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日産の新プリクラッシュブレーキなど新技術を発表

 7月28日、日産がスバルに続いて追突回避、プリクラッシュブレーキの技術発表を行った。日産は従来からレーザーレーダーを使用したプリクラッシュシステム、アダプティブクルーズコントロールを採用していたが、クルーズコントロールは従来は5km/h~100km/hの範囲での設定であった。しかし、規制の変更に伴い、0km/h~100km/hの全車速追従が可能になり、自動停止も行うことができるようになった。またナビ協調制御も行われ、ナビの地図データでカーブをを先読みして自動減速した後、設定車速に復帰する機能も備えている。

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 新たに発表されたプリクラッシュブレーキは自動ブレーキ&停止が実現された。日産はレーザーレーダーを使用して、先行車、障害物を認識し、車間距離が縮まると警告表示と警告音とともに、アクセルペダルを自動的に押し戻し、緩やかなブレーキをかけることでドライバーに安全な回避操作を行えるよう支援することが第一の特徴だ。
 なお、このシステムでは60km/h以下の車速で作動するようになっている。言い換えれば緩やかなブレーキとアクセルペダルの押し戻しを伴う1次ブレーキに時間を長めに設定しているようである。
 ドライバーが警報、緩やかな自動ブレーキでの状態でもブレーキを踏まず、追突の危険が迫っていると判断されると、さらに強い警報と同時に自動的に強い自動ブレーキをかける。この時にはシートベルトを巻き上げ、たるみを減少させることで、乗員の拘束性も高めるなど、プリクラッシュ制御が行われる。
 先行車、障害物との速度差が30km/h以下であれば衝突を回避できるのは、他車と同じである。
 このプリクラッシュブレーキは、今秋発売されるフーガに採用される予定だと思われる。
 
 またこのプリクラッシュブレーキとは別に、7月26日に移動物検知(MOD: Moving Object Detection)機能を開発したと発表した。これはすでに発売されているクルマの全周を視認できるアラウンドビューモニターを利用し、停車中や発進・低速走行時に自車の周辺に歩行者などの移動物があると、ディスプレイ上の表示とブザーでドライバーに警告するシステムだ。
 例えば駐車スペースからの発進時や、左右の見通しの悪い交差点への進入時にドライバーの視界で見落とした歩行者や自転車の接近を警報し事故を防ぐことが期待できる。このMOD機能は新たなセンサーはなしで、画像認識技術により実現しているという。

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50年前と現在のクルマの衝突実験

 10ヶ月ほど前の話になるが、アメリカのIIHS(高速道路安全保険研究所=INSURANCE INSTITUTE FOR HIGHWAY SAFTY)が50周年を迎えた。
*高速道路安全保険研究所

 IIHSは通常は「道路安全保険協会」と訳されるが、より正確には高速道路安全保険研究所だろう。
 IIHSは全米の保険業界によって設立された非営利の自動車安全研究所で、自動車事故発生時、事故発生後の損傷の研究や事故により補修費の調査からスタートし、1972年からは車種ごとのデータを消費者に公表を開始した。現在ではクルマ、人、交通環境などを含めて総合的に交通安全を調査・研究している。
 また、独自の自動車アセスメント、つまり衝突実験を行ってその結果を発表している。アメリカではNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)、すなわち政府機関でも衝突実験テストを行っているが、IIHSの衝突実験の方がユーロNCAPと同等のより厳しい条件であり、実際の道路で発生すると思われる要件を積極的に取り入れているのが特徴だ。
 またこうした研究実験のために自動車メーカーに匹敵する充実したVRC(車両研究センター)を1992年に建設しているのもすごい。
*動画=車両研究センター 


 50周年を記念して行われたのが50年前のクルマと現在の車との衝突実験だ。シボレー・ベルエア59年型(当時、大ヒットとなった人気モデル。ベースは3.9Lの直6、オプションで4.6L、または5.7LのV8エンジンが搭載され、トランスミッションは3速または4速MT、2速ATの大衆向けフルサイズカー。ホイールベースは3000mm、全長は5400mm)と、現在のシボレー・マリブ09年型(FF中型モデル。エンジンは、2.4Lの直4、または3.5LのV6を搭載。トランスミッションは4速、または6速AT。全長は4872mm、ホイールベースは2852mm)のCar to Car衝突実験である。

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 つまり50年の隔たりのあるほぼ同格のクルマの衝突実験はとても貴重だ。
 衝突速度は64km/hのオフセット衝突で、現在のIIHSの64km/hでのデフォーマルバリアに対するオフセット衝突実験に相当する。

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 結果は画像の通り。空前の繁栄を謳歌した1950年代のアメリカを象徴するフルサイズカーの結果は悲惨である。
もちろん50年前にはシートベルトもエアバッグもなし。また根本的に車室の生存空間が・・・

*動画=シボレー・ベルエアVSシボレー・マリブ

 ちなみに、このシボレー・ベルエア59年型と同じ年、1959年にダイムラーベンツ社が220b(フィンテール・モデル)において、特許を取得した衝撃吸収ボディ、突起物のないインテリアを世界で初めて採用している。 

年改記号C WRX-STIにセダン追加

 7月1日、インプレッサWRX-STIシリーズがマイナーチェンジされ、ついに4ドアセダン・モデルが追加された。年改記号は「C」となる。
 年改というレベルのマイナーチェンジの内容は、フロントデザインの変更、インテリアの質感向上、新色(プラズマブルー・シリカ)の追加など。またシャシーの細部の改良を行い、意のままに操る愉しさを高める方向にチューニングした。

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 この結果、従来からの5ドアハッチバックのWRX-STIと、WRX-STI・A-Line、4ドアセダンのWRX-STI、WRX-STI・A-Lineという4車種となった。
 なお、マーケットではWRX-STIとWRX-STI・A-Lineはほぼ50:50の販売比率であるが、セダンの追加により、5ドアハッチバックと4ドアセダンの比率も50:50になればという希望のようだが、やはり試乗はセダンに傾くと思われる。
 インプレッサ・シリーズは2007年7月にデビューしたが、それに先立つアメリカでの発表では5ドアハッチバックと4ドアセダンの両方がラインアップされていた。しかし日本では5ドアハッチバックのみのラインアップとなった。
 主力となる1.5Lモデルは、長らくスポーツワゴンという名称のショートワゴンがメインになっており、ヨーロッパでの展開を考えるとやはりこのクラスは5ドアハッチバックが本流ということでの路線転換であった。
 また遅れて10月に登場したWRX-STIも同様に5ドアハッチバックをベースにしたワイドボディとなった。これは、世界ラリー選手権戦ではより全長の短い、特にリヤのオーバーハングの短いハッチバックボディが最適という理由であった。
 ただ、従来からのWRX-STIの流れからいえば、セダンボディの設定が無いことは買い替えオーナーを失望させたことは確かだ。
 その後、日本でのインプレッサに4ドアセダンが導入され、ついに今回からWRX-STIにも4ドアセダンが設定された。

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↑WRX-STI 4ドアセダン 

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↑WRX-STI A-Line 4ドアセダン 
 
 インプレッサWRX-STIは、三菱のランサーエボリューションとともに世界の有数のカルトカー(少数の熱狂的な支持者を持つクルマ)として認識されている。もちろん本質的には世界ラリー選手権に参戦するためのホモロゲーションモデルとしてスタートし、実際にWRCに参戦するベース車になっている。
 また同時に、2.0Lのハイパワーターボエンジン、フルタイム4WDシステムを採用することで、圧倒的に高い動力性能、スポーツ性能を発揮し、路上でも独自のポジションを作り出した。市販モデルでもこうした高性能モデルが販売され続ける例は世界的に見ても少なく、日本だけではなくヨーロッパ、地中海、南米、豪州、東南アジア、アメリカなどほぼ世界中で熱狂的な支持者に支えられたカルトカーとなった。
 カルトカーの宿命として、より高出力、より高価なブレーキやエアロ装備が常に求められて行くことになる。
 この路線をいくらか修正するために送り出されたのがWRX-STI・A-Lineだ。2009年から5速AT、2.5Lターボエンジンという組み合わせで、高い動力性能やスポーツ性能とロードカーとしてのプレミアム性を盛り込んだグレードを新設定した。
 実は、日本以外、主としてアメリカやヨーロッパでは、2007年から2.5LターボのWRXモデル設定を行っていたが、それを国内にも設定したともいえる。
 今回も、WRX-STI・A-Lineは、スポーツ性と高級感を融合させた、プレミアムタンインテリア・パッケージをオプション設定し、より方向性を鮮明にしている。

