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アンチロッブレーキ(ABS)の再考察

 1928年、ドイツ人のカール・ウェッセルが、自動車用ブレーキフォース・レギュレーター、つまり現在でいうアンチロック・ブレーキシステムの特許を取得している。もちろんこれは機構的には実現せず、特許だけに終わった。1941年にはアンチロック・ブレーキレギュレーターの試作品によるテストが行われた記録もある。「一定の効果は認められた」と当時のドイツ自動車工学ハンドブックに記載された。
 しかしこうした先駆者の挑戦により、アンチロック・ブレーキシステムにはホイールの車輪速センサーと、各センサーのデータを比較し、ロック寸前のホイールのブレーキ圧を調整するコントロールユニットが必要であることが明確にされた。
 時代を追うと、1952年に航空機用に機械式センサーを使用したアンチロック・ブレーキ(マクサレット=ダンロップ社)が、そして54年には鉄道用のシステムが実用化された(日本では新幹線用の機械・電気式ABS:1964年が初)が、道路を走る自動車用は実用化されなかった。
 航空機用、鉄道用の車輪速センサーは、メカニカルなフライホイールに装備する摩擦式センサーが採用されたが、これは自動車には不向きだった。高温、泥による汚れ、加速、減速といった自動車特有の使用条件に適合しなかったのだ。
 ただし、1960年代から70年代にかけてイギリスでは機械式ABSが試験的に採用したクルマが発売されている(ジェンセン、ファーガソン、フォード)

 電気制御式ABSについて、ドイツのTELDIX社とダイムラーベンツ社が共同研究を行い、機械式センサーに代わる新たなセンサーの開発を行った。
 そして1967年に非接触型の誘導コイル式センサーを実現した。電磁ピックアップにより車輪速を計測し、ソレノイドバルブによりブレーキ圧力をコントロールする方式だった。ただし、アナログ制御のアンプと油圧コントロールであるため、きわめて回路が複雑で、正確に制御できなかった。
 1970年末に、ベンツ社はウンタートゥルクハイムのテストコースにおいて、トラック、バスにTELDIX社と共同開発した試作システムを搭載し、公開テストを行い大きな反響を得ている。
 しかし次世代の、実用、量産化できるアンチロックブレーキ・システムの開発にはさらに8年を要した。
 この後ベンツ社は以前からABSを研究していたボッシュ社と新たに共同開発を行い、最新の電子制御化に挑戦した。
 ボッシュはデジタル制御システムによる試作品を完成するのに5年間を費やした。
 デジタル制御にしたことで、車輪速センサーの車速比較とブレーキ油圧制御のパルス送信をブレーキ圧制御ソレノイドバルブにミリセカンドの単位の速度で送信できるようになったことが画期的で、センサーの配置は、従来の前輪だけではなく後輪にも配置できるようになった。
 1978年8月にベンツ社は第2世代(デジタル第1世代)のABSを発表し、同年末のSクラスにオプション設定された。これが量産の電子制御ABSの始まりであり、1987年にはベンツ社の全社に標準装備化が完了している。またトラック、バスのエアブレーキ用ABSはWABCO社と共同開発を行い、80年代の後半からドイツのバス、トラックに標準装備化されている。

 ABSは、登場直後は3チャンネル(前輪独立2チャンネル/後輪1チャンネル)、簡易型は2チャンネル(片側輪1チャンネル×2)、現在は4輪独立の4チャンネルが標準化している。当然ながら4輪独立制御の方がより高精度に制御できる。またブレーキ油圧の制御モードも、減圧/増圧の2モードから、減圧/増圧/保持の3モード、急減圧/急増圧/緩増圧/緩減圧/保持の多モード、さらにはリニアソレノイドバルブを使用したリニア制御へと進化してきている。
 また、4チャンネルABSにより4輪独立ブレーキ制御の機能は、その後はEBD(ブレーキ力前後自動可変配分)、LSD機能+トラクションコントロール、ESP(横滑り制御)を含めた統合制御へと拡大している。
 プリクラッシュセーフティにおけるレーダー波やカメラ画像による追突防止&軽減自動ブレーキ機能や、インテリジェントオートクルーズによる自動速度調整機能などもABSの基盤があってこそである。
 このように最新世代のABS技術はシャシーの総合電子制御に不可欠ともいえる存在になっている。
 このような進化の過程ではブレーキバイワイヤーに発展させる発想も当然ながら出現してくる。このブレーキバイワイヤーは、ベンツ社が2001年から一部の車種に採用した(もちろん機械式油圧バックアップを持つ)が、約2年後にはシステム不具合が多いため廃止している。30型プリウスはブレーキバイワイヤーといわれているが、正確には機械式油圧をセンシングして電動油圧ブレーキを発生しているため半ブレーキバイワイヤーといえる。
 ブレーキの場合、電子制御システムの失陥を考慮し、機械式油圧ブレーキをバックアップとして存続させざるを得ないため、完全なブレーキバイワイヤーは登場しにくいと考えられる。
 
