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外注体制

 かつてはホンダの七研、日産の商品実験部、車両実験部、トヨタの商品監査室やトップガン制度など、各自動車メーカーの実験部門や担当者はクルマの開発ので大きなかかわりを見せていたのだが、最近はこうした人たちが表に出てくることも少なくなっている。

 しかし、仕事そのものは相変わらずだと思っていたのだが、実はけっこう大きく様変わりしているようだ。やっぱり引き金になったのはリーマンショックなのだろうか。
 一例では数年前のトヨタ、最近ではマツダが、一度社内の実験部署で各種試験を経て承認されたコンポーネンツはその後の搭載車両では実験を省力化するという方針で、車両開発の実験工数を低減させている。もちろんこれによって開発スピードを早めることができることとになるのだが。
 本当にそれでよいのだろうか。

 もうひとつは、外注化の加速だ。いくつかの自動車メーカーは、開発中の車両の実験は外部の業者に委託することが多くなっているもちろん各実験部にエンジニアを中心とした人材は在籍しているのだが、実際の実験業務は契約した派遣会社に振るという仕組みを採用している。
 最近の情報では、日産の実験部もこの方式に改編する計画だという。

 1980年代後半の頃には「実験ドライバーの声は神の声」と言われた時代だったが、その実験ドライバーが外部の会社に転籍し、実験の仕事を受注する立場になる時代が来るとは驚きだ。
 実験の仕事の形態としては、実験部のエンジニアが業務内容を決めて発注書を書き、受託した会社がその発注書の内容に合わせて実験ドライバーを派遣する、あるいは特定の業務全体を受注し、受託会社が実験を行い、実験結果を提出するという形になる。

 トヨタの場合は、車両開発自体を系列会社に委託し、開発を受託した会社が開発、実験、製造までを担当する方式のようだ。最近ではトヨタ九州工場でも実験設備を設け、九州工場製の車両の開発は九州で実施することになっているそうだ。
 ホンダも鈴鹿製作所で、開発・実験・製造を一貫して行う体制を採用している。

 自動車メーカーから見ると、実験部の人員の削減、効率的な実験プロセスの実現という成果が得られるのはいうまでもないが、もはやモノ言う、実験期間を長引かせるようなドライバーは不要ということであろう。
 
 しかし、長期的に見て、こうした開発体制が有効で、正解なのか、ちょっと疑問である。

 

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スバル・レヴォーグとアルセロール社の話

 今年5月から発売を開始するスバル・レヴォーグ。レガシィの国内版というより、国内市場でのC/Dセグメントの再構築の柱という役割も持って登場する。「スポーツツアラー」というコンセプトで、つまりはワゴン版のGTカーというの位置付けだ。セダン版が今後登場するWRXとなる。
 スバルは現行のインプレッサから新世代プラットフォームとなり、それ以後XV、86/BRZと続き、いよいよレヴォーグからはハイパワー版のプラットフォームとなるということで興味深いが、そのボディ・骨格が明らかにされた。 
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 高張力鋼板/超高張力鋼板の採用比率はちょうど50%で、440MPa以上のグレードの採用を拡大している一方で、ホットスタンプ材は採用ゼロだ。その理由は、ホットスタンプ用の専用成形設備の導入と、1G MPa級以上のホットスタンプ材を溶接するためには大幅なレーザーシーム溶接設備が必要で、さすがにそれらを導入することは難しいとのこと。また超高張力鋼板の冷間プレス技術を進化させており、適材適所の高張力鋼板を組み合わせることで世界トップレベルの安全ボディとしているという実績の積み重ねを重視しているという。
 確かにスバルはアメリカの衝突テストでも全車がトップレベルで、スモールオフセット衝突試験でも最優秀レベルにあるのだから、これまでの独自路線で問題ないという自信もあるわけだ。衝突安全に関しては、特に前面衝突に関してはスバルはエンジンが落下して床下に滑り込むという圧倒的に有利な車体資質を持っているが、近年はそれだけではなく骨格の作りの上手さも評価されてしかるべきだ。

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 レヴォーグの車体とこれまでのNA用プラットフォームとの違いは、ハイパワーエンジンに対応し一段と骨格の結合剛性を高めていることで、それも補強材を追加するというより骨格の結合構造を進化させている。そうした構想での最大の着眼点は、ボディ全体での剛性の連続性と、局部剛性の大幅な向上いうことにつきる。そういう意味でボディの担当者はツボをわかっているといえる。
 結果的には、日本車で最も剛性感が高く、特に動的な剛性の高さは乗ってすぐに分かるレベルにある。またこうしたボディ骨格に対応してサスペンション用のクロスメンバー本体の剛性向上、クロスメンバー取り付け剛性の向上、さらにステアリングギヤの取り付け剛性(ブッシュの剛性は230%アップ)といった要点を締め上げているわけだ。ボディ、シャシー部の合成を大幅にアップしたことで、ばねやダンパーはよりレートを上げ、さらにリヤの横力トーイン特性を強めて、操舵応答性を向上させている。

 ただし、やはりホットスタンプを使用しない高張力鋼板がメインのボディは、どうしても車体軽量化では不利で、車重は1550kg級になっている。1500kgを下回っていれば・・・という点が惜しまれる。


 1月に開催されたボディ軽量化技術展にアルセロール・ミッタルと関連ホットプレス成形機会社が出展した。ティッセン・クルップ・グループとアルセロールはシェアを2分しているが、ボルボ社やフィアット・グループはアルセロールの材料、技術が採用されているという。
 アルセロール系のホットプレス成形機は、日本で2次下請け会社に初めて納入されたという。これから自動車メーカーにもプレゼンテーションを行うという。

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最近のボディ骨格

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 ↑2014年登場のボルボXC90のボディ

 ここ2年ぐらいで、世界のクルマのボディ骨格の作り方はずいぶん変化してきているが、日本車に限ってはあまり変化が見られない。その原因は、やはり工場での製造の制約が大きい。成形加工や組み立てに時間がかかる材料は嫌われるということが一番の理由だ。言い換えれば、それだけ工場の側の声が大きいといえる。

青220MPa、黄420MPa、赤1000MPa、紫1000MPa(熱間プレス

 ↑VW ゴルフ7(青:220MPa、黄:420MPa、赤:1000MPa、紫:熱間成形1000MPa以上)

 ヨーロッパの自動車メーカーは、当初のプレミアムメーカーから今ではA/Bセグメントのクルマまで超高超張力鋼板の使用が拡大しており、特に熱間成形のホットスタンプの採用が多くなっている。もちろんその狙いは、軽量化とキャビンのさらなる高強度化を両立させるためだ。
 熱間成形工程の設備を導入するなど、設備投資も高額になっている。日本では前後のバンパーレインフォースやAピラー部など単純な形状の骨格に限定採用され、複雑な形状の骨格への導入は否定的だ。その代わりに、新日鉄・住金が開発した冷間プレスができる超高張力鋼板が主流になると見られる。

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 ↑日産 Q50

 日産スカイライン(Q50)がその先鞭を付け、スズキ、マツダなどに採用が拡大しているが、やはり部位としては限定的だ。この冷間プレス成形ができる超高張力鋼板の使用も金型やプレス法などにかなりの専用技術やノウハウを要するため、限定的な使用とせざるを得ないようだ。

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 ↑ホンダ・ヴェゼル

 エンジンの分野ではターボ過給を採用したダウンサイジング・エンジンは、現在ではヨーロッパ、アメリカで主役になり、日本ではハイブリッドが主役という流れができたが、
ボディ骨格についても日本は独自の手法を追求いて行くのだろうか?

東京モーターショーと最近のトレンド

 東京モーターショーが開催中だ。ここ1年ほどで円安にぶれたことで日本の自動車メーカーは軒並み業績が改善しているが、今回のモーターショーはその恩恵が発揮されるには時間不足で、日本の自動車メーカーの出展内容は三菱、スバル以外は味が薄かった感じがする。

 三菱は、ルノー・日産との業務提携により、セダンの開発という重荷が取れ、SUVメーカー、電駆動動化メーカーに選択・集中を果たせたことで、ふっきれた感じ。スバルは行正規が最高潮のため、1モデルでグローバル対応をせざるを得なかった制約を取り払い、グローバルカーと日本専用モデルの作り分けができるようになった事が背景にある。

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 もうひとつ、今年後半で一気にクローズアップされた新たなクルマのテーマ、運転の自動化、電動化、ネットワーク化などは、サプライヤーでは明確なロードマップが提示されたが、日本の自動車メーカーは、これにも対応は遅れ気味であることが感じられた。 

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↑スバル・アイサイトver3            ↑コンチネンタルに続きボッシュもステレオカメラ

 この夏以降、日産が自動運転化の技術をぶち上げたが、トヨタはややコンセプトをまとめるのに時間がかかっているようで、それが原因か首都高速での手放し運転がテレビ報道されて一部で問題を引き起こした。
 自動運転化技術の開発がほとんどストップしていたホンダ、三菱、マツダなどはここ2、3ヶ月で開発体制作りに追われている。自動運転化技術に関して案外進んでいたのがスバルで、これはアイサイトのおかげだろう。来年登場するアイサイトver3で、ステアリング自動操舵、トルクベクタリング補正制御を採り入れることからもわかるように2015年以降の自動運転(正確には高度運転支援システム)化にはスムーズに対応できそうだ。開発担当者によれば2020年以降の高度運転支援システム、オートパイロットに関してもすでに開発を進めているという。これはやはり小さな組織、小さな開発チームの有利さか。

P1100962.jpg ←自動運転を前面に打ち出したスバルVIZIV


日産は新型スカイライン(V37型=インフィニティQ50)で、世界初のステアbyバイヤーを採用した。これはこの技術単独での評価より、シャシー制御全体、あるいは自動運転技術の一環として位置付けるべきだろう。ホンダでも同様の技術を開発中で、技術展示試乗会では試乗もできたが、技術のポジショニングがややあいまいだと感じられた。

 その他、ここ最近のキーワードを拾い上げてみた。
・コネクテッド(インターネットとのネットワーク化):日本の場合、自動車メーカが主体になって純正ナビゲーションを開発してきているため、コネクテッドの方向性に対して腰が重い感じがするが、自社開発ナビを持たないマツダやスズキなど軽自動車メーカーの方が取り組みが早い。

・ビッグデータ:国交省がITSスポットを一気に全国展開させたが、提供コンテンツが不十分で普及が遅れている。その他ホンダのインターナビのプローブ情報データ、パイオニアのモバイルテレマティクスセンターなどクラウドとしての基盤はあるのだが、統一運用、アプリなどが未整備。しかし、これからはこれと接続して活用することがテーマだ。

・AR(Augmented Reality):これまでのヘッドアップディスプレイの領域が更に広げられ、多様な警報や注意喚起情報を必要な時に表示するという今後の重要な研究テーマ。

P1110101.jpg ←コンチネンタル社の48Vシステム

・48V:日本だけが1.5Lクラスまでハイブリッドシステムを搭載するが、ヨーロッパ勢が注目しているのがこのマイルド・ハイブリッドだ。2015年搭載が決定している。ゴルフ7の1.2L TSIエンジン搭載車を例に取ると、現在のJC08モード燃費は21.0km/Lだが、48Vシステムを搭載すると25km/Lていどになる。もちろんJC08モードではハイブリッドシステムにかなわないが、実用燃費では現在のハイブリッドは22km/L前後だから、逆転する可能性があるわけだ。48Vシステムは48V前提の強力なスターター/ジェネレーターを発電・回生とエンジンアシスト駆動用に使用。回生電力は小型リチウムイオン電池に貯蔵し、電装系にはDC-DCコンバーターで12Vに落として使用する。コスト的には現在のハイブリッドシステムの20~30%。サプライヤーはボッシュ、コンチネンタル、ヴァレオ。シェフラーは第2世代の48Vシステムを狙っている。この48Vシステムに日本の自動車メーカーでは三菱が最初に手をあげている。

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・自動運転:海外組みの表現は運転の自動化で、先日は安倍首相が日本の自動車メーカーの試作車に乗って「日本の自動化技術は世界一」と言ったらしいが、それは誤解だ。欧州組はかなり前から実証実験を行っている。というのも、サプライヤーがシステムを構築しつつあり、それらを採用して共同開発を行っているからだ。主導しているのはボッシュ社とコンチネンタル社で、いずれも公道での実験走行を行っている。もちろん、正確に言えばいずれも「高度運転支援システム」で、障害物の検知と自動操舵による回避、アクティブクルーズコントロール(ACC)の組み合わせだ。日本の場合は、こうしたコンセプト以外に道路インフラ協調タイプも提案されている。トヨタや日産も2015~2016年が、高速道とや自動車専用道路での高度運転支援システム使用開始の年になりそうだ。この段階ではドライバーがステアリングに手を添えている必要がある。
完全自律タイプの自動運転化は2020年以降からというのが世界共通のロードマップとされ、このためには法定期な整備が必要となる。 コンチネンタル社は2025年からといっているが、スバルは2020年だという。 

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メルセデス・ベンツ Sクラスの最新システムの謎

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 ドライバー支援システム、プリクラッシュブレーキ、そしてステレオカメラを使用したマジックコントロール(油圧アクティブサスペンション装備車のみ)・・・と、まさに先進技術てんこ盛りで話題をさらったSクラスだが、どこまで機能するのか、どのような性能や特性を持っているのか謎が多すぎると感じたのも事実だ。
 
 幸い、新型Sクラスの各種装備を細かく検証し他知り合いがいたので、そこから情報を得ることができたが、なかなか興味深い。

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 まずは、マジックボディコントロール。ステレオカメラを使用し、15m前方の路面の凹凸を検知し、油圧アクティブサスペンションをプレビュー制御することでほぼ完璧なスカイフック・アクティブサスペンションとして機能するというものだ。つまりプレビュー制御の発想は納得できる。センサーはステレオカメラで、そのカメラの画像を処理することにより、路面の凹凸を判定する。
 
 つまり、路面の凹凸をモノクロ画像のコントラストで判定しているため、曇天では判定できない、もちろん夕暮れ、夜間も判定できない、強い逆光時にも判定が困難となり、プレビュー制御が作動しないことが予想できる。実際に検証した結果、これらの条件ではマジックボディコントロールは作動しなかったそうで、さらに一定のうねり路面でも段差判定が困難らしく作動しなかったという。つまり、逆に言えば一定の条件化でしか作動しないということになる。その意味では限定的なシステムと言えるし、作動できる条件を明示した方がよいのではないか。