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↑リヤ・フォグランプ
 
 
 5ドアハッチバックボディ(型式名WRX-STI=GRB/WRX-STI・A-Line=GRF)と、4ドアセダンボディ(型式名WRX-STI=GVB/WRX-STI・A-Line=GVF)の相違点は、全長が4415mm(GRB)、4580mm(GVB)、ホイールベースやトレッドは共通、室内スペースの寸法も共通だ。
 車両重量も1490kg(GRBは1480kg)で同等レベルで、オプションの18インチBBSホイールを選ぶと-10kgとなる。
 なお10・15モード燃費も10.4km/L、5速AT/2.5LのA-Lineは10.0km/Lで共通だ。
 今回のシャシーの変更点は、まずフロント・ロアアームの後ろ側のブッシュにピロボールを内蔵したこと。この部分は大径のすぐり入りブッシュであったが、常時入力が大きく、ゴムのブッシュ部に亀裂が入る。ちなみに研実1部の渋谷氏によれば、この亀裂は一定以上は成長しないとのことだが、目に見える亀裂はあまり気持ちのよいものではない。
 この入力が大きいブッシュの内部をピロボールとすることで、左右方向のトー、トレッドの剛性が向上しているのだ。もちろん亀裂発生も低減されるだろう。

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 またリヤのメンバーと取り付けブッシュにもテーパー状の金属インターリングを採用し、トレッド、トー剛性を高めている。当然ながら、リヤメンバーの取り付け剛性が高まれば、車両の落ち着き、安定性が向上すると同時に、ステアリング応答性も向上する。

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 車高は5mmダウンさせた。もちろんこれは低重心化と空力性能向上に効果がある。ただ、このためバンプストロークはけっこうぎりぎりの所になっているという。
 ダンパー、スプリングのチューニングは数%高め、スタビライザー径もアップしている。
 狙いとしては、よりダイレクト感を高める方向である。イメージ的にはよりハード方向に振ったともいえるが、実際の乗り心地は特に変化はない。
 空力性能の向上のため、フロア下面の両側にも大型の樹脂カバーか採用され、ほぼフラットなフロア形状になっている。なお、マフラーは5ドアハッチバックはボディ後端に横置き、セダンは左右独立式(レガシィタイプ)という違いがあるが床面にほぼ埋め込まれるので空力特性は同等と思われる。
 空力性能は、cd値そのものは公表されていないが、セダンは大型のリヤスポイラーを装備しているにもかかわらずハッチバックより約5%(cd値で0.05)向上しており、最高速は5km/h高いという。この点では言われているほど大きな差ではない。

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ホンダが描く新ロードマップ

 このほどホンダの伊東社長の記者会見で、ホンダが描いている今後のロードマップが説明された。日産はすでに「ニッサン・グリーンプログラム(NGP)2010」を発表したが、ホンダの動向とは?
 
 
●IMAの普及:インサイトやCR-Zなど、ホンダハイブリッド方式のIMAシステムを搭載したモデルを発売し、昨年の国内ハイブリッド販売比率は16%にまで拡大した。今後もラインアップを拡充し、IMAの普及を加速させる。今後1年をめどに小型車を中心にIMAを搭載したモデルを複数、国内市場に投入する。第一弾となるフィット ハイブリッドは今秋に発売する。
 なおハイブリッドの進化に欠かせないバッテリーの技術進化も推進し、次期シビック ハイブリッドに採用する予定の高出力、コンパクトなリチウムイオンバッテリーは、今年後半から稼働を開始するGSユアサとの合弁会社「ブルーエナジー」から供給することを決定。


●プラグインハイブリッド:中型以上のモデル向けにプラグインハイブリッドを開発し2012年に日米で発売予定。ホンダはクルマのサイズや用途に最適なハイブリッドシステムを複数開発しており順次搭載を行うという。 なお、先代の福井社長は「プラグインハイブリッドの意味が分からない」と当時語っていた。福井氏にすれば、大容量で重量が重い、高価な大型バッテリーを搭載したプラグインハイブリッドカーは、本質的に不合理だと考えたと思われ、実際そうした側面を持っている。しかし、世界のトレンドは急速に電気自動車やプラグインハイブリッドに傾斜しており、こうした市場動向を無視するわけにはいかないと、伊東社長は考えたのだろう。


●ガソリンエンジン:中期的に見れば依然としてガソリンエンジンが主な動力源であり、その性能と燃費向上のための技術進化を推進する。2012年から順次、エンジンとトランスミッションのラインアップを刷新し燃費の向上をはかる。この面ではホンダは案外と後手に回ったといわざるをえない。逆にいえばIMA開発にリソースを集中していたのだろう。
 またホンダは長らくターボ過給技術を忌避してきたので、この穴を埋めるためにはそうとは努力が必要だろう。HGTのエンジニアの中には個人的にはターボ過給に魅力を感じている人も少なくなかったが、社是としてターボ過給研究に否定的であったことは今となっては悔いが残るというものだ。


●ディーゼルエンジン:CO2低減に有効なディーゼルエンジンについては、現在販売しているヨーロッパ向け2.2Lのエンジンに加え、さらに小型のディーゼルエンジンの開発を進めており、2012年にヨーロッパ市場に追加する。 これは当然、EURO6対応のエンジンと思われる。ただ、アメリカ市場を重視するホンダにとっては、ディーゼルはメインとは考えていないはずだ。


●燃料電池電気自動車: 長期的に、究極のモビリティは燃料電池電気自動車であり、FCXクラリティの技術進化に加え、水素供給装置などの研究も引き続き、進めて行く。


●バッテリーEV:バッテリーEV、つまり電気自動車は、航続距離や充電時間などに課題があるものの、走行時のCO2排出ゼロのモビリティとして新しい市場を創造する可能性を持手いると考えている。燃料電池電気自動車で培った技術を活かし、バッテリーEVの早期実用化に向けて開発を進めており、2012年に日米で発売予定。
 これはアメリカ市場の比重が高いホンダにとって、カリフォルニア州のゼロエミッションビークル(ZEV)を考慮すると、やはり着手しなければならないという決断だろう。
 実際には、開発はやや出遅れ感がある。
 
 このように見ると、伊東社長の下で全方位の環境対策車の開発が行われることが決定され、従来のIMAと燃料電池自動車に絞っていた開発体制は大幅に見直されてといえる。
 新商品は2012年頃から集中的に商品展開が行われる。
 
 
 日産、ホンダと、今後の商品戦略を発表したが、トヨタはどのように考えているのか。トヨタはトヨタ式ハイブリッドカーにリソースを徹底的に集中した結果ガソリンエンジン、EVに関しては出遅れ感がある。トヨタとしては、これからはハイブリッドカーの時代だと確信した時期があった。しかしその後の世界のトレンドの動き、特にEVへの急速なシフトはトヨタの自信を覆すものであり焦燥感が生まれているだろう。
 新たな戦略の練り直しが急がれるはずだ。

ぶつからないクルマ、レガシィ「EyeSight(Ver2)」の真相

 今年5月に年改されたレガシィにプリクラッシュセーフティとドライバー支援、アダプティブクルーズ機能を統合した「EyeSight(Ver2)」搭載モデルが大幅にラインアップされた。採用車種はツーリングワゴン、B4、アウトバックの3車系、ベースのNA2.5L、2.5ターボ、NA3.6Lと全グレードに設定されており、従来の特定車種、オプション設定とは位置付けが大きく異なる。
 言い換えればスバルは戦略的に、従来からの走りのイメージにセーフティさ追加しようとしているといえるわけだ。JNCAP衝突試験でレガシィが自動車アセスメントグランプリを受賞したことや、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの衝突試験でいずれも最高位を獲得している実績もこのプロジェクトの契機のひとつだろう。
 いずれにしても、日本の自動車メーカーとして先進・安全面で突出したといえる。
 もっともプリクラッシュ・ブレーキシステムによる自動停止機能は、いち早くボルボXC60が「シティセーフティ」という名称で日本で発表を行った。どうやらスバルはこの情報を事前にキャッチしていなかったようで、発表は2番目になった。