 日本では1980年代後半から90年代にかけて普及した。ABSが登場した80年代後半にサーキットで高級ドイツ車の試乗会が行われ、全日本ラリーー出身のレポーターが200km/h以上出る直線部の後半でハードにブレーキをかけたところABSが作動し、そのペダルのキックバックをブレーキの故障と勘違いしてブレーキを緩めたためオーバースピードでコースアウトしクルマを大破させた事件があったほど、ジャーナリストと呼ばれる人でも認識は薄かった。
 また自動車メーカーでも、この当時はエントリー層向けの安価なクルマならともかく、高性能車にはABSは不要とコメントするエンジニアもいたほどである。
 日本では、低価格車には2チャンネル、その後も3チャンネルABSが設定されたこともあり、ABSはタイヤロックによるスピンモードにはならないが制動距離が伸びるという説がかなり定着した。しかし、これは間違った観念である。
 最近のプリウスのブレーキ事件の時でも「ABSは急ブレーキ時でもステアリング操作できる機能」という考えを示した人は、一般人でも業界人でもけっこう多かったことに驚かされた。これは誤りではないが、機能の一部に過ぎないのだ。
 1990年代にはドイツのツーリングカー選手権(DTM)でABSが導入され(その後禁止されたが)、圧倒的なブレーキパフォーマンスを実証したし、その後はF1グランプリにも導入されたが、これもすぐに禁止されたことからもわかるように、圧倒的にブレーキ性能を高めることができたのだ。
 ABSは濡れたり凍っている路面で機能を発揮すると考えられているが、実際にはドライの路面、サーキット路面でも有効に、しかも限りなく精度の高いブレーキが可能になる側面を持っている。
 もうひとつ、ABSが作動しやすいのはウエット路や凍結路であり、軽い踏力で簡単にABSが作動するため、ブレーキのペダルのキックバックが生じた段階でABSが作動し、その直前で最大のブレーキ力に達していると考えられがちだが、実はABSの作動にも一定の幅があることはあまり知られていない。
 つまりABSでも効き始めに達するブレーキ油圧と、最大のブレーキ力を発生するブレーキ油圧は異なり、だからABSが作動を開始しても最大のブレーキ力を得るためには、さらに一段と強くブレーキペダルを踏み込む踏力が必要だということだ。
 これは、ABSなしのクルマで実験するとわかるが、強いブレーキを踏むとまず前輪がロックする。ABSありの場合はこの段階でABSが作動するのはいうまでもない。
 しかし、実際には前輪のみのロックではなく、4輪がロックするようなハードなブレーキはさらに一段強いペダルの踏み込みが必要なのだ。
 ABSありの場合でも、この4輪同時ロックの状態のブレーキ踏力によりはじめて最大ブレーキ力になるのだ。
 だから、事故を回避するようなパニックブレーキの場合は、ABSが作動してもなお一段と強く踏み込む必要がある。これを補完するのがブレーキアシスト(BA)なのである。BAの普及はまだ50%ていどと思われる。BAは、特にパニックブレーキが必要なときに、一般ドライバーの70%以上が、危険が迫っているため体が硬直し、素早い強いブレーキを踏むことができないという研究結果から生まれている。
 どんなにクルマに優れたブレーキシステムが装備されていても、ドライバーが緊急時に最大ブレーキ力を発揮できないという、心理的な要素をカバーするのがBAである。
 
