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スバルの新世代・水平対向4気筒エンジン 第2報

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↑新エンジン(日本仕様2.0L)直下型触媒を装備している。またフロントカバーはEZ30/36から進化している。4本のカム先端に可変バルタイ機構を装備。なお発表された画像はこの1枚のみ

 9月26日、スバルは新世代の水平対向4気筒エンジンを公式発表した。
 スバルはこれまで、2.0~2.5LエンジンはSOHC、DOHC、DOHCターボの仕様違いや、部品、スペックの違いはあるものの、基本仕様は1989年に発売されたレガシィ用EJ20型(第2世代エンジンと呼ぶ)である。第1世代はスバル1000以来のEA型OHV(最終的にはSOHCも追加された)、3ベアリングであり、第2世代のEJ20型からはDOHC/SOHC、5ベアリングとなった。

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↑第1世代のOHVエンジン。総アルミ製の超軽量コンパクトと高出力・高回転を誇り、当時の常識を破る存在だった

 もちろん現時点では、1989年のEJ20型と比べるとほぼすべての部品が更新されている。
 その一方で、2000年に登場するEZ型系6気筒エンジン、2006年登場のEL15型(1.5L)、そして2008年にはEE20型ターボディーゼルなど新系列のエンジンも送り出している。

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↑チェーンによるカム駆動、新ボアピッチで登場したEZ系6気筒エンジン

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↑EZ30R型エンジン。ポルシェと同じINA社製の可変リフトタペット機構を採用

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↑革新的なコンセプトの1.5L水平対向エンジンとしてひっそりデビューしたEL15 型

 これらはボア・ストローク比を変更したほか、カムシャフト駆動をチェーン式(EZ/ED系)に、補機ベルトをサーペンタインレイアウトにするなど新しい設計を取り入れている。
 これらの新系列エンジンは、ロングストローク化といわれることが多いが、単にロングストロークにするというより、燃焼室のコンパクト化、エンジン全長の短縮などトータルでの進化がはかられているのだ。
 そして、今回発表された第3世代のエンジンはその集大成といえる。
 新世代エンジンのために大泉工場内に新たに専用の第5工場が新設された。ここでEZ系などのエンジンが生産されることになる。
 
 
 今回発表の新世代2.0L/2.5Lエンジンは、エンジンの基本骨格であるボア・ストロークを現行エンジンよりもロングストローク化するなど、基本諸元を全面的に刷新することで、基本性能の高効率化を追求した設計であり、実用域のトルクや環境性能を向上させることが狙いである。このコンセプト自体はEL15のデビュー時点で打ち出されており、EL15は実用回転域を重視し、最大トルクを3200回転という低めの回転数で発生するなど革新的な存在である。
 新世代エンジンはロングストローク化することで、燃焼室はよりコンパクトになり、燃焼速度をアップすることができ、SV比を小さくすることで冷却損失も低減できるのだ。
 基本諸元は、2.0Lエンジンで排気量1995cc、ボア・ストロークは84×90mm、圧縮比は10.5と発表されている。出力は148ps、最大トルクは196Nmで、出力は従来のEJ20型と同等でトルクのみアップになっている。燃費は10%アップだという。
 トルクがアップし、より低速型に変化していることはわかるが、パワーが向上していない点は少し気になるところだ。フリクションの低減などによりパワーはアップするのが常識なのだが。
 なおボア・ストロークはEZ30が89.2×80.0mm、EZ36が92.0×91.0mm、EL15が77.7×79.0mm、EE20が86.0×86.0mmで、ボアストローク比はEL15に近いことがわかる。
 吸気ポートは隔壁を設け、TGV(タンブル流発生バルブ)を装備するなど低速域での吸気流速を高める工夫を加えている。
 またEGRを大量に導入することでスロットルによるポンピング損失を最小限に抑える発想で、ガソリンエンジンでは珍しいEGRクーラーも新装備する。EGR温度を下げることで体積効率の向上、NOx低減を狙っているのだ。
 動弁系はDOHC・16バルブで、吸排気カムシャフトにはAVCS(可変バルブタイミング機構)を採用。吸気側は進角・遅角両側の制御で吸気早開きを行い、ミラーサイクル的な要素も採用している。
 ピストン、コンロッドなどの運動部品は軽量化、小型オイルポンプの採用などとあわせ、摩擦抵抗は30%も低減したという。
 また冷却系は、シリンダーヘッドとシリンダーブロック側の2系統に分離した2系統冷却となり、シリンダーブロック部は燃焼室周りより高温にすることで冷却損失の低減もはかられている。水平対向4気筒は直列4気筒よりもともと冷却は有利だがそのメリットをさらに追求したわけだ。
 新エンジンはモジュール化を進めることで製造原価が20%ダウンされているといわれ、触媒の貴金属の使用量も大幅に低減されている。
 今回の発表ではエンジン型式名もなしという異例の発表だが、真相はまだ日本での認証を取得していないというのが実状のようだ。
 なお、既報のように最初は北米向けフォレスター2.5Lエンジンが初搭載となり、その後は順次搭載車種を拡大する計画になっている。噂ではその次は日本仕様の2.0Lといわれており、そうであるなら来年初春の可能性が高い。また噂のFT86にもこれをベースにしたエンジンが搭載される可能性が高い。
 もうひとつ、この新エンジンの特徴は次のステップに進化させるための要素もすでに盛り込まれていることだという。
 これは直噴化やターボ装備を意味するのだろう。いいかえれば、今回の発表はベースのベース仕様であり、より大幅な高出力化、燃費低減などを盛り込んだ本命エンジンはまだこれからの展開である。
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電気自動車の充電用プラグの統合規格が登場