イラスト
↑EyeSight(Ver2)のシステム概要図

 障害物センサーを利用した自動ブレーキ、自動停止は技術的には以前からじゅうぶん採用可能であった。この技術は、ミリ波レーダー、レーザーレーダーなどを利用した先行車追従、車間距離の維持を行い、アダプティブクルーズの作動状態で前走車が減速すると車間距離を保ったまま自動減速する、追突の危険が迫っている場合は警報と同時に自動ブレーキ作動、シートベルトの引き込み、上級車ではシート位置の補正など一連のプリクラッシュ準備が行われる。
 その一方で、ドライバーに操作を要求しない、いわゆる自動操縦は国交省(世界各国政府でも同様の取り決め)で認められなかったため、自動ブレーキは0.4gていどの制動力に限定され、ドライバーに追加操作を促すようにしていた。したがってこの自動ブレーキは追突軽減のための自動ブレーキである。
 しかし、2010年に入り、国交省は30km/h未満では衝突が回避できる自動ブレーキ、自動停止を認めることになった。もちろんこれは国交省の独自判断というより、政府間での自動車安全技術の枠組みが変更されたことによるのだろう。
 これによりボルボ、スバルが自動停止を含むプリクラッシュブレーキの商品化が行われた。当然ながら、それより以前から研究開発は行われていたことはいうまでもない。

 
 スバルのEyeSight(Ver2)の原型になるシステムがADA(アクティブドライビングアシスト)だ。その特徴はステレオカメラを採用して前走車との距離や速度差を演算するというシステムだったことだ。400×200画素の画面を0.1秒で処理することで、前走車との車間距離のキープ、車線レーンを逸脱しない、衝突を警報・回避するというドライバー支援システムとして構想され、1991年の東京モーターショーで発表された。
 ステレオカメラにしたのは、画像認識と測距機能を両立させるためだ。ただし、リアルタイムで制御を実現するためには、画像処理、測距の演算を高速で行うコンピューターが必須である。
 このため、実際に商品化され、市販されたのは8年後の1999年で、レガシィ・ランカスターADAという1車種に設定された。機能は、ナビゲーションシステムの地図データと合わせて周辺状況を総合的に判断し、車線逸脱警報、車間距離警報、車間距離制御クルーズコントロール、カーブ警報/シフトダウン制御などを行なった。つまり警報と、自動シフトダウン、自動減速が行われた。
 2003年にはより本格的なADAシステムとして、レガシィ・ツーリングワゴン3.0Rに設定された。このシステムが今回のEyeSightのベースとなるVer1だ。このシステムは、ステレオカメラとミリ波レーダーを組み合わせ、自動ブレーキ制御を追加している。
 機能的には、車間距離制御クルーズコントロール、車間距離警報、車線逸脱警報、VDC(ESCのこと)プレビュー制御、追従モニター、ふらつき警報、グリップモニター、前車発進モニターである。
 VDCプレビュー制御は、障害物との距離と路面の滑りやすさ、路面μから障害物を回避するのにブレーキによる制動だけで可能なのかどうかを事前に認識し、制動による回避が困難な状態でさらにVDCが作動する場合には実際に車両が障害物回避動作に入ると判断し、VDCの制御特性を安定性向上モードに変更し、車両の安定性を最適にするという機能で、路面を事前予測(プレビュー)して車両を制御する高度なシステムだった。またこの機能に付随して、VDCからの情報により舗装路から雪道、凍結路まで、変化する路面状況に応じたタイヤのグリップ力の変化を予測し、センターディスプレイに表示するグリップモニターも備えていた。
 ステレオカメラとミリ波レーダーの組み合わせ、VDCとの協調制御などにより先進的なシステムであったが、当然ながらコストが高くなった。
 今回のEyeSight(Ver2)は、量販車種に展開するためコストを低減することが大きな課題となったのは当然だが、VDC協調制御を省略したのは残念という思いは開発担当者には強いと見た。
 その後、2008年にシステムが改良され、システムの名称もEyeSightと変更。この時点で、新世代のステレオカメラを採用し、その代わりにミリ波レーダーを廃止。機能的にはプリクラッシュブレーキ(ただし衝突被害軽減ブレーキ)、全車速追従機能付クルーズコントロール、AT 誤発進抑制制御を取り入れ、現在のシステムのベースが構築されている。ただ、この時点では最大で0.4gまでの自動ブレーキが使用されていた。


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↑フロントガラス上部に350mmの間隔で配置されたステレオカメラ

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↑日立が生産するEyeSight(Ver2)ユニット。中央部にECUを内蔵

 
 EyeSight(Ver2)は、ステレオカメラをフロントガラスの最上部、バックミラーの両側に2個のカメラを配置し、これは従来と同じだ。ただし、カメラユニットとECUは一体化されコンパクトにまとめられている。ユニットの製造は日立オートモーティブシステムズで制御ロジックはスバル・オリジナルだ。毎秒30回のサイクルで各画素の距離情報を取得できるステレオカメラ専用の画像処理LSIを開発し、LSIマイコンの演算は従来の2倍以上の速度で行われるという。左右のカメラ距離は350mm。
 その一方で、高コストのミリ波レーダーは廃止。ただ、性能的にはミリ波レーダー以上となっている。
 ミリ波レーダーは遠距離の測距には有利だが分解能が低いため、高精度化するためには、より波長の短いレーダーが必要になる。これに対してステレオカメラは、レーダーより視野が広く、近距離から遠距離までをカバーできるのが優位点だ。
 ボルボのシステムは、単眼カメラとレーザーレーダーを併用しており、シティセーフティの名称通り、レーザーレーダーにより近距離での性能発揮に特化していると思われる。

 
 EyeSight(Ver2)では、クルマ、人、2輪車を認識するが、ポール、ガードレール、身長が低い幼児は認識できない。低いガードレールや幼児はカメラの視界に入りにくく、ポール、電柱など柱上の物体は視界の中でその他のノイズと混じってしまうため、誤認識が多くなるのであえて認識除外しているという。
 EyeSight(Ver2)の機能は大別して3つある。衝突回避・軽減(プリクラッシュセーフティ)、ドライバー支援(運転負荷の軽減)、アクティブセーフティ(予防安全)だ。
●衝突回避・軽減(プリクラッシュセーフティ):プリクラッシュブレーキ、プリクラッシュブレーキアシスト、AT誤発進抑制制御
●ドライバー支援:全車速追従機能付きクルーズコントロール、先行車発進報知
●アクティブセーフティ:車間距離警報、車線逸脱警報、ふらつき警報

機能
↑EyeSight(Ver2)の機能


*スバル/日立によるEyeSight(Ver2)の開発動画

 
 プリクラッシュブレーキは、障害物(前走車)との速度差を検知して自動ブレーキをかける。1次ブレーキは0.25gの自動ブレーキとなり、警報と同時に軽い減速度によりドライバーン注意を喚起する。またこの1次ブレーキの段階で、その後の強いブレーキ作動のためにブレーキ液圧の準備ができたことになる。
 1次ブレーキがかかってもブレーキが踏まれない場合は、0.7gの強い2次ブレーキがかけられる。この自動ブレーキによって速度差が30km/h以下の場合は衝突をぎりぎりで回避できるのだ。0.7gのブレーキは、イメージ的にはABSが作動する少し手前の強さのブレーキといえる。
 なお警報音は、1次ブレーキが「Pi、pi、pi」、2次ブレーキの段階で「Piiiii」となる。
 あえて言えば、一般的なありふれた警報音で、プリクラッシュブレーキが作動するような緊迫したシーンには似合わないと感じた。より大音量の警報音らしい警報音に改善した方がよいと思う。
 国交省で認可される条件として、自動運転感覚を回避するため、通常ではドライバーが危険を感じてブレーキを強く踏み込むタイミングより意図的に遅く自動ブレーキがかかるようにしてある。
 このため、30km/hの速度で自動ブレーキが作動すると、障害物から20~30cmという本当にぎりぎりの距離で停止する。逆に言えば、衝突までの予測時間から逆算して自動ブレーキをかけるタイミングを決めているわけだ。
 ただし、路面がアイスバーン、圧雪など滑りやすい路面ではABSが作動し、制動距離は伸びるので衝突そのものは避けられない。