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 次はナイトビューアシスト。ヘッドライトが照射する遠赤外線、近赤外線の反射波を近遠赤外線カメラで受像し、歩行者や動物を検知するとメーターディスプレイに映像を表示し警告するとともに、アクティブヘッドライトの照射ビームは歩行者を避け、なおかつ歩行者に警告するためにヘッドライトが点滅するというシステムだが・・・まずは近遠赤外線カメラでキャッチしディスプレイに表示される映像は、広報資料のような歩行者や動物の形の映像ではなく、赤点となりその周囲を赤枠で囲った点滅警告表示が行われることがわかったそうだ。したがって機能的には警告対象物を検知していることに間違いはないが、テンプレート形状として認識しているわけではなさそうだ。ディスプレイ画面での鹿や歩行者の形を描いた広報資料はミスリードとまではいわないが、実際の警告ディスプレイとは異なることは確かだ。
 さらにヘッドライトによる歩行者に対する警告の点滅はどのような状況でも作動は確認できなかったという。

 なおアクティブヘッドライトは、ハイビーム時に対向車や状況をカメラで判断し照射ビームを可変制御するという優れもので、ドライバーが防眩のためにロービームに切り替える必要はないのだが・・・実は街灯が1本でも視認できるような状態ではハイビーム=アクティブヘッドライトにならず、ロービームを維持するのだという。ということは、日本ではまったく街灯のない地域は極めて特殊なので、ほとんどアクティブヘッドライトが機能する時間はないわけだ。逆に言えば市街地を抜けるとほとんど街灯がないヨーロッパやロシアなどで有効なシステムと考えることができ、日本での装備はあまり意味がない。

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 ドライバー支援システム、プリクラッシュ・オートブレーキのためにSクラスは、ステレオカメラ(50m/45度)、360度カメラ、近遠赤外線カメラ(160m/20度)、マルチモード長中距離レーダー×2、近距離レーダー×3という多数のレーダー、1.2m/4.5mレンジの超音波センサーを装備している。まさに全方位センサーをフル装備した状態だが、プリクラッシュ自動ブレーキに関しては最終的にカメラの画像認識能力によるところが大きく、歩行者や自転車の検知は、歩行者の姿勢、自転車の方向などに左右され、検知能力は60%ていどだと思われ、したがって「対歩行者、自転車検知」機能を持つとは明言していない。
 またフロントに装備した0.2~30m/80度の短距離レーダーにより、車両前方直前の横方向からの飛び出し車両にも、低速域では対応できることになっているが、やはり30km/h以下で、飛び出し車両の車速にもよるため不確定要素が多い。
 
 Sクラスは他社の車両とは異なりる新技術に積極的に取り組み満載採用した意欲は認められるが、やや時間不足のまま市販モデルに搭載してしまったと考えるのが現実的だろう。
 またそれを、営業的な観点からのみでセールスポイントとしていることに違和感がないとはいえない。

IIHSの衝突回避・自動ブレーキテストとスバルの次世代アイサイト

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 最近、スバルは2014年に登場する予定の新型レガシィに搭載されると考えられる次世代アイサイトの発表を行った。 もちろん次世代アイサイトもレンズ間距離350mmのステレオカメラ方式であることに変更はなく、前方の対象物の距離と相対速度の測定、対象物を立体として画像認識を行うという点も同じだ。ちなみに現行型の「アイサイトver2」は約1年ほど前にバージョンアップされ、歩行者、自転車も検知できるようになっている。

 現時点で、衝突回避・軽減のための自動ブレーキを装備しているクルマで、歩行者、自転車を検知できるのは、「アイサイトver2」と、ボルボの「ヒューマンセーフティ(ボルボは標準装備がレーザーレーダー式のシティセーフティで、オプションとして単眼カメラ、複数のミリ波レーダーを備えたヒューマンセーフティが設定されている)」のみだ。そのボルボのヒューマンセーフティも、従来は歩行者だけだったものが今年9月から発売の2014年仕様から自転車検知機能付きにバージョンアップしている。

 現時点で多数のミリ波レーダー、ステレオカメラ、赤外線カメラなどをフル装備するメルセデス・ベンツのシステムも、歩行者、自転車はの検知は一定の条件でしか検知できないレベルのため、歩行者、自転車を検知できるとは説明されていない。

 ボルボの場合は、2014年仕様でもヒューマンセーフティのハードウエアに変更はないのだが、カメラ、レーザーレーダーによる情報と制御アルゴリズムの改良により、従来の歩行者のみの検知から前方を走る自転車の検知に成功したという。カメラで走行する自転車の概要を把握し、より近距離の時点でレーザーレーダーにより自転車の後方反射板を確認するというアルゴリズムと思われ、子供用の自転車には反応しない。
 ボルボの単眼カメラはかなり優秀で、道路標識の読み取り+表示などから前方の対象物の形状認識が優れているといわれる。


 一方で、業界から販売店、一般ユーザー層まで、レーダー万能と信じ切っている人が多いのも憂慮すべきことだ。どうやらその根拠は、暗闇、濃霧でもレーダー波が届くということらしいが。ヘッドライトが照射している限りカメラでも適合できるし、濃霧のような視界の得られない状況でレーダーを頼りに進むというのは船や飛行機以外では想定できない。そもそもレーダー波では歩行者や動物は捕捉・認識できないし。
 いずれにしてもカメラによる画像認識技術は今後ますます重要になることが明らかで、、そういう意味でも24年以上にわたってステレオカメラの研究開発をしてきた富士重工の技術蓄積の価値は大きいと思う。

カメラ機能比較 P1100084.jpg

 従来型のアイサイトは、「アイサイトver2」という名称だが、次世代型は「アイサイトver3」となるのだろうか。次世代型の進化とは、まずステレオカメラが従来のモノクロが画像からカラー画像になり、画素数も約4倍にまで高められ、画像認識性能が大幅に向上しているという。先行車のブレーキランプ点灯(LEDライト含む)、赤信号も認識できるようになり、天候に変化(雨、霧、逆光)などによる影響も従来少なくなっている。

 またステレオカメラによる前方捕捉距離、左右方向の視野角ともに現状より約40%向上させているという。前方補足距離は天候や交通環境により一定ではないということもあって距離数は公表されていないが、恐らく理想的な環境で200mが280mに伸びたといった感じなのだろう。左右方向の視野角も拡大され、これは高速道路での先行車との間の割り込み 車や、市街地での側方からの飛び出しにもあるていど対応できるようになったものと考えられる。側方からの飛び出しは、飛び出し速度に左右されるという担当エンジニアの言葉とデモンストレーションの内容から、人間が小走りの状態程度までは検知できるようだ。
 こうした改良により、より人間の目の能力に近づけたともいえる。

機能比較 次世代

 次世代アイサイトの機能としては、従来機能に「レーンキープアシスト」が追加された。
機能的には2種類があり、一つは車線中央維持機能で、「全車速追従機能付クルーズコントロール」を作動中、約65km/h以上で走行車線両側の白線を認識して走行している場合、車線内中央を維持するよう、ステアリングの自動操舵を行ない、ユーザーの運転負荷を大幅に軽減する。ただしドライバーがハンドルを操作している状態を判定し、無操作状態の時には機能を停止する。もう一つは車線逸脱抑制で、自動車専用道路などを約65km/h以上で走行している場合、車線からはみ出しそうになると、従来の車線逸脱警報(表示+警報音)に加え、ステアリングにトルクを加えることで車線内側方向に操舵する制御を行なう。これらは自動車専用道路や高速道路を走行する状態を想定した機能で、65km/h以上というのは世界的な取り決めのようだ。
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 衝突回避のプリクラッシュブレーキは、自動ブレーキによる対象物との衝突回避、被害の軽減が可能な相対速度を、これまでの公称30km/hから約50km/hへ向上させている。これはカメラの性能向上による認識範囲の拡大に合わせ、より早い段階から歩行者や自転車、クルマを認識し、車両制御することで実現している。

 全車速追従機能付クルーズコントロールは、新たな機能として先行車のブレーキランプ点灯を認識できるようになったことと、カメラ性能の向上により、先行車への加速・減速応答性を高めるとともに、先行車との間への他のクルマの割り込み、コーナーでの追従性を向上させている。これらは追従時に従来機能と比べてより早めの滑らかな加速や減速ができるということだ。

 新機能として危険回避アシストが採用された。先行車など前方障害物と衝突可能性が高いと判断した場合、ESCの車両統合制御技術により、ブレーキ・トルクベクタリングを作動させ衝突回避操舵をアシストする。このトルクベクタリングを併用することでヨーレイトは約15%向上するという。この新機能により、次世代アイサイトは、走る、止まるに加え、曲がるという車の基本性能の全般を制御できるようになったともいえる。

また従来のAT誤発進抑制に加え、新たにAT誤後進抑制制御、つまりバックする時の誤発進を防止するシステムも合わせて採用している。もちろんこれはステレオカメラとは関係なく、バック時のアクセルペダルの踏み込み速度をモニターし、アクセルの急な踏み込み、速い後退速度を検出した場合、警報(表示+警報音)すると同時にエンジン出力を制限し、急な後退走行を抑制するというものだ。またこの機能と合わせて、ドライバーが設定できるバック速度リミッターも装備されるという。


 なお、現行型アイサイトの性能がアメリカ道路安全保険協会(IIHS)の自動ブレーキ性能比較でトップになったというのも興味深い。この結果は9月末に発表されたもので、テストは最新の中型セダン、SUVを対象に行われ、12mph(約20km/h)、25mph(約40km/h)で障害物に向かい、自動ブレーキで衝突を回避できる、あるいはより速度を下げて衝突を回避できるかどうかを調べ、これらのテスト結果によりクルマは「SUPERIOR(最優秀)」、それより低い速度ながら衝突回避できるクルマは「ADVANCED (優位)」、さらにそれよりレベルが低いクルマは「BASIC(標準)」とクラス分けされている。
 
 テスト結果では表のように7車種が「SUPERIOR(最優秀)」を獲得した。衝突警報・自動ブレーキシステムを備える他の6車種が「ADVANCED (優位)」とされている。なお、「ADVANCED (優位)」のグループに入っているボルボS60、XC60は標準のシティセーフティのみの装備車だ。
 テスト結果が公表されると、スバルとボルボの販売が急進したというから、アメリカではコンシューマーリポートやIIHSのテイスト結果の影響は大きい。

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恐るべきフランス車

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 最近、ルノージャポンが新型ルーテシアを発表し、9月から発売を開始するという。フランスのBセグメントではすでにプジョー208が2012年11月から日本で発売を開始している。ヨーロッパでは、このプジョー208が大ヒットし、Bセグメントのトップに躍り出た。ルーテシア(ヨーロッパではクリオ)はこれに挑み、2012年末から販売は好調だという。
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 プジョーは経営危機、ルノーは販売低迷という、企業としては苦しい状況下でこれらの新型車を開発したが、クルマのデザイン、品質の高さ、トータルで見たレベルの高さには正直驚かされた。ヨーロッパにおけるBセグメントは、VWポロ、ヒュンダイ i20、ホンダ・フィット(ジャズ)、フィアット・プント、トヨタ・ヤリス、日産マーチ(マイクラ)、スズキ・スプラッシュ・・・と競合者がとにかく多種多様なのだが、プジョー208が今では市場をリードしこのセグメントのベンチマークになり、ルノーがこれを追うという展開になりつつある。
 
 フランス勢は、プジョーは「パーソナル、スポーティ」、シトロエンは「コンフォート、個性」がブランドイメージだが、ルノーは「保守的、凡庸」で、フランスにおいてはトヨタ的とされる。しかし、結果として販売が低迷していることを受け、デザイン、クルマ作りの革新を行い、今後登場する他のカテゴリーの新型車も含め、これまでのイメージを覆すという計画だという。
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 同じBセグメントとはいえ、プジョー208は従来モデルよりボディ寸法をダウンサイズし、エンジンもダウンサイジングをはかった。またクルマとしてのコンセプトはエモーショナルなデザインと走りの強調、プレミアム方向へのシフトを行っている。
 ルノー・ルーテシアは、Bセグメントの枠を少し超えたやや大型化をはかり、CセグメントとBセグメントの中間に進出。エンジンはもちろんダウンサイズしている。
 新型ルーテシアのUSP(ユニーク・セリングポイント)は、デザインの革新、走りの洗練である。ユーザーターゲットは、プジョー208が都会的センスのある人を想定しているのに対して、ルノーのユーザー層は老若男女を問わないジェネラリスト、つまりど真ん中狙いの商品だという。

 ヨーロッパでは、プジョー209、ルーテシアともにガソリンエンジンは1.0L、1.2Lの3気筒/5MT、1.5L,1.6Lの4気筒ディーゼル/6MTがメインだが、日本市場向けはかなり特殊で、208は、1.6L・NA(4AT)、1.6Lターボ(6MT)、1.2L・NA(5MT)、1.6Lハイパワーターボ(6MT)という順に展開し、2014年モデルからは4ATが6速AMTに置き換えられる。
 ルノージャポンは、日本ではよりニッチなマーケットを指向しているだけあって、エンジン、トランスミッションは日本向けの仕様に特化させる作戦で、ヨーロッパでは設定されていない1.2ターボ、ECT(新開発6速DCT)を組み合わせて送り込んだ。ECTは本来はGTモデル用だ。
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 208、ルーテシアともに、生産は決して新しい工場で行われているわけではないのだが、生産設備は相当に更新しているのが注目される。その証拠にボディ精度が著しく向上しており、2車ともにBセグメントにもかかわらずルーフサイドの接合はロウ付け溶接仕上げとしている。ルノーはけっこう古いトルコ工場で、新たにプラズマ溶接によりロウ付け溶接を行っている。プジョーの生産は、高張力鋼板を大幅に使用していること以外の情報はまったくない。しかし、生産技術のレベルはルノーより高精度だろう。
 面白いことに、208のプラットフォームは従来型の改良、ルーテシアのプラットフォームの一部は従来型と同様に日産Bプラットフォームのパーツを共有しているが、その仕上がりはベースとは次元が異なるほど違っていると感じられる。そのベースには開発ポリシーと生産技術との両側面があるように見える。

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↑ プジョー208 GTi                ↑ルーテシア
 
 ルーテシアに関しては、開発段階で走りの革新も大きなテーマだった。旧型でのステアリングの頼りなさ、フィーリングの悪さが大きなトラウマとなっていたため、大幅な改良が求められた。ルノーの走りの革新では、自動車メーカーとしては異例の、金属フラットベルト試験機を駆使し始めたという。タイヤメーカーが持つフラットベルト試験機は、タイヤの荷重、スリップ角を変化させつつCP、CFを計測するが、ZF社のようなダンパー&シャシーメーカーはダンパー,サスペンションの入力を測るフラットベルト5軸試験機を導入している。ルノーはサスペンションのジオメトリーを変化させながら5軸入力を測るという手法で事前評価を徹底し、これが開発で大きく奏功したという。
 もちろんこうした基礎データだけではなく、走行試験を徹底し、走りのチューニングを行って最新のレベルにまで引き上げたわけだ。
 