 ABSの基本システムは、車輪速センサーがホイールの回転をモニターし、特定輪の回転数が少なくなったときや停止したとき、つまりロック状態を検知すると、油圧ポンプモジュールが作動して、ロックしたホイールのブレーキ油圧を緩め、ロック寸前状態を維持し、操舵との両立をはかるフィードバック制御である。
 図からもわかるように、最大のブレーキ力が得られるスリップ率10~20%の範囲で、なおかつタイヤのコーナリングフォースが最大に近い領域ををABSが制御するため、理論的に最大のブレーキ力と操舵を両立させていることがわかる。
摩擦係数
↑各路面におけるスリップ率によるブレーキ力の差

slip-graph2.jpg
↑オレンジ色のゾーンがABSの制御範囲

 スリップ率は、車体速度から車輪速を引いた速度を車体速度で割った値で、スリップ率0%は車輪速度=車体速度、すなわち、タイヤが路面を転がっている状態。スリップ率100%=スリップ比が1.0は車輪速度がゼロになっている状態。つまり、タイヤが完全にロックしていることを意味する。スリップ率がマイナスになる場合は、車輪速度>車体速度の場合で発進時にアクセルを大きく踏込みタイヤが空転た時を意味する。この発進加速時もスリップ率がマイナス10~20%のときが最大の発進加速力が得られる。
 つまりブレーキ、発進時のスリップ率は、コーナリング時のスリップアングルと同等の意味を持つのだ。
 こ最適の範囲、スリップ率が10~20%の間で1秒当たり50回の油圧コントロールは、どのようなプロドライバーでも不可能であり、これがABSの優位性である。
 現在の車輪速センサーの精度は飛躍的に高まり、ほぼロック寸前の状態まで検出ができるし、ブレーキの油圧の制御も毎秒50回のサイクルでコントロールできるようになっている。しかし、現実はそうしたフィードバック制御だけではなく、さらに高度な路面の摩擦力や運転モードを推測する路面判定、運転判定などのロジックも取り入れられている。そのためgセンサーも組み込まれているのだ。
 つまりフィードバックだけではなく、フィードフォワード制御の要素も組み込まれているのだ。路面判定は、gセンサーだけではなく各輪の車輪速センサーでの回転数のばらつきぐあいなども判定要素として制御ロジックに組み込まれている。
 ドライの舗装路面やサーキットで、ABSが最大限のブレーキ力が得られるのは、最適なスリップ率を維持できること、さらにコーナリング中のブレーキ力はタイヤの摩擦力の中でブレーキに配分できる最大のブレーキ力を維持できること(言い換えるとタイヤの摩擦円の中で最大のブレーキ力を引き出すことができること)というふたつの理由による。
 ただし、サーキットでプロのレーシングドライバーが常に最大限のブレーキを使用しているとは限らない。最大限のブレーキ力を使用することでブレーキの発熱が増大しフェードすることを考慮し、フェードが許容できる範囲になるように80%ていどのブレーキに留め、100%使用するのは予選の1回だけ、といった戦略的なブレーキを使用しているのも事実である。
 ABSをオフにした方がブレーキ力が向上するケースは、雪道や砂利道などで、タイヤのトレッド面のブロックパターンがロック状態になることで路面に食い込み、物理的な抵抗力生じるときである。しかし、この時はステアリングは効かないため、必ずしもロックさせればよいというわけではない。
 また、今回のプリウスのブレーキ問題の原因になった、スプリットミュー、つまり片側はグリップし、片輪が濡れたマンホールや凍結路面であった場合は、ABSが瞬時に作動し、またスピンモードに入ることを防止するためにグリップ側のホイールのブレーキ圧も減圧されるため、瞬間的ではあるがブレーキ力が弱まり(スリップ路面は瞬時に通過している)、4輪がグリップ路面に移動した時点でもブレーキ力の不足を感じるシーンはどのクルマでも発生する。
 このケースでは、ブレーキペダルに振動を発生させることでABSが作動したことをドライバーに警告し、ドライバーにブレーキの踏み増しを促すのが正解だと思う。
 