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↑プリクラッシュブレーキで停止した瞬間


 もちろん普通のドライバーであれば、衝突を避けるために2次ブレーキがかかる前に反射的にブレーキを踏み込むため、この2次ブレーキを体験することはないだろう。
 30km/h以上の速度差の場合は衝突は回避できないが、衝突被害は軽減できる。
 30km/hが目安になっているのは、国際的にも日本でも30km/h以下の事故が約75%を占めるという事実で、これはボルボも参加しているスウェーデンの交通安全研究機関の研究結果と整合する。
 またプリクラッシュブレーキの初期段階の1次ブレーキの作動と同時に警報が鳴り、ドライバーが警報によりブレーキを踏んだ場合は、自動的にブレーキアシスト(BAS)が作動し、最大限の制動力が得られるようになっている。
 なお自動2次ブレーキの0.7gの制動力は、ブレーキが発生できる最大制動力の8割程度である。自動ブレーキの油圧元はVDCのポンプにより、以前の別体アシストよりシンプルにされている。
 なお、プリクラッシュブレーキが作動中にステアリングを切ると、衝突回避操作をしたものと判断され、プリクラッシュブレーキとしての機能はストップするが、BASは作動している。
 世界初のAT誤発進抑制制御は、クルマの前方にある障害物を検知すると、例えブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを思い切り踏んでも、エンジンに強力なトルクダウン制御が働き出力を抑制し、車輪止めを乗り越えない状態になる。
 もし車輪止がない場合は、ほぼアクセル全開でもアイドリング状態で前進するといった感じだ。
 この機能は、カメラが前方の障害物を認識している状態でアクセルペダルを踏み込んだときに作動する。したがってカメラが認識できないボンネットより低い障害物や、真っ白の壁では作動は不可能。ただコンビニの入り口に多いガラスドアの場合はガラス越しに内部の物体が認識されるため作動可能という。
 意図的に壁際ぎりぎりに駐車しようとするような場合はこの抑制制御が作動してしまうため、カメラ横のEyeSightオフのスイッチを押す必要がある。


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↑AT誤発進抑制制御。アクセル全開でも車止を乗り越えない

 
 現在のレーダー、カメラを装備するアダプティブクルーズコントロール装備車は、前走車に追従走行が可能で、設定したクルーズ車速の範囲では車間距離を保ちつつ減速、加速を行い、前走車が急減速した場合、追突を発生しないように自動ブレーキも作動する。
 しかし前走車が停止した場合、それに合わせて減速、停車できる全車速追従機能付きは、ボルボとスバルが最初となる。
 EyeSight Ver2の場合は、ステアリングに設けられたクルーズ・スイッチをオンにし、3段階の車間距離のいずれかの選択と、40km/h~100km/hの車速設定を行うことでアダプティブクルーズが可能になる。
 アメリカの郊外道路など、交通慮が少ない道路、ハイウェイでは設定車速を維持して文字通り巡航できるが、都市部、特に日本のような道路事情では、交通状況により頻繁に減速、加速が行われ、渋滞に遭遇することも少なくない。
 この場合は、特に車間距離を維持しながらの加減速が性能が重要になる。減速はエンジン制御や自動ブレーキで行い、レジューム・スイッチを押すことで加速するというのは、従来からのアダプティブクルーズコントロールと同じである。
 問題は、渋滞路だ。渋滞が発生し、前走車が停止すると、それに合わせて自動ブレーキにより減速、停止する。従来は自動ブレーキは0.4g程度までに制限されていたが、EyeSight Ver2は0.7gまでの高められているので、前走車が急ブレーキをかけたような状態にも対応して停止することができる。渋滞で停止中は自動的にブレーキを保持し、一定時間を経過すると電動パーキングブレーキに切り替わる。
 前走車が動き出した時、ドライバーがそれを見落とし、発進が遅れるときは先行車発進注意警報がなる。これが先行車発信報知機能だ。
 停止状態から加速する場合、従来はレジュームスイッチを押すが、この場合はゆっくりとした加速になる。EyeSight Ver2の場合は、レジュームスイッチだけではなく、アクセルの踏み込みにも対応しており、前走車の加速状態に合わせてアクセルペダルを踏むことができるのだ。
 したがって、日本の交通環境を考えると、EyeSight Ver2のアダプティブクルーズ機能は、渋滞路でのうっかり追突防止、のろのろ加速と停止の繰り返しという渋滞路パターンでのドライバーの負担の大幅に軽減で大きな威力を発揮すると思う。
 なお、クルーズ機能でもプリクラッシュブレーキ機能でも、自動ブレーキが作動した場合はブレーキランプも点灯するようになっている。
 
 最後に予防安全機能は、前走車に接近しすぎ、あるいは追突の可能性がある場合の車間距離警報、走行レーンからはみ出すような走行はよそ見、不注意と判定され車線逸脱警報となり、車線を左右で繰り返しまたぐような走行は居眠りと判定されふらつき警報が行われ、ドライバーに注意を促すようになっている。
 車間距離警報は、前走車との距離、相対速度差をステレオカメラが演算。車線逸脱警報やふらつき警報は、ステレオカメラが走行レーンの白線を認識しており、レーンをまたぐことで警報を行うようになっている。

 
 レガシィのEyeSight Ver2は、各車種に設定され、実質的な価格が10万円と相当に割安な設定となっていることから、これまで高級車にのみ設定されていたプリクラッシュセーフティやアダプティブクルーズコントロールを300万円クラスのクルマに普及させる契機となるだろう。
 実際、EyeSight Ver2モデルを発売以来、レガシィの販売台数の50%に達しているという。
 いいかえれば、それだけユーザー層にもアピールしているのだ。
 例えEyeSight Ver2モデルを購入したとしても、プリクラッシュブレーキを実際に体験することはまずあり得ないが、安心感を高める働きは強いだろう。
 一方、アダプティブクルーズコントロールは、渋滞が多い日本の道路では大いに威力を発揮するはずだ。
 EyeSight Ver2はステレオカメラという優位性をうまく生かし、なおかつ従来より大幅にコストダウンできたことで実現した。
 またステレオカメラを使用していることから、将来的にはドライブレコーダー機能などにも拡張性を持っている。もちろんドライブレコーダー機能を持たせるためには大容量のメモリーを追加する必要がある。

新型マーチ雑感

 7月13日、日産の新型マーチ(K13型)が発売された。
 4代目にあたるが、様々な意味で画期的なクルマといえる。3代目はルノーとの初の共同開発プロジェクトであったが、今回はルノーと共同しながらタイ、インド、中国、メキシコという新興国の工場に生産移転を行い、これらの工場から世界に出荷する世界戦略車となっている。

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 また、今回の新型プラットフォーム(Vプラットフォーム)をベースに、今後2年間の間にさらに2車種を追加し、3年間で100万台の販売を計画している。このAセグメント開発のプロジェクトリーダーはヴァンサン・コベ氏だ。
 つまりマーチはコンパクト・セグメントのグローバルカーであり、世界のコンパクトカーのリーダーの座を狙ったクルマである。そのためもあってプラットフォームから、エンジン、トランスミッションまでゼロからの開発を行っている。
 というわけで、トヨタ・ヤリス(ヴィッツ)、アイゴ(パッソ)、スズキ・スイフト(スイフトはいち早くハンガリー、インドでの生産を展開)、ホンダ・フィット(ジャズ)など日本発のA~Bセグメント、韓国のグローバルカー、VW系列の東欧製のなどにも大きな衝撃を与える存在だ。
 コンパクトカーの新興国での生産は、利益幅が小さいため、製造コストの低減と為替リスクの分散という意味で必然といえる。
 新型マーチは、まずタイでの生産が立ち上げられているが、部品の現地調達率は約85%に達している。このことは、サプライヤーの多くが現地に展開していることを物語っている。
 
 新型マーチの開発キーワードは「フレンドリー・エコハッチバックwithスマートテクノロジー」である。
 デザインは、従来からのフレンドリーさと、きびきび、しっかりとした走りのイメージの表現、どの地域でも受け入れられやすい愛らしさ、親しみやすさがテーマで、ホイールの踏ん張り感、運転視界のよさなどが追求された。

デザイン1

 マーチ(マイクラ)のアイデンティティである、丸み、丸いヘッドライト、アーチ型サイドウインドウなどの要素も継承された。
 ボディサイドのショルダーのラウンドした張り出しは、コンパクトカーにありがちな平板な印象を打ち消し、ソリッドでダイナミックさを表現。
 ボディは空力的にも洗練され、Cd=0.32。また視界のよさを追求したため、Aピラー位置を過剰に前進させず、運転席からのAピラーの死角は最小限とし、運転姿勢は着座位置を高めにして見下ろし感を作り、ボンネットのヘッドランプ盛り上がり部分が視界に入ることで車両感覚がつかみやすいといったエントリーカーの要素を重視。ヴィッツやフィットと差別化をはかっている。
 