 結果的には、フロントサブフレームの大幅な強化、ステアリングラックのダイレクトマウント化、コラムアシスト式電動パワーステアの制御ソフトの見直しを行っているという。
 日本の多くのクルマで標準化されている日本製コラムアシスト式EPSで、ここまでできるという新たな基準を作り上げたというべきだろう。
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 208とルーテシアでは目指す走りは違う面もあるが、圧倒的なスタビリティ、正確で気持ちよいハンドリング、フラットな乗り心地、快適さといった面では共通しており、これが現在の欧州基準ともいえる。
 
 またルーテシアに関しては、驚異的な静粛性も実現しており、ゴルフ7と同様に新たな方向性を確立している。イメージ的には2クラス上のクルマの静粛性といえる。もっともルノーではルーテシアでもロアグレードとアッパーグレードで静粛性、質感でも作り分けを行っているのだという。もちろん日本導入モデルはアッパーグレードだ。しかし、高いコストをかけないで驚くべきせい静かさを実現する技術は、ボディのAI(アコースティック・インテンシティ)や、吸音・遮音技術が大幅に進化していることを思わせる。
 
 今ではドイツ車を上回る革新、レベルアップを行っているフランス車の実力は日本メーカーの2歩以上前を走っており注目すべき存在だ。

最新ボディ雑感

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 新型レクサスISのボディは、スポット溶接、レーザースクリュー溶接、構造用接着剤で格段にボディが進化した・・・という話になって、ISは最高といった評価になっているようだが、ちょっと情報混乱の傾向が強いと思う。

 まずはレーザースクリュー溶接はトヨタが特許を取得し、後日に技術発表をするようだが、その実態はレーザービームを鏡で照射角を変えながら渦巻状に溶接を行うのだがあくまでも点溶接だ。スポット溶接機では、一定の間隔以上に距離を縮めると電流が短絡し、溶接不全になってしまうために、スポット溶接の間にレーザースクリュー溶接を行う。つまり、レース車両に改造するときに行われる追加スポット溶接みたいなイメージだ。レースガレージでは1点スポット溶接機でスポット接合箇所を多点化する。さらに接合面をアーク溶接することが多い。レクサスISの場合はこれと同様のイメージだろう。


 だから欧州メーカーが行っているレーザー線溶接とはかなり意味が違う。レーザースクリュー溶接は極めて短時間(3秒以内だろうか)なのも特徴だが、レーザー線(シーム)溶接はそれなりに時間がかかる。この欧州メーカーのレーザーシーム溶接に相当するのはISが採用している熱硬化式の構造用接着剤の適用だ。
田原工場は当初は、接着剤導入に大反対だったそうだ。注入ノズルのメンテ、漏れ出た接着剤の床への付着、注入工程に時間がかかる・・・などが反対理由だ。
構造用接着剤は三菱では約20年以上前に導入されたが、それもそのモデルのみで終わってしまった。やはり工場が抵抗したのが原因だという。 

 レクサスはLSでの試験導入を経て、ISからレーザースクリュー溶接と接着剤の使用を本格導入した。企画・設計側が工場を押し切った形だ。この接着剤によりレーザーシーム溶接と同等の効果が得られる。
もっとも、メルセデス、BMWはかなり以前から、スポット溶接、レーザーシーム溶接、接着剤を組み合わせたボディ作りを行っており、日本でレクサスがようやく・・・といった感じだ。

 最も日本では精密機器用の小型レーザー溶接機の種類は多いが大型のロボット一体型レーザー溶接機は案外少ないらしく、ドイツの溶接機メーカーに圧倒されているのが実情のようだ。こうした生産技術は最近ではフランス、イタリアの自動車メーカーも採用しているという。ドイツでもVWはメルセデス、BMWよりも産業界とのパイプがより太く、材料、生産技術に関しては最先端を走っている。

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 ゴルフ7から採用された、ティッセンクルップのホットスタンプ+ティッセンのテーラーロールドブランク(可変差厚鋼板)、レーザーウォッブル溶接などはその代表だろう。
レーザーウォッブル溶接はゴルフ7が初採用で、スポット溶接より一段高い接合強度が得られるという。

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 ティッセンクルップのマンガンボロン鋼板とその加工技術は日本の自動車メーカーにもプレゼンテーションされているが、現状では門前払いとなっている。

新型ゴルフ7と新Cセグメントカー

 今年は、メルセデスAクラス、ボルボV40シリーズ、そしてVW ゴルフ7とCセグメントのニューモデルが前半に次々に登場した。
 
 メルセデスAクラスは先に登場したBクラスの姉妹車で、1.6Lターボ、2.0Lターボ(250シュポルト)をラインアップしたが、Bクラス同様にサスペンションが異様に硬くて車高が低い、エンジンのトルク、レスポンスが今ひとつ、DCTの変速が普通のATのように遅い、といった不思議なクルマだ。若い世代向けのスポーツ・ハッチバックというのだが、どうにもメルセデスらしくない。
 
 最低地上高がA180で95mmと保安基準ぎりぎり、フェラーリより30mm以上低いってどうなの? さらに謎なのは、AMGがセッティングしたというA250シュポルトの地上高は120mmと少し高い(それでもフェラーリより低い)。
 という感じで不可解な点が多いのだが、業界での表面上の評価はけっこう高い。内心ではかなり違うと思うけど。
 
 ボルボV40は、まさに起死回生のニューモデルだ。低速から強烈なトルクを生み出すフォード・エコブースト1.6Lターボ、抜群の操舵フィーリングの電動パワーステア(TRW製のベルト駆動式ラックアシスト型)、ストローク感と高い減衰力をバランスさせたスポーツ・サスペンション、ドイツ勢を上回るインテリアの仕上げにプラスして世界トップレベルのドライバー支援システムを事実上の標準装備として登場した。
 
 V40はフォード・フォーカスがベースになっており、そのフォーカスはヨーロッパではVWゴルフのライバルなのだが、ボルボのボディの方がさらにしっかりしている。このあたりのこだわりはすごい。
 
 実際に販売店でV40に試乗した人はかなりインパクトを受けるようで、受注台数はAクラスに迫る勢いだ。販売店の数から考えると異例であり、昨年までは存在しなかった需要なので、どのブランドからの乗り換えなのか興味が湧く。

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 そして本命のゴルフ7が6月末に販売店に並ぶ。VWジャパンはゴルフ6を早めに完売にしてしまったため、4月から8月まではタマ不足になったので、7月からの販売には力が入るだろう。すでにメディア向けの試乗会は行われ、当然ながら大絶賛を受け、感激して興奮気味の人も少なくない。
 
 ゴルフ7は、見た目はゴルフ6と間違える変化を避けているが、ボディ骨格、エンジン、シャシーなどすべてが新設計だ。つまりMQB(横置きエンジンモジュール・ベース)戦略による新骨格になっている。VWはゴルフ5の開発時に大幅に製造設備を更新したが、MQBのためにまたもや大変更を行っている。2012年から4年間で5兆円の工場設備更新をするというから驚く。

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 VWがMQB戦略を発表した後に日産は「CMF(Common Module Family)、トヨタは「Toyota New Global Architecture(TNGA)」を発表したが、MQBは似て非なるもので、プラットフォーム以外のコンポーネンツも徹底して共通モジュール化している。ゴルフ7の発表資料でもMQBが大々的にアピールされているが、突き詰めて言えばこれは大幅なコストダウンのために採用され、世界各地の生産工場で採用することで価格競争力を高めということがが主目的だ。つまり新興国市場で価格競争力を備え、韓国車や中国車、日本の低価格車を撃退し、2018年に名実ともに世界No1メーカーになるための手段だ。
 
 だから新型ゴルフは大幅なコストダウンによって成立したクルマなのだが、そのアラを見せず、従来より質感を向上させ、Cセグメントの枠を破るといった狙いがある。そのベースにはパサート・クラスの装備、コンポーネンツを流用できることや、専用の生産設備によりコストダウンと高精度ボディを両立させるという戦略のようだ。
 その一方で、より多くの先進国の人々に、より上質な走りを提供するというVWの理念も強調されている。これはVW タイプ1(ビートル)以来の理念である。
 また同時に、新興国市場の要求に応えられる資質も同時に盛り込まれていると思う。


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 最大100kg、平均で50kgという車両の軽量化も、燃費、運動性能の向上に効果を発揮するが、その一方でこれはコストダウンにも効いている。ボディ骨格の80%に高張力鋼板が使用され、ホットプレスによる超高張力鋼は20%を超えている。これは薄板厚化ができることで使用鉄鋼量を減らし、コストダウンにつなげているわけだ。骨格には薄板による大断面化以外に、日本のメーカでは不可能なレーザーシーム溶接の多用、ホットプレス製法の多用、果ては新工法のテーラーロールドブランク(ローラーがけによる可変板厚+ホットプレス)まで採用している。この他に、強度が求められる溶接部位には新開発のレーザークランプ溶接なども採用されている。
 このあたりはドイツの素材メーカーを上げての生産技術を駆使した感じで、日本はもとよりドイツの他のメーカーも大きく引き離すボディ製造技術といえる。まさにスチールを極めると言うコンセプトで生産技術を追求した感じだ。
 
 エンジンは1.2Lも1.4LもMQBに適合させるために新設計となり、エンジンの軽量化、低フリクション化と低速トルク型の徹底を行っている。両エンジンともに軽量化のためにベルトドライブに戻り、シリンダーヘッドと排気マニホールド/ターボを一体化させ、吸気側は水冷インタークーラー一体型のマニホールドとするなど、強烈なコンパクトエンジンになっている。これで、パワー、トルクが出るのかと思ってしまうのだが、きっちりトルクを出し、しかも恐るべき滑らかさ、低振動を達成し、その上で大幅な燃費向上を果たしている。

 技術的には、高温・低温に分離させた2系統冷却システム、ベルトドライブの復活に注目される。以前のベルトドライブからチェーンドライブへと変更するのがトレンドとされてきた。チェーンドライブは、エンジン全長の短縮とピストン冠面のバルブリセスをなくすことができるのがメリットとされていたが、新型ゴルフは軽量化という目的でベルトドライブに回帰した。ピストンのバルブリセスは設けられているが、耐久保証は無制限とされているようだが。

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 エンジンに関しては、新設計により、200bar直噴、ターボ、水冷インタークーラーを採用し、1.4L版ではシリンダー休止システムなどコストアップ要因はいくつも抱えているが、おそらく長期的な展望でコストカットになっているのだろう。2気筒休止システムは連続可変バルブリフト(スロットルレス)機構よりコストが安いという理由で採用を決定したようだ。燃費は1.2Lターボで21.0km/L、1.4Lターボで19.9km/Lだが、実用燃費はこれを上回ることもできるはずで、プリウスの実用燃費といい勝負になるだろう。実際、日本のマーケットではプリウス・オーナーが最大のターゲットになっている。

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 ゴルフ7は装備面でも大幅に充実させ、他社ライバルを寄せ付けないといった感じだ。この装備も大量採用化によるコストダウン効果を踏まえての戦略だ。
 
 走りも、気持ちよい走り、他車を上回る乗り心地のよさは圧巻だ。さすがに1.2モデルの新開発のトーションビーム式リヤ・サスペンションには少し粗さもあるがおそらくこのあたりも来年モデルではかなり改良されるだろう。
 コストダウンを感じさせない上質な走り、各所に感じられる質感やセグメントの常識を超え、上級セグメントのクルマと同等以上にするためにVWの総力を挙げたという開発力を実感させられる。

メカニカル・ハイブリッドシステム

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 今年2月にプジョー・シトロエングループから、「ハイブリッド・エア」と称する新ハイブリッド・システムを開発していることが公表された。
 実はこれ、ボッシュとの共同開発で、ボッシュの産業機器部門の油圧・空圧システム(ハイドロ・エア)からの転用だという。システムとしては、クルマの減速エネルギーを電気的に回生するのではなく、油圧を介して空気を圧縮して、蓄圧容器=ボンベに圧縮空気としてエネルギーを蓄積するというもの。つまり減速中に油圧モーター=ポンプを作動させて空気を圧縮し、加速時にはその圧縮空気を解放して油圧を高め、油圧モーターにより発進アシストを行う。なお駆動輪はフロントで、油圧モーターの駆動力、エンジンの駆動力はCVTを介してホイールに伝達される。
 このシステムでは新欧州ドライビングサイクルで30%、市街地のみでは45%の燃費向上効果があるという。

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 またこの4月には、ボルボがフライホイール式減速エネルギー回生システムの実験を行い、大きな成果を挙げたと発表している。ボルボのフライホイールシステムは、FF車の後輪に装着され、オンデマンドの4輪駆動システムとなる。システムは、減速エネルギーをカーボン製のフライホイールの高速回転により貯蔵し、発進時にはこのフライホイールの回転エネルギーをCVTを介して使用して後輪を駆動する。
 この後輪駆動によりFF駆動の発進アシストを行うのだ。フライホイールのエネルギーをフルに加速アシストに使用するとプラス80ps分の効果があるという。 

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 燃費は、中型車(ボルボS60)に装備した場合、新欧州ドライビングサイクルで25%の燃費低減項kがあり、もちろん市街地ではさらに効果が大きいという。
 スチール製のフライホイールでは重くなりすぎるが、カーボン製のフライホイールを採用し、これを真空中で回転させることで摩擦抵抗を極限まで落としている。カーボン製フライホイールを使用した減速エネルギー回生はポルシェ、アウディのレース車ですでに実績があるが、これはフライホイールジェネレーターと呼ばれ発電するタイプだが、ボルボのものは純機械式のエネルギー回生システムとしている。

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 いずれも、およそ1分以下という短時間の発進アシストを行うシステムだが、ゴーストップの多い市街地では確かに大きな効果を発揮するだろう。従来の減速エネルギー回生は電気式がメインで、エネルギーの貯蔵のために大容量バッテリーを使用するため、コスト的に量産小型車には厳しすぎるという大問題があった。コストと燃費向上の効果の相関関係はプジョー・シトロエンの発表しているグラフで如実に示されている。
 リチウムイオン電池は大量生産化されても価格の大幅な低減は期待できないというのが現在の評価になっている。
 トヨタ、ホンダはコンパクトカークラスまで電気モーター/バッテリー式ハイブリッドシステムを追求しているが、ヨーロッパにおける機械式のハイブリッドシステムとその燃費向上効果は興味深い。もし燃費レベルが大差ないとしたら、これはインパクトが大きいと思う。
 