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 9月16日、ドイツ・インゴルシュタットでアウディ、BMW、ダイムラー、ポルシェ、VWの5メーカーが集まり、電気自動車(EV)の充電コネクターモジュールの規格を統合することで合意した。
 世界的に充電コネクターモジュールの規格を統合することで、EVのユーザーはどのEVのメーカー、どの電力会社であっても、簡単にダイレクトに電気エネルギー網に接続することができるメリットが得られるのはいうまでもない。
 5メーカーの開発担当責任者は、モジュラーコネクターのシステムを以下のふたつにすることを決定した。
 1)コネクターシステムの基本は、単相、3相交流は「IEC 62196-2 Type2」に準拠する。
 2)直流用のコネクターは現在開発中のタイプとする。
 これらの規格に対して、他のメーカーも加わるよう呼びかけており、多くの他メーカーも規格に加わることで、この規格がグローバルスタンダードにする計画である。

iMiev((普通充電)
↑三菱iMievの家庭用電源による充電

iMiev(急速充電)
↑三菱iMievの急速充電

iMiev(充電ケーブルケース2
↑三菱iMievの充電ケーブルセット
  
 このEVの充電用コネクターシステムは自動車産業全体のコラボレーションにより信頼性の高いコネクタープラグが開発された経緯があり、車両側と充電インフラの双方で使用されることになる。こうしたモジュラーコンセプトは、性能、セキュリティ、安全性などの麺で完璧とはいえないが今後はさらに改良されていると考えられる。
 このコネクターシステムは、単相、3相交流電源に適合するよう設計されているのが特徴だ。
 さらにコネクターのアダプター(エクステンション)の採用により2013年までに直流電源から充電できるようになる。自動車メーカーは、早急に急速充電システムのインフラが整備されることを望んおり、したがって直流高電圧によるきわめて短時間の急速充電に期待が寄せられている。

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↑日産リーフの充電口(2個のソケット口を装備)
 
 基本システムとエクステンション(拡張)システムからなるモジュラーコネクターは、様々な充電方法に最適にマッチする。一般的な家庭用の単相交流による充電から、現在整備されつつある公営、民営の3相交流へと充電方法は変化すると見込まれ、これにも問題なく対応する。
 アダプターの使用により、すでに日本で整備されつつあるような直流電源による充電を可能にする。したがってこのモジュラーシステムは、今後の様々な直流電源よる急速充電にも適合し、さらにCAN、PLC(電力線通信)にも適合するだ。
 またこのシステムは、土汚れや風雨雪などに対する安全性を備え、メカニカルロックされるので、充電中の意図しない切断も防止することができる。
 
 各国、各地域の電力会社が直流充電ステーションを整備するにあたり、ユーザーメリットのあるこの規格の方向性に従うことで今後の発展が期待でき、直流電源による充電にともなう技術的に複雑な問題や充電時間も最適なレベルに低減できる。
 ドイツのメーカー共同して標準化の次のステップとして、その他のメーカーや他分野サービス提供者、ネットワーク業ともコラボレーションの可能性を検討している。
 車両とISO/IEC 15118に準拠した充電ステーションの情報通信の標準化により、安全性向上や充電課金において有用と考えられている。
 
 この規格標準化の意義は、ガソリンスタンド設備と車両の給油口の世界共通規格と同じように、充電コネクターと適切なインターフェースの規格統合は、今後のユビキタスEV時代にとってきわめて重要であり、ユーザーが従来のガソリン車でどこのガソリンスタンドでもなんらのアダプターなしで給油できるのと同様に、簡単に充電できるため必要不可欠なのである。

 EV開発では日本が先行したにもかかわらず、いちはやくドイツメーカー連合が充電コネクターの統合規格化を打ち出した。ドイツ勢はもともと様々な規格化への着手が早いが、EVとその周辺インフラ技術に関してもドイツは規格におけるリーダーシップを握るつもりなのだ。
日本では規格化のために「充電インフラ協議会」が作られ、急速充電器用には日本電動車両協会規格「JEVS G 105-1993」が採用されているが、国際的な発信は行われていない。
日本のメーカーはドイツ案に参加するのだろうか。

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↑急速充電ステーション

プジョーが送り出す世界初のディーゼルハイブリッド---3008 Hybrid4

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 この8月末にプジョーは世界初となるディーゼルエンジンとモーターを組み合わせた3008ハイブリッド4を発表した。
 3008ハイブリッド4は、2008年のパリサロンでコンセプトカー、プロローグ・ハイブリッド4が原型で、その1年後の2009年のフランクフルトモーターショーで3008に搭載し量産前提モデルとしてベールを脱いでいる。
 今回発表された3008ハイブリッド4は完全な市販バージョンで、来春にはヨーロッパ市場にデリバリーされる計画だ。
 3008ハイブリッド4の開発コンセプトは、優れた環境適合性と高効率性、ドライビングプレジャーの両立である。またプジョーは、この3008ハイブリッド4はクロスオーバーカーでありセダン、コンパクトMPV、クーペたる資質を持っているとしている。
 搭載されるエンジンは、ユーロ5適合の最新4気筒ターボディーゼル、2.0LのHDiFAPエンジンで、163psを発生する。
 リヤアクスルに搭載されるモーターの最高出力は37ps。エンジンとモーターの総合出力は200psとなるのでかなり強力なパワープラントといえる。
 ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドカーシステムは世界初の存在で、ヨーロッパの道路環境では当然ながらガソリンエンジンを採用したハイブリッドカーより燃費は有利である。

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 ハイブリッド4はシステムとしてはパラレル方式で、前後輪を異なるパワーユニットで駆動する4WDシステムとなるが、ZEV(ゼロエミッション、すなわちエンジンを停止したモーター走行)も選択できる。
 燃費は欧州ミックスモードで3.8L/100km、CO2排出量は99g/km 。
 同等エンジンのクルマに比べ燃料は35%低減できているという。

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 3008ハイブリッド4はこうした燃費効果、つまり環境適合性だけでなく、次の要素により新次元のドライビングプレジャーを備えているとしている。
 つまり優れたドライバビリティと高性能の両立、シンプルに「ZEV」、「4WD」、「スポーツ」、「オート」という4モードを選択できる、ZEVモードので排ガスなしの静粛性、4WDによる圧倒的な安心感と環境に対する優しいという満足感はドライビングプレジャーと位置づけているのだ。
 性能的には、加速ブースト状態では総合出力200psとなり、最大トルクは500Nm(フロントはエンジンによる300Nm、リヤはモーターによる200Nmの合計)したがって、3008ハイブリッド4はCO2/最大出力レシオで新たな記録を打ち立てたといえる。
 もともとロードホールディングに定評のある3008だが、ハイブリッド4はリヤモーターとマルチアームサスペンションにより優れたロードホールディング、安定性、トラクションを高いレベルでバランスさせている。


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 ドライバーはセンターコンソールのノブで4つの走行モードを任意に選択できる。
 オート:エンジン出力、モーター出力、トランスミッションをECUが自動制御することで燃費とドライビング性能を両立させる。
 ZEV:モーターのみでの走行。もちろんバッテリーに電力が十分存在しているときに使用できる。
 4WD:前輪はエンジン、後輪はモーターによって駆動される4WDモード。
 スポーツ:トランスミションはより高いエンジン回転数でクイックに変速され、エンジン、モーターの出力も最高レベルに維持される。
 日本車にありがちなECOモードはなく、強いていえばオートがそれに相当する。
 