 ボディサイズは、全長3780mm×全幅1665mm×全高1515mm、ホイールベース2450mm。全高が1500mmを超えているが、このクラスはアップライト・ポジションにしないと室内スペースを確保できないからだ。
 新型マーチは、後席のヘッドスペースがクラストップ。新開発のプラットフォームは、軽量化と高剛性、さらにはタイ生産を前提に最高で450Mp級(日本の工場で生産する場合は970Mp級まで使用する)の鋼材の使用といった条件で設計された。サブフレーム(フロントのみ。リヤ・サスペンションは直付け)、マフラー、燃料タンクなどのコンポーネンツも徹底的に軽量化され、ボディ全体では80kgの軽量化が達成されたという。このため、フル装備車でも960kg、4WDで1040kgとクラストップのレベルになっている。

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 アッパーボディではルーフパネルを薄板化し、にブーメラン状のプレスを加えることでルーフ振動を抑制し剛性を高めている。
 サスペンションはフロントがサブフレーム式のストラット、リヤはボディ直付けのトーションビーム式。ブレーキはフロントがディスク、リヤはドラム式だ。
 タイヤは165/70R14のみの設定で、装着タイヤはすべて現地生産品を採用している。
 
 エンジンは、新開発のHR12DE型DOHC3気筒1.2Lだ。先発したジュークのHR16DE型から1気筒少なくした形で、ボア・ストロークは78.0× 83.6mm、レギュラーガス仕様で圧縮比10.2と高く、出力は79ps、106Nm。熱効率の向上と徹底したフリクション低減を行っている。なおジューク用のHR16DE型はデュアルインジェクターを採用しているがHR12DE型は通常タイプだ。

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クランク

 オフセット・クランクシャフト、チェーン駆動オイルポンプ(国産では久しぶり)、深底ピストン形状などユニークだ。細かなところでは、真円ボア加工(ダミーヘッドを締結した後に、つまりスタッドボルト締め付けを行った後にボア加工を行う)、大量EGRの使用によるポンピングロスの低減を行っている。
 凹型ピストンは、低負荷時に大量EGRの導入を前提に、吸気タンブル流を強めることで燃焼を安定させようというもの。
 カム駆動はチェーン、カム間駆動もチェーンを使用。補機ベルトはサーペンタインだ。
 なお3気筒であるため、低回転時に偶力により上下方向の振動が発生する。かつては3気筒エンジンはバランサーシャフトを装備するのが一般的だったが、現在では低コスト化のためにバランサーレスが普及しており、HR12DE型は、クランププーリーとドライブプレートにアンバランスマスを設け、上下振動を左右の振動に変換。エンジンマウントは、ヨーロッパタイプのペンデュラム(振り子)マウントのため、左右方向の振動を吸収するシステムだ。
 なおエンジンは1機種だが、今後はヨーロッパ向けにディーゼル、スーパーチャージャー付きなどのバリエーションも展開される予定になっている。
 このHR12DEはアイドリングストップ機構を装備する(ただし最廉価版を除く)。CVTに停止時用のオイルポンプを備え、スターターモーターの強化、逆転検知付きクランク角センサー、大容量バッテリー(減速エネルギー回生機能付き)などを組み合わせ、ECUのプログラムを変更することで実現。
 停止後1秒以内にアイドリングストップし、ブレーキペダルを緩めると0.4秒以内にエンジンが再始動する。またスムーズな右左折ができるように停止時でもステアリングを切るとエンジンが始動するなどロジック的にはかなり練り込まれている。
 このアイドリングストップは、すでに発売されているものよりコストを抑える一方で制御ソフトを熟成し、実質的なアイドリングストップ時間を拡大していることも評価できる。
 なお、10・15モード燃費は26km/Lとクラストップを達成した。市街地実用燃費で15km/Lていどになるだろう。
 
 トランスミッションは、CVTのみ。ただしヨーロッパ向けなどには5MTの設定もある。CVTは新世代で、ジュークから採用されたJATCO製の遊星ギヤ式の副変速機付き。もちろんトルコンも備えている。
 無段変速という理想的なCVTの最大の弱点が、変速比幅が狭いことで、従来は6.0以下。金属ベルト式ではなくLUK社製のチェーン式を採用したCVT(アウディ、スバルが採用)でも6.0をわずかに超える程度で、7速~8速ATには及ばなかった。
 しかしCVTと2速の副変速機(自動作動)を組み合わせることで、変速比幅は7.3と、7速ATを上回ることができた。またハイ/ロー切り替え式の副変速機を採用したため副次的にプーリーでの変速幅は抑制し、プーリーを小径化でき、重量は従来より13%、全長は10%短く、フリクションは30%の低減となっている。このように軽量コンパクトさと変速比幅の拡大により、今後の車両適合性は大幅に向上したといえる。もちろんギヤ比のワイド化により動力性能も燃費も向上する。

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 今後はこのCVTが小型車のスタンダードになるだろう。
 4WDモデルは従来どおりの後輪モーターアシスト式の電気式4WD。
 
 装備では、最上級モデルにはタイヤアングルインジケーターが装備される。メーターパネル中央のディスプレイに、15km/h以下という低速走行時のタイヤの切れ角と進行方向を表示するもので、エントリーユーザー向けに考案された。またこのディスプレイは、フレンドリー表示(挨拶、誕生日、記念日などをアイコンで表示)される。これも女性ユーザーやエントリーユーザーにアピールする装備といえる。
 インテリアは、モダンで斬新なデザインだ。

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 ただ、シートやインスツルメントパネルの質感は軽自動車と同等レベルだ。これはマーチだけの問題ではないのだが、軽自動車との価格競争、同クラスでの低価格競争がもたらす結果で、実際に最廉価モデルの99万9600円の価格は軽自動車に競争を挑むもので、競合車も同じである。しかし、このため装備は最低限である。上級モデルでさえ安全装備や質感が見劣りする悪弊に陥っている日本のこのカテゴリーは不幸といわざるをえない。
 最廉価版はエアバッグは前席のみで、カーテンエアバッグは最上級モデルが標準装備、中間モデルはメーカーオプションとされているし、ESCの設定もない。
 安全装備に限っても、仮にフル・エアバッグ、ESCを、そしてもう少し上級の艤装を採用すればけっきょくのところ、ヨーロッパのコンパクトカーと同等価格かそれ以上になってしまうのは明白だ。
 日産としては、アイドリングストップをほぼ標準装備化して価格は競合車と同等レベルとしている点で優位性があることは認めるが、このカテゴリーの問題点は抱えていることは間違いない。


 なお日産は7月16日に、ヨーロッパ向けマイクラ(マーチ)用の新エンジンの発表を行った。
 この新エンジンは来年前半にヨーロッパ向けマイクラに搭載予定で、CO2排出量95g/km(欧州計測モード。燃費換算では24.3km/L。日本の10・15モードなら26~27km/Lか) のガソリン車世界最高レベルの燃費を狙っているのだ。

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 この新エンジン、HR12DDR型は、マーチに搭載されている1.2L・3気筒のHR12DE型をベースに、ミラーサイクル化、ガソリン直噴システム(DIG) 、高効率スーパーチャージャーとアイドリングストップシステムを組み合わせることで、1.5Lなみの動力性能とガソリンエンジントップの燃費を実現する。
 新開発のHR12DDR型エンジンは可変バルブタイミング機構を備え、吸気バルブを閉じるタイミングを遅らせることで、実圧縮工程より膨張行程を大きくするミラーサイクル(高膨張比)を採用し、、かつインテークマニホールド内が負圧になることで抵抗となるポンピングロスも低減する。
 圧縮比は13.2ときわめてに高く、気筒内に直接噴射される燃料の気化潜熱により燃焼室を冷却。さらにピストン・クーリングチャンネルやナトリウム封入バルブの採用で燃焼室の耐熱温度を上げているという。これらの技術により燃焼効率を大幅に向上させているのだ。
 吸気はベルト駆動のスーパーチャージャーで圧縮されるが、ON-OFFクラッチを備え負荷によって過給を制御する。
 摩擦抵抗を減らすためにピストンリングへの水素フリーDLCコーティング、可変容量式オイルポンプなども採用し、同等性能の4気筒エンジンに対してフリクション(摩擦抵抗) を約30%低減しているという。
 まさにこれは日産版のダウンサイジング・コンセプト・エンジンである。VWのダウンサイジング・コンセプト・エンジンであるTSIと比較して、より高圧縮比で、大幅なミラーサイクルを取り入れている点が注目される。

