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外注体制

 かつてはホンダの七研、日産の商品実験部、車両実験部、トヨタの商品監査室やトップガン制度など、各自動車メーカーの実験部門や担当者はクルマの開発ので大きなかかわりを見せていたのだが、最近はこうした人たちが表に出てくることも少なくなっている。

 しかし、仕事そのものは相変わらずだと思っていたのだが、実はけっこう大きく様変わりしているようだ。やっぱり引き金になったのはリーマンショックなのだろうか。
 一例では数年前のトヨタ、最近ではマツダが、一度社内の実験部署で各種試験を経て承認されたコンポーネンツはその後の搭載車両では実験を省力化するという方針で、車両開発の実験工数を低減させている。もちろんこれによって開発スピードを早めることができることとになるのだが。
 本当にそれでよいのだろうか。

 もうひとつは、外注化の加速だ。いくつかの自動車メーカーは、開発中の車両の実験は外部の業者に委託することが多くなっているもちろん各実験部にエンジニアを中心とした人材は在籍しているのだが、実際の実験業務は契約した派遣会社に振るという仕組みを採用している。
 最近の情報では、日産の実験部もこの方式に改編する計画だという。

 1980年代後半の頃には「実験ドライバーの声は神の声」と言われた時代だったが、その実験ドライバーが外部の会社に転籍し、実験の仕事を受注する立場になる時代が来るとは驚きだ。
 実験の仕事の形態としては、実験部のエンジニアが業務内容を決めて発注書を書き、受託した会社がその発注書の内容に合わせて実験ドライバーを派遣する、あるいは特定の業務全体を受注し、受託会社が実験を行い、実験結果を提出するという形になる。

 トヨタの場合は、車両開発自体を系列会社に委託し、開発を受託した会社が開発、実験、製造までを担当する方式のようだ。最近ではトヨタ九州工場でも実験設備を設け、九州工場製の車両の開発は九州で実施することになっているそうだ。
 ホンダも鈴鹿製作所で、開発・実験・製造を一貫して行う体制を採用している。

 自動車メーカーから見ると、実験部の人員の削減、効率的な実験プロセスの実現という成果が得られるのはいうまでもないが、もはやモノ言う、実験期間を長引かせるようなドライバーは不要ということであろう。
 
 しかし、長期的に見て、こうした開発体制が有効で、正解なのか、ちょっと疑問である。

 

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スバル・レヴォーグとアルセロール社の話

 今年5月から発売を開始するスバル・レヴォーグ。レガシィの国内版というより、国内市場でのC/Dセグメントの再構築の柱という役割も持って登場する。「スポーツツアラー」というコンセプトで、つまりはワゴン版のGTカーというの位置付けだ。セダン版が今後登場するWRXとなる。
 スバルは現行のインプレッサから新世代プラットフォームとなり、それ以後XV、86/BRZと続き、いよいよレヴォーグからはハイパワー版のプラットフォームとなるということで興味深いが、そのボディ・骨格が明らかにされた。 
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 高張力鋼板/超高張力鋼板の採用比率はちょうど50%で、440MPa以上のグレードの採用を拡大している一方で、ホットスタンプ材は採用ゼロだ。その理由は、ホットスタンプ用の専用成形設備の導入と、1G MPa級以上のホットスタンプ材を溶接するためには大幅なレーザーシーム溶接設備が必要で、さすがにそれらを導入することは難しいとのこと。また超高張力鋼板の冷間プレス技術を進化させており、適材適所の高張力鋼板を組み合わせることで世界トップレベルの安全ボディとしているという実績の積み重ねを重視しているという。
 確かにスバルはアメリカの衝突テストでも全車がトップレベルで、スモールオフセット衝突試験でも最優秀レベルにあるのだから、これまでの独自路線で問題ないという自信もあるわけだ。衝突安全に関しては、特に前面衝突に関してはスバルはエンジンが落下して床下に滑り込むという圧倒的に有利な車体資質を持っているが、近年はそれだけではなく骨格の作りの上手さも評価されてしかるべきだ。