 トランスミッションは電子制御6速シーケンシャルMT(2ペダル)を採用している。このトランスミッションはMCP、あるいは6AMTと呼ばれるが正式型式名はBMP6で、PSAグループで開発。バランシュエンヌ工場で年間80万基生産される今後の戦略的な主力トランスミッションであり、すでに一部の車種に搭載されている。VWグループのDSGと同じ位置付けと考えてよいだろう。
 このユニットはアイドルストップ機構とも抜群のマッチングを示す。
 ハイブリッドシステムは、郊外走行、ロングドライブで最適なディーゼルエンジンと
低速走行やストップ&ゴー、エネルギー回収ができるモーターを組み合わせたパラレル・ハイブリッドとしている。このため、急加速時にはモーターをオーバーテイクブースターとして使用することもできる。
 レイアウト的には、リアアクスルにモーター、インバーター、コンバーターなどを集中配置していることも大きな特徴だ。もちろんリヤアクスルの駆動はバイワイヤーで行われ、キャビンスペースに対する影響はなんらない。
 このレイアウトは、エンジンルームの設計変更が不要であり、重量配分的にも有利である。またリヤモジュールはコンパクトでシンプルでコスト的にも有利で、このモジュールを他車に搭載することも容易なことがわかる。
 
 デーゼルエンジンは、ユーロ5適合の1997ccで、120Kw/3750回転、300Nm/1580回転を発生。VGターボ、200Mpsコモンレール/8孔ソレノイド・インジェクター、DPF/酸化触媒を装備する。8Kwの高電圧スターターをエンジンとトランスミッションの間に装備し、スタート&ストップ、60km/h以下ではセーリング(無動力巡航)も行うようになっている。

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 トランスミッションは電子制御6速シーケンシャルMTで、オートモードでは燃費は最小限に抑える制御となる。またマニュアルチェンジではドライビングプレジャー楽しむことができる。なお変速はシフトレバーでもステアリングパドルでも行うことができる。

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 リヤのモーターは常用27ps/100Nm、最高37ps/200Nmを発生する永久磁石同期型モーターだ。このモーターは減速エネルギー回生を行う役割も持つ。

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 PTMU(パワートレーンマネジメントユニット)には電力を制御するインバーター、コンバータが含まれる。電圧制御は150V~270Vの範囲。コンバーターは200Vを12Vの変圧する役目を果たしている。なおモーターやこれら電力制御はボッシュ製だ。
 サンヨー製のニッケル水素のメインバッテリーはリヤモジュールの前に配置される。また12Vサブバッテリーはエンジンルームにある。
 
 なお、この3008ハイブリッド4の価格は未発表だが4万ユーロ強と推測される。
 PSAプジョーシトロエングループは、今後さらにハイブリッドカーを展開し、さらにショートレンジの都市モビリティ用としてEVを展開して行くなど、ドイツメーカーを先んじてつぎつぎに新たな手を打ってきている。ハイブリッドカーに関してドイツメーカーは高価格車カテゴリーにしか実用化を行っていないが、PSAはそれとは異なる戦略を持っていることが分かる。

三菱のポスト新長期対応スーパークリーン・ディーゼル

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 9月2日、三菱自動車はパジェロにポスト新長期規制をクリアした4気筒3.2Lのディーゼルターボエンジンを搭載して発売した。
 国内では、世界一厳しい排ガス規制であるポスト新長期規制をクリアしたのはメルセデスベンツE350ブルーテック、M350ブルーテック、日産Xトレイル・ディーゼルについで3番目となる。
 周知のようにメルセデスベンツは、酸化触媒+DPFと尿素水(アドブルー)を噴射してNOxを還元するSCR還元触媒を装備し、日産は酸化触媒+DPFとリーンNOx触媒を採用している。
 三菱は古くからディーゼルエンジンを重視しており、時代に合わせた技術開発を行ってきたが、今年に入ってヨーロッパ向けアウトランダーに搭載する1.8L、2.2L のディーゼルターボを市場投入している。
 この新開発ディーゼル(4N13 型/4N14型)は、世界一低い圧縮比14.9とし、MIVEC(可変バルブタイミング&リフト機構)を組合わせて吸気片弁低リフト、吸気早閉じなどの吸気コントロールを行うことで燃焼を改善。200Mpaのピエゾインジェクター、可変VGターボ、オフセットクランクシャフトなどを採用した意欲策だ。ただ、このエンジンはヨーロッパのユーロ5規制に適合させているが、当然今後はユーロ6に対応できるポテンシャルが与えられている。

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ポスト新長期

 今回、パジェロに搭載されたディーゼルエンジンは、旧モデルのパジェロにラインアップされていた4M41型(新長期規制対応)を改良し、ポスト新長期規制に適合させている。
 つまり旧世代のディーゼルを最新世代にアップグレードしたといえる。これまでの4M 41型は酸化触媒とDPFを装備する仕様であった。
 今回はインジェクターの噴射孔を6→8とし、孔径を縮小して燃料の微粒子化をはかっている。
 圧縮比は旧型が17であったが16に。メルセデス・ブルーテックが17.7、日産が15.6であるがその中間的な圧縮比といえる。
 インジェクターは4N型系はピエゾ式だが、4M41型はソレノイド式だ。このインジェクターは3ステップ噴射を行い、均質な燃焼を促進する。また酸化触媒の直前部に排気噴射弁も設置され、DPFに滞留した黒煙粒子と吸蔵されたNOxを燃焼させるために随時噴射が行われる。

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 180Mpaで3ステップ噴射を行うという点で、ソレノイド式インジェクターの限界まで攻めているといえる。
 燃焼で発生するNOxを抑制するために大量のEGR(排気ガス再循環)が行われるのは従来型と同様で、燃焼温度を下げるためEGRクーラーを備えるの従来どおり。ただし、クーラーの容量をアップしている。
 細部では吸気ポート形状を変更してスワール流を抑制し、充填効率を高めている。またピストンクラウンも深皿形状に変更。燃焼サプライポンプの駆動ギヤトレインも改良され、ポンプはクランク軸等速駆動となり、ギヤの騒音を低減するためにアイドラーギヤにシザースギヤを採用。
 ターボは従来型から引き継いだVGターボで、低速から高速までレスポンスと排圧低減の両立をはかっている。
 またスロットルバルブは従来どおり電子スロットル。今回からオルタネーターには充電制御も採用されている。

