには、サスペンション、電池、駆動システム、構造機能および耐衝撃機能をアルミニウム製のプラットフォームに組み込んだものだ。
 もうひとつはライフ・モジュールと呼ばれ、すべてがカーボン(CFRP)製の、高強度かつ超軽量のキャビンである。この超軽量構造のキャビンにより、航続距離の増大、動力性能のアップ、ハンドリングが大幅に向上し、ドライブ・モジュールとねじり剛性に優れたライフ・モジュールとの結合により、高レベルの運動性能が実現している。
 BMW i3コンセプトとBMW i8コンセプトのもうひとつの特徴は、同クラスの競合車よりも大径で幅の狭いホイールが上げられる。スリムなタイヤにより、空気抵抗と転がり抵抗が大幅に小さくなり、バネ下質量が軽減され、1回の充電での走行距離がさらに延長され、消費エネルギーロスを抑えているのだ。
 カーボン・キャビンとアルミ製のドライブモジュールを組み合わせるというコンセプトは、圧倒的な衝突安全性能を実現していることも注目に値する。これは、超軽量設計と安全性きわめて高いレベルで両立可能であることを証明している。
 F1マシンのコックピットと同様、CFRP製キャビンはきわめて強固な生存空間を作り出す。ポール衝突試験、側面衝突試験、横転試験などでカーボン素材の持つ高い安全性能が確認されたという。金属製の構造の場合、広い衝撃吸収ゾーンを追加する必要があるが、CFRP製の構造では特殊な変形エレメントを備えることで、驚くほど狭いエリアで高い衝撃を吸収することが可能で、大きな衝撃が集中しても、この素材はほとんど座屈することがない。こうした高強度なCFRP製キャビン、LifeDriveモジュールは、乗員と電池を最適に保護することができるのだ。

i3:電車に似たパワー制御

 i3はサイズ的にはCセグメントをベースにしながら完成度の高いパッケージングを実現している。キーワードはダイナミック・コンパクトだ。
 i3の構造は「LifeDrive」アーキテクチャーと呼ばれる。超軽量、安全、広い居住空間を実現するためのキーポイントで、革新的なCFRP(カーボン)を使用した軽量化設計のアッパーボディ/骨格を採用。これは世界初の完全な量産カーボンボディという意義も持っている。超軽量なカーボンボディは航続距離の伸延、ハイレベルの衝撃減衰性と高強度を両立させた高い衝突安全性以外に、ドライビング・ダイナミクスの向上にも寄与する。もちろん極めて軽量なボディ、シャシーは駆動用電池関連の重量、約300kgを相殺する狙いでもある。

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 リヤ・アクスルに配置された出力125kW(170ps)の永久磁石ハイブリッド同期モーターは、すでにBMW ActiveEのプレ量産仕様車で採用済みだが、BMW i3コンセプト用は重量と動力性能の点でさらなるチョーニングが行われた。このモーター、パワーエレクトロニクスはBMW内製で、きわめて小型で高出力タイプになっている。このモーターは、発進時に250Nmのトルクを発生。なおi3とほぼ同じセグメントに属する日産リーフの駆動モーター出力が80kWだから、i3のモーターが50%以上強力でパワー重視型だ。
 i3コンセプトの発進加速タイムは、0→60km/hで4秒以下、0→100km/hで8秒以下としている。1速トランスミッションはリヤホイールに駆動力を伝達し、シフト動力の損失を生じるシフト操作は不要で、リミッターが作動する150km/hまで加速できる。 
 i3はアクセルペダルにも特徴がある。
 ドライバーがアクセルペダルから足を浮かせると、電気モーターがジェネレーター(発電機)として機能し、運動エネルギーを電流に変換して電池を充電する。このエネルギーの回生はブレーキ効果を生むため、減速に大きく貢献することはいうまでもない。市街地走行では、すべての減速操作の約75 %を、ブレーキペダルをまったく踏むことなく行うことができ、きわめて強力なブレーキ回生を行う点はこれまでのの電気自動車と異なる点だ。このブレーキ回生機能を積極的に利用した場合、航続距離は最大20%延長されるという。
 さらにアクセルペダルだけを使った加減速の「単一ペダル操作」以外に、フリーホイール(惰性走行)機能も持つ。BMW i3コンセプトにはアクセルペダルの「ニュートラル」ポジションが備わっているのだ。ペダルがこの位置にある限り、ドライバーがペダルから足を浮かせても回生に切り替わらず、電気モーターのゼロトルク・コントロールによりドライブトレインを切り離された状態に保つ。このため車両は出力を消費することなく、自分自身の運動エネルギーによって惰性走行を行う。これにより航続距離をいっそう延長することができる。
 電池はリチウムイオン電池を採用し、水冷&ウォーマーシステム採用。厳冬でも高気温の気候でも安定した出力を得られるようにしている。三菱iMiEVやテスラーは電池が過熱状態になるとフェイルモードになり、日産リーフの電池は冷却性は優れているが極寒地では電池ヒーターを使用する必要がある。i3は当初からウォーマー&クーリングを盛り込み済みということだ。
 i3は約150kmの航続距離を持つが、オプションとしてレンジエクステンダー(REx)が用意されているのもユニークだ。RExは小型のガソリン・エンジンで、これがジェネレーターを駆動することでバッテリー充電量を維持し、電気モーターの航続距離を延長する仕組みで、バッテリー充電量が危機的なレベルに達するとRExが必要なエネルギーを供給する。なおRExと付属のジェネレーターは、スペースに余裕のあるリヤアクスルに設置する。
この内燃エンジンはSULEV規格に適合し、オートスタート&ストップなどの機能を持っている。