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プリウスのブレーキ新論

 今日、現行型のプリウスのオーナーと話をしたら、例のリコールでのブレーキ制御のアップデートを行った後、通常のブレーキ・フィーリングがとてもよくなったという感想を聞いた。
 「え?」、である。
 トヨタの発表ではABS作動時の油圧を、機械式油圧を使用するのを止め、20型までのような電動ポンプによる油圧にもどした・・・とのことであったが、なぜか通常のブレーキでのフィーリング、自然な効きの感じが向上したという。それもかなり敏感な人だけがわかるということではなく、誰でもわかるようなフィーリング改善だそうだ。
 もう一点は、朝一に始動した直後は、超カックン・ブレーキのフィーリングが顕著だったのが、その点も今回のアップグレードで改善されているという。
 オーナーは、他のプリウスのオーナーにも確認したが、全員がそういう感想だという。
 ということは、今回のリコールによる対策は、周知のABS作動時のプログラム変更だけではなく、ブレーキフィーリング全般、つまり電動ポンプによる油圧制御の油圧特性全般が見直されていると推定せざるを得ない。
 もちろん改善されたわけであるから文句をいう筋合いではないが、この時点で、つまり発売後1年を経ずしてアップグレード・データが存在するということは、社内では思い当たるふしが多々あったのではないか。
 逆に言えば、やはり発売時点でじゅうぶんにやり切れていなかったのではないか、ということができる。
 むろん、クルマの開発では、さまざまな事情で(例えばサプライヤーにパーツの改良要求を出したが発売時期までに間に合わない)見切り発車の発売を行い、1~2年後に改良するというやり方も存在するが、ことはブレーキというもっとも基本的かつ重要な性能、特性だけに、それはちょっと問題といわざるをえない。

ECUの電磁波暴走? ペダルの踏み間違い?

 アメリカではトヨタのリコール問題は、その後ECUの電磁波暴走の疑惑がかかり、トヨタは必死で防戦している。
 エンジンのマイクロコンピューターによる電子制御が登場していらい、当然ながら外部からの電波、電磁波に影響は懸念されており、作る側も電磁波シールド性を高めるようにしているのは当然だ。
 クルマはエンジン周囲で、点火系などはかなり電磁波ノイズが発生しているし、日本の道路環境ではトラックが搭載している大出力のCB無線などが自車の側方を通過することもあり、強力な電磁波を受けることもある。
 経験的にいえば、ECU本体はけっこうシールド性が高く、このような強力な電磁波を受けてもECUがエラーになることはないと思う。
 実際、開発時もECUの社内規定で決められた強さの電磁波を浴びせ、作動不良を起こさないことが確認されていると思う。
 今までの経験では(トヨタ車ではないが)、ECUボックスへの配線を一部切断して配線加工を行った状態では、強力な電磁波を浴びるとECUにエラーが生じることがある。可能性としてはトラックが趣味で搭載している強力なCB無線が原因になることが多いようだ。
 実験例では、上記のように加工した配線部に業務用無線機を近づけ、通話ボタンを押すと80%ていどの確率でECUエラーが発生した。この場合は、配線のシールド部が一部切断されているためアンテナの役割を果たすのではないかといわれているが、本当のところは不明。しかしエラーが生じることは間違いない。
 ECUエラーとは、メーターパネルにあるエンジンチェックランプが点灯し、エンジンはアイドリング回転まで落ちてしまい、アクセルペダルを踏んでも吹け上がらなくなる。そういう意味では、フェールセーフ機能が働いているわけで、加速側に吹け上がってしまうというようなことはないのだ。
 実際の道路環境では、このような場合はいきなりエンジンが減速するという現象になる。
この場合は路肩にクルマをいったん止め、イグニッションを切って改めて始動すると、エラーは解消する。
 アメリカの議会用に提出された証拠は、ECU関連の配線の特定場所をショートさせることでエンジンが吹け上がってしまうという理由であったようで、それはトヨタの主張のように人為的な工作であって、疑われているような電磁波と関連付けるのには無理があると思う。