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 レヴォーグの車体とこれまでのNA用プラットフォームとの違いは、ハイパワーエンジンに対応し一段と骨格の結合剛性を高めていることで、それも補強材を追加するというより骨格の結合構造を進化させている。そうした構想での最大の着眼点は、ボディ全体での剛性の連続性と、局部剛性の大幅な向上いうことにつきる。そういう意味でボディの担当者はツボをわかっているといえる。
 結果的には、日本車で最も剛性感が高く、特に動的な剛性の高さは乗ってすぐに分かるレベルにある。またこうしたボディ骨格に対応してサスペンション用のクロスメンバー本体の剛性向上、クロスメンバー取り付け剛性の向上、さらにステアリングギヤの取り付け剛性(ブッシュの剛性は230%アップ)といった要点を締め上げているわけだ。ボディ、シャシー部の合成を大幅にアップしたことで、ばねやダンパーはよりレートを上げ、さらにリヤの横力トーイン特性を強めて、操舵応答性を向上させている。

 ただし、やはりホットスタンプを使用しない高張力鋼板がメインのボディは、どうしても車体軽量化では不利で、車重は1550kg級になっている。1500kgを下回っていれば・・・という点が惜しまれる。


 1月に開催されたボディ軽量化技術展にアルセロール・ミッタルと関連ホットプレス成形機会社が出展した。ティッセン・クルップ・グループとアルセロールはシェアを2分しているが、ボルボ社やフィアット・グループはアルセロールの材料、技術が採用されているという。
 アルセロール系のホットプレス成形機は、日本で2次下請け会社に初めて納入されたという。これから自動車メーカーにもプレゼンテーションを行うという。

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最近のボディ骨格

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 ↑2014年登場のボルボXC90のボディ

 ここ2年ぐらいで、世界のクルマのボディ骨格の作り方はずいぶん変化してきているが、日本車に限ってはあまり変化が見られない。その原因は、やはり工場での製造の制約が大きい。成形加工や組み立てに時間がかかる材料は嫌われるということが一番の理由だ。言い換えれば、それだけ工場の側の声が大きいといえる。

青220MPa、黄420MPa、赤1000MPa、紫1000MPa(熱間プレス

 ↑VW ゴルフ7(青:220MPa、黄:420MPa、赤:1000MPa、紫:熱間成形1000MPa以上)

 ヨーロッパの自動車メーカーは、当初のプレミアムメーカーから今ではA/Bセグメントのクルマまで超高超張力鋼板の使用が拡大しており、特に熱間成形のホットスタンプの採用が多くなっている。もちろんその狙いは、軽量化とキャビンのさらなる高強度化を両立させるためだ。
 熱間成形工程の設備を導入するなど、設備投資も高額になっている。日本では前後のバンパーレインフォースやAピラー部など単純な形状の骨格に限定採用され、複雑な形状の骨格への導入は否定的だ。その代わりに、新日鉄・住金が開発した冷間プレスができる超高張力鋼板が主流になると見られる。

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 ↑日産 Q50

 日産スカイライン(Q50)がその先鞭を付け、スズキ、マツダなどに採用が拡大しているが、やはり部位としては限定的だ。この冷間プレス成形ができる超高張力鋼板の使用も金型やプレス法などにかなりの専用技術やノウハウを要するため、限定的な使用とせざるを得ないようだ。

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 ↑ホンダ・ヴェゼル

 エンジンの分野ではターボ過給を採用したダウンサイジング・エンジンは、現在ではヨーロッパ、アメリカで主役になり、日本ではハイブリッドが主役という流れができたが、
ボディ骨格についても日本は独自の手法を追求いて行くのだろうか?