 i3のライフ・モジュールは、最新の同クラス車と比較してもより広く感じられる室内パッケージを実現している。全長は4mを切るサイズだがロングホイールベース、高い全高で広いキャビンスペースを実現しているのだ。
 パッケージングの特徴は、駆動系コンポーネントはドライブモジュール内に格納されるのでフロアにはセンタートンネルが存在せず、フロントおよびリヤの左右席はウォークスルーとなっている。したがってドライバーはフロントの助手席側ドアから容易に乗り降りでき、たとえば、運転席側を壁に近づけて駐車する場合に便利になっている。

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 4シーターで、開度の大きな観音開きドア、約200Lのラゲージスペースを持つ。
 EVで大きな課題となる航続距離は、LifeDriveアーキテクチャーによる軽量設計のみでは、実現したわけではない。航続距離をアップするためブレーキエネルギー回生機能と航続距離延長を目的とした機能(ECO PROモード、ECO PRO+モード)も採用している。
 ECO PROモードをONにすると、すべての機能が最大効率で作動し、たとえばドライバーのアクセルペダル操作に対して出力を制限し、空調機能も可能な限り電力消費を節約する。同時に洗練された空力設計と幅が狭く転がり抵抗の低いホイールが走行抵抗を最小限におさえ、最大限の航続距離実現しているのだ。
 またi3は通信機能を装備しており、スマートフォンからアクセス可能なリモート機能により、ボタンをタッチするだけでドライバーに駐車位置を知らせたり、利用可能な最寄りの充電ステーションを示し、プレコンディショニング(事前エアコン稼動)を作動させ、車両の現在の状態を表示することができる。また、運転中はインテリジェントなアシスタンス・システムが単調な市街地運転のストレスを和らげるなどの機能を装備する。これらの点は限りなく日産リーフと同様の機能といえる。

i8:4WD、50:50のスポーツモデル

 BMW i8はiブランドの中でエモーショナルなスポーツカーと位置付けられる。低い全高、前後を流れるダイナミック、かつ空力的なデザインがi8のキャラクターを物語る。
 デザイン的には、前後のオーバーハングを切り詰め、電気モーターをアクスルに置いているがボンネットの高さはきわめて低い。
 また空力デザインを徹底し、ボディ表面の形状により気流をコントロールする手法を採用。例えばフロントのエアインテークから流入したエアはフロントのホイールアーチからホイール側面に流され、そのままボディサイドを流れることでエアカーテンを形成する。
ボディ側面全体もストリームフロー、つまり流速の早い気流をスムーズに導き、アンダーフロアは完全にフラットに整形しているなどエアロダイナミクスを極めており、Cd値は発表されていないものの、現在でトップレベルの仕上がりといえる。(コンセプトカーのビジョン・エフィシェントダイナミクスの段階でCd=0.22とされていたので現時点でもこれに近いと思われる)