レクサス IS プロトタイプ

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 1ヵ月後くらいに発売される予定の新型レクサス ISの試乗会がターンパイクを閉鎖して行われた。ただし、今回はプロトタイプ試乗会で、試乗車は「号試」だった。号口では制御ソフトがいくらか変わるくらいだろう。
 今回は新型GSと共通プラットフォームとなり、ホイールベースは70mmほど短い。開発の狙いは、ドライビング・プレジャーの追求、F SPORTSに関しては意のままのスポーツ・ハンドリング、そして斬新なデザインなどが開発テーマだ。
 かなりぎらついたアグレッシブなデザインは社内でも紛糾したそうだが、まあこのくらいやらないとダメだというのが先代モデルからの反省らしい。また、開発体制も最近の「もっとイイクルマ作り」運動の真っ最中にの新組織での開発だったようだ。商品監査室の復活ともいえる商品実験部も再建過程のようだ。

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 ニュルブルクリンクレースに何度も出場経験のある某さんと一緒に同乗したのだが、ニュル・ドライブという感じ
で走り、某さんは大いにISのできばえ、特に350 F SPORTは絶賛だった。だが、ここをBMW 328iで駆け下りた瞬間、大いにショックを受け落ち込んでしまった。ここまで違うのかというのは助手席でも実感できる。

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 新型ISの開発のターゲットはBMW 3シリーズであるが・・・
 EPS、サスペンションなどの違いがある。IS350 F SPORTの優位点としては4輪操舵があるのだが、けっきょくボディ作りの違いの差は埋められないということだろう。

 もちろん今回の試乗会では非日常域の、ニュルモードでの走りの違いがクローズアップされたわけで、現実離れはしているのだが。 

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 シャシー設計エンジニアは、少なくともハード面の違いはわかっていた。EPSのトレンドやステアリングラック直付け、サブフレームのダイレクトマウントなどのトレンドも認識している。だが、その背景にあるのはボディであり、実験領域での煮詰めという点がわかってはいても・・・ということか。

レース用ハイブリッド

トヨタ・レース用ハイブリッドは2007年のスーパー耐久・十勝24時間レースに出場したスープラHV-Rから始まり、現在ではWECとスーパーGT選手権・GT300クラスのプリウスGT300HVが2本柱になっている。

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 WECのTS030は当初はフロントアクスルで回生し、リヤを駆動するシステムが構想され、初期のテストではこれが試されたが、実戦ではリヤのモーターで回生と駆動を担当するシステムに絞り込まれた。回生エネルギーを蓄えるのは大容量キャパシターだ。同じくWECで戦うアウディはフライホイール式蓄電ジェネレーターを使用している。これはニュルブルクリンク24時間レースでポルシェが2回にわたって使用し、実績もじゅうぶんだ。

 日本のスーパーGT選手権に出場しているプリウスGT300HVはWECとは異なり、ごく少数のエンジニアが開発を担当している。このGT300マシンは、リチウムイオン電池(プリウスα用)、モーター、ジェネレーター、PCU、電動エアコンはすべて市販プリウス用をそのまま使用しているのだという。
ただしレース車は低負荷走行が存在しないために制御的にはモーターがエンジンをアシストすパラレル式となっている。

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 レース用は負荷が大きいため、モーターはATFによる液冷式、電池とPCUは水冷とし、その冷却水を電動エアコンで冷やす方式にしている。同時にエアコンはドライバーの冷却用としても使用され、プリウスGT300HVはレース車としては最も快適なドライバー環境になっている。

WEC、スーパーGT選手権ともにハイブリッド車には各種の性能制限規則、バランス・オブ・パワー原則が適用されているので、ハイブリッド・システムが絶対的に有利といえるほどではないのが実情のようだ。

そう考えると、2014年からフォーミュラ・ニッポン、スーパーGT選手権GT500クラスで採用される、4気筒2.0L直噴ターボ・レーシングエンジンの方が面白しろそうだ。これはエアリストリクターではなく世界初の燃料リストリクター(燃料流量制限)方式で、その規制の範囲内でどれだけパワーが出せるかという技術競争の面が面白い。
トヨタ、ホンダ、日産がこのエンジンを供給するというが、テストではすでに550psくらい出ているという。

ボルボV40 

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 新型ボルボV40が発売された。
 昨年はアルファロメオ・ジュリエッタ、メルセデスBクラスが新発売され、今年はメルセデスAクラス、このV40、そして6月頃にはゴルフ7が導入され、ひっそりとフォード・フォーカスも発売されるなどCセグメントのハッチバックは大豊作だ。
 日本車のこのカテゴリーは、マツダ・アクセラ、スバル・インプレッサ、、トヨタ・オーリス、レクサスCT200hあたりになるが、市場の中でそれほど存在感は強くない。このカテゴリーを求める人の多くは、輸入車を選ぶ傾向が強く、この傾向を逆転させるのはなかなか困難だろう。商品力としてやはり日本車が見劣りするし、技術でも輸入車勢に後れを取っている。日本のメーカーのエンジニアはコスト制約が大きすぎて技術投入に関しては半ば諦めているのが実情だ。
 
 昨年発売されたモデルではジュリエッタが予想以上に健闘している。今年発売されたモデルでは、メルセデスAクラスが自動車メディアでは絶賛状態だが、どうも本音を聞くと今ひとつなのが面白い。ちゃんと書かないとだめじゃないか。
 Bクラスもそうだったが、Aクラスも理由がはっきりわからないのだが、DCTなのに変速が妙に遅いことや、エンジンのトルクや吹け上がり感が同セグメントの中でかなり見劣りする。またスポーツ・サスペンションと銘打った足回りも日常域では固さが目立つといった感じだ。
 そもそもメルセデス・ジャパンでの商品企画、つまり日本と本国・本社とのやり取りがまったく噛み合っていない点が色々悪影響を及ぼしているように感じる。Bクラスでは、都市部の立体駐車場を利用できるようにローダウン・サスペンションを本国に要求し、結果的にハードすぎるスポーツ・サスペンションが組み込まれたのが好例で、Aクラスもどんなスペックのサスペンションが装備されているのか商品企画担当者に尋ねても今もって不明なのだ。

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 Aクラスの後を追って登場したのがボルボV40で、ボルボ・ジャパンの今後の行方がかかったモデルだ。コンセプトとしてはプレミアムCセグメントを狙ったクルマだが、日本での価格はゴルフのベースモデル同等にしているので、お買い得感がかなりある。

 V40は、Cセグメントのど真ん中を狙ったフォード・フォーカスと兄弟モデルなのだが、実はこれがV40にはかなりのメリットをもたらしていると思う。欧州フォードは、宿敵ゴルフを上回る走りを目指しており、そのためのハードウエアをかなり贅沢に導入しているからだ。
 ダウンサイジング・コンセプトだが高出力、大トルクも追求するというエコブースト・エンジン、フォード・ゲトラグ共同開発のDCT、トルクベクタリング、TRW社製のベルト駆動式・電動パワーステア・・・いずれもCセグメントの中では同等以上のレベルだ。
 V40はさらにボルボ流のしっかりとした手抜きのないボディ作りが行われ、デザイン、質感でセグメントトップレベルに仕上げてる。またボルボ流のドライバー支援システムは当然ながら他車を圧倒しており、+20万円でプレミアムDセグメントを上回るシステムを手に入れることができる。(しかも発売後しばらくは、この20万円分がサービスされている)

 ボルボ本社は、S60/V60以降、明らかにクルマ作りが変わってきている。ひとつはより個性的で存在感の強いデザイン・コンセプトの採用、もうひとつはプレミアム路線とドライビングプレジャーの追求を両立させるということだ。ところがこの点は案外知られていないようで、多くのV40の試乗記でも四角いボルボを引き合いに出すなどはあまりに認識不足といわざるをえない。結果的にV40はわかりやすい「プレミアム・スポーツ・コンパクト」というキャッチフレーズとなっている。

 プレミアムは、豪華さというより精緻な作り込み、仕上げのよさ、センスの良さなどなどに集約しているようだ。ドライビングプレジャーについてはどのメーカーも目指す方向であるのだが、これをどのように表現するかが問題になる。V40、というかボルボはこのあたりの見識が高く、しかもその作り込みの技術レベルがとても高いと感じた。 

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 具体的には、スポーツ性を重視して固めだがストローク感のあるサスペンション、フラットな乗り心地、そして絶妙なステアリングの味付けだ。
 サスペンション、乗り心地はややオーバーダンピング気味だが、心地よいと感じる仕上げ。まあ実はボディ、サブフレーム、サスペンションの剛性がとても高いことがこういう味を出しているのだと思うが。
 電動パワーステアは、今ではほぼ技術方向が定まりつつあるが、フォード・フォーカス、V40はこのクラスでBMW1に続いてベルト駆動+ボール循環式を採用し大幅にポテンシャルを高めた。しなやかな感触、中立の締まり、操舵時の感触のよさなどは絶妙だ。もはや完全に油圧パワステを上回る質感になっていると思う。
 またアンダーステアが感じられないフロント・トルクベクタリングも絶妙だ。
 1.6Lターボのエコブーストのトルク感、滑らかさも絶品で、アクセル開度が大きくても、常用域でも意図通りのトルクが得られる感じだ。またDCTも熟成され、クイックかつ滑らかだ。 

 エンジンルーム

 インテリアではステアリングのグリップやシートの出来がよいことにも感心した。総合的に見て、長時間乗っても疲れない、ドライビングに飽きない、ステアリングを握っているのが気持ちよいと感じるなど、広い意味でのドライブ・フィーリングの懐の深さや心地よさが実感できた。このフィーリングはドイツ車とかなり違い、ゴルフのしっとり感とも違い、より広い速度域でエモーショナルさを感じる。

RSI(ロード・サイン・インフォメーション)1 ヒューマン・セーフティ(人間検知)

 ドライバー支援システムはさらに性能を高めており、特にカメラ性能、画像解析性能が秀逸で、人間の判別ができることや道路標識(速度標識)などを把握できるところは他社を大きくリードしている。また使用頻度が高いレーダーを使用してのレーダー・アダプティブ・クルーズでは、作動がドライバーの感覚にうまく適合している点も評価できる。

 衝突安全性ももちろんトップレベルで、欧州NCAPでは史上最高得点を記録しているという。V40では+6万円で世界初の歩行者用エアバッグが装着できるが、これを装着しなくてもポップアップ式ボンネットでかなり優秀な歩行者保護性能を備えているという。歩行者エアバッグは多数のセンサーをバンパー内部に設置し、金属製の大型ゴミ箱や鹿など動物と衝突した場合は反応せず、子供から大人までの人間だけを検出してエアバッグが反応するなど、けっこう高度な技術が使われている。

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 しかし、ドイツ車以外のCセグメント、ジュリエッタ、シトロエンDS4、V40・・・どれもそれぞれに味が深くて、買おうとすると迷い悩むなぁ。 



 

アウトランダー PHEV

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 アウトランダーPHEVが1月に発売された。ベースモデルのアウトランダーは昨年10月に発売されたが、やはりPHEVが本命で、PEV登場までの買い控えがあったらしい。価格も、メイン車種の「G Safty Package」が366.4万円、「G Navi Package」が397.8万円と予想より安く、補助金を含めると320万円、350万円となる。
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 アウトランダーPHEVは、カテゴリー的には「レンジエクステンドEV」と呼んでもいい。用語的にはまだ統一されていないのだが、一般的にはPHV=レンジエクステンドEVとして括るほうがわかり易い。ただしトヨタがプリウスPHVを先行して発売し、これはレンジエクステンドEVというよりハイブリッド走行がメインとなるためちょっとカテゴリーから離れている点がややこしい。
 
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 PHVは、プリウスPHV以外ではGMのシボレー・ボルトが販売されている。それ以外にも、各メーカーのPHVが実証走行のための車両が世界各地を走っている現状だが、市販モデルといえるのは、ボルト、プリウス、そしてアウトランダーPHEVということになる。
 三菱の戦略は、軽自動車・コンパクトカークラスは純EV、ミドルクラス以上はプラグインハイブリッド(PHEV)で対応するという。アウトランダーのようなSUVはロングドライブの機会が多いことを想定し航続距離の長さが必要条件とされた。
 
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 アウトランダーPHEVは、メインとなる駆動システムを前後アクスルともににモーター駆動とし、フロント横置きのエンジンと発電機(ジェネレーター)は増速ギヤを介して直結されている。つまりモーターとしては3個を搭載し、さらにエンジンで前輪も駆動できる機構を持つ。この2.0L・DOHCエンジンは4B11型(ワールドエンジン)で従来タイプだが、最高出力4500rpm、最高回転を5500rpmまで下げて低速化し、その代わりに効率の良い燃費ゾーンを拡大させた専用チューニングが加えられている。また軽負荷ではミラーサイクル領域を使用し、全輪をエンジン駆動する時は全開域を多用し、ポンピング損失を減らしているなど、かなりうまく使うようになっている。
 このシステムはフルタイム4WDなのにプロペラシャフトがない、エンジンで前輪を駆動するシーンがあるにもかかわらずトランスミッションがないという、プリウスPHVやシボレー・ボルトとは大きく違う特徴を持つ。

 搭載するリチウムイオン電池は12kWhの容量を持つ。プリウスPHVが4.4kWh、シボレー・ボルトは16kWhで、i-MiEVが同じ16kWh、日産リーフが24kWh。アウトランダーPHEVのバッテリー容量はほぼEV用で、EVモードでJC08モードで60.2kmの航続距離を持つので、エアコン、オーディオ、ナビなどを使用する実用走行では40~50kmくらい。なので日常の使用が 片道25km以内であればEV走行のみで帰宅でき、自宅で充電すればガソリンの使用はゼロということになる。
 実際にアウトランダーPHEVとほぼ同等のEV走行距離のシボレー・ボルトではロスアンゼルスで通勤に使用しているユーザーは1年間以上ガソリンをまったく使わない使い方の例が多いというから、ハイブリッド車ではなくEVとして扱っていることがわかる。そのため、ボルトもアウトランダーPHEVも、3ヶ月に1度くらいエンジンが自動的に運転され、燃料タンク内の蒸発ガスを燃焼させるようにしている。 
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 アウトランダーPHEVの運転モードは、EV、シリーズ・ハイブリッド、パラレルハイブリッドの3モードがあり、都市部や地方道で交通の流れに乗って走っている限りは、EV、電池残量が少なくなるとエンジンで発電するシリーズモードの範囲で運転できる。
 クラッチが繋がり、エンジンが前輪を駆動するのはアクセルを奥まで踏み込む急加速や高速道路での100km/h巡航といったシーンに限られる。プリウスやボルトのように変速機を備えず、オーバードライブギヤ比で直結されるのがユニークな点だ。
 シリーズモードでエンジンが回るのはもちろん、クラッチが接続されてエンジンが直接前輪を駆動するときもエンジン音の変化だけで、ショックがまったくないのは見事だ。