東京モーターショーと最近のトレンド

 東京モーターショーが開催中だ。ここ1年ほどで円安にぶれたことで日本の自動車メーカーは軒並み業績が改善しているが、今回のモーターショーはその恩恵が発揮されるには時間不足で、日本の自動車メーカーの出展内容は三菱、スバル以外は味が薄かった感じがする。

 三菱は、ルノー・日産との業務提携により、セダンの開発という重荷が取れ、SUVメーカー、電駆動動化メーカーに選択・集中を果たせたことで、ふっきれた感じ。スバルは行正規が最高潮のため、1モデルでグローバル対応をせざるを得なかった制約を取り払い、グローバルカーと日本専用モデルの作り分けができるようになった事が背景にある。

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 もうひとつ、今年後半で一気にクローズアップされた新たなクルマのテーマ、運転の自動化、電動化、ネットワーク化などは、サプライヤーでは明確なロードマップが提示されたが、日本の自動車メーカーは、これにも対応は遅れ気味であることが感じられた。 

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↑スバル・アイサイトver3            ↑コンチネンタルに続きボッシュもステレオカメラ

 この夏以降、日産が自動運転化の技術をぶち上げたが、トヨタはややコンセプトをまとめるのに時間がかかっているようで、それが原因か首都高速での手放し運転がテレビ報道されて一部で問題を引き起こした。
 自動運転化技術の開発がほとんどストップしていたホンダ、三菱、マツダなどはここ2、3ヶ月で開発体制作りに追われている。自動運転化技術に関して案外進んでいたのがスバルで、これはアイサイトのおかげだろう。来年登場するアイサイトver3で、ステアリング自動操舵、トルクベクタリング補正制御を採り入れることからもわかるように2015年以降の自動運転(正確には高度運転支援システム)化にはスムーズに対応できそうだ。開発担当者によれば2020年以降の高度運転支援システム、オートパイロットに関してもすでに開発を進めているという。これはやはり小さな組織、小さな開発チームの有利さか。

P1100962.jpg ←自動運転を前面に打ち出したスバルVIZIV


日産は新型スカイライン(V37型=インフィニティQ50)で、世界初のステアbyバイヤーを採用した。これはこの技術単独での評価より、シャシー制御全体、あるいは自動運転技術の一環として位置付けるべきだろう。ホンダでも同様の技術を開発中で、技術展示試乗会では試乗もできたが、技術のポジショニングがややあいまいだと感じられた。

 その他、ここ最近のキーワードを拾い上げてみた。
・コネクテッド(インターネットとのネットワーク化):日本の場合、自動車メーカが主体になって純正ナビゲーションを開発してきているため、コネクテッドの方向性に対して腰が重い感じがするが、自社開発ナビを持たないマツダやスズキなど軽自動車メーカーの方が取り組みが早い。

・ビッグデータ:国交省がITSスポットを一気に全国展開させたが、提供コンテンツが不十分で普及が遅れている。その他ホンダのインターナビのプローブ情報データ、パイオニアのモバイルテレマティクスセンターなどクラウドとしての基盤はあるのだが、統一運用、アプリなどが未整備。しかし、これからはこれと接続して活用することがテーマだ。

・AR(Augmented Reality):これまでのヘッドアップディスプレイの領域が更に広げられ、多様な警報や注意喚起情報を必要な時に表示するという今後の重要な研究テーマ。

P1110101.jpg ←コンチネンタル社の48Vシステム

・48V:日本だけが1.5Lクラスまでハイブリッドシステムを搭載するが、ヨーロッパ勢が注目しているのがこのマイルド・ハイブリッドだ。2015年搭載が決定している。ゴルフ7の1.2L TSIエンジン搭載車を例に取ると、現在のJC08モード燃費は21.0km/Lだが、48Vシステムを搭載すると25km/Lていどになる。もちろんJC08モードではハイブリッドシステムにかなわないが、実用燃費では現在のハイブリッドは22km/L前後だから、逆転する可能性があるわけだ。48Vシステムは48V前提の強力なスターター/ジェネレーターを発電・回生とエンジンアシスト駆動用に使用。回生電力は小型リチウムイオン電池に貯蔵し、電装系にはDC-DCコンバーターで12Vに落として使用する。コスト的には現在のハイブリッドシステムの20~30%。サプライヤーはボッシュ、コンチネンタル、ヴァレオ。シェフラーは第2世代の48Vシステムを狙っている。この48Vシステムに日本の自動車メーカーでは三菱が最初に手をあげている。