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 排ガスの後処理は、酸化触媒→NOx吸蔵触媒→DPF→HC吸蔵酸化触媒という構成で、NOx吸蔵触媒はNox還元性能のアップと、硫黄分が吸着しにくくするためチタン系化合物を添加した低貴金属触媒だ。過去のNOx触媒は燃料中の硫黄分が触媒に堆積して触媒性能をダウンさせたがそうした現象を押さえ込んでいるわけだ。これによりNOxは0.08g/km以下、黒煙粒子は0.004g/km(従来型エンジンで達成済み)というポスト新長期の規制をクリア。
 出力性能的には、ほぼ旧型4M41 型を上回り最高出力190ps/3500回転、最大トルクは441Nm/2000回転と10%以上向上している。燃費も不利なNOx吸蔵触媒、DPFを備えているが旧型を6%ほどアップ。
 4M41型ディーゼルは、あるていどコストを抑制しながらポスト新長期排ガス規制にパスする性能を達成したことが評価できるが、このエンジンの登場によりかつてはディーゼル比率が高かったパジェロのディーゼル復権がなるか興味深いところである。

リコールに見るトヨタの失われた10年を考える(2)

 トヨタのクルマ作りが大きっく転換したと考えられるのは、2000年7月から始まった3ヵ年計画の「CCC21」が契機になったと考えるのが妥当だろう。
 当時の渡邊社長が推進したCCC21活動は大規模な、内製品を含む総原価低減運動であるが、従来の原価低減は、既存の部品からどれだけコストダウンするかという相対目標型だったのに対し、CCC21は各部品やコンポーネンツについて世界で最も高い品質、価格競争力をベンチマークとする原価低減を目指す絶対目標型としている。
 そしてこれを実現するために、トヨタと部品を購入しているサプライヤーが一体になって取り組むことになった。中でも購入部品は、購入総額の90%以上を占める170品目について重点的に大幅なコストダウンを実施することにした。
 このためにトヨタの技術部門、生産&生産技術部門、購買部門、サプライヤーが一体で取り組むサイマルテニアス・エンジニアリング(SE)と位置づけられた。
 実際には部品メーカー、素材メーカーとトヨタが製品の設計段階から連携し、部品の共通化や製造方法の抜本的な見直しを行い、設計・技術、生産、購買、固定費という4つのフェーズからアプローチされた。
 合言葉としては、1~2割のコストダウンではだめで、4~5割コストダウンできるような技術や製造法が模索されたのだ。またこの過程で、トヨタは1次下請けから末端下請けまで、原料費、加工費、労賃×工数、利益など部品単価を構成する要素を丸裸にし、コスト低減ができる部分に指摘した。
 逆にいえば、サプライヤーはこうした課題の元で従来の部品の価格を抑えるのではなく、課題をクリアできる新たな製法の部品を提案する必要に迫られたともいえる。
 トヨタサイドからいえば、世界で最も良いものを、最も安く、最もスピーディーに、そしてタイムリーに調達するということだ。そしてコスト削減で得られた利益の一部を新型車の商品力向上に割り当てるしくみとした。
 CCC21の達成目標は3ヵ年で1兆円のコスト削減としていたが、実際には4ヵ年で1兆円を上回るコスト削減を達成している。

04減価推移
 
 いうまでもなく、トヨタのこの活動は他の自動車メーカーにも伝わり、各メーカーともにトヨタのプロジェクトに追随した。ただし、トヨタと同等の部品購買数でなければ同じようなコスト削減のメリットは得られない。
 トヨタがCCC21を実施した背景には世界No1の自動車メーカーの座を目指し、研究開発、生産投資、部品購入を含め拡大の一途を遂げていたことが考えられる。
 また過去にもたびたび指摘されたように、車種ごとの部品を共通化、モジュール化徹底することにも改めて挑戦されている。
 例えば2000年時点で、トヨタのドア・アシストグリップは130種類あったが、同時期のVWグループは3種類とされていた。当然ながらVWグループの同部品の購入コストはトヨタよりはるかに安い(もっともVW/アウディグループは種類を少なくして量産効果を生かしたコストダウンと、そのメリットを生かして上級品質の部品を下方展開し、下級グレードの車種の質感を高めて他社との商品差を拡大するするという戦略を採用している)
 またVW/アウディグループが最初に着手し、日産などが追従したライン外(またはライン傍でのサプライヤーによるユニット組立)でのモジュール組立に関してはトヨタは関心を示さなかった。サプライヤーにモジュールの組立を依頼して導入するよりトヨタのラインでの組み付けのほうが安いという判断だろうか。
 いずれにせよこうした背景もあってCCC21は、従来の設計チームごとの車両最適化設計を否定するという、これまでの常識を根底から覆すチャレンジでもあった。部品の共通化や部品の種類の抑制のためにはサプライヤーが他社に供給している部品を流用することも容認された。
 

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 販売台数の増大により売上高、営業利益、純利益ともに過去最高を記録していた2005年4月からは、また新たなフェーズに入り、CCC21を進化させたVI(バリューイノベーション)活動をスタートさせた。
 VI活動は、設計思想にまで踏み込んで開発先行段階からコスト/バリューの見直し行い、原価低減の対象は従来の部品単位に加えて、複数の部品を組み合わせたシステムの単位にまで拡大させることになった。
 自動車メーカーの多くは、VA(バリューアナルシス。本来の意味は価値分析だが、実際には同程度の性能であれば低価格の部品に置き換えるコスト低減を意味する)を行っており、ランニングチェンジの機会に、部品をより安いものに置き換えるという手法をとっているが、トヨタのVIは名称は似ているが、発想は根本的に異なっていた。
 クルマに搭載されるエンジン系統や安全装備系統など、システムごとの機能や配置を見直し、同じ機能を持つ部品やシステムを統合することで部品の数を削減するなど、従来常識としていた設計や工法を見直すことにより、商品の品質は落とさずに、使用部品の数や材料使用量を低減することとされた。例えば樹脂部品は性能はそのままで厚さを半分程度にすることによって材料の使用量を3割低減し、原価を下げる、ECUを統合することでECUのユニット数を減らすなども推進した。