 最近になって、アメリカでの走行中の意図しない加速、暴走はペダルの踏み間違いではないかという説も登場している。
 AT車のペダルの踏み間違い、つまりブレーキペダルと錯覚してアクセルペダルを踏んでしまうということだが、これは古くからの問題だ。
 日本では、以前から事故報道に登場している。このようなケースでは老人や主婦といったドライバーが多いと思っている。
 また事故の発生、つまりペダルの踏み間違いは、圧倒的に停止からの発進、あるいは前進、後進の繰り返しのようなシーンで発生している。
 後進でゆっくりバックし、最後に停止する時点でブレーキではなくアクセルペダルを踏んで暴走するといったシーンである。また、このような場合、普通はペダルの感触で体感できるため、ペダルを踏み間違えた瞬間に間違ったペダルから足を離すのが普通だが、ドライバーがパニックになって足が硬直し、間違ったペダルを踏み続けることで事故に発展するわけだ。
 アメリカでの過去のアウディ5000の例でも発進時の暴走事故であったはずで、高速道路を走行中に踏み間違えるというようなケースはとても珍しいと思う。まったくありえないとは断言できないが。
 
 そもそも、AT車のブレーキペダルとアクセルペダルは、ペダルの形状も、高さも、踏んだときの感触も異なっている。ペダルを踏む場合は、目で見てペダルを判別しているわけではなく、足の位置やタッチで判別している。
 ちなみにMT車でもアクセルペダルとブレーキペダルは、かなり段差を付けるのが普通で、いわゆるヒール&トー操作はやりにくい配置にしてある。スポーツカーのポルシェでもこの考えは守られ、公道ではヒール&トーは操作してはならないというメッセージである。
 シートに腰を下ろし、足をペダルスペースにまっすぐに伸ばすと、右足のやや右側の低い位置にアクセルペダルがあり、体の中央にブレーキペダル、そして左足のやや左側にフットレストがある。
 だから、ドライバーの走行中の運転姿勢は、やや両足を開き気味にし、左足はフットレスト、右足はアクセルペダルに置く。
 減速時は、まずアクセルペダルを離す。さらに減速する場合はブレーキペダルに踏み変えるのだ。このように踏み変えた時に、ブレーキペダルを踏み間違えて、アクセルペダルを踏み込むということは右足の移動がないということで、通常の走行中では考えにくい。
pedal.jpg

 まったくの仮説だが、発進や停止時にペダルの踏み間違いの起きる可能性が大きいのは、シートへの着座姿勢が極端に悪い場合である。
 シートに対して体が極端に内側向き、あるいは外側向きにずれて座っていると仮定すると、右足を延ばした先にあるペダルの配置が適正ではなくなり、誤ったペダルを踏みやすいことになる。
 いわゆる腰がしっかりとシートの奥に座っていない、浅掛け、左右方向の体の向きのずれがある場合は、足を不自然に開く形になりペダルの踏み間違いの可能性が通常より大きくなるはずだ。
 蛇足だが、左足ブレーキが正当な踏み方ではないという点も改めて強調しておきたい。
危険が直前に迫って緊急的な強いブレーキをかけると、強い減速gが発生する。またコーナリング中の強いブレーキの場合は、横gと減速gの両方が発生する。このような場合に、ドライバーが体を支えるために左足で踏ん張り、上体をシートバックに押し付けることでドライバーの上体は安定する。右足はアクセルペダルかブレーキペダル以外に置き場所がほとんどないので踏ん張ることはできないわけだ。
 AT車、2ペダル車でブレーキペダルが大きな形状になっているのは、左足でもブレーキ操作ができるという意味にすぎず、常用するためではないのだ。


 