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・自動運転:海外組みの表現は運転の自動化で、先日は安倍首相が日本の自動車メーカーの試作車に乗って「日本の自動化技術は世界一」と言ったらしいが、それは誤解だ。欧州組はかなり前から実証実験を行っている。というのも、サプライヤーがシステムを構築しつつあり、それらを採用して共同開発を行っているからだ。主導しているのはボッシュ社とコンチネンタル社で、いずれも公道での実験走行を行っている。もちろん、正確に言えばいずれも「高度運転支援システム」で、障害物の検知と自動操舵による回避、アクティブクルーズコントロール(ACC)の組み合わせだ。日本の場合は、こうしたコンセプト以外に道路インフラ協調タイプも提案されている。トヨタや日産も2015~2016年が、高速道とや自動車専用道路での高度運転支援システム使用開始の年になりそうだ。この段階ではドライバーがステアリングに手を添えている必要がある。
完全自律タイプの自動運転化は2020年以降からというのが世界共通のロードマップとされ、このためには法定期な整備が必要となる。 コンチネンタル社は2025年からといっているが、スバルは2020年だという。 

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メルセデス・ベンツ Sクラスの最新システムの謎

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 ドライバー支援システム、プリクラッシュブレーキ、そしてステレオカメラを使用したマジックコントロール(油圧アクティブサスペンション装備車のみ)・・・と、まさに先進技術てんこ盛りで話題をさらったSクラスだが、どこまで機能するのか、どのような性能や特性を持っているのか謎が多すぎると感じたのも事実だ。
 
 幸い、新型Sクラスの各種装備を細かく検証し他知り合いがいたので、そこから情報を得ることができたが、なかなか興味深い。

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 まずは、マジックボディコントロール。ステレオカメラを使用し、15m前方の路面の凹凸を検知し、油圧アクティブサスペンションをプレビュー制御することでほぼ完璧なスカイフック・アクティブサスペンションとして機能するというものだ。つまりプレビュー制御の発想は納得できる。センサーはステレオカメラで、そのカメラの画像を処理することにより、路面の凹凸を判定する。
 
 つまり、路面の凹凸をモノクロ画像のコントラストで判定しているため、曇天では判定できない、もちろん夕暮れ、夜間も判定できない、強い逆光時にも判定が困難となり、プレビュー制御が作動しないことが予想できる。実際に検証した結果、これらの条件ではマジックボディコントロールは作動しなかったそうで、さらに一定のうねり路面でも段差判定が困難らしく作動しなかったという。つまり、逆に言えば一定の条件化でしか作動しないということになる。その意味では限定的なシステムと言えるし、作動できる条件を明示した方がよいのではないか。

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 次はナイトビューアシスト。ヘッドライトが照射する遠赤外線、近赤外線の反射波を近遠赤外線カメラで受像し、歩行者や動物を検知するとメーターディスプレイに映像を表示し警告するとともに、アクティブヘッドライトの照射ビームは歩行者を避け、なおかつ歩行者に警告するためにヘッドライトが点滅するというシステムだが・・・まずは近遠赤外線カメラでキャッチしディスプレイに表示される映像は、広報資料のような歩行者や動物の形の映像ではなく、赤点となりその周囲を赤枠で囲った点滅警告表示が行われることがわかったそうだ。したがって機能的には警告対象物を検知していることに間違いはないが、テンプレート形状として認識しているわけではなさそうだ。ディスプレイ画面での鹿や歩行者の形を描いた広報資料はミスリードとまではいわないが、実際の警告ディスプレイとは異なることは確かだ。
 さらにヘッドライトによる歩行者に対する警告の点滅はどのような状況でも作動は確認できなかったという。

 なおアクティブヘッドライトは、ハイビーム時に対向車や状況をカメラで判断し照射ビームを可変制御するという優れもので、ドライバーが防眩のためにロービームに切り替える必要はないのだが・・・実は街灯が1本でも視認できるような状態ではハイビーム=アクティブヘッドライトにならず、ロービームを維持するのだという。ということは、日本ではまったく街灯のない地域は極めて特殊なので、ほとんどアクティブヘッドライトが機能する時間はないわけだ。逆に言えば市街地を抜けるとほとんど街灯がないヨーロッパやロシアなどで有効なシステムと考えることができ、日本での装備はあまり意味がない。