 高速道路、地方道などをミックスし、燃費運転もしない状態でのガソリン燃費は16km/Lていどのデータになるそうだ。(JC08モードでは18.6km/L)また充電をしながらのEV走行、シリーズ走行などををJC08モードでミックス計算した燃費は67.0km/Lになっている。
 もちろん長距離ドライブ中でも途中で充電を行うほどガソリンの使用量は少なくなり 燃費も稼げるわけで、この辺はまさにユーザーしだい。アウトランダーPHEVの燃費は使い方、乗り方でずいぶん大きな差が出るはずだが、1.8トンクラスのSUVとしてはもちろん燃費の資質は高いといえる。

 アウトランダーPHEVは前後輪とも独立したモーターで駆動する電動4WDのため、前後の駆動トルクを任意に制御できることは独自の優位点だ。この前後トルク制御に加えて4輪独立のブレーキ制御によるトルクベクタリング+ESPの制御が行われる。かなり高度な運動制御で機械式のヨーコントロールより反応速度が速く、これは電動4WDの最大のメリットだと思う。

また、回生ブレーキは前後のモーターを使用することや電池容量が大きいため、より積極的に使用することができ、0~5まで6ステップをパドルで選択できる。0は回生なしでコースティング走行モードとなり、それ以外は1<5の回生ブレーキとなる。郊外や高速道路では0をうまく使用するとさらに燃費が向上するわけだ。このあたりもPHEVのメリットをうまくこなしている。

 アウトランダーPHEVはSUVとして必要な長い航続距離、4WDシステム、さらにはEVらしい静粛さや、モーターによる低速からの強力なトルク、などPHEVならではの走りなとパッケージングがうまくまとめられ、ベース車と居住&ラゲッジスペースに差がない点も美点だ。

 アウトランダーPHEVは、これまでのクルマとは違う新たなクルマの使い方ができ、いくつかの顔を持つクルマで、じっくり使い込んでみないなかなか実感しにくいところも多いのだが、最近のクルマの中では革新性や独創性という面で一番の面白さが感じられるクルマだ。しかし、案外とこのクルマの話題がメディアで取り上げられないのあ意外な感じがする。

新型クラウン雑感

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  昨年12月のモデルチェンジしたトヨタ・クラウンは、「ピンク・クラウン」とアウディもびっくりの大型フロントグリルで、驚かされた。伝え聞く話によると、あの大型グリルは開発途中で採用が決まったとか、社内でも反対が多かったというし、販売店側もかなり驚いたようだ。またデモンストレーション専用カラーとなったピンクは、ドラエモンのどこでもドアの色なのだそうだ。しかしボディフォルム全体は水平基調で、これは営業サイドからの強い要望らしい。セダンっぽい水平基調の3ボックスではデザイン的に大きく制約され、その反動がこのフロントグリルなのだろうか。 

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 生まれ変わる、新しいクラウン、私のクラウン・・・など、色々な呼称が付けられているが、やはり先代モデルが成功作とは言えなかったこと、クラウンに限らないものの国産セダンの長期凋落傾向という流れの中で、月販2500台くらいになっていたことが背景のようだ。もちろん高価格帯のセダンということを考えれば、2500台でも立派なものだが。クラウンの販売台数は1990年頃(月販2万台弱)をピークに長期低落傾向にある。その理由としては、ユーザー層の老齢化、セダン離れなどだといわれる。
 
 もともとクラウンはフォーマルカーであることと、ある意味でユーザーに絶対的に支持されてきたクルマ、販売店や伝統的なユーザーの声が強いクルマで、こうした点は他のクルマとはかなり違う。初代や2代目クラウンの時代はタクシー業界の声を重視してクルマ作りを行い、その後は日本の一定の富裕層がユーザーになったためその声を重視するようになった。信じがたいが1967年の3代目から8代目(1990年)まではペリメーター・フレーム構造であったが、静粛を守るためにモノコック化は許されなかった。1082年まで販売された6代目まではリジッドアクスルが守られた・・・これらはいずれも営業サイドの要望であった。逆の見方をすれば日本の風土に最も溶け込み、特化したクルマともいえるのだが。

 クラウンが大きく変わったのは2003年に発売されたゼロ・クラウンからだった。このゼロ・クラウンの開発で初めてBMW 528i(E39型)が開発のターゲット車に選ばれた。528iを詳細に調査し、ステアリング系の剛性が5倍以上あることや、ブレーキ性能、ステアリング・ラックギヤの歯切りまでまったく違うことがわかったという。要するに別の世界を知ってしまったということになる。

 今回の新型クラウンは、イメージ的にはゼロ・クラウンの再来という感じだ。同時に、ハイブリッドをメイン車種にすることや、デザインだけでなくブランドを変革したいという商品企画的な要素も盛り込まれている。月販目標は4000台とされた。しかしゼロ・クラウンではエンジンからシャシーまで大きく変革されたが、今回はプラットフォームは持ち越し。ハイブリッド・モデルをシリーズの中心にする作戦で、2AR-FSE型の2.5Lの4気筒エンジンは事実上の新設計で、ミラーサイクル+新D-4Sを搭載し熱効率世界一としたが、これはハイブリッド専用エンジンという位置付けだろう。レギュラーガスと新D-4Sの組み合わせで、ポート噴射の勢いで低負荷時のタンブル流を作るのがミソのようだ。縦置きハイブリッド機構は手直しし、2段減速は廃止。これは国内専用モデルということで高速域でのモーターの過回転を心配しなくて良いからだ。
 4気筒のクラウンということで営業的にはマイナス要素だが、今時のハイブリッドということで中心車種にしている。

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 持ち越したプラットフォームにはトンネルステーなど床下ブレース材を追加。ホワイトボディでは高張力鋼板の採用比率は43%で、このあたりはまだまだ抑制的だ。補強ではスポット打点の増大、リヤシート後方のトランク隔壁をレーザー溶接したという。このプラットフォームのサスペンションはこれまでイマイチの評価であったが、今回はフロントサスペンションは新タイロッドを採用し横力トーアウトとしたというが、今まではバンプ・トーアウト特性に気を取られていたのか。まあ、妥当な改良だ。


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 わからないのがリヤの手直しで、トーコン・リンクを変更して横力トーインにしたのはよいが、ロアNo1リンクとアッパーNo1、No2リンクが今までは鋼管製で剛性が高すぎたので板金製の開断面リンクにしたという説明だ。これらのリンクは鍛造や鋼管製が一般的だが、わざわざ剛性(ねじり側の剛性だけだというのだが)を落としてしなやかな乗り心地にしたのだという説明で、説明会でも50%の人間は? となっていた。
 入力とストロークの図を見ると、入力初期でストロークしにくい領域があったことがわかる。その対策としてはリンク剛性を落とすというよりブッシュやジオメトリーで解消すべきでは、と考えるのが普通だ。リンクのねじり剛性を落とすことで微小振動を逃がすという意味はわかるのだが。
路面入力の初期でストロークしにくいという点については、リヤのキングピン角度、いわゆるメカニカル・コンプライアンスがうまくできていないのではないかとも推測できる。

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 クラウンというキャラクターはふわっとした乗り心地、静粛性は最も重視されるべきであることは言うまでもないのだが、そのあたりのトータルな視点での説明がないのがちょっと気にかかる。

テスラ・モデルS

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 テスラ・モデルSは北米では2012年6月から納車が開始された。2年以上顧客を待たせたのだからある意味で驚異的なクルマだ。アジア、日本では1月に初展示となった。しかし、日本での販売価格も日本でのデリバリーも未定だが、予約受注だかはかなり以前から受け付けている。予想価格は600万円~900万円(搭載バッテリーの容量で価格が異なる)。
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 モデルSは、テスラ社の自社工場であるフリーモント工場での初生産となる初のオリジナルの量産EVだ。これまでのロードスターはロータスのシャシーを使用し、組み立ても外注だった。しかし、このモデルSからはトヨタ/GMの合弁工場であったNUMMIを格安でテスラが入手し、独自の製造設備を導入し、稼動を開始した。もちろん量産レベルは月産1000台にも満たないため、アルミボディ/シャシーの製造はロボットと台車により、いわゆる量産ラインとはまったく異なる状態になっている。

 モデルSはプレミアムクラスのフルサイズサルーンとされ、ターゲットはアウディA6とされているのだが、イーロン・マスクCEOがプレミアムカーに関しては一家言あるらしく、製造品質についてことあるごとに介入し、その都度製造がストップしてしまうそうだ。
若手ベンチャー起業家の代表格であるマスクCEOは他の分野でのビジネスも拡大させているが、クルマに関しては半ば趣味的でもあるようだ。
 もっともしたたかであることは言うまでもなく、テスラはダイムラーベンツ、トヨタから莫大な資金を受け、独自の電池やEV技術による電池パックを両社に供給しているし、パナソニックからも出資を得ている。ビジネスとしてはそれだけで成り立ち、自社生産の車の販売に頼っているわけではない。
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 モデルSは、第1作目のロードスターとは異なり、リチウムイオン電池もPC用ではなく自動車規格の18650を使用し、電池パック、モーターやインバーターを水冷化するなど、技術的にはレベルアップしている。ちなみに搭載する電池は、40kWh(欧州新ドラインビングサイクル=NEDCで航続距離250km)、60kWh(375km)、85kWh(500km)、高出力85kWh(500km)の4種類からユーザーが選択できるようになっている容量による価格差は100万円だ。また、電池の保証も10万kmと自動車メーカーらしくなってきている。

 電池はパナソニック、LGの2社から供給されているが、電池パック、モーター、インバーター、ボディは自社生産で、サスペンション、シャシーのアルミ鍛造/鋳造部品は外注、エアサスペンション・システムなどはコンチネンタルから供給されている。プラットフォームはBMW iと同様にアルミフレームで構成された床面電池パックとし、リヤサブフレーム上にモーター、インバーターを横置き配置。低重心でパワーユニットはきわめてコンパクト、完全なフラット・フロアなどEV専用設計ならではの利点がある。また拡張性も高く、フロントアクスルにもモーターを配置すれば4WDになり、ホイールベースの伸縮も 自在にできるという利点もある。
RR Susp with Motor (from Right Rear)

 ボディサイズは全長4978mm、全幅1967mm、全高1435mm、ホイールベース2960mmで、まさにフルサイズだ。デザイン的にはクーペ形状のセダンだが、リヤハッチドアを備えた5ドア形式を採用している。
 駆動モーターは同社オリジナルの3相交流・4極型誘導モーター、減速機(減速比=9.73)、DC-AC変換用のインバーターが横置き直列にパッケージされている。したがってフロアは完全にフラットにでき、リヤはアクスル上面にトランクスペースを持つ。フロントは最前端に電池/モーター/インバーター冷却液用のラジエーターとエアコンコンデンサーをレイアウトし、ESPユニット、車高調整用のエアポンプなどのコンポーネンツが搭載されるだけなので、内装材で仕切られたフロント・トランクも備えている。このあたりの実用性もフルサイズセダンとしては合格だ。

FR RH Susp Iso (No RH Wheel) RR LH Suspension Links (from RR-Centerline)

 インテリアは、コンセプトカー並みのレベル、つまりよく言えばハンドメイドの質感、逆に言えば量産車とはいえない質感で、プレミアムセグメントとしてはぎりぎりの線だ。しかし、ダッシュボード中央の17インチ縦型カラーディスプレイには驚かされる。タッチスクリーン式で車両情報・車両操作/インフォテイメントを両立させているところがアメリカのベンチャー企業らしい。デスクトップパソコンのディスプレイなみの17インチ縦型タッチ式ディスプレイの画面の表示は巨大なiPadといった感じだ。実際、ブラウザーも内蔵しており、まさにパソコン同等の仕様で、車載コンピューター/ディスプレイのリセット・スイッチまである。
 メーター部分も液晶ディスプレイで、表示項目はカスタマイズできる。
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 動力性能は3.0L~4.0の内燃エンジン並みを狙っている。もっとも発表されている航続距離は新欧州ドライビングサイクルによるため、強力な加速力は封印せざるを得ないだろう。EVならではの航続距離の制約を打ち破るため徹底的に大容量の電池を搭載するというテスラの発想は既存の自動車メーカーにはハードルが高く、逆に言えばオールアルミ・ボディ、45~85kWhという大きな電池容量を考えるとモデルSはかなり安い価格に抑えられていると言える。
 EV万能主義のテスラのクルマは、一般のユーザーよりも既存自動車メーカーに対してインパクトが強いように感じるが、その理由はEVとして破格のコスト・パフォーマンスを持っているということだろう。

BMWの現状

BMWはディーゼルエンジンに関しては後発で、1980年代にディーゼルエンジンを投入した。

そして、現在はもはやガソリンエンジンより、ディーゼルエンジンメーカーといえるほどになている。これは日本的な発想では考えられない転換と言えるのではないか。
無論その背景には、ディーゼルの方が売れるというマーケットの実情と、CO2、燃費に有利、低速トルクが強大で
性能的に有利という事実がある。

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このため、現在ではガソリンエンジンとディーゼルエンジンの部品の共通化が大きなテーマになっているが、近い内にはシリンダーや補機類など60%以上を共通化する計画だと言う。

その一方で、ハイブリッド・モデルは車種ラインアップの中でトップグレードに位置付けるなど、大胆に拡大普及させる方向性は取っていない。

BMW ActiveHybrid 3のパワートレインレイアウト


それよりは一挙に電動化にシフトする戦略を採用している。つまりEV、PHEVにターゲットを絞っている。しかし現時点では肝心のバッテリーのサプライヤーの選定で若干の不安要素を抱えている。これまでリチウムイオン電池を共同開発してきたアメリカのA123が経営危機に瀕し、行方が不透明になっている。

VWやトヨタはリチウムイオン電池のコストは今後も大幅に下がることはないという見通しを立てているが、BMWはどのような次の一歩を踏む出すのだろうか?