06 VI詳細

 もうひとつは、生産面の大幅な見直しは2000年頃から着手されている。クルマ作りの工程はどこまでシンプル化できるか、生産設備はどれだけスリム化できるかをテーマに、これまでの常識を破る生産技術革新も同時に進行され、これたUMR(Unit & Material Manufacturing Reform)プロジェクトと名付けられた。生産システム全体の簡素化、生産ライン長の短縮など、生産工程でのリーン&シンプル化が推進された。
 プロジェクトの合言葉は、桁違いへの挑戦、非常識への挑戦とされた。金型や生産設備、さらには生産ラインを究極までシンプル化・スリム化しようとするもので、これにより設備の初期投資や製造コストの大幅削減だけではなく、海外拠点でも作業効率を向上させ、安定品質を確保するために必要とされた。
 このため、型の設計見直しにより工程もシンプルにすることが追求され、ダイキャストや樹脂射出成形型は従来の体積の1/3~1/10へとコンパクト化され、そのためにトヨタ内製のマシンを開発。これらの活動により生産ラインでは機械加工と組立のライン総延長は従来と比べ1/3~1/6に短縮されたという。
 また同時に、バーチャル技術を採用したデジタル組み付け検討システムも全面的に取り入れられている。
 VIはCCC21を上回るスピード、規模、低減効果額を目指して展開することになった。(VI活動が反映された第1号車は2008年2月に発売した新型クラウンである)
 このように、大幅なコスト削減活動と、世界的な規模での販売の拡大をもとに、2008年度には売り上げ、利益ともに過去最高水準に達し、同時に世界No1の生産台数を記録し、念願の世界一の自動車メーカーの称号を手に入れた。

08 価格高騰VI

 しかし、2008年秋のリーマンショックによる大幅な経済の減速と、新興国需要の拡大という背景を持つ原料費(鉄、ゴム、、樹脂、貴金属など)の大幅な価格高騰が襲いかかってきた。
 このため売り上げ高、収益が大幅に低下事態に直面し、2009年からは緊急VA(バリューアナルシス)が実施された。
 このVAは、既存車種のより安い部品への置き換えによるコスト抑制を意味している。

09 緊急VA
 
 
 このような2000年から10年間にわたる原価低減活動は、確かに1兆円をはるかに超える、年平均で2000億円~3000億円というコスト低減効果を生み出し、その何割かは商品性の向上にも割り当てられ、ユーザーもまたその効果の一端を享受している。
 またこのような原価低減活動の中から生まれた3代目プリウスは爆発的なヒット作となり、トヨタは大きな自信を持ったはずである。
 その一方で、クルマ作りの概念が大きく変わったことも見逃せない。
 ひとつは、クルマの開発体制の変化である。トヨタでは製品企画部の車種担当の主査(現在はチーフエンジニア=CEと呼ぶ)制度のもとで、CEの強力なリーダーシップにより開発が推進された。CEは与えられた予算をもとに、妥協のない開発を行うことが使命であり、優れた設計ができない担当者にはムチを振るうということさえ珍しくなかった。
 また、CE制度と同時に製品企画の担当者や実験部の担当者の独善を排除し商品性のレベルをユーザー視線からチェックする商品監査室がCEの直属として存在していた。商品監査の担当者がNGを出せば設計や実験部署はやり直しになることもあった。
 つまり、顧客にとって妥協のない最高のクルマ作りを行うという体制、システムがあったのである。
 しかしCCC21活動以降は、設計思想が大きく変化し、CEは最適なクルマの開発を指揮・推進するというより開発コンセプト(トヨタ流では主査構想)や目標性能を作ることと、VIを推進している各設計部署の統括管理に限定され、極端に言えばクルマ開発のプロフェショナル・エンジニアから商品企画担当&開発プロセス推進者に変質したといってもよいだろう。
 またバルブ期には鳴り物入りでメディアに登場したトップガン・ドライバー(実際にはトップガンという制度は存在せず、ドライバーは商品監査室に所属したり、設計、実験部署に所属していた)、つまりクルマの走りを総合的に評価する高度な技能レベルを持つ評価ドライバーの存在感が失われ、各実験部署での個々の評価で満足されるようになる。
 トヨタより早い時期に日産では「評価ドライバーの声は神の声」が定着し、商品評価を担当するエキスパート・テストドライバーにクルマの作り込み、熟成に大きな権限が与えられた話は有名だが、日産もおよそ15年でこのシステムはほぼ消滅し、テストドライバーは昔通りに各実験部署での実験データ取りと評価報告を行うことになっている。そういう意味ではこれはトヨタだけの特別な現象ではないといえる。
 1980年代にトヨタで確立された開発・設計のフロントローディングで、設計の出図(設計詳細の決定)から14ヶ月でラインオフ(量産1号車)を行うという驚異的な開発速度は世界の自動車メーカーを驚愕させた。日本だけではなくドイツの自動車メーカーもこぞってこの方式、発想を採用した。開発工数、つまり開発にかかわる人件費や試作費を劇的に低減できるからだ。(その対極として、トヨタ/GMの共同開発車キャバリエは5次試作車まで作ったという)
 ただし、ドイツの自動車メーカーは、この方式を導入するにあたり、性能や品質に問題がある場合は品質管理部門の決定で量産ラインを停止できる権限を与えている点がユニークだ。
 フロントローディングでは開発の段階では1発試作車(開発のフェーズごとに試作車を作って評価を行うのではなく、開発末期に1回だけ試作車を作る)が常識となり、開発の節目ごとに評価するという手法は消滅した。
 2000年代にはトヨタに限らないが出図から12ヶ月以内にラインオフするクルマも珍しくなくなっている。もちろんこうしたクルマは他車との共通のプラットフォーム、共通のコンポーネンツを採用しアッパーボディのみを新設計したクルマである。
 こうした流れの中で、共通のプラットフォーム、共通のパワーユニットや主要コンポーネンツを搭載したクルマは、そのパワーユニットやコンポーネンツの評価テストは省略する、あるいは簡単な確認テストに限定することが常態化した。つまり実験に要する工数を低減させることを狙ったわけである。
 こうした状況が、プリウスやレクサスGX460(ランドクルーザー・プラド)などに象徴されるのリコール事件の背景になっていることは間違いないだろう。
 2005年にがCF(カスタマーファースト)と名付けられた、市場に不具合を出さないとう活動を開始しているが、2007年からは自工程完結と呼ばれる活動に変化した。自工程完結は品質は各工程で造り込み、後工程に最高品質の仕事を手渡すということを意味するが文字通り該当部署内で作り込みを完結させる発想になっているのだ。担当セクション内で自己完結することによりリスクを抱えることになったといえるかもしれない。
 渡邊社長から豊田社長に代わり、リコール事件が発生した後、豊田社長は開発期間をプラス1ヶ月とすることを決めている。この1ヶ月は最終評価テストを行うことにあてられることになるだろう。
 10年間にわたる徹底した原価低減活動は、トヨタの収益を向上させただけではなく、商品性の向上などにもあてられたが、問題点はやはりクルマ作りの体制や思想を変えてしまったこと、クルマ作りに要する工数を大幅に省略したことに尽きると思う。
 企業にとって原価低減は必然であり、トヨタ方式の強力な原価低減は他の自動車メーカーを戦慄させるにじゅうぶんであったが、クルマ作り、熟成という本質的な部分にま大きなで影響を与えたことが最大の問題点であり、これを失われた10年と呼ぶゆえんである。
 2009年に就任した豊田社長は、規模の拡大を急ぐあまり人材育成が追いつかなかったと語っており、その結果多くの見落としや体制の不備が発生したことを認めている。
 また技術開発的にも、1997年に発売されたプリウス以降停滞しているのも事実である。
 これらの問題点を解決すべく、トヨタの豊田社長ははとりあえず舵を切った。
 ただ、かつてのCEのような、クルマ開発のプロフェッショナルは世代交代によりもはや現役ではなくなっているので、新たな体制の下でクルマの開発を行うための人材不足はしばらく続くものと思われる。