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 ドライバー支援システム、プリクラッシュ・オートブレーキのためにSクラスは、ステレオカメラ(50m/45度)、360度カメラ、近遠赤外線カメラ(160m/20度)、マルチモード長中距離レーダー×2、近距離レーダー×3という多数のレーダー、1.2m/4.5mレンジの超音波センサーを装備している。まさに全方位センサーをフル装備した状態だが、プリクラッシュ自動ブレーキに関しては最終的にカメラの画像認識能力によるところが大きく、歩行者や自転車の検知は、歩行者の姿勢、自転車の方向などに左右され、検知能力は60%ていどだと思われ、したがって「対歩行者、自転車検知」機能を持つとは明言していない。
 またフロントに装備した0.2~30m/80度の短距離レーダーにより、車両前方直前の横方向からの飛び出し車両にも、低速域では対応できることになっているが、やはり30km/h以下で、飛び出し車両の車速にもよるため不確定要素が多い。
 
 Sクラスは他社の車両とは異なりる新技術に積極的に取り組み満載採用した意欲は認められるが、やや時間不足のまま市販モデルに搭載してしまったと考えるのが現実的だろう。
 またそれを、営業的な観点からのみでセールスポイントとしていることに違和感がないとはいえない。

IIHSの衝突回避・自動ブレーキテストとスバルの次世代アイサイト

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 最近、スバルは2014年に登場する予定の新型レガシィに搭載されると考えられる次世代アイサイトの発表を行った。 もちろん次世代アイサイトもレンズ間距離350mmのステレオカメラ方式であることに変更はなく、前方の対象物の距離と相対速度の測定、対象物を立体として画像認識を行うという点も同じだ。ちなみに現行型の「アイサイトver2」は約1年ほど前にバージョンアップされ、歩行者、自転車も検知できるようになっている。

 現時点で、衝突回避・軽減のための自動ブレーキを装備しているクルマで、歩行者、自転車を検知できるのは、「アイサイトver2」と、ボルボの「ヒューマンセーフティ(ボルボは標準装備がレーザーレーダー式のシティセーフティで、オプションとして単眼カメラ、複数のミリ波レーダーを備えたヒューマンセーフティが設定されている)」のみだ。そのボルボのヒューマンセーフティも、従来は歩行者だけだったものが今年9月から発売の2014年仕様から自転車検知機能付きにバージョンアップしている。

 現時点で多数のミリ波レーダー、ステレオカメラ、赤外線カメラなどをフル装備するメルセデス・ベンツのシステムも、歩行者、自転車はの検知は一定の条件でしか検知できないレベルのため、歩行者、自転車を検知できるとは説明されていない。

 ボルボの場合は、2014年仕様でもヒューマンセーフティのハードウエアに変更はないのだが、カメラ、レーザーレーダーによる情報と制御アルゴリズムの改良により、従来の歩行者のみの検知から前方を走る自転車の検知に成功したという。カメラで走行する自転車の概要を把握し、より近距離の時点でレーザーレーダーにより自転車の後方反射板を確認するというアルゴリズムと思われ、子供用の自転車には反応しない。
 ボルボの単眼カメラはかなり優秀で、道路標識の読み取り+表示などから前方の対象物の形状認識が優れているといわれる。


 一方で、業界から販売店、一般ユーザー層まで、レーダー万能と信じ切っている人が多いのも憂慮すべきことだ。どうやらその根拠は、暗闇、濃霧でもレーダー波が届くということらしいが。ヘッドライトが照射している限りカメラでも適合できるし、濃霧のような視界の得られない状況でレーダーを頼りに進むというのは船や飛行機以外では想定できない。そもそもレーダー波では歩行者や動物は捕捉・認識できないし。
 いずれにしてもカメラによる画像認識技術は今後ますます重要になることが明らかで、、そういう意味でも24年以上にわたってステレオカメラの研究開発をしてきた富士重工の技術蓄積の価値は大きいと思う。