SUV フォレスター

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 またまたスバル・フォレスターに乗る機会があった。
 考えてみれば、今年はマツダCX-5、三菱アウトランダー、フォレスターと、いずれも海外マーケットに主眼を置いた新型SUVがそろったわけだ。これらはいずれも社運をかけた重要モデルで、海外で計画台数が達成できないとかなり苦しくなる。
 情報では、どうにか計画通りに進んでいるそうだが。フォレスターはまだこれからだが、順番として3番目になったので、ユニーク・セリングポイントとして本格SUVを強調している。

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 今回はラフロードでの試乗で、26度の砂利の坂道を登ったり下ったり。
 こういう場面ではヒルディセント機能が有効なことがわかった。前は見えない急な、滑りやすい下り坂で、アクセルやブレーキの微調整要らずで、低速で下ることができる。

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 対角の2輪が完全に空転する登り坂では、ESPのスイッチをオフにするといったん停止してもトラクションがかかり登りきることができる。
 
 この対角2輪、あるいは片側前後輪の空転は、クロカン4WD車は対処できる例が多いが、通常のSUVでは考慮しないのが常識なのだが。クロカン4WDは3個のデフ+3個のLSDというメカニカル・システムを備える。
 SUVは、対角2輪が空転するような使用条件を祖呈しないということなのだろう。

 しかし、実は上級SUVはこうした想定外ともいえる性能もきっちり作り込んである。VWトゥアレグ/ポルシェ・カイエン/アウディQ7を筆頭に、BMWのXシリーズ、アウディQシリーズ、VWティグアン、レンジ・イヴォークに至るまでだ。一種の付加価値の高さの誇示ともいえると思うが。

 フォレスターの場合は、MPT式4WDの機械式LSDなしで、同等の性能を引き出すため「Xモード」を追加した。今回はそのデモということになるが、悪路走破性能はクロカン4WD同等というわけだ。まあ国内でこの真価が引き出せるのは雪国の凍結路以外にはなさそうだといえるが。

 それ以外にMPT方式であることを利してアンダーステア/オーバーステア補正も前後トルク配分を急激に変えることで対処している。これはウエット路や普通の雪道でも有効だろう。

 今では2輪駆動のSUVも少なくないし、アメリカでSUVというカテゴリーが生まれた1970年代後半ことはジープ・チェロキーなどは手動切り替えのパートタイム4WDであったが、4WDで走行することはまずないという事実を考えるとSUVはファッション、ライフスタイルなのか、機能・性能なのか、なかなか割りきりが難しいと実感せざるを得ない。

カーオブザイヤー

日本カーオブザイヤー、RJCカーオブザイヤー、自動車殿堂カーオブザイヤーが出揃った。日本カーオブザイヤーはマツダCX5、RJCは日産ノート、自動車殿堂はホンダ N BOX+だそうだ。それぞれが違うクルマなのは大人の事情というものだろう。

2011年は震災の影響で新車の登場が抑えられ、その分2012年は多数のクルマが発売された。
年初に圧倒的な話題を独占したのは86/BRZだったが、日本カーオブザイヤーでやっと2位になったくらいだった。でも、この時代にクーペスタイルのスポーツカーの企画・商品化を実現したという点はもっと評価されてもよいと思うのだが。

マツダのCX5は、ターボディーゼルを日本に本格導入した点、そして販売でも80%近くがディーゼルという実績を挙げたことが評価されたのは当然だろう。ポスト新長期規制を最初にパスしたのは日産エクストレイルなのだが、やっぱり商品展開力、PR活動を含めてマツダの功績は大きいといえる。

日産ノートは、日本車で初の本格的なダウンサイジング・コンセプトを実現したという点が評価されたのだろう。日産の本音はあくまでもグローバルカーとして開発しているわけだが、その後に登場したディーダはスーパーチャージャーの設定なしというのはいかがなものか。これは、顧客ターゲットが65歳とか、燃費だけ訴求すればよい、価格競争優先といった面が透けて見えてしまうのだ。

自動車殿堂カーオブザイヤーのN BOX+は、なぜなのかがいま一つよくわからない。が、2位がトヨタ プリウス PHV、3位がトヨタ アクア HVで、ますますわからなくなる。N BOXを始めとするNシリーズは従来のしがらみを切って、ホンダ・鈴鹿製作所がの開発・生産、フィット・クラス並みの収益性の確保、そのためのブレイクスルー技術投入という点がポイントだが、どちらかというとインナー向けのコンセプト構築といえる。ただし、販売が頑張ってヒット作となっている点はさすがだ。

プリウスPHVは、乗ってみてやはり電池容量が中途半端、あの価格であの仕上げ・質感という点で躊躇したのが実感だ。それよりはアクアの方がまとまりは良いのだが、表示燃費がJC08モードに変わってインパクトが薄れたことと、実用燃費がプリウスと大差ない点が自動車殿堂以外の賞では評価されなかったのだろう。

インポートカーでは、BMW 3シリーズが、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドが日本でラインアップされた点で、インポートカーのトップになった。でも、もともと現地ではそういうラインアップだし、この価格帯でというのも気にかかる。

その逆に黒船だと騒いだ人が多かった割りにVW up!が低評価なのは何ゆえ? 日本カーオブザイヤーではイヴォークより下になっている。黒船だと騒いだ割に、あのASGがうまく扱えなかった人が多いこと以外では大人の事情だろう。

2012年のインポートカーでは、やはりアルファロメオ・ジュリエッタ、プジョー208、VW up!が強烈な印象だった。ジュリエッタはプラットフォームの91%が高張力鋼板で驚いたが、up!はボディ全体で70%、プジョー208は発表されていないが恐らく70%くらいは使っているのだろう。単に高張力鋼板がすごいというより、製造設備が積極的に更新され、そこまで対応力を備えていることに驚かされ、日本の製造設備や生産技術は今では置いてきぼりになりつつある。
もちろんボディ面だけではなく、走りのレベル、エンジン、パワートレイン、シャシーといった面でも明確にこれまでのレベル、常識を突き抜けているのが実感された。

フォレスターとXV

 フォレスターは今回のモデルチェンジで大きく商品ポジションを変えた。新たなポジションは「オールラウンドSUV」、開発コンセプトは「SUVとしての本質的な価値の実現」で、いわばグローバルに通用する本格的SUVを目指すことになった。

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↑NAモデル

 初代、2代目のフォレスターは、ターボモデルをメインにしたクロスオーバーSUVで、ボディサイズはインプレッサとほぼ同等で、全高を1550mm前後、地上高を200mmとしていたが、3代目からはボディを拡幅して1780mm、全高を1670mmとサイズアップしている。今回登場した新型は、全幅が1795mm、全高1695mm、最低地上高220mmとなり、グローバルSUVのカテゴリーの中におけるコンパクトクラスにちょうど納まるサイズになっている。

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↑ターボモデル

 新型フォレスターはプラットフォームも刷新され、センタートンネル径を拡大できたためトランスミッションもようやくワイドなギヤ比のCVT/6速MTにアップグレードすることができた。また、従来からの新世代の自然吸気の2.0L(FB20型)に加え、直噴+ツインスクロールターボの2.0L(FA20型)DITがラインアップされ、パワーユニット、パワートレインがともに最新のスペックになり、この点でも世界に通用するSUVといえる。
 特に新たなフラッグシップ用となるFA20型は280ps、350Nmとこのクラスでも突出したパワー、動力性能を実現し、同セグメントのBMW X3 28iやアウディQ3 2.0を凌ぐ出力を得ている。最もヨーロッパではこのカテゴリーはディーゼルエンジンがが主力で、そのためフォレスターもディーゼルターボを搭載する。

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↑インタークーラーダクトがボンネット内側に移動

 フォレスターは、新たにプリクラッシュ&ドライバー支援システムの「アイサイト」を採用し、駆動方式はAWDのみといった点もこのクラスの中ではユニークな特徴といえる。なおフォレスターのシンメトリカルAWDは高出力のDITエンジンも含み、これまで通りアクティブトルクスプリット式。ただし従来の駆動トルク、車速以外に舵角、ヨーレート、横Gも制御に追加することで新世代化され、大舵角時のタイトコーナーブレーキング現象が抑制され、車両の挙動安定化制御もできるようになっている。

 デザインは正常進化といえる。従来型が保守的なテイストだったが、新型はヘキサゴン+スプレッドウイングのグリルの採用、ホークアイ・ヘッドランプ、Aピラーを前進させたスタイリングはスバルのファーマットを明確にしたといえる。ターボ・モデルはフロントバンパーを専用にしてアグレッシブさを強調しているが、これは従来のボンネット上のエアインテークを廃止したためだろう。エアインテークは視界、空力性能を考慮して廃止し、インタークーラー用のエアダクトがボンネット下側に仕込まれている。


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 フォレスターは、これまではイメージ的にはクロスオーバーSUV的であったが、今回はオンロードもオフロードもタフな走りができる本格的なSUVのイメージに変化させようと、シャシーのチューニングにも走した要素を盛り込んでいる。
 従来のフォレスターもオフロードでの走りの能力はFFベースのSUVより相当に高く海外市場で高評価を受けていたのだが。

 より本格的なSUVとするため新たに「Xモード」が搭載された。滑りやすい路面やオフロードでセンターコンソールにあるスイッチを押すとXモードがオンになる。Xモードは、アクティブトルクスプリットAWDのクラッチ圧着力を高めて前後輪の締結を強め、4輪独立ブレーキ制御機能を使用してタイヤの空転を抑えるLSD機能、ラフロードでの急坂を下る時の車速を自動的に一定に保つヒルディセント機能を一つのスイッチに集約したものだ。
 このスイッチをオンにすることで、前後の片側輪が完全に空転するような状況でも発進でき、急な下り坂で20km/h以下であればアクセルやブレーキの微調整なしに下ることができるわけだ。
 AWD車でもクロカンはともかく、FFベースのオンデマンド式SUVは急坂、凍結した坂が上れない実例は多い。海外のテスト結果では、旧型フォレスターはこうした能力が高いという点で高評価を得ていたが、今回のXモード装着によりカテゴリーでトップを争う登坂、下り坂性能を持つことになったといえる。

 シートの着座位置は従来型より36mmアップし、一般的なSUVのコマンドポジションとなった。またサイドシルを奥に引っ込め、外側部分はドアで完全にカバーされる点が新しい。泥はねなどによりサイドシルが汚されることがないという利点があり、プレミアムSUVクラスが採用している手法だ。

 新型フォレスターは、ボディサイズだけでなく、パッケージング、走りの質感など多くの面で1クラス上にグレードアップし、アウディQ3やBMW X3をフォーカスした路線は間違っていないと思う。また新たに搭載さした低速トルク型の2.0Lターボエンジンは、SUVカテゴリーの中でも突出した存在だ。メインマーケットはアメリカ、中国だ。

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 フォレスターとともに新登場のインプレッサXVはフォレスターとは逆に都市型クロスオーバーSUVという位置付けだ。ベースはインプレッサ・ハッチバックで、最低地上高200mmとし、225/55R17という大径タイヤを装着する。 全高は、立体駐車場に入る高さにしている。
 このXVが日本では初代フォレスターの代替モデルとなろう。XVは日本より先にヨーロッパ、アメリカ、中国という順で発売しており、各市場で好評を博しているという。カテゴリー的には、日産デュアリスを始め競争相手が多いが、XVは手堅い商品力があるといえる。
 先行したインプレッサがヒット作となりさらにXVが追加されたため、インプレッサ系が全般的に供給不足となり、日本を含め各国のデリバリーが遅れている状態だ。
 インプレッサ系は、大泉工場内でレガシィ/フォレスター系ラインとインプレッサ系ラインでブリッジ生産をし、さらに太田の本工場でもインプレッサ系のブリッジ生産を行っている。しかし本工場は86/BRZのフル生産が2013年初頃まで続きそうで、あまりインプレッサ系が割り込む余地がない。
 中国での現地生産も頓挫しているため、スバルは今後はアメリカのインディアナ工場を拡張する方向と予想される。

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 なお、フォレスターもXVも新世代のプラットフォームを採用しており、局部剛性を大幅にアップさせているので、ボディの固さ感、がっちりしたフィーリングは国産車でNo1だ。また電動パワーステアリングも日本車では珍しいピニオンアシスト式で、正確さとスムーズさは高いレベルにある

プジョー208

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 プジョー208が日本でもデビューした。例によってフランスでの生産が多くのグレードに一気には対応できないようで、散発的なモデル投入になる。
 ヨーロッパでは春頃から販売され、かなりヒットしているようだ。日本向けは11月から1.6L/4ATのプレミアムとシエロ、1.6ターボ/6MTのGTを発売。12月中頃には3気筒・1.2Lの新開発エンジン/5MTが投入され、来春には1.2L/EGSやアイドリングストップ付きが。秋には1.6ハイパワーターボのGTIが加わるという。

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    ↑1.6Lプリンス・エンジン                       ↑新開発の1.2L・3気筒エンジン

 208は100kgという軽量化、全長の短縮、そしてデザインが新たなプジョー・スタイルになって、まずはBセグメントで存在感を強めたデザインに目が行くが、インテリアを含めたプレミアム路線も挑戦的だ。
 ボディは高張力鋼板の多用、レーザー溶接の多用など、従来より2段階くらいレベルを上げている。VW up!のボディにも驚いたが、ドイツ組だけでなくフィアット・グループ、PSAグループなどの最新モデルはいずれもボディの革新は大幅で、このままでは国産車はどうなるのかちょっと心配だ。使用する鋼板材料だけでなく、製造法、プレス技術など多くの面で2世代以上差がついたように感じる。 特にアウターパネルのプレスでは今では韓国車にも抜かれてしまった・・・

 11月発売の機種は従来からの1.6Lプリンス・エンジンとGT以外はAL4の組み合わせのみだが・、これも結構熟成されている。エンジンの滑らかさ、振動の処理、エンジン・サウンドチューニングなどはハイレベルで、このクラスでも加速時にクルマの後方から乾いた排気音が聞こえるようにしてある。
 今まで評判の悪い4ATも、今回はよりダイレクトな制御に進化し、ドライバーの意志に適合させるアダプティブ制御も文句なしのレベルになった。さすがに100km/hが2800回転というのは燃費にはちょっとつらいが。 1.6L/4ATのの走りは活発で気持ちよい。細かな点では微低速時のアクセルのコントロール性も満点だった。

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 走りはプジョー渾身のチューニングで、爽快さ、軽さ、気持ちよさなどがドイツ車よりレベルが高くなった。電動パワーステアのチューニングはトップレベルだ。ステアリングの正確さ、高速時のセンターの手応えと締まり具合など同クラスのVWポロを上回っている。
 またコーナリングでの抜群の接地感も上級車以上だ。これらの点が長時間のドライブで疲労の少なさやドライバーの安心感のベースになると思う。 プジョーとしては従来の走り味を大幅にレベルアップさせ、ファンツードライブと快適さを両立させたと言っているが、本当にレベルが高くなったと思う。もちろんこれも合成の高いボディあってのことだろうが。