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 BMW i8コンセプトは、LifeDriveアーキテクチャー・コンセプトがスポーツカーにふさわしいタイプに変更され、トップレベルの動力性能と俊敏なダイナミクスを発揮できるようになっている。i8コンセプトはハイブリッド・コンセプト、すなわちフロントの電気駆動システムとリヤのエンジンとを連動させて、ハイレベルのドライビングプレジャーを実現しようというものだ。
 BMW i8コンセプトのLifeDriveアーキテクチャーは、フロントアクスル・モジュール、パッセンジャー用のキャビン、リヤアクスル・モジュールを組み合わせるというレイアウトを採用しているのだ。
 駆動システムは、フロントおよびリヤアクスル・モジュールに組み込まれており、この両者をCFRP製のライフ・モジュールが結合する形となる。プラグインハイブリッド車であるBMW i8コンセプトは、EVのBMW i3コンセプトより電池スペースは小さいので、トランスミッションが配置されるセンタートンネル状のライフ・モジュール内のエネルギートンネルの内部にレイアウトされている。
 こうして、フロントおよびリヤアクスル・モジュールは、キャビンや電池を含み、ひとつの機能ユニットを形成。耐荷重の役割を担うだけでなく、幅広い耐衝撃機能も担っている。もちろんエネルギートンネル内に高電圧の電池を配置することで、車両は低重心で、さらに各アクスルにモーターとエンジンを配置したことにより、50:50の前後重量配分も実現している。
 BMW i8コンセプトの前後アクスルは、i8がスポーツカーであることを前提に、ハンドリング特性を重視した設計となっている。フロントのマルチリンク・アクスルのジオメトリーは、キャンバー変化、トー変化ともにフラットに。また、前輪駆動により影響がステアリングに及ばないように配慮されている。
 CFRP製のキャビン内で、ドライバーはクラシックなスポーツカーのスタイルで着座するポジションとなる。キャビンはモーターとエンジンの間に囲まれ、またキャビンのフロア中央にはエネルギートンネルが縦通する。
 Aピラーに支点を持つ回転式ドアは広い開口部を生み出し、フロントシートとリヤシートの両方へのアクセスを容易にしている。BMW i8コンセプトは4座席を備えるため、スポーツカーとはいえ日常的な使用を前提にしている。
 電気自動車の駆動システム(モーターや電池)は、同等の内燃エンジンと燃料満タンのタンクよりも最大200 kg重くなる。優れた電気自動車とするためには、軽量設計はドライビング・プレジャー、アジリティ、安全性の向上に導く王道なのだ。
 そして軽量化技術のメインメニューになっているのがカーボン(CFRP)構造である。CFRPはスチールと同等の強度を備え、約50%軽量。アルミニウムの場合はスチールより30%
ほど軽量でしかないのだ。
 レジン樹脂加工された炭素繊維の織物からな成るCFRP製コンポーネントのほか、i8コンセプトでは場所によっては網上げ成形(フィラメント・ワインディング)の特殊な織り方をしたCFRP構造も使用されている。この場合、カーボン繊維は金型の上で編み物のように織られる。このため設計の自由度が高く、必要な接合箇所を減らすことができ、フラットに段差なく結合できる点も、高い強度の実現に貢献している。そのため網上成形の構造は、特に衝突時により高い強度が求められる場所、ドアシル、ドア、Aピラーなどに使用されていえう。
 金型の直径を調整する製造工程を加えることで肉厚を最適化することもきわめて容易だ。結合や連結部品を用いることなく、はるかに複雑な形状のものを作ることができ、何よりも切断による廃棄物もなくなるのである。

 i8のアルミ製シャシー&ベースフレーム、CFRP製のキャビンという構成はi3と共通だが、コンポーネンツのレイアウトとパッケージングはi8独自のものだ。
 すでに述べたように、i8はフロントアクスル(モーター駆動)モジュール、キャビン(ライフモジュール) 、エンジンで駆動されるリヤアクスル・モジュールで構成される。
またバッテリーはセンタートンネル内に配置される。
 フロントはi3に使用されているモーターを特性を変更して採用し、リヤは164kW/220ps、最大トルク300Nmのターボチャージャー付き1.5L・3気筒ガソリン・エンジンで駆動される。以前のコンセプトカー、ビジョン・エフィェエントダイナミクスの時点ではエンジンは3気筒ターボディーゼルであったが、i8はガソリンターボに変更したのだ。これはより厳しい排ガス規制をクリアするためにはディーゼルよりガソリンが有利と判断した結果だろう。しかし、いずれにしても1.5Lから220psを発生する超高性能エンジンである。
 またリヤのエンジンは、高電圧ジェネレーターを駆動する役割も果たしている。この発電機は電池を充電するために機能する。もちろん電池は家庭用電源で充電できるようになっており、プラグインハイブリッド機能を持つ。充電時間は約1.5時間で満充電できる。
 いずれにしてもシステム総合出力は260kW、最大トルク550Nmを発生し、0→100km/h加速は5秒以下、最高速はリミッター作動で250km/hというスポーツカーにふさわしい動力性能を発揮する。なおフロントのモーターは常時駆動し、なおかつ発電用のジェネレーターも備えているため機能的には2モーターのシリーズパラレルハイブリッドとなり、また同時に前後可変駆動トルク制御の4WDでもある。トヨタのシリーズパラレル・ハイブリッドの大きく異なるところは、コンパクトな3気筒エンジンとしながら220psと極めて高出力を引き出していることで、モーター駆動とエンジン駆動の比率はECUにより常に最適バラランスを得るとしているものの、イーブンと考えてよいだろう。
 燃費はEUテストモードで3L/100km、NEDCに近いモードで5~7L/100kmで、アッパーミディアムクラスのスポーツカーとしては傑出していることになる。
 またリチウムイオン電池でフロントのモーターを駆動し、リヤのエンジンを停止するEVモードで35kmを走行できるという。
 ブレーキエネルギー回生はフロントのモーターが担当する。もちろん積雪路やウエット路でも、車両安定性を損ねることなく最大限のブレーキエネルギー回生を行うようになってる。
 