カメラ機能比較 P1100084.jpg

 従来型のアイサイトは、「アイサイトver2」という名称だが、次世代型は「アイサイトver3」となるのだろうか。次世代型の進化とは、まずステレオカメラが従来のモノクロが画像からカラー画像になり、画素数も約4倍にまで高められ、画像認識性能が大幅に向上しているという。先行車のブレーキランプ点灯(LEDライト含む)、赤信号も認識できるようになり、天候に変化(雨、霧、逆光)などによる影響も従来少なくなっている。

 またステレオカメラによる前方捕捉距離、左右方向の視野角ともに現状より約40%向上させているという。前方補足距離は天候や交通環境により一定ではないということもあって距離数は公表されていないが、恐らく理想的な環境で200mが280mに伸びたといった感じなのだろう。左右方向の視野角も拡大され、これは高速道路での先行車との間の割り込み 車や、市街地での側方からの飛び出しにもあるていど対応できるようになったものと考えられる。側方からの飛び出しは、飛び出し速度に左右されるという担当エンジニアの言葉とデモンストレーションの内容から、人間が小走りの状態程度までは検知できるようだ。
 こうした改良により、より人間の目の能力に近づけたともいえる。

機能比較 次世代

 次世代アイサイトの機能としては、従来機能に「レーンキープアシスト」が追加された。
機能的には2種類があり、一つは車線中央維持機能で、「全車速追従機能付クルーズコントロール」を作動中、約65km/h以上で走行車線両側の白線を認識して走行している場合、車線内中央を維持するよう、ステアリングの自動操舵を行ない、ユーザーの運転負荷を大幅に軽減する。ただしドライバーがハンドルを操作している状態を判定し、無操作状態の時には機能を停止する。もう一つは車線逸脱抑制で、自動車専用道路などを約65km/h以上で走行している場合、車線からはみ出しそうになると、従来の車線逸脱警報(表示+警報音)に加え、ステアリングにトルクを加えることで車線内側方向に操舵する制御を行なう。これらは自動車専用道路や高速道路を走行する状態を想定した機能で、65km/h以上というのは世界的な取り決めのようだ。
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 衝突回避のプリクラッシュブレーキは、自動ブレーキによる対象物との衝突回避、被害の軽減が可能な相対速度を、これまでの公称30km/hから約50km/hへ向上させている。これはカメラの性能向上による認識範囲の拡大に合わせ、より早い段階から歩行者や自転車、クルマを認識し、車両制御することで実現している。

 全車速追従機能付クルーズコントロールは、新たな機能として先行車のブレーキランプ点灯を認識できるようになったことと、カメラ性能の向上により、先行車への加速・減速応答性を高めるとともに、先行車との間への他のクルマの割り込み、コーナーでの追従性を向上させている。これらは追従時に従来機能と比べてより早めの滑らかな加速や減速ができるということだ。

 新機能として危険回避アシストが採用された。先行車など前方障害物と衝突可能性が高いと判断した場合、ESCの車両統合制御技術により、ブレーキ・トルクベクタリングを作動させ衝突回避操舵をアシストする。このトルクベクタリングを併用することでヨーレイトは約15%向上するという。この新機能により、次世代アイサイトは、走る、止まるに加え、曲がるという車の基本性能の全般を制御できるようになったともいえる。

また従来のAT誤発進抑制に加え、新たにAT誤後進抑制制御、つまりバックする時の誤発進を防止するシステムも合わせて採用している。もちろんこれはステレオカメラとは関係なく、バック時のアクセルペダルの踏み込み速度をモニターし、アクセルの急な踏み込み、速い後退速度を検出した場合、警報(表示+警報音)すると同時にエンジン出力を制限し、急な後退走行を抑制するというものだ。またこの機能と合わせて、ドライバーが設定できるバック速度リミッターも装備されるという。


 なお、現行型アイサイトの性能がアメリカ道路安全保険協会(IIHS)の自動ブレーキ性能比較でトップになったというのも興味深い。この結果は9月末に発表されたもので、テストは最新の中型セダン、SUVを対象に行われ、12mph(約20km/h)、25mph(約40km/h)で障害物に向かい、自動ブレーキで衝突を回避できる、あるいはより速度を下げて衝突を回避できるかどうかを調べ、これらのテスト結果によりクルマは「SUPERIOR(最優秀)」、それより低い速度ながら衝突回避できるクルマは「ADVANCED (優位)」、さらにそれよりレベルが低いクルマは「BASIC(標準)」とクラス分けされている。
 