リコールに見るトヨタの失われた10年を考える(1)

 すべての発端は2009年秋にアメリカで発生したレクサスの暴走による死亡事故だった。
 この事故は、アクセルペダルが2重に敷いたフロアマットに引っかかり、走行中にアクセルペダルが戻らなくなったのが原因で最終的にレクサスは大破した。走行中にこのレクサスの乗員は電話で警察に助けを求めた音声記録が残り、マスメディアでセンセーショナルに取り上げられた。
 調査したトヨタは、ユーザーが追加した2重のフロアマットが原因による事故として、ただちにリコールを考えなかった。
 またこの件が引き金になり、トヨタの他車種でも走行中にアクセルペダルの戻りが悪くなり、ドライバーの意志に反して加速を抑制できない事例が2007年以来報告されていることがアメリカ運輸省・交通安全局により明らかにされた。
 これはアメリカの部品メーカーのCTS社が製造したトヨタ仕様の電子スロットル用アクセルペダルが使用条件により戻りが悪くなることが原因であった。
 この不具合情報に関してもトヨタUSAは調査に時間を費やし、迅速な対応を行わない印象をアメリカ運輸省・交通安全局に与えた。もちろんトヨタUSAはリコールを行う権限を持っていなかった。運輸省・交通安全局はトヨタに対してリコールするように要請した。トヨタ本社の対応は明解さやレスポンスのよさに欠けていたが、けっきょくリコールを決断することになる。
 年末にはアメリア運輸省・交通安全局はトヨタ本社を訪れ、トヨタとリコールの実施を再確認したが、ラフード長官はトヨタ側の決断の遅さに不快感を示したという。
 アメリカ市場を舞台にした一連の動向は、GMの破綻後、GMとの合弁自動車製造会社NUMMI(ニューユナイテッドモーターマニュファクチャリング会社)をあっさり閉鎖することを発表したトヨタに対し雇用を重視するアメリカ政府の政治的プレッシャーという穿った見方もある。けっきょくトヨタは、一連の不具合に関してUSAの社長のみならず豊田章男社長までアメリカ議会の公聴会で証言を行わざるを得ない事態に追い込まれた。
 その後、トヨタは電気自動車製造ベンチャー企業のテスラーと業務提携を行い、旧NUMMIは新たにテスラーとの共同製造工場とすることで決着をつけた。
 つまり、トヨタはGM破綻にともなうNUMMIの閉鎖決定によって引き起こされる政治的な反応を検知できなかったといえる。そもそもトヨタと GMの合弁事業は、日米貿易摩擦の過程から生まれた政治政策的な事業であったにもかかわらず、である。
 北米市場をメインにしたトヨタのリコール台数は700万台以上に達した。
 
 
 結果的には、同じトヨタ仕様のCTS社製のアクセルペダルは、イギリス市場では実は前年にリコールを実施していたことが判明した。つまりトヨタ本社内のイギリス市場担当品質管理部署と北米担当の品質管理部署の品質に関する情報の共有が行われていなかったことが明らかになる。
 またこの大規模リコールと連動して、日本において新型プリウスのブレーキ問題がマスメディアで取り上げられた。発売直後の2009年から国交省サイトの不具合情報報告ページに新型の30型プリウスがある条件でブレーキの効きが弱くなるという現象が報告されていた件がマスメディアによって大々的に報じられたのだ。
 この件でもトヨタの対応は後手に回り、的確ななユーザー不具合情報を持っていなかったことや、報告されたような現象が発生する可能性はあるがリコールに値するような問題ではないという認識を持ってマスメディアに対応したことが逆効果を生み、国交省の指揮のもとでけっきょくリコールを行うことになうことになった。さらにプリウス問題に関して豊田社長自らが説明会見を開かざるをえなかった。その一方で、おそらく社内の実験部門では以前から問題点を把握していたことも推測された。
 業界的な視点で言えば、世界的な自動車製造のリーディングカンパニーであるトヨタの情報収集能力や企業の見解、意志を発表する広報体制が崩壊していることをあらわにしたといえる。かつての雪印事件や三菱事件と同等レベルで、危機管理体制は皆無に等しかったといわざるをえない。
 
 
 北米での大規模リコールと日本を舞台にしたプリウス・リコール問題により、トヨタ社長は社内体制の再構築を決定した。
-----------------------------------------------------------ニュースリリース
 2月17日:今まで以上に各地域のお客様の声に耳を傾けるために、各地域の品質特別委員「チーフ・クオリティ・オフィサー(Chief Quality Officer)」を新たに任命し、「グローバル品質特別委員会」を設置する。各地域のお客様の声をより早くダイレクトに、品質本部・開発本部に伝え、品質改善に結びつける仕組みの強化として、まずは米国において、技術分室の増強により情報収集の網の目を細くし、原則24時間以内に現地に向かい、一件一件調査できる体制を目指す。
 