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 外装品質にも驚かされるが、内装の品質にもびっくりする。このあたりはフォルシア社とのコラボレーションの結果だろうが、プレミアムCセグメントを超える質感、仕上げだと感じられる。

 価格的は1.6プレミアムで216万円、12月に登場する1.2は199万円。装備内容を国産車と比較するとコストパフォーマンスが高い。逆に言うと今では日本車は実際には安くない、割高なんだな感じてしまう。

 

ボルトが緩まないノルトロック・ワッシャー

 ノルトロックは従来からの「ウェッジロッキング機能」で振動などによるナットの回転緩みを防止するワッシャーの進化型で、非回転緩み、なじみ緩みをも抑制できる「Xシリーズ」を発表した。スウェーデンのノルトロック社は、緩み防止ワッシャー専門メーカーという特異なメーカーだ。

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 ノルトロック社は回転振動緩みを防止するウェッジロッキング機能を持つワッシャーを販売していることで有名だ。主として産業用、輸送機器などに採用されているが、クルマ関連ではSTIのスーパーGTに参戦しているBRZがターボマウント用に装用している。耐熱性の高いインコネル合金製のノルトロック・ワッシャーだ。ターボ周辺は高熱の上、高周波の振動を発生するため取り付けボルト/ナットの緩みを防止するためだ。

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↑横向加振器による回転緩み実験。水色=スプリングワッシャー、ピンク=摩擦式ナット、ブルー=ダブルナットでは軸力が加振後5秒後には低下するが、赤線のノルトロックは軸力を維持している。

 これまでのウェッジロッキング機能を持つノルトロック・ワッシャーは、主としボルトの軸力を低下させるて回転緩みを防止するが、低硬度の素材、パッキン付きフランジなどを固定するボルト/ナットの場合は、回転緩み以外の非回転緩み、つまり素材の塑性変形などによる「なじみ」により締結ボルトの軸力が低下する現象が発生する。

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 今回発売された「Xシリーズ」は、こうした非回転緩み、なじみ緩みにも対応しボルトの軸力低下を抑制するワッシャーである。基本構造は従来からの2重ワッシャーの接合面にウェッジ状のカムを持つ構造だが、2重ワッシャー自体が湾曲した緩やかな円錐状をになっており、その円錐形状でスプリング効果を発揮し、素材の「なじみ」による緩みを補完することでボルトの軸力の低下を抑えるという仕組みだ。

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ノルトロック・ワッシャーの使い方としては弾性域のトルク管理締め付け適合で、塑性域締め付け角度法には適合しないとされている。

 

[BMW i」と「アウディ・クロスレーンクーペ・コンセプト」

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「BMW iボーン・エレクトリック・ツアー」、BMWが企画し世界の主要7都市を巡回しサブブランドの「i」の訴求をはかるツアーが東京にやってきた。BMW i、つまりi8とi3そのものは昨年10月に日本に持ち込まれ、12月の東京モーターショーにも出展された。i3は都市生活用のハッチバックでピュアEV、i8は長距離・高速ドライブを可能にする高性能スポーツツアラーで3気筒ターボエンジンを搭載したレンジエクステンド型のプラグイン・ハイブリッドカーだ。

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いずれも大容量のリチウムイオン電池を搭載するため、車体の大幅な軽量化を行うためにアッパーボディはオール・カーボン製、シャシー/ロアフレームはアルミ製という構造を採用していることが大きな特徴だ。今回のツアーでは、i3のオールカーボン製のホワイトボディが展示された。

BMW社と同資本系列のSGL社と共同開発されるカーボン・ボディはRTM(金型を使用した樹脂充填)製法により各ボディパーツごとに量産され、各パーツを接着接合してボディ/キャビンを製造する。そのボディの全貌が明らかになったわけだ。

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なおi3は2014年発売で、価格は500万円ていどらしい。i8は2015年頃に発売予定だ。

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しかし、パリモーターショーではアウディが「クロスラインクーペ・コンセプト」を発表した。このクロスラインクーペは、3気筒ターボエンジンと2モーターを搭載したレンジエクステンド・プラグイン・ハイブリッドで、ボディサイズはBMW i3に近い。アウディは、オールカーボン・ボディとは異なり、カーボンとアルミ材を骨格に使用した複合スペースフレーム構造を採用する。BMW方式よりアウディ方式の方がコスト、量産性で有利だと主張している。車両重量は、i3が1260kg、クロスレーンクーペは1350kg。いずれのクルマも20kWhていどのリチウムイオン電池を搭載していることからでEVコンポーネンツの重量は300kgていどとされているので、2台とも通常のスチールボディ車より200~300kgを軽量化できていることがわかる。

フォルクスワーゲン up! がやってきた

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 9月18日、VW up!が発表された。
 ヨーロッパでは2011年秋から3ドア・モデルが発売され、今年の春から5ドア・ボディの生産が開始され、ASG(AMT)の生産も軌道に乗ってきたことから、このタイミングでの日本導入になったようだ。
 3ドア・モデルのベースグレードは149万円で受注生産扱いとなるが、これは日本では3ドアは少数しか売れないという読みだという。ただし最初の輸入でかなり3ドアボディも含まれているので、当面は納車時期が長くなることはなさそうだ。
 メインモデルは5ドアのmove up!で168万円。フル装備モデルがhigh up!(183万円)ということで、軽自動車ハイトワゴン上級グレードから、ヴィッツ、フィットなどはもちろん、トヨタ・アクアくらいまでが価格的にターゲットゾーンに入る。
 
 エンジンは1.0L・3気筒で、ヨーロッパでは60psと75psの2機種があるが、日本は75psの1機種のみ設定している。
 ヨーロッパでは最廉価モデルは100万円ていどから設定しているが、これはESP、エアコンなどもない本当のベースモデルだ。対して日本仕様は、シティエマージェンシーブレーキ(30km/h以下での衝突防止自動ブレーキ)、ESP、4エアバッグ、CD/MP対応オーディオなどを標準装備化しており、国産車に多いオーディオレスではない。ナビはPNDタイプをオプション設定している。
 
 up!は日本車キラーとして騒がれているが、本来のコンセプトは、VW社のニュースモールファミリー(NSF)とされる車種で、ウルトラコンパクト・シティカーだ。コードネームはタイプAAという。2007年にRR駆動のコンセプトカーとしてスタートし、その後FFに変更された。RRとするためには投資が多くなり過ぎることや、その後のグループ会社全体でのMQB(モジュラー生産コンセプト)とも整合しないと判断されたのだ。
 up!は、ヨーロッパにおける若者層へのシェア拡大、企業平均燃費の低減、新興国でのエントリー量販車種と多くの役割を持つ戦略モデルで、VWが2018年に世界No1メーカーになるという目標達成のための重要な役割を担っている。

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↑同時期に発売されたスズキの新型ワゴンR

 
 日本市場では、低価格が売り物というより「デザインや質感にこだわりのあるクルマ」の路線を選んでおり、やはりDas Autoを前面に打ち出すのが得策と考えているようだ。おりしも軽自動車のスズキ・ワゴンR(111万円~161.3万円)が発売され、up!と比較すると面白い。インテリアなどの見た目のデラックスさはワゴンRが勝るが、ESPやエアバッグ(ワゴンRは2エアバッグ)、オーディオ、非常時自動ブレーキなどの装備などではup!が断然優位に立つ。
 走りで比較した場合は、女性ユーザー、地方道を重視した軽自動車とアウトバーンも含めたオールラウンダーを狙ったup!とはまったく異なるのはいうまでもない。
 
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↑5ドア

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↑3ドア

 up!のボディサイズは全長3540mm、全幅1640mm、全高1480mm、ホイールベースは2420mmと、軽自動車よりわずかに大きいだけで、車重は900kg。
 up!のボディは75%が高張力鋼板製で、しかも超高張力鋼板、ホットプレス鋼板が58%に及び、やはりボディの作りは圧巻といえる。もちろん強度・剛性と軽量化を両立させているわけだ。軽量なボディにもかかわらず、静的捻じり剛性は1万9800Nm/度に達し、剛性の高さ、静粛性などもこれまでの常識を打破している。
また1.8mm厚の高強度スチール製のフロント・クロスメンバーの強度・剛性も突出している。
 up!の電動パワーステアはピニオンアシスト式で、2.5Lクラスまでの多くの国産車がコラムアシスト式で苦労しているのと対照的だ。フロントの剛性とこの2ピニオン電動パワーステアにより、直進安定性の高さ、中立でのステアリングの落ち着き、自然な操舵感が実現されている。

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 デザインは、シンプルさ、明快さ、機能性といった要素を重視した工業デザイン的な側面が強く、初代ビートルや初代ゴルフと同様にVWとしてのアイコンになることを意識しているという。ゴルフ由縁の太いCピラー、水平なラインを駆使したフロントマスクなどVWのDNAを採用している。しかし細部を見るとボディ側面のプレスラインで生み出される陰影や張り、彫刻的な美しさが感じられ、同時に寸法的に限られたドアやボディサイドの張り出し面でデザインが意図した彫刻的な面処理を実現する生産技術もきわめて高いと感じさせられる。
 エクステリアで、5ドアと3ドアの識別はリヤ・サイドウインドウ後端の処理が異なり、5ドアモデルは水平に、3ドアモデルは跳ね上がり形状になっている。

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↑up!のサイドウインドウのプレスライン

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↑ワゴンRの同箇所のプレスライン

 
 エンジンは新開発の3気筒(EA211)で、DOHC・4バルブ、排気量999cc、圧縮比10.5で、出力75ps/6200rpm、最大トルク95Nm/3000~4300rpmだ。出力特性は低速型に特化させている。コストを重視したためポート噴射で、バランスシャフトはない。3気筒の偶力振動対策は、優れたエンジンマウントと、エンジンの運動部品の高精度化で対応しているという。
 カムシャフトはベルト駆動、バルブ駆動はロッカーアーム式、吸気カムシャフトは可変タイミング機構が装備される。
 シリンダーはライナー入りのアルミダイキャスト/オープンデッキ構造、エキゾーストマニホールドはシリンダーヘッド一体構造としている。
 エンジン自体は、飛び道具を持たない枯れた技術でまとめら、フリクション低減を徹底し、軽量、低速トルク型、高精度で、燃費と扱いやすさを重視しているといえる。

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 トランスミッションは、ヨーロッパでは5MTがメインだが、オートマチック版としてシングル自動クラッチ/自動シフトのASG(SQ100型)を採用する。専用開発された5速MT(MQ100)はわずか25kgとクラス最軽量で、自動クラッチ&シフトのSQ100は30kgに収まっている。ツインクラッチのDSGは約60kgだから、その半分の重量だ。コスト、重量、燃費の観点からup!にASGを採用したのは必然で、燃費はMTを上回る。
 しかしながら、日本ではこれが一番の争点だ。これまでAMTがまったく定着していない(かつて電磁粉式自動クラッチ、いすずNAVI5、トヨタMR-S、イタリアやフランスのAMTは存在するのだが)ため、業界の関係者の多くはトルコン式AT、CVTと同等の評価点から「ぎくしゃくする」、「変速が遅い」と非難することになる。
 up!のASGに限らずAMTは加速時にはシフトアップのタイミングで一瞬アクセルを戻してやるだけで自動変速させスムーズに走ることができる。なおASGはDレンジではエコドライブ用のギヤシフトがプログラムされている。
 したがってプログラムに拘束されずに走るには、手動でギヤシフトを行う。操作としてはクラッチ操作なしのシーケンシャル・シフトというイメージだ。もちろんダウンシフトでは自動ブリッピングも行われる。

実際にup!の乗ってみると・・・やっぱりVWファミリーであると実感できる。ボディサイズは小さいのだが、乗り味はゴルフなどと共通したフィーリングで、大きなサイズに乗っているような錯覚を感じるし、すぐに体になじむ。
 直進安定性、ステアリングのニュートラル状態でのどっしり感、リニアな手応えなどはさすがといわざるを得ない。要するにこれは長距離を走る場合の疲れにくさに直結する。
 シートもダッシュボードも、一見するとワゴンRに劣るように感じるが、シートのフィット感、ホールド感はじゅうぶん。ダッシュボードなどはシボなどを設けず、むしろボディ同色にすることで待ったく別次元の見せ方があると感じられた。
 驚異的ともいえるのが走行時の静粛性で、これはポロを上回るのではないか。特に100km/hあたりでの静粛さは国産車をかなりリードしているといわざるをえない。
 エンジンは100km/h時で2800回転と、最近のクルマの中では高い回転で走るのだが、エンジンの騒音、振動によるストレスは感じられなかった。燃費は、JC08モード燃費が23.1km/Lで、郊外の道路や首都高速などを走ればこのあたりの数字は出そうだし、誰が乗っても20km/Lは体験できるだろう。

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↑up!のメーター
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↑ワゴンRのメーター up!とサプライヤーは共通

 
 実感として、欧州の高速道路や地方道を、他のクルマに伍して走る能力を持っていることが確認できたが、こうした点が軽自動車や1.3~1.5Lクラスのクルマのユーザー層、つまりクルマを生活ツールとして使用している層にうまくアピールできるのだろうか。本当の国産車キラーになるためにはこの関門をくぐる必要がある。
 だからVWジャパンは、当面はポロと同じような客層をターゲットにしている。

新世代のベースエンジンは

 この9月に発売される日産・新型ノートに、新開発の3気筒・1.2LのHR12DDR型エンジンが搭載されると発表された。
 HR型のエンジンは、日本ではマーチにHR12DE型が搭載されているが、これは小型軽量、低燃費、実用域での扱いやすさを狙い、なおかつ低コストでまとめたベース・エンジンだ。
 それに対して、HR12DDR型はダウンサイジング・コンセプトを採用している。実はこのエンジンは2011年からヨーロッパではマーチ(マイクラ)に搭載されて発売されている。

日産 HR12DDR型

日産HR12DDR

日産 HR12DDR型エンジン

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マーチ搭載のHR12DE型


 HR12DDR型は、ダウンサイジング・コンセプトを掲げているようにHR12DE型の性能向上版というより1.5Lクラスを置き換えるという意味があり、コンセプトを達成するためにHR12Dをはるかに上回る新技術が投入され「DIG-S」という別称が付けられている。直噴ガソリン+スーパーチャージャーの意味だ。