 テスト結果では表のように7車種が「SUPERIOR(最優秀)」を獲得した。衝突警報・自動ブレーキシステムを備える他の6車種が「ADVANCED (優位)」とされている。なお、「ADVANCED (優位)」のグループに入っているボルボS60、XC60は標準のシティセーフティのみの装備車だ。
 テスト結果が公表されると、スバルとボルボの販売が急進したというから、アメリカではコンシューマーリポートやIIHSのテイスト結果の影響は大きい。

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恐るべきフランス車

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 最近、ルノージャポンが新型ルーテシアを発表し、9月から発売を開始するという。フランスのBセグメントではすでにプジョー208が2012年11月から日本で発売を開始している。ヨーロッパでは、このプジョー208が大ヒットし、Bセグメントのトップに躍り出た。ルーテシア(ヨーロッパではクリオ)はこれに挑み、2012年末から販売は好調だという。
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 プジョーは経営危機、ルノーは販売低迷という、企業としては苦しい状況下でこれらの新型車を開発したが、クルマのデザイン、品質の高さ、トータルで見たレベルの高さには正直驚かされた。ヨーロッパにおけるBセグメントは、VWポロ、ヒュンダイ i20、ホンダ・フィット(ジャズ)、フィアット・プント、トヨタ・ヤリス、日産マーチ(マイクラ)、スズキ・スプラッシュ・・・と競合者がとにかく多種多様なのだが、プジョー208が今では市場をリードしこのセグメントのベンチマークになり、ルノーがこれを追うという展開になりつつある。
 
 フランス勢は、プジョーは「パーソナル、スポーティ」、シトロエンは「コンフォート、個性」がブランドイメージだが、ルノーは「保守的、凡庸」で、フランスにおいてはトヨタ的とされる。しかし、結果として販売が低迷していることを受け、デザイン、クルマ作りの革新を行い、今後登場する他のカテゴリーの新型車も含め、これまでのイメージを覆すという計画だという。
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 同じBセグメントとはいえ、プジョー208は従来モデルよりボディ寸法をダウンサイズし、エンジンもダウンサイジングをはかった。またクルマとしてのコンセプトはエモーショナルなデザインと走りの強調、プレミアム方向へのシフトを行っている。
 ルノー・ルーテシアは、Bセグメントの枠を少し超えたやや大型化をはかり、CセグメントとBセグメントの中間に進出。エンジンはもちろんダウンサイズしている。
 新型ルーテシアのUSP(ユニーク・セリングポイント)は、デザインの革新、走りの洗練である。ユーザーターゲットは、プジョー208が都会的センスのある人を想定しているのに対して、ルノーのユーザー層は老若男女を問わないジェネラリスト、つまりど真ん中狙いの商品だという。

 ヨーロッパでは、プジョー209、ルーテシアともにガソリンエンジンは1.0L、1.2Lの3気筒/5MT、1.5L,1.6Lの4気筒ディーゼル/6MTがメインだが、日本市場向けはかなり特殊で、208は、1.6L・NA(4AT)、1.6Lターボ(6MT)、1.2L・NA(5MT)、1.6Lハイパワーターボ(6MT)という順に展開し、2014年モデルからは4ATが6速AMTに置き換えられる。
 ルノージャポンは、日本ではよりニッチなマーケットを指向しているだけあって、エンジン、トランスミッションは日本向けの仕様に特化させる作戦で、ヨーロッパでは設定されていない1.2ターボ、ECT(新開発6速DCT)を組み合わせて送り込んだ。ECTは本来はGTモデル用だ。
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 208、ルーテシアともに、生産は決して新しい工場で行われているわけではないのだが、生産設備は相当に更新しているのが注目される。その証拠にボディ精度が著しく向上しており、2車ともにBセグメントにもかかわらずルーフサイドの接合はロウ付け溶接仕上げとしている。ルノーはけっこう古いトルコ工場で、新たにプラズマ溶接によりロウ付け溶接を行っている。プジョーの生産は、高張力鋼板を大幅に使用していること以外の情報はまったくない。しかし、生産技術のレベルはルノーより高精度だろう。
 面白いことに、208のプラットフォームは従来型の改良、ルーテシアのプラットフォームの一部は従来型と同様に日産Bプラットフォームのパーツを共有しているが、その仕上がりはベースとは次元が異なるほど違っていると感じられる。そのベースには開発ポリシーと生産技術との両側面があるように見える。