フィアット社のツインエアーエンジンの開発と今後の展開

小型車用パワートレーンのパイオニア

 FTP社は1980年代から小型乗用車用コモンレール式ディーゼル直噴システムを開発しており、この分野でのパイオニアであると同時に、その後の技術的な方向性を決定したという。またF1用のトランスミッションの構想に端を発したセレスピード(AMT)、1970年代から着手されていた電気自動車(パンダ・エレットラ)など、現在に求められるパワートレーン技術の多くを先進的に取り組んできたという歴史も改めて強調した。
 近年では、小型ディーゼルエンジン用のマルチジェットⅡ(多段噴射用インジェクター)、ガソリンエンジンでは究極的なダウンサイジングコンセプトエンジンのツインエアに代表されるマルチエア技術、6速乾式DCTなど小型乗用車をリードするテクノロジーを実現し、小型車セグメントをリードしているのは紛れもない事実なのだ。
 この結果、ヨーロッパでの最近4年間はフェラーリ、マセラッティなどを含むフィアットグループがCO2排出量では最小、つまりトップになっており、フィアットグループの平均は125.9g/km、フィアットブランドのみに限れば123.1g/kmを達成している。

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 FPT社は今後の展望として、水素エネルギーの利用は限定的に留まる、EVは電池のエネルギー貯蔵能力に限界があるため主流にはなりえない、天然ガスは石油に代わる唯一の代替燃料となりえる、ハイブリッド車は現状ではコストが高く、大幅なコスト低減が見込まれる2020年以降には普及が加速すると考えている。言い換えると2030年頃までは内燃エンジンがパワーユニットとして主流であり続けると考えているのだ。
 
ツインエアエンジンの開発構想

 ツインエアエンジンのコンセプトは次のような構想のもとで開発された。
 A、Bセグメント用のエンジンは近年のターボ、電子制御バルブタイミング、直噴化などを装備することで、ディーゼルエンジンに近い燃費レベルを達成でき、より排ガス規制が厳しくなるディーゼルエンジンに対して競争力を持つ。したがって、可変バルブタイミング&リフト機能を持つマルチエアを採用し、気筒数をできるだけ減らし、小排気量・大トルクのターボチャージングを行うエンジンを実現するということだった。
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 1.0Lを切る排気量のエンジンとしてツイアンエアは企画されたが、3気筒か2気等かは大きな検討テーマとなった。
 3気筒と比べて2気筒の有利な点は、最適な気筒あたり排気量と摩擦抵抗の小ささである。一方デメリットとされる1次振動はバランサーシャフトを採用することで、バランサーシャフトを装備しない3気筒エンジンに勝ることができるとしている。
 もちろん2気等エンジンのパッケージサイズや重量は、A、Bセグメントの小さなエンジンルームにより適合しやすく、ハイブリッドシステムとの整合性にも優れている。また2気筒は点火プラグ数が2本、カム駆動はチェーンで、メンテナンスコストで有利、さらには開発や生産のコストも3気筒より2気等の方が低減できるといった総合的な事前評価の結果、2気筒エンジンの開発がスタートしたわけである。

 ツイアンエアエンジンは、同等出力の自然吸気4気筒エンジンに比べ、CO2は最大30%を低減できるのだ。
 なお、このツイアンエアは、2011年には自然吸気、天然ガス(CNG)という二つのバリエーションが追加されることになっており、12年にはターボの高出力版(105ps)が登場する予定だ。