 3月30日:第1回「グローバル品質特別委員会」(委員長:豊田社長)を開催し、各種業務におけるお客様視点の強化に向けた抜本的見直しを各地域事業体含め全社一丸となって取り組むことを確認した。
 委員会には、北米、欧州、中国、アジア・オセアニア、中近東・アフリカ・中南米の各地域のお客様の声を代表する「Chief Quality Officer(以下、CQO)チーム」をはじめ、社内の各機能の代表者、及び関係者が出席。リコール等の品質問題の要因を検証しながら、「設計品質」、「製造品質」、「販売品質」、「サービス品質」の全ての工程における振り返りを実施。各地域のお客様の視点を踏まえ、グローバル規模での情報共有の強化、活動の高い透明性確保を念頭に、各種課題の解決に向けた改善内容を策定した。
 会議の内容
【リコール等の市場処置決定について】
各地域の車両品質責任者がお客様の声をお聞きし、グローバル本部でのリコール等の市場処置決定に参画して、お客様の声や地域の意思が確実にリコール等の市場処置決定に反映される仕組みを構築する。
各地域のCQOチームやリコール検討に参画する車両品質責任者は、苦情、不具合、リコール情報等をグローバルに素早く共有する。
これらを実現することにより、「地域とグローバル両面で、最適かつスピーディなリコール等の市場処置決定プロセス」の構築を図る。
【情報収集力の強化】
できるだけお客様に近いところで品質情報を収集する体制を各地域で強化。一例として、米国ではSMART活動により迅速に現車確認を実施する。また「技術分室」を北米では現在稼動中の1ヶ所を7ヶ所に拡充するとともに、欧州7ヶ所、中国6ヶ所、その他地域についても同様に新設予定。
事故原因の究明のため、北米では当局と連携しながら、事故時の車両状態及びドライバーの操作状況の把握ができるイベントデータレコーダー(EDR)の使用環境を整備し、調査への活用を拡大。他地域においてもEDR調査について当局と話し合い、活用の検討を進めていく。また、既存のリモート通信機能(G-BOOK等)を通じ、品質改善につながる情報収集の仕組みを構築する。
【タイムリー・的確な情報開示】
地域レベルの品質向上活動内容を各地域の外部専門家に評価を依頼することに加え、
「グローバル品質特別委員会」で策定された改善内容についても外部の各種専門家・有識者4名により確認・評価を実施。「グローバル品質特別委員会」の第1回の評価結果については2010年6月頃を目途に公表予定。
メーカー・販売店が一体となり、安全技術や安全運転の方法など、お客様のクルマの安全使用に寄与する啓発ツール等を活用したコミュニケーションを充実する。
【製品のさらなる安全性と安心の向上】
より迅速かつ確実にお客様の声を設計に反映するために、専門部署を技術部内に設置する。
お客様のさらなる安心のために、アクセルペダルが踏み込まれた状態でブレーキペダルが踏まれた場合に、エンジン出力を抑制するBOSを2010年より、世界各地で生産されるモデルに順次搭載する。
【人材育成】
品質管理のプロを各地域で育成すべく、2010年7月迄に「CFトレーニングセンター」を日本、北米、欧州、アジア、中国に開設。

 4月30日:技術管理本部に設計品質改善部を新設。お客様の声のより迅速な設計への反映と製品開発プロセスの見直しによる設計(図面)品質の更なる向上を図る。
 
 7月30日:日本科学技術連盟と外部専門家による「品質保証体制の改善に関する評価報告書発表。内容はより迅速にユーザー不具合情報を把握する体制を構築することと、重要問題発生時の社内外コミュニケーションの改善。
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 このように矢継ぎ早に社内での体制、特に品質管理体制の見直しが行われた。
 また、従来はリコールに対して抑制的な姿勢を改め、不具合が発生した場合は従来よりリコール判断基準を下げ迅速にリコールを行うことも決定した。
 リコール制度は設計や製造段階を原因とする不具合が発見された場合、道路運送車両法第63条の3に基づき、メーカーが国土交通大臣へその旨をあらかじめ届け出て、該当する製品を無料で修理をする制度のことで、一般的には安全上で重大な危険を招く恐れがある場合に実施すると考えられている。実際には不具合対策として、リコール以外に、改善対策 、サービスキャンペーンというレベルがあり、どのレベルの対策を行うかは自動車メーカー側の考え、国交省との協議によって決定されるので、自動車メーカーにより温度差があるのも事実だ。
 かつての例では、スバルがアイドリング制御の不具合により一部の車両でエンストする可能性があったため、ECUの交換をサービスキャンペーンで実施しようとしたが、国交省との対応がまずく、国交省の指示によりリコールに変更された例がある。三菱自動車、三菱ふそうのリコール隠し事件も、当初はサービスキャンペーン、あるいは改善対策といったレベルで国交省と協議済みであったようだが、実際にはマスメディアの報道が先行し、最終的に事故の裁判では「事故原因を(部品の)強度不足と断定できなくても、その疑いがあった時点でリコールすべき」と言う判決が出された。
 つまり当初のリコールの概念より拡大した解釈がこれで一般化したといえる。
 その一方で、VW社のように設計、テスト段階では発見できず市場で発見された不具合は事象の大小によらず躊躇なくリコールを実施するという企業ポリシー持つ例もある。こうした点はメーカーによりかなり温度差があるのも事実だ。
 結果的にはトヨタもリコールをできる限り抑えるという発想から、市場で不具合が発見された場合は迅速にリコールを行うことになった。
 いうまでもなく、クルマのリコールは、販売台数が多いほど膨大なコストを要する。市場で販売された車両を全車追跡し、対策部品への交換を100%完遂する必要があり、販売店にも大きな負担を課すことになるからだ。しかし、そうしたコストや工数負担よりもメーカーとしての責任や信頼を重視せざるを得なくなっている。
 
 
 しかし、これらと相前後して、ある意味でより深刻な不具合、リコールがトヨタで発生する。
 4月にはアメリカのコンシューマーリポートの指摘により、レクサスGX460(ランドクルーザー・プラド)が高速の右カーブで急激にステアリングを切った場合、VSC(ESC)が適切に作動せずスピンにいたるという案件である。トヨタは、同車は燃料タンクが左側にあり左ハンドル車では、重心が左寄りになる。このため車両傾斜制御(KDSS)とVSCが採用された車両で特に18インチタイヤ装着車はVSCの効きが弱まるときがあると弁明したが、リコールを決定した。
 これは車両テストが行われていなかったことを意味しているのではないか。
 あるいはテストでは確認されていた現象であるにもかかわらず、発売されてしまったのではないのか。
 5月21日にはLS460、LS460L、LS600h、LS600hLの可変ギヤ比ステアリングの制御プログラムのリコールが行われた。「ギヤ比可変ステアリングシステム(VGRS)の制御プログラムが不適切なため、通常の据え切り操作から急ハンドルのような素早い戻し操作をすると、一時的にハンドルの中立位置が大きくずれることがあります」という内容だ。この現象は発売時から認識され、取扱説明書にも中立位置がずれる場合があると記入されていたが、けっきょくリコールに踏み切った。
 つまり現象は把握されながら発売されていたのだ。