ハイブリッドカー時代の開幕:2010ジュネーブ・モーターショー

 恒例のジュネーブ・モーターショーが3月4~14日まで開催されている。
 ジュネーブショーは、ヨーロッパの自動車メーカーが最も力を入れるショーで、ワールド・プレミアや新コンセプトカーを登場させることで知られている。
 今回のショーを概観すると、ヨーロッパにおけるハイブリッドカーの時代の幕開けを意味している。周知のようにディーゼル・エンジンが普及しているヨーロッパでは、日本的な、いやトヨタ的なハイブリッドカーは懐疑的に見ていたが、もはや市場がハイブリッドカーを求めていると、ヨーロッパのメーカーは判断したのだ。
 ハイブリッドカー=環境対応車というイメージは、日本より先にアメリカ、特に西海岸で認知されたが、ヨーロッパは、ディーゼルターボに劣る燃費のハイブリッドカーの評価が高かったわけではない。
 しかしヨーロッパのマーケット、ユーザー層でもハイブリッドカーに対する関心は最近になって急激に高まってきているそうだ。
 このような市場動向を察知した結果、ヨーロッパの自動車メーカーは、当面の戦術としてハイブリッドカーをラインアップする手に出ている。
 
 なんとフェラーリも、599(フィオラノ)にもハイブリッド仕様を試作し、出展した。F1グランプリのイメージを使用した「HY-KERS」である。標準モデルの6.0L・V型12気筒エンジンと7速デュアルクラッチ・トランスミッションは共通だが、リヤアクスル部に100psのモーターをレイアウ。リチウムイオン電池は床下に配置している。HY-KERSはモーターのみ、エンジンのみ、エンジン+モーターの3つの走行モードを使用できるという。

カイエン・ハイブリッド
↑カイエン・ハイブリッド

 もう一方の旗手、ポルシェもハイブリッド一色だ。
 モデルチェンジするカイエンには新たにハイブリッド仕様が追加されている。
 カイエンはベースモデルでも、アイドルストップ、8速ティプトロS、可変気筒休止、ブレーキ回生を採用し、従来モデルより20%近く燃費を改善しているが、注目すべきはカイエンSハイブリッドだ。
 ポルシェ初のハイブリッドとして、パラレル式フルハイブリッドシステムを搭載。エンジンとモーターを切断できるクラッチを装備する。電池はリチウムイオン電池。
 3.0L・V6スーパーチャージャー付きエンジンと34 kW(47 PS)を発生するモーターを組み合わせている。走行モードは、エンジンのみ、モーターのみ、両用の3モード。エンジンは333ps、モーターは、低回転域きエンジンをアシストして、わずか1000 回転で580 Nmの最大トルクを生み出すという。システム総合出力は380ps。またモーターのみでの走行距離は60kmで、モーターでの最高速は156km/hまで可能だという。さらに、ニュートラル状態での走行(セーリングモード)も使用できるのだ。
 セーリング走行モードは、ドイツ式燃費走法の象徴で、VW/アウディ/ポルシェ・グループで順次採用されるはずだ。
 なおカイエンSハイブリッドの発売時期ま未定とされている。
 ポルシェは、カイエン以外に、911GT3 Rハイブリッド(フロントアクスル駆動用の電気モーターと発電モーターを搭載したレーシングモデル)、コンセプトカーの918スパイダー・ハイブリッドを出展している。
918スパイダー・ハイブリッド
↑918スパイダー・ハイブリッド
 918スパイダー・ハイブリッドは、同社の方向性を示したものだ。
 プロトタイプ 918スパイダーは、レーシングカーの技術と電気モーターとを組み合わせ、走行性能をあらゆる点で高めることを意図しているという。この結果、CO2排出量は70g/km 、走行距離100kmあたりの燃料消費量も3Lといった、超コンパクト車両並みの燃費性能を実現。その一方で、0→100km/hはわずか3.2秒。最高速度も320km/h以上をマークし、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェでは7分30秒を切るラップタイムを記録するという。
 ミッドシップされるエンジンは高回転型の3.4L・V型8気筒で、最高回転数は9200回転、500ps以上。前後のアクスルに装備されるモーターは合計218PS(160kW)の出力。
 エンジンとモーターのパワーは7速PDKを介して後輪を駆動し、フロントホイール用モーターは固定変速比によってフロントホイールを駆動する。リヤに液冷リチウムイオン電池を配置。しかもこの電池はプラグイン対応する。ステアリングスイッチで、4モードが選択でき、モーターのみで25kmを走行でき、ハイブリッドモードでは走行条件と必要条件に応じてモーターとエンジンの両方を使い分ける。さらに出力重視のスポーツハイブリッドモード、サーキットモードのレースハイブリッドモードを持つ。このモードではモーターは加速ブースターとして機能する。なおハイブリッドのため、カーボン・モノコック、アルミ、マグネシウムの採用による軽量構造とし、車両重量は1490kgていどだという。
 つまり918スパイダーはポルシェらしく、ハイブリッドを燃費だけに使用するのではなく極限的なハイパフォーマンスにも使用するというメッセージを伝えているのだ。
 