ツインエアエンジンのキーポイント

 875ccの排気量で、ボア・ストロークは80.5×86mmで、特にこの80.5mmというボア径が最適とされている。また圧縮比は95オクタンで10.0とされ、ターボ過給されることを考慮すると高めである。シリンダーボアは製造段階でダミーヘッド装着により真円ボア加工が行われている。したがって、ピストンリングなども低張力化さるなど内部摩擦抵抗の低減策も徹底されているはずだ。

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 電子制御油圧駆動のマルチエア(吸気バルブ側)は、FTP社とドイツのシェフラー(INA)社との共同開発で、シェフラー社が他社に販売した場合はFTP社にロイヤリティが入るようになっているそうだ。
 マルチエアは、可変バルブリフトを行うことでスロットルレスシステムとなるが、補助的な電子スロットルバルブは装備されている。またコスト的な制約もあって、燃料噴射はポート噴射としている。より大幅に性能向上が見込める直噴化は次のステップとされている。バルブ駆動はチェーンによるSOHCで、排気バルブはローラー式フィンガーロッカーアーム(油圧ラッシュアジャスター内蔵)で駆動される。
 バランサーシャフトは2個のローラーベアリング支持で、1度単位での回転バランス精度を保持する。
 シリンダーヘッドの燃焼室にはスキッシュエリアが設けられ、低流速時の均質混合を促進するようになっている。

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 小型ターボはマニホールド一体型で熱容量を小さくするとともに、最高過給圧は1.4気圧ときわめて高い。また耐熱温度も950度と高く、高出力スポーツカーエンジン並みの能力を備えていることにも注目したい。
 マルチエア機構は、カムシャフトの回転により加圧・蓄圧された油圧を電子制御ソレノイドバルブが制御して吸気バルブの開閉を行う。したがって、カムの回転とは無関係に吸気バルブを開閉、リフト変化させることができ、しかも他の電子制御機械式可変バルブリフトより摩擦抵抗が小さいのが特徴だ。
 ツインエアのバルブ開閉モードは複数あるが、吸気バルブの早閉じ、遅閉じ、2段階開閉などを行って入り、ミラーサイクル運転、大量EGR運転などを切り替えていることが分かる。言い換えれば、一般的な可変バルブタイミング機構なしでミラーサイクルやEGRを達成しているので、きわめてシンプル、合理的といえる。
 また、ターボと吸気制御により、875ccという小排気量エンジンにもかかわらず、1900回転で最大トルクを引き出し、3500回転まで最大トルクを維持するという最新の性能作りを達成している。こうした低回転・大トルクの特性により、より高いギヤで走行できるわけである。
 このため、他社の同クラスと比べ、ツイアンエアエンジンは出力、燃費において突出した存在でありセグメントにおけるベンチマークとなっていることが分かる。
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多彩な展開を盛り込んだツインエアエンジン

 第2世代のツインエアでは、直噴化の他に、排気バルブの可変タイミングの採用、0W/30という低粘度オイルの採用、より徹底したミラーサイクル運転を追求することになるという。これらにより、さらに一段と燃費の向上、CO2の削減が可能になるのだ。
 また天然ガス(CNG)エンジン仕様では80g/kmを狙っている。この天然ガスエンジンは出力的にも現在のガソリン・ツインエアとそん色ないレベル、80psが実現できるという。

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↑ハイブリッドモジュールを組み込んだ例

 トランスミッション部にモーターを組み込むことで簡単に成立する1モーター式パラレルハイブリッドシステムは、EV走行、ブレーキ回生、モーターによる加速ブースト、プラグインハイブリッドなどが想定されている。
 しかしながらA、Bセグメントではハイブリッドシステムのコストが車両価格に上乗せされると価格競争力が大幅に低下するため、FTP社では電池の価格が大幅に下がると予想される2020年頃までは量産化は遅らせると考えられる。
 ツインエアは単にダウンサイジングコンセプトによる新しいエンジンというだけではなく、将来にわたる拡張性や多用途性などを当初から盛り込んだきわめて戦略的な、大きな構想の下に企画されたエンジンであることが改めて確認できる。
 またツインエアとは別に、マルチエア技術のディーゼルエンジンへの適用も推進されている。マルチエアを採用することで吸気の幅広い制御が可能であり、同時に小型ディーゼルでは外部EGRに頼らず、効率の高い内部EGRを使用することで、より少ないデバイスで排ガス規制に対応できるとしている。大型ディーゼルについてもマルチエア技術を採用することで、燃費、排ガス性能を向上できる高いポテンシャルを備えているとしている。


↓マルチエアのディーゼルエンジンへの適用
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