コンチネンタルタイヤの小研究

 ドイツのコンチネンタルタイヤは、現在ではヨーロッパ車の標準装着率はNo1で、ミシュランとともにタイヤのビッグ2である。

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 しかし日本では知名度が極端に低く、情報もほとんどないのでその実像がわかりにくい。
 かつてはヤナセが輸入代理店となっていたが、現在は日本法人の取り扱いになっている。
また、企業名はかつてはコンチネンタルタイヤであったが、現在ではコンチネンタルAGと呼ばれるドイツの巨大自動車部品サプライヤーに変貌し、タイヤはその1部門であることも知られていない。言い換えれば、自動車用のコンポーネンツメーカーとしてタイヤを生産しているのはコンチネンタルだけで、その他のタイヤメーカーは純粋なタイヤ専業メーカーだ。ここにコンチネンタルタイヤのユニークさがあるように思われる。

 コンチネンタルタイヤの創業は1871年と古く、自転車用のタイヤとドイツ車用のタイヤ製造を行っている。戦前のメルセデスやアウトウニオンのグランプリレーサーのタイヤはすべてコンチネンタルであり、1929年にはドイツのゴム工業企業を吸収合併して一大企業となった。
 戦後はマッド&スノー(M+S)、世界初のスタッドレスタイヤ(コンチ・コンタクト)を発売するなど革新的であったが、グローバル化対応が遅れてしまった。しかしドイツの自動車工業のバックアップを受ける形で再生をはかる。
 アメリカ資本のユニロイヤルタイヤの買収(1979年)、オーストリアのセンペリットタイヤの買収(1985年)を行うなど規模を拡大。
 ドイツ車の標準装着タイヤメーカーNo1の地位を確立した上で、さらに1998年にアルフレッドテーベス社と合併し、シャシー、ブレーキ・コンポーネンツ事業を取り込んだ。近年では2006年にモトローラ社のカーエレクトロニクス部門を買収、さらに2007年にはシーメンスVDOオートモーティブを買収した。
 この結果、コンチネンタルAGはブレーキシステム(ABS、ESCを含む)、エアバッグシステム、センサー類では世界No1のシェアを占め、ピエゾ・コモンレール噴射システム、補機ベルト、CVT、DCTなどでもライバル企業とわたり合っている。またハイブリッドカー用のシステム&コンポーネンツ、ターボチャージャー(旧KKK)、テレマティックス、マルチメディア、メーター類(旧VDO)などもラインアップする巨大パーツサプライヤーになっているのだ。
 タイヤ事業は依然としてAGのメイン事業であるが、よりクルマ寄りの、つまりシャシーやABSブレーキシステムを前提にした開発を行い、革新的なタイヤを作り出すことでドイツ企業としての枠を超え、グローバルに展開していおり、ドイツ圏のクルマだけではなくフランス車などにも幅広く採用されるようになっている。
 かつて日本では自動車メーカーのエンジニアはタイヤメーカーに向かって「クルマがわかっていない」といい、タイヤメーカーは「自動車エンジニアはタイヤが分かっていない」と相互に嘆くという笑えない状態にあったが、少なくともコンチネンタルタイヤにはそうした弱みは皆無なのだ。
 
 コンチネンタルタイヤが企業としての基盤再構築を終え、タイヤの革新を成し遂げる過程で誕生したのがスポーツコンタクトだ。
 シリカ・コンパウンドを採用するとともに、独自のタイヤ設計コンセプトを採用した。
 設計コンセプトは、マクロ/ミクロ・コンタクトコンセプトと呼ばれる。マクロ=キャットポー(猫の手)設計、ミクロ=前後方向と左右方向の弾性をコントロールしたスパイダーウェブ(くもの巣)コンパウンドを意味する。
 キャットポーとは、猫が着地する時のようにブレーキング時に接地面積が拡大し(接地面がフラットでなおかつ拡大する)て制動力を高めること、スパイダーウェブは前後方向の剛性と左右方向の剛性をコントロールすることでハンドリングとブレーキ、トラクション性能を両立させることを意味する。
 扁平率の大きなハイパフォーマンスタイヤは、構造設計の上からケース剛性を高める必要があり、結果的に接地面変化が急激になりやすいが、その問題点にフォーカスを当てているといえる。

接地面1
↑第1世代と第2世代の高速走行時の接地面圧比較

せり上がり
↑高速走行時の接地面圧の均一化のためのキャップベルトデザイン

 もうひとつの特徴は、ABSの特性を研究した上でのリブ重視のトレッドパターンである。

リブラグ接地圧分布
↑ラグパターンとリブパターンでの接地面圧の相違

 コンチネンタルのこうしたコンセプトをベースにさらに新しいスポーツコンタクト2を生み出した。このスポーツコンタクト2の性能が高い評価を受け、ハイパフォーマンス・タイヤのベンチマークとなり、結果的にヨーロッパの多くの高性能車に標準装着されるようになっている。
 (注:タイヤ業界におけるハイパフォーマンスタイヤという呼称は、タイヤの諸性能を全方位で高めたタイヤを意味する。当然タイヤメーカーにとってはフラッグシップに相当する。しかし日本のメーカーの場合はその存在感が希薄で、宣伝もほとんど行われない。逆に宣伝されるタイヤは補修市場向けの特定性能だけを突出させた銘柄である)
 スポーツコンタクト2の後に、さらにシリカの含有量を増した性能向上タイプのスポーツコンタクト3を送り出したが、今年中には、新たにナノカーボン粒子(従来以上にゴムの柔軟性と耐摩耗性を両立)、デュアル・トレッドコンパウンド(ベース・コンパウンドの剛性を高くし、表面のトレッドコンパウンドはグリップ重視とすることで転がり抵抗の低減とグリップ力を両立)、コーナリング時のドライグリップ向上、ステアリング・レスポンスとプレシジョン(正確さ)の大幅な向上(太いセンターリブとアウター側のマクロブロック形状)、転がり抵抗の低減を目指したスポーツコンタクト5が登場する。

コンチ5
↑スポーツコンタクト5の性能

 性能面では、低転がり抵抗、ウェット/ドライグリップの向上と、ステアリング・プレシジョンを大幅に高め、燃費と安定性、ドライビングプレジャーや快適性の向上を狙ったと考えられる。
 なおコンチネンタルのタイヤはいずれも純正装着タイヤであり、メーカー承認を得ていることも注目したい。ヨーロッパでは、新車時のタイヤが磨耗してタイヤを交換する場合でもメーカー承認を受けた同じブランドの同じにタイヤに交換するのが常識で、この点は日本やアメリカ市場とは大きく異なる。
 そのため、コンチネンタルタイヤは、市販店頭の補修用であってもメーカーごとの承認マークがサイドウォールに刻印されたタイヤが販売されているのも異例といえる。
 現在の自動車メーカーは、ハイパフォーマンス・タイヤであっても、ドライ/ウェット・グリップや耐磨耗性以外に、転がり抵抗の低減、乗り心地を重視しているので、これらの点も標準装着タイヤに盛り込まれている。
 
 コンチネンタルタイヤの技術的な特徴は、接地圧の均一化(特に高速走行時の均一化や真円度の高さ=高速走行時の接地感や安定感、より良いロードホールディングをもたらす)、排水性と横方向グリップ&剛性の両立(太く深いセンタグルーブによる高速走行時の排水性とステアリング・プレシジョンを両立させる)、転がり抵抗の低さとグリップ(特にブレーキング時)の両立である。
 ウェットグリップや低転がり抵抗を達成するためにフル・シリカコンパウンドを採用。シリカ配合が多量の場合はタイヤに静電気が帯電するため、トレッドのセンター部にカーボンベルト(非シリカ帯)を設け、アース放電するようにしている。逆にいえば、アース放電させなければならないほどシリカ含有量が多くしているのだ。

コンパウンド
↑最新世代のシリカ配合の特徴

 シリカは親水性を高めウェット・グリップを高めるだけではなく、低温グリップ性や耐摩耗性を高める役割があり、コストが高くなるものの現在ではタイヤの重要な配合剤となっている。したがって、シリカの多量の配合や、構造材にアラミド繊維などを採用すると、タイヤのコストは高くなる。現在はオープンプラス製であるため、販売価格の高さは材料コストをある程度反映していると考えるべきだろう。
 タイヤのゴムは低温度域では硬化し、グリップが低下する傾向を持つが、低温でのウェット路面が多いヨーロッパでは、低温時のブレーキ・グリップ力は日本とは比較にならないほど重視されている。このためシリカをより積極的に採用しているといえる。