 アウディはA8ハイブリッドとA1・eトロンを出展した。
  A8は直4・TFSIエンジンと45psモーターを採用し油圧クラッチを組み合わせている。システム総合出力は245ps。トランスミッションは8速(ポルシェと共通)。パフォーマンスは、0→100km/h加速7.6秒、最高速235km/h。リチウムイオン電池のみでは最長2km、最高速65km/h が可能だという。
  プレステージクラスは、すでにベンツ、BMW、レクサスLS600hが先行しているが、A8は圧倒的なエンジン・ダウンサイジングを優位性を示している。
A1 eTron
↑アウディA1 eTron

  プレミアム・コンパクトのA1にハイブリッドを組み合わせたのがA1・eトロンで、モーターのみで走行する。プラグインに加え、発電用のバンケル・エンジンを搭載しているのがユニーク。モーター出力は61ps(オーバーブーストモードでは102ps)、最大トルク15.3kgm(同24.5kgm)。大容量の12kWhのリチウムイオン電池を搭載。発電用のエンジンは254ccのシングルローターで20ps。航続距離は250kmていど。
 動力性能は、0→100km/h加が速10.2秒、最高速130km/hという。A1・eトロンもきわめて軽量で車両重量は1190kgだそうだ。
 
 VWは、新型シャラン、ポロGTI、トゥアレグ、クロスポロ、クロスゴルフ、ピックアップトラックのアマロック、マルチバンのT5を発表。シャランは、ガソリン、ディーゼル各2機種が設定され、トランスミッションは6速MTと6速DSG。アイドルストップ、ブレーキ回生が採用されている。
 トゥアレグは、V6・TSIエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド(380ps)と、ガソリンのみ(280ps)ディーゼルターボ(240ps/340ps=V8)を設定。アイドルストップを新採用。
 ポロGTIはTSIエンジンを搭載し180ps。0→100km/hは6.9秒、最高速は229km/h。
 
 プジョーは、大攻勢をかけている。正統派ラグジュアリーサルーンの5byプジョー(ハイブリッド)、コンパクトカーの5008、3008、コンセプトカーのSR1、100%EVの「iON」(i-MiEV)、都市部のコミューターとして発想された「BB1」などだ。
 三菱と連携を深めているプジョーは、EVを指向し、この点ではドイツ勢とはかなり異なっている。
 シトロエンは、コンセプトカーの「SURVOLT」を出展。2シーター・2ドアクーペのEVで、ボディサイズは、全長3850×全幅1870×全高1200mm。
プジョーRCZ
↑プジョーSR1concept

BB1.jpg
↑プジョーBB1(EV)

 メルセデスは、ディーゼルエンジンにモーターを組み合わせた“ディーゼルハイブリッドシステム”搭載の“E300ブルーテックハイブリッドを出展。2.2L直列4気筒ディーゼルエンジンに、出力15kWのモーターを組み合わせた、ディーゼルハイブリッドカーだ。1モーターで、ディーゼルをアシストし、ブレーキ回生を行う。エンジンとモーターの間にクラッチを備えている。電池はリチウムイオンである。
 
 フィアットは、小型MPVのドブロに、ガソリン、メタン併用のモデルを送り込んだ。
  
 中国メーカーではBYDがEVの「e6」を出展している。これはすでに発売しているモデルだが、最高速140km/h、0→100km/hは14秒。航続距離は300km。モーターは前後アクスルにそれぞれ配置しフロントは214ps、リヤは53ps、システム総合出力は268ps/550Nmだという。
 自社製のリチウムイオン電池を搭載し、プラグインにも対応している.
 