 また7月には、クラウン、レクサスGS350、GS450h、GS460、IS350、LS460、LS600h、LS600hLで、「動弁機構のバルブスプリングの材料中に微小異物があるとスプリングの強度が低下して折損することがあります。そのため、異音が発生してエンジン不調となり、最悪の場合、走行中にエンジンが停止するおそれがあります」としてリコールを決定した。
 これも衝撃的なリコールである。これが発生した場合にはエンジン停止ではなくエンジン破損である。他社を含めてこうしたクルマの基本要素に関するリコールは前代未聞といえる。また、単純に部品メーカーの一定ロットの部品(バルブスプリング)不良であったとはとても考えられない。
 対策としては、販売店でシリンダーヘッドを分解し、バルブスプリングを交換するというかつてないリコール作業が行われることになったが、販売店でこうした作業を行った場合、精密なバルブクリアランス調整は本当に実施できるのだろうか。

 同じ7月には、ランドクルーザーが「ステアリングシャフト連結部の構造が不適切なため、大きな段差乗り越え時にシャフトの抜け方向の固定部品が外れることがあります。その状態で、ハンドルを一杯に切る操作を繰り返すとシャフトが抜け出して、かじ取り操作ができなくなるおそれがあります。」としてリコールされた。
 これはヘビーデューティ・クロスカントリー4WDとして致命的ではないのか。
 実は2005年にランドクルーザープラド、ハイラックスサーフが「ロアアームとナックルアームを連結しているボールジョイント内部の組付け工程が不適切なため、ジョイント球面部に傷がついたものがあります。そのため、そのまま使用を続けると、ボールジョイントの摩耗が早期に進行してガタが増大し、最悪の場合、ボールジョイントがナックルアームから外れ、走行不能に至るおそれがあります」といったリコール例や、2006年に同じくランドクルーザープラドで、「リヤアクスルシャフトのフランジ部の強度が不足しているため、高速で山間の屈曲路等を繰り返し走行すると、フランジの付け根部に亀裂が発生するものがあります」としてリコールが行われている。
 これらは、リコールとして最も多い、部品の組み付け不良、特定部品の不良などとは次元が異なる重大なリコールといわざるをえない。
 プリウスのリコールは、確かにリコール前でも車両としては安全基準をパスしており、特定の条件化でドライバーがブレーキ力を適切にコントロールすれば、危険といえるまでの事態にはならないレベルであったが、バルブスプリングやステアリングシャフトの不具合は、それとはレベルが異なるのは明らかだ。
6月にはカローラ系で、「助手席用エアバッグのインフレータ(膨張装置)内のガス発生剤組付け作業が不適切なため、ガス発生剤の装填量が不足しているものがあります。そのため、車両の振動でガス発生剤が粉状となり、エアバッグが展開するとインフレータ内圧の異常な上昇で容器が破損して構成部品が飛散し、乗員が負傷するおそれがあります」というリコールが行われているが、内容的には一般的で、ありがちなリコール事例だ。
 こうしたいわば常識的なリコールとは根本的に異なるクルマとしての生命線にかかわるリコールがあったのである。
 いいかえれば、リコールというひとつの対策以前の、クルマ作りに関わる大きな問題が背景に横たわっていると考えざるを得ないのである。

スバルの新2.5Lエンジン、フォレスター2011年モデルに搭載

 アメリカで今秋に発売されるフォレスター2011年モデルに、新開発の水平対向4気筒2.5Lエンジンが搭載される。北米向けのフォレスターは従来から2.5Lエンジンが搭載され、ターボ仕様と自然吸気仕様の2種類がラインアップされているが、2011モデルイヤーから自然吸気仕様の2.5Lエンジンが一新されたのだ。
 従来北米用フォレスターに搭載された2.5L自然吸気エンジンは、日本市場ではレガシィに採用されている仕様と同じで、SOHC・16バルブで可変吸気システムを装備。排気量は2457cc(99.5×79.0mm)。圧縮比10.0のレギュラーガソリン・タイプで、170ps/5600回転、229Nm/4000回転を発生した。
 上級モデル用のターボ版とは異なり、燃費経済性、低中速特性を重視したベースエンジンという位置付けだ。

old.jpg
↑従来型SOHC・2.5L

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↑新エンジンのベースと思われる3.6L
 
 新開発された2.5Lエンジンも、もちろんベースエンジンというポジションには変更はなく、より燃費と低速トルクを強化したアップグレード版といえる。
 新エンジンの排気量は2498ccとなり、ボア・ストロークは変更されていることを意味する。現時点で、正確なボア・ストロークは不明だが、従来の79mmストロークから91mmストロークに変更されていると推測できる。
 エンジン機構は、従来のベルト駆動SOHC/16バルブからチェーン駆動DOHC/16バルブに変更されている。出力は従来と同じ170psだが、最大トルクは236Nm/4100回転にアップ。
 また燃費はEUモードで9.0L/100kmから8.7L/100kmに、EPAシティ燃費では20mpg(MT)/21mpg(AT)、ハイウェイ燃費は27mgpと従来より向上しているという。
 
 残念ながら現時点ではエンジン本体の画像は入手できていないが、ベースになっているのはレガシィ・アウトバックに搭載されている3.6Lの水平対向6気筒を4気筒に手直ししたものと考えられる。この6気筒エンジンは圧縮比10.5で、レギュラーガソリンを使用しており、ボア・ストロークは92.0×91.0mmというロングストロークエンジンなのだ。この4気筒版と考えれば、わずかにボアアップすれば2498ccとなると考えるのが妥当だ。
 
 アメリカにおけるフォレスターは2009年にモータートレンド誌でベストSUVに選ばれたほか、IIHS(高速道路安全保険研究所)での衝突安全テストでベストの成績を記録。市場での評価も高く、何と販売台数は35%もアップしているという。なおアメリカでは直4エンジンはチープなエンジンとされ、V型が優位性を持つ風潮があるが、水平対向エンジンはV型の仲間とみなされ、直4エンジンよりは優位に立っているそうだ。
 このような背景もあって、新ベースエンジンが北米のフォレスターに最優先で搭載されたのだろう。もちろんこの新エンジンは順次搭載車種を拡大し、日本市場には来年初夏あたりに登場すると考えられる。


↑コンシューマーリポートによる2011年型フォレスター紹介
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