グルーブ断面
↑幅広で8mmと深いセンターグルーブの断面形状デザイン。操舵感やグリップを配慮した技といえる

 接地面圧の均一化のため、コンチネンタルはリブパターンを基調にしたパターンデザインが特徴になっている。
 通常のハイパフォーマンスタイヤは、大型のブロックを設けたリブ&ラグ・デザインだが、コンチネンタルタイヤは、ABSの制御特性を踏まえ、あえてリブを重視したパターンとしているのだ。
 ABSなしでのブレーキ性能比較では、ブロックパターンの方が特にスリップ率が大きくなるほど有利だが、ABSの制御領域ではむしろ接地面圧が均一なリブパターンの方が有利になる。またコーナリング時の方向安定性もリブパターンの方が有利なのである。

リブラグとABS
↑ラグパターンとリブパターンの雪上でのグリップ比較。青線がラグ、グレー線はリブパターン。ABS制御域では
 リブパターンが有利。

 滑りやすい路面でESCが作動した場合、ラグ型重視のパターンはグリップが回復するプロセスで急激にグリップ力を生じ、逆方向のヨーモーメントの大きくなり、車両の安定収束を乱すケースもあるという。

リブラグ安定性
↑ESC作動時のラグパターンとリブパターンでは修正モーメントに違いが出る。

 また、転がり抵抗や接地面圧の均一化はリブパターンの方が有利だ。
 これらの理由で、コンチネンタルタイヤはリブを基調としたパターン・デザインが採用されている。リブパターンで弱点とされる側面方向への排水性は、3Dグルーブと呼ばれる放射状の横溝で確保されている。
 接地面圧の均一化や高速真円度に貢献しているのはトレッド補強ベルトのフラット配置である。このベルト配置により、高速走行時のトレッド面の荷重の不均一化を抑え、接地面の安定をはかっている。
 日本ではハイグリップ系のスポーツタイヤはソフトなゴムを採用することが多いが、これは耐摩耗性と背反する。したがって、月間走行距離が日本の数倍となるヨーロッパでは耐摩耗性の観点からこのような手法は受け入れられない。
 このためトレッドゴムは日本のメーカーのハイパフォーマンスタイヤより硬めで、タイの構造やゴム配合によりグリップ性能を確保しているといえる。

ブレーキ接地
↑ベースタイヤと第2世代のブレーキ接地面の相違。このコンセプトによりブレーキグリップの進化が行われている

 概略では、日本製のハイパフォーマンスタイヤよりゴム配合は、1~2ランク硬く、逆に耐磨耗性は1.5~2倍。高速域での排水性が高い、ウェットブレーキ性能が高め(特に低温域)、乗り心地は硬めだが減衰性に優れている、高速域での安定感、ロードホールディングが良好・・・といった特徴になるだろう。
 
 コンチネンタルタイヤは、自動車メーカーの標準装着を前提にしたタイヤ作りをしていること、小型車、大型車、ハイパフォーマンスカーといった用途別はあるにしても基本は1種類のタイヤしか製造していないこと、ABSやESCといったシャシー電子制御を前提にしたタイヤ設計を行っていることなど、他のタイヤメーカーとは大きく異なるところといえる。

日産の攻勢 新パワーユニット、パワートレーンの概要

 日産このほど、今年に発売予定の新型車に搭載する低燃費技術を発表した。
 これらの技術は中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム(NGP)2010」の一環として研究開発を進めてきた集大成と位置づけているという。
 その概要は、26km/Lの低燃費を実現する小型車用新開発パワートレイン 、世界最高水準の厳しい規制「ポスト新長期規制」に適合したクリーンディーゼル(AT仕様)、大型車用の新開発ハイブリッドシステム、 量産車初のデュアルインジェクターを採用した新開発1.5Lエンジン、2.5Lエンジン並みの出力と燃費性能をのダウンサイジング・コンセプトに基づく1.6Lガソリン直噴ターボエンジンである。
 
 そして、次世代環境技術を搭載し各セグメントでクラストップレベルの低燃費を実現するエンジン進化型エコカー「PURE DRIVE」シリーズの投入を発表した。つまり既存エンジン技術を進化させることで、低燃費を推進させようというプロジェクトだ。「PURE DRIVE」の内容は、現在主流のエンジン車の量販ゾーンで各セグメントに最適な次世代環境技術(アイドリングストップ、クリーンディーゼル、ハイブリッドなど)を搭載するエンジン進化型エコカーの総称という。
 PURE DRIVE第1弾は7月13日に発売される新型マーチで、アイドリングストップを搭載し、クラスの低燃費26km/Lを実現した。
 日産のプログラムでは、究極のエコカー「ゼロ・エミッション」=電気自動車と、エンジン進化型エコカー「PURE DRIVE」を二本柱とするコンセプトを明確にした。
 その理由として、CO2削減のためには各セグメント毎、価格帯毎に最適な解があり、PURE DRIVE第1弾である新型マーチは、街乗りでの停止・発進の際に効果的に燃費改善が可能なアイドリングストップを搭載し、価格に敏感なコンパクトカーのユーザーに受け入れられやすい価格で提供する。さらに今年中に第2弾クリーンディーゼル、第3弾ハイブリッドなどPURE DRIVE路線の新型車を投入する。
 いいかえれば、長らく新規開発の投資を抑制してきた日産が、ようやく準備が整い、反転攻勢に出ようということだ。

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 クラストップとなる26km/Lの低燃費を実現するマーチクラス用の小型車用新開発パワートレイン。軽量・コンパクト、低フリクションを追求するため3気筒1.2Lを新開発。3気筒エンジンは、4気筒エンジンと比べて当然ながら可動部品が少なく、このエンジンはシリンダーブロックに真円ボア加工技術を行うことで従来の同排気量4気筒エンジンに対して約20%の摩擦抵抗低減を実現したという。また新タイプのバランサーを装備することで、4気筒エンジン並の低振動を実現している。
 マーチはアイドルストップを装備する。エンジン停止時のクランクシャフトの位置を正確に計測することで、エンジン再始動時間を短縮している。当然、燃費にはこのアイドルストップの効果も大きい。
 なお、新HR型エンジンは、トランスミッションとの結合面を大面面積とし、締結剛性を高めていることに注目したい。
 
副変速機式CVT(新型エクストロニックCVT)

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 トランスミッションは、第1弾としてジュークに採用されたJATCO製の新型エクストロニックCVTを組み合わせる。新型エクストロニックCVTは、遊星ギヤ式副変速機を備え、軽量・コンパクトで、かつフリクションを約30%低減している。またアイドリングストップシステムでは、この副変速機を利用した内部ロック機能で、坂道でもクルマが下がることなく、エンジンを再スタートさせることが可能。
 ベルト式無段階変速(CVT)は、無段変速という優位性を持つ一方で変速比が5.5前後と現在ではやや小さく、多段式ATのワイドな変速比に劣っていた。しかし副変速機構を加えることで、変速比7.2と大幅にワイドになり、小型車にとって大きな武器になる。
 プーリーの小型化、超扁平トルコン、変速機内部のオイル攪拌抵抗の低減、オイルポンプの改良などにより、小型軽量化の追求と摩擦抵抗の低減をはかった。
 なお、軽自動車用ではダイハツが副変速機付きCVTを発表している。
 このエクストロニックCVT今後は2.0L以下の小型車の主流トランスミッションとなるだろう。
 
MR9型ディーゼルターボ/AT

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 世界最高水準の厳しい規制「ポスト新長期規制」に適合したエクストレイルのクリーンディーゼルにAT車追加する。世界で初めて実用化された高分散型リーンNOxトラップ触媒(白金などの貴金属粒子を約40%微粒子化し、均一に配置することで、従来の触媒で見られた使用過程での貴金属粒子の凝集による表面積低下に伴う触媒の効率ロスを大幅に抑える。このため貴金属使用量の低減と安定した排出ガス浄化が可能。横浜工場で生産)と、更に進化した高精度エンジン統合制御により、「ポスト新長期規制」に適合したクリーンディーゼルエンジン(M9R型)とATの組み合わせで、より普及をはかろうという戦略である。このエクストレイルAT車が「PURE DRIVE」第2弾である。
 
ハイブリッドシステム

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 日産の大型用ハイブリッドシステムは、エンジン、モーター、トランスミッションを直列に配置する。モーター走行時や減速時には抵抗となるエンジンを完全にシステムから切り離すことができる電子制御クラッチを装備し、モーター走行時にはモーターのパワーを無駄なく使用し、エンジンは停止できる。減速時にはタイヤの回転エネルギーを有効に発電(エネルギー回生)に回せるため、エネルギー効率がきわめて高い。
 また、クラッチ接続時にはエンジン、モーター、タイヤがダイレクトにつながるため、レスポンスの良いスポーティな走りも同時に実現できる。
 電子制御クラッチを装備した本格的パラレル式ハイブリッドシステムが日本でもようやく実現することになる。
 またこのシステムはスペース効率に優れ、既存のプラットフォームに無理なく搭載できるのも大きな特徴だ。
 モーター駆動用の電池は、電気自動車リーフと同構造のオートモーティブ・エナジー・サプライ株式会社製ラミネート型リチウムイオンバッテリー(ハイブリッド車専用)を搭載している。
 このハイブリッドシステムはフーガに搭載されて、今秋に発売予定で「PURE DRIVE」の第3弾である。
 