 このように日本メーカー以外のハイブリッドカーを概観すると、きわめてコンセプトも技術も多様であることがわかる。日本では、ハイブリッドカーNo1はプリウスということが定説になっているが世界的なトレンドでは、むしろ少数派といえるかもしれない。それは、ハイブリッド・システムの問題というより発想の違いが大きいと思う。
 
 トヨタは、ヨーロッパ向けともいえるレクサスブランドのハイブリッドカー、CT200hを出展した。基本的にはプリウスと同じパワーユニットだが、ヨーロッパ向けのシャシーを、つまりオーリスをベースにしており、フロントはストラット式、リヤはダブルウイッシュボーン式としている。デザインはCセグメントのハッチバックである。もちろんオーリス・ハイブリッドも設定される予定だ。
レクサスCH200h
↑レクサスCT200h

 ホンダはCR-Zと、FCXクラリティ、EVのEV-N、そしてコンセプトモデルの3輪電動コミューター「3R-C Concept」を出展。「3R-C Concept」はホンダR&Dヨーロッパのミラノ・スタジオデザインだ。
ホンダ3R-C Concept
↑ホンダ3R-C Concept

 スバルは、スバル・ハイブリッドツアラーコンセプト、インプレッサVX、プラグイン・ステラの3台だ。インプレッサXVはインプレッサをベースにしたクロスオーバーモデルである。また、エンジンは第3世代の水平対向エンジンを発表し、今後採用していくという。
これは主として環境対応性能を向上させたものだ。
インプレッサXV
↑インプレッサXV
スバル新世代エンジン
↑新世代水平対向4気筒

 マツダは、両側スライドドアの7人乗りの新しいコンパクトMAV、ヨーロッパ名=Mazda5
を出展した。2.0Lの直噴エンジンを搭載しアイドルストップを組み込んでいる。

 三菱は、RVRのヨーロッパ向け「ASX」を出展。三菱重工と共同で開発したアイドルストップ機能付きの1.8L直噴ディーゼルターボ「DI-D MIVEC」(可変ターボチャージャー)と、6速マニュアルトランスミッションを組み合わせている。またプラグイン・ハイブリッドのConcept PX-MiEVも出展。
 
 日産はヨーロッパ向けのマイクラ(マーチ)のワールドプレミアを行った。エンジンは新開発の1.2L・3気筒直噴で、トランスミッションは5MTと副変速比を持つCVT。燃費は驚異的に向上しているという。
 なおマイクラは、アジアではタイが生産拠点となるという点が画期的だ。今後は低価格車の生産は海外工場に移転する先駆け的な存在だ。
日産マイクラ
↑日産マイクラ

 
 以上のように見ると、ヨーロッパ勢は近いうちにハイブリッドカーやEVのラインアップを実現しようとしていることは明白だ。面白いことに、同一モデルで見るとハイブリッドカーよりディーゼルターボの方が、燃費、CO2排出量ともに優れているが、なにはともあれハイブリッドカーという市場の要求に応える形でのラインアップだろう。
 また、ヨーロッパ勢のハイブリッドカーはすべてがリチウムイオン電池を採用しているの点も注目される。もちろんハブリッドカーが比較的高価格帯の車種であるため採用しやすいという理由もあるだろうが、密かに日本以外のメーカーと自動車用リチウムイオン電池メーカーとの共同開発が進行しているような気がする。(VWは東芝とタッグを組んだが)
 ハイブリッドカーのパイオニアのトヨタは、パナソニックと手を組んだため、ニッケル水素電池にこだわり、パナソニックが出遅れているリチウムイオン電池への模索が続いている。そのパナソニックは、リチウムイオン電池で先行しているサンヨーを支配下におさめたがその結果はまだわからない。
 ポルシェ918スパイダー・ハイブリッドのプレゼンテーション用のムービーの冒頭は、ロナール・ポルシェの再現映像から始まる。ハイブリッドカーの元祖は我々だ、という強いメッセージである。どうする、ニッポン組!

 
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