 まず燃費だが、新型ノート(車重1130kg)でHR12DE型モデルが22.6km/Lで、車重が同じHR12DDR型モデルは25.2km/Lだという。トランスミッションはいずれも副変速機付きCVTだ。
燃費対策としてはいずれも、減速エネルギー回生、アイドリングストップを装備している。

 HR12DDR型エンジンは、圧縮比12.0、ミラーサイクル運転、直噴、EGRを採用し、イートン製の4葉式スクリュー・スーパーチャージャー(クラッチ付き)を装備する。
細部では、クーリングチャンネル式ピストン、DLCコーティングしNo1は高熱伝導のピストンリング、ナトリウム封入式バルブ、真鍮製バルブガイド、DCLコーティング・バルブリフター、可変容量オイルポンプなどを採用。
真円ボア加工、鏡面加工カム、鏡面加工クランクなども実施。フリクションはHR12DEより10%少ないという。
 現状で考えられる技術はほぼ網羅した内容だ。

 クーリングチャンネル・ピストンや高熱伝導リング、真鍮製バルブガイドは、耐ノック性を高める手段。ナトリウム封入バルブは耐熱性向上対策だ。
 直噴システムは15MPAの燃料圧で、6ホール噴射孔としている。
 またインテークポートは、エッジを立てることでタンブル流を発生させるようにしているのも特徴だ。さらに中負荷時にはスワールバルブも併用する。

 ミラーサイクルは、吸気遅閉じで、外部EGR、排気可変バルブタイミングによる内部EGRも併用することでポンピング損失を低減。ミラーサイクル運転状態では実質0.9Lていどの排気量となる。

 スーパーチャージャーは、軽負荷時にはオフにし、中負荷以上で駆動するようにして過給を行いより強いトルクを生み出す。ミラーサイクル運転では大きなトルクを生み出すことが難しいため過給は必須となり、これによって1.5Lエンジン並みのトルクを確保する。

Eaton supercharger


 現時点ではHR12DDR型は、コスト的にかなり上積みされているはずだが、技術的にダウンサイジング・コンセプトをやり切った内容と考えられる。ターボではなくスーパーチャージャーを選んだのは使いやすさ、コスト要因ではないかと考えられる。

 トヨタは、新型カローラから投入を開始した1NZ-FE型改も、燃費を意識した内容になっている。
 高タンブルポートの採用、圧縮比のアップ(10.5→11.0)、EGRクーラーの装備、部分的なミラーサイクル運転の採用、可変オイルポンプの採用などの内容だ。

カローラ INZ-FE改
カローラ用1NZ-FE型改

1NZ-FE改 シリンダーヘッド


 トヨタは、1NZ-FE型のようなベースエンジンはミラーサイクル化の方向ははっきりしている一方で、過給には否定的とのことだ。やはりコストの足枷が大きいのだろう。
 しかしながら、ミラーサイクル運転は通常のオットーサイクルよりトルクが低下することは避けられない。これはマツダのスカイアクティブも同様であるが。スカイアクティブでも当初はターボ過給が想定されたが、コスト的に断念せざるを得なかったのでは、と推測できる。
 ミラーサイクル運転のみでは低速トルクが低く、ハイギヤードなトランスミッションギヤ比での巡航が厳しく、実用燃費を大幅に向上させることが難しいのが実情だ。
 トルクは電機モーターアシストでカバーするのだろうか。

11代目 カローラ・アクシオ雑感

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5月に11代目となる新型カローラー・アクシオ、フィールダーがモデルチェンジ。
1.2L,1.5Lがメインで、フィールダーのみに1.8Lを設定。

今回のクルマのメイン・エンジンとされる1.5Lは改良版1NZ-FE型で、ラインに流れるタイミングが遅れ、7月からの発売となった。

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しかし、今回の新型は発表会でも試乗会でも微妙な雰囲気だったといわざるをえない。

まずは発表会。実に長かった。その時の内容は、セントラル自動車・宮城でのカローラのラインオフ式のUstream
中継で、延々1時間半にわたって会場に詰め掛けた人々はスクリーンを眺めることになった。豊田社長や宮城県知事の挨拶が流された。この宮城工場のクローズアップは、セントラル自動車、関東自動車とトヨタ自動車東北が7月の合併して、コンパクトカー専門メーカーといえるトヨタ自動車・東日本が誕生することを含んだ上での「宮城」のことだったのだろうと思う。

しかし、新型のカローラの説明などはないままネット中継が続けられたため、小林彰太郎、星島浩氏らが憮然たる表情で帰ってしまった(笑)最後の30分でチーフエンジニアが登場して商品説明を行った。要旨はボディのダウンサイジングした、1.3Lを復活させ、アクシオは1.8Lを廃止した、ユニバーサルデザインを重視した・・・など。
ユニバーサルデザインが出てくるとは!

で、CARトップ誌8月号では、かの清水草一氏が、「ルックスが強烈に安っぽくてジジ臭い」、「アクセル全開時の加速がかったるい、頼りない」、「ステアリングはカルカルのスカスカ」、「サスペンションはフワフワのスコスコ」で、「乗った瞬間、棺桶に足を半分突っ込んだ気分になる」(笑)・・・とぼろくそ。
まあ、単に説明を書いているだけで、何が言いたいのかわからない、よくある試乗記とは違ってあけすけに書いているのだが。

知り合いが先行して行われた1.3L(アクシオ)、1.8L(フィールダー)の試乗会では、1.3Lモデルは「昭和のクルマのハンドリング」と称していた。何が昭和かというと、操舵感が乏しいことと、かなり操舵しても回頭しにくいことにあるようだ。

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7月に行われた新型カローラ・フルラインアップ試乗会で乗ってみると・・・
1.3、1.5、1.8のどれもけっこうサスペンションが硬い。不整路でごつごつ感がある。もちろんタイヤもエコタイヤで硬いのだが、担当者に聞いてみると「ごつごつ感が・・・どうも・・・」と、問題は把握しているようだ。ダンパーのフリクションの問題と見た。ふんわかしたサスペンションではなかった(笑)

キャビンは予想以上に静粛だが、これは平滑な路面に限られ、路面感度が高く、コンクリート路面のようなところでは一転してロードノイズが高くなるのがちょっと。

問題の操舵だが、想像していたよりは芯があるのだが、確かにステアリングを回す量が大きい。担当者の話では旧型の18.0から15.3くらいにギヤ比をアップしているという。15くらいであれば現在では普通のギヤ比なのだが、なぜかかなりスローなギヤ比に感じる。タイヤのCPが相当に小さいのか?

エンジンは、改良版1.5Lと1.8Lには新開発のスーパーCVTが組み合わされる。1.8L車はトルクがそもそも大きいので、加速感、CVTのできは相当によくなったといえるが、1.5LとスーパーCVTの組み合わせは、イマイチの感想だった。1.3は従来のCVTとの組み合わせ。1.3L、1.5Lともアクセル全開でも加速感が弱く、高速道路や首都高速の合流なのでどうなんだろう? 一般のドライバーはアクセル全開などは使用しないのだから、ちょっと気になるところだ。

昔は、このカローラクラスを初め多くの車は、アクセルの早開きリンクで加速感を演出していたが、今やそれもなし。それとCVTの組み合わせが主流になって、メーカーとしては加速をどう考えているのだろうか。

ブレーキは、例によって市街地での日常的な使用では問題ないが、パニックブレーキでは予想外にABSの作動が早めで、同時に減速Gが弱く、すぅーっと制動距離が伸びる感じ。またブレーキペダル自体の剛性感が低く、その点でも心理的に不利だ。

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デザインは、典型的な水平基調で、保守的かつ失敗のないデザインだろう。インテリアは、ミドル・グレード以上なら、けっこうデラックス感があると感じる。

まあそれにしても、新型カローラ・シリーズだというのに、PRチームも開発スタッフもなんとなく熱気が感じられず、醒めているところが気にかかった。メイド・イン東北ということだが、このモデルに限っては開発が合併前のセントラル自動車、関東自動車・混成部隊といった影響でもあるのだろうか。





2012年仕様のアウディR18 ultra

アウディのルマン24時間用エンジンは1999年~2005年のR8(ガソリンのTFSI)から始まったが、2006年にターボディーゼルの5.5L・90度V12 TDI(ツインターボ・550ps)を搭載したR10に変更され常勝街道を突き進んだ。2009年からはR15 TDI(5.5L・V10エンジンで600ps)、2010年からはレギュレーションの変更により、R18(3.7L・V6で510ps)へと変更されている。

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5.5L・V10 TDIは第2世代のTDIとされ、R18の3.7L・V6エンジンは第3世代となる。
現在、つまり2012年仕様も3.7L・V6型である。2005年時点と比べると実に排気量は32%もダウンサイズされている。しかし、ルマンでのラップタイムは6秒も向上しているのだ。もちろん、これはエンジンの性能だけではなくシャシーや空力の性能の大幅な向上も大きく寄与していることは言うまでもない。

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510psと発表されているV6ターボディーゼルは今や空前の燃焼圧、燃焼温度に達している。ピストンの燃焼室は2006年対比で60%も負荷が増大しているという。現在のエンジンは120度V6型のVバンク谷間(ホットサイド・インサイド)にツインエントリーVGシングルターボを配置する。このターボはハネウェル・ギャレットとの共同開発で完成したものだ。この大型シングルターボは、可変ジオメトリーターボであるが、Vバンク中央にターボを配置することで排ガスの流路は最短になり、熱損失を抑えることができるため、きわめて高効率となる。

ターボ・コンプレッサーは1時間当たり2000立方メーターの空気を過給する能力を持ち、2006年の550ps・V12型エンジンのツインターボと同レベルの過給能力になっている。
新開発されたこのツインエントリー・シングルターボは、その名称通り左右各バンク専用の排気ガスの入り口を備える。また可変ジオメトリーの機構はアウディの市販車、TDIターボシステムの改良版で、高い熱負荷に耐え、優れたアクセルレスポンスを実現している。ちなみにこのターボ内の最高温度は1050度Cにも達し、通常のターボより100度C以上耐熱性が高いという。


レース中のギヤシフトは電子制御によりクラッチ操作なしで30mm/sec以内に行われるが、この瞬間にインジェクターは減圧し、同時にVGターボの可変ベーンが作動してまったく過給圧は変動しない。なお直噴燃圧は市販モデルが2000barであるのに対し、ルマン用は2600barとなっている。この燃圧により、出力、燃費、排ガスともに向上しているが、燃焼室における熱負荷、強度的な負荷は大幅に増大するため、その対策はアウディの先行技術開発部門が担当して解決したという。

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なおR18 TDI Ultra、R18 TDI e-tronは今回からカーボン製ギヤボックス・ハウジングを採用し軽量化。またルーフアンテナの後方に、リヤビューカメラを装備し、レース中のドライバーの後方視界の改善に貢献するなど新たな技術も次々と導入している。

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また、昨年来、R18はコクピット全体はワンピースのカーボンファイバー製で、RTM製法で作られている。したがってコクピットを含むモノコックの強度・剛性は空前の高さになっているという。

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板金製ステアリング

FAGが提案するオール板金製ステアリング。

軽量化、製造コスト低減、既存品を凌駕する操舵フィーリングだという。

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9速AT

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昨年から発表されていたZF社の横置9速ATがようやく展示された。
驚くほどコンパクトにまとまっている。
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ギヤスプレッドレシオは9.81。

モジュール設計になっているので、トルコンだけではなく、油圧多板式発進クラッチ、ハブリッド
用モーターも装備できる。

残念ながら日本でこのATに適合するような特性を持つエンジンはないのだが。
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FA20 DITエンジン

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マイナーチェンジされたレガシィDタイプに新型エンジンが設定された。
名称はFA20 DIT型だ。いうまでもなく一つ前の世代のBL/BP型レガシィまではポート噴射のEJ20型の2.0Lターボ・エンジンが搭載されていたのだが、今回登場した2.0 DITエンジンは単にその後継ということではなく、次世代の高性能ターボ・エンジンとして再定義だ。
したがって2.5ターボからのダウンサイジング版というわけではなく、新しい高性能ターボ・エンジンと位置付けられ、当初から出力目標300ps、リッター当たり出力は150ps/Lを目標に開発されている。ただし、従来のような出力設計ではなく、より低回転から大トルクを引き出し、きわめて高いギヤ比で走ることができ、優れた燃費と環境性能とスポーツ性の両立を目指した新しい発想に基づいている。
このエンジンのベースは86.0×86.0mmのボア・ストロークを持つFA20型、すなわちBRZと同じである。
もちろんターボを組み合わせるために、ピストンやコンロッドなど運動部品は強化され、共通のパーツはクランクシャフトていどだ。吸排気カムには可変バルブタイミング機構を備え、高圧過給を行うにもかかわらず圧縮比は10.6で、自然吸気エンジンのFB25より高い。ピストンスカートはモリブデン・コーティングされ、ピストン冠面はタンブル流に対応したくぼみ形状になっている。また排気バルブは冷却性の高いナトリウム封入式だ。
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吸気マニホールドにはTGV(タンブル生成バルブ)とポートセパレート板を備え、低負荷運転時にはバルブを閉じ、吸気ポート断面積を半減させることで吸気流速をアップし、燃焼室内でタンブル流を発生させる仕組みはFB系エンジンと同じだ
FA20 DIT型の出力は300ps/5600rpm、最大トルクは400Nm/2000~4800rpmとワイドレンジで、最大トルクもEJ25ターボより大きい。つまり大パワー、大トルクを従来より低い回転数で引き出していることがわかる。同時に完全にフラットなトルク性能を作り出し、現在の日本製エンジンの頂点に立ったといえる。JC08モード燃費は12.4km/Lで、低回転でのトルクとワイド&ハイギヤ比のCVTとの組み合わせにより、実用燃費はモード燃費を上回るはずだ。
この新エンジンを支えているのが、新開発の直噴システムとツインスクロールターボだ。コモンレール式の200気圧・直噴で、小型のツインスクロールターボを組み合わせる。高圧の2段噴射、ツインスクロールターボによる極低回転域からの高過給圧、高圧縮比の組み合わせが新たな性能を作り出している。
このエンジンのシリンダーはNAエンジンと同様のオープンデッキ構造だ。

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シリンダーヘッド部への冷却水量の供給とシリンダー上部の水量を確保するためにはセミクローズドデッキ構造は不都合でオープンデッキにこだわって開発したという。エンジン全体の冷却は、シリンダー下部は水流を滞留させ、シリンダーヘッドに大量の水量を確保した2系統冷却システムにしている。

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なおこのエンジンはあくまで最新版の高出力エンジンという位置付けで、今後の本命ともいえるダウンサイジング・エンジンはこの後、登場するはずだ。
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