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 1.5 LのHR15DE型エンジンは、ジュークに搭載されて発売された。このエンジンの特徴はデュアル・インジェクターを装備することだ。従来の4バルブエンジン用のマニホールド噴射では、1気筒当たり2個の吸気ポートを持つため、2個ポートの中央にインジェクターを配置し、左右2個のポートに向けて燃料噴射を行っていたが、このデュアル・インジェクター方式は各ポート専用のインジェクターを装備したことになる。そのため各インジェクターは細径化されている。また正面のポートに向かって広角に噴射するため、従来より約60%も正確に微細化された燃料を噴射することができる。燃料の壁面付着も少なくなる。これななかなかのアイデアである。
 このデュアルインジェクターにより、吸気が低流速時でも燃焼安定性を高められる。
 またこのクラスでは異例の連続可変バルブタイミング機構(CVTC)を吸排気カムに装備する。アイドリング時には吸気バルブの閉じる時期を圧縮工程後に大きく遅らせて、圧縮時の負荷を低減する排気遅閉じとし、通常運転時は吸気・排気バルブの開くタイミングをオーバーラップさせて、出力を引き出す。
 バルブリフター頭部にはDLCコーティング、ピストン・オイルジェットなど凝ったデザインである。
 圧縮比はレギュラーガス仕様で10.5。114ps/6000回転、150Nm/4000回転の出力だ。

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 2.5Lエンジン並みの出力と燃費性能を追求したダウンサイジングコンセプトに基づく新開発1.6Lガソリン直噴ターボエンジンがMR16DDTだ。
 MR16DDTエンジンは、ガソリン直噴システムとターボを組み合わせ、吸排気CVTCや水素フリーDLCコーティングの採用、新形状によりフリクションを低減したバルブスプリングなどの新技術を採用。2.5L相当の出力で低回転から高回転まで優れた加速性能と燃費性能を高次元でバランスさせる。 エンジン型式名からもわかるように、ルノーでの展開も考慮したグローバルエンジンだ。
 日本では今秋にジュークに搭載される。
 日本発のダウンサイジング・コンセプト・エンジンとして期待できる。

 なお、7月13日に発表される新型マーチは、周知のようにタイ工場での生産である。プラットフォームは新型のVプラットフォームで、今後はこれをベースにコンパクトカー3車種を展開する。
 マーチはその第1弾。こうした新型車は現地化比率を80%以上とし、大幅な現地調達を前提にしているため、現地工場(現在のタイ、中国以外にインド)での生産品質を確保するため、神奈川県・座間にグローバル車両生産技術センター(GPEC)を設け生産技術習得が行われている。
 Vプラットフォームは、極力、高張力鋼板の採用を抑えながら、軽量化と剛性を確保するプラットフォームといえる。

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 タイ、中国、インドで新型車をスタートするという意味は、従来の日本、アメリカ、ヨーロッパで新型を立ち上げるというスタイルとは180度異なり、日産の今後のグローバル戦略の柱となり、世界マーケットで20%を占めるコンパクトカーを重視する姿勢の現れだ。3年間で3車種のコンパクトカー開発を行うプロジェクトリーダーは、ヴァンサン・コベ氏である。

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 もちろんこの大規模で画期的なプロジェクトはルノーとも連動しており、トヨタ、ホンダにもけっこう大きな影響を与えている。

マツダ・プレマシー概観

 7月1日、マツダ小型ミニバン、3代目プレマシーが発表された。
 プレマシーはミニバンではあるがワゴンの要素も加えた多目的新ファミリーカーという位置付けで、開発のキーワードは、魅了するデザイン、考え抜かれた機能性、環境への優しさ、上質で気持ちよい走りの4点である。

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 プラットフォームはフォードC1をベースとする。
 プレマシーは海外ではマツダ5の名称を持ち、アクセラ(マツダ3)につぐ戦略車種である。日本向けはVD型2.0Lエンジンのみだが、海外では1.8L、2.0L、2.3Lのガソリン、2.0Lディーゼルというラインアップだ。
 トランスミッションは、日本向けは5速ATのみ。駆動方式はFFがメインで、8月には4WDモデルも追加される。
 VD型エンジンは、直噴DOHCエンジンで、最廉価版以外はアイドルストップ機構を装備する。アイドルストップ機構装備車は、アクセラ、ビアンテに続いて3番目となる。なお、販売動向によればアクセラで約30%、ビアンテは47%がアイドルストップ装備車だという。
 新型プレマシーのボディサイズは、全長4585mm、全幅1750mm、全高1615mm、ホイルベース2565mm。3列シートを備えた7名(2/3/2)乗車だが、2列目シートは実質は2名乗車が現実的だ。

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 燃費向上、特に実用燃費をアップするアイドリングストップは、エンジン停止時に所定の位置にピストンを停止させる専用エンジン制御とメインとサブの2個のバッテリーを装備する。なおバッテリーは充電制御システムが装備され、バッテリーの充電状態が良好であれば加速時は発電/充電しない。

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 マツダのロードマップでは、次のステップとしてブレーキ電気回生に進むとしている。
 エンジン出力は150ps、186Nm。可変バルブタイミング機構を装備する。

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 ボディは、フロント・ドア、サイド両側スライドドア(両側電動、または左側電動はオプション)、バックドアを持つ。
 なおプロポーションは、空力を意識したもので、特にルーフはミニバンとしては異例なほど後方に向かってスロープダウンしている。またボンネットや床下の空力処理も入念で、cd=0.30の実現は立派だ。この空力重視からもプレマシーはヨーロッパ市場を強く意識していることがわかる。

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 なお、シャシーやステアリング、ブレーキなどのコンポーネンツはヨーロッパ・フォード製で、パワーステアは電動油圧式だ。

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 走りの開発テーマは統一感のあるリニアなドライビングフィールの追及で、つまりアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作に対応して、ロールやピッチをリニアに反応させ、エンジンやブレーキもドライバーの意志にリニアに応答するように心がけたという。

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 ミニバンは、ロール速度が不均一だったり、ステアリングの応答遅れなど顕著だったりするケースが多いが、欧州試乗からの指摘もあってこうした基本性能の熟成を重視したのだろう。また、先代プレマシーは、走りを強調するあまり、ステアリングのゲインを高めたりしたことも反省点のひとつになったようだ。今回のリニアリティ重視のチューニングにより走りの質感を高めたわけである。
 インテリアの機能性は、両側スライドドアやシートアレンジ、収納スペースの充実など相当に煮詰められているが、インテリアの質感はやや不十分というレベルだ。
 このあたりはターゲット価格を160万円前後とするしわ寄せといえる。
 
 新型プレマシーのハイライトのひとつは「NAGAREN(流れ)」デザインを本格採用したことだろう。NAGAREデザインは、マツダのデザイン表現として決定され、すでにアクセラなどにも採用されているが、全面的な採用はプレマシーが最初となるのだ。

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 フォード・ヨーロッパからマツダのデザイン部長になったバン・デン・アッカー氏が自然の中の風や水の流れをモチーフにした個性的な「NAGARE」デザインを確立・推進した。なお2009年春にバン・デン・アッカー氏はマツダを離れ、現在はルノーのコーポレートデザイン担当・副社長。
 5角形の大きな笑う顔付きのフロントグリルなどマツダのアイデンティティを取り入れながら、プレマシー全体を水の塊とし、前端からリヤエンドまで水の流れを表現。サイドマーカーは川の中に突き出した石を表現し、石によって流れの波紋が広がりボディサイドのプレスラインとなり、リヤのコンビランプまでつながっている。
 ミニバンはボディの全体が平板になりやすいが、プレマシーはダイナミックで立体感を
重視したのだ。 
 このためボディサイドには大胆なインバースした複数のプレス加工が加えられている。
もちろん生産面でも、販売店での補修面でも新たな挑戦だったと思われるが、補修面では従来基準に収められたという。
 日本では多少微妙なところもあるが、欧州市場ではこれくらいの存在感が求められているに違いない。
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