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↑ プジョー208 GTi                ↑ルーテシア
 
 ルーテシアに関しては、開発段階で走りの革新も大きなテーマだった。旧型でのステアリングの頼りなさ、フィーリングの悪さが大きなトラウマとなっていたため、大幅な改良が求められた。ルノーの走りの革新では、自動車メーカーとしては異例の、金属フラットベルト試験機を駆使し始めたという。タイヤメーカーが持つフラットベルト試験機は、タイヤの荷重、スリップ角を変化させつつCP、CFを計測するが、ZF社のようなダンパー&シャシーメーカーはダンパー,サスペンションの入力を測るフラットベルト5軸試験機を導入している。ルノーはサスペンションのジオメトリーを変化させながら5軸入力を測るという手法で事前評価を徹底し、これが開発で大きく奏功したという。
 もちろんこうした基礎データだけではなく、走行試験を徹底し、走りのチューニングを行って最新のレベルにまで引き上げたわけだ。
 
 結果的には、フロントサブフレームの大幅な強化、ステアリングラックのダイレクトマウント化、コラムアシスト式電動パワーステアの制御ソフトの見直しを行っているという。
 日本の多くのクルマで標準化されている日本製コラムアシスト式EPSで、ここまでできるという新たな基準を作り上げたというべきだろう。
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 208とルーテシアでは目指す走りは違う面もあるが、圧倒的なスタビリティ、正確で気持ちよいハンドリング、フラットな乗り心地、快適さといった面では共通しており、これが現在の欧州基準ともいえる。
 
 またルーテシアに関しては、驚異的な静粛性も実現しており、ゴルフ7と同様に新たな方向性を確立している。イメージ的には2クラス上のクルマの静粛性といえる。もっともルノーではルーテシアでもロアグレードとアッパーグレードで静粛性、質感でも作り分けを行っているのだという。もちろん日本導入モデルはアッパーグレードだ。しかし、高いコストをかけないで驚くべきせい静かさを実現する技術は、ボディのAI(アコースティック・インテンシティ)や、吸音・遮音技術が大幅に進化していることを思わせる。
 
 今ではドイツ車を上回る革新、レベルアップを行っているフランス車の実力は日本メーカーの2歩以上前を走っており注目すべき存在だ。

最新ボディ雑感

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 新型レクサスISのボディは、スポット溶接、レーザースクリュー溶接、構造用接着剤で格段にボディが進化した・・・という話になって、ISは最高といった評価になっているようだが、ちょっと情報混乱の傾向が強いと思う。

 まずはレーザースクリュー溶接はトヨタが特許を取得し、後日に技術発表をするようだが、その実態はレーザービームを鏡で照射角を変えながら渦巻状に溶接を行うのだがあくまでも点溶接だ。スポット溶接機では、一定の間隔以上に距離を縮めると電流が短絡し、溶接不全になってしまうために、スポット溶接の間にレーザースクリュー溶接を行う。つまり、レース車両に改造するときに行われる追加スポット溶接みたいなイメージだ。レースガレージでは1点スポット溶接機でスポット接合箇所を多点化する。さらに接合面をアーク溶接することが多い。レクサスISの場合はこれと同様のイメージだろう。


 だから欧州メーカーが行っているレーザー線溶接とはかなり意味が違う。レーザースクリュー溶接は極めて短時間(3秒以内だろうか)なのも特徴だが、レーザー線(シーム)溶接はそれなりに時間がかかる。この欧州メーカーのレーザーシーム溶接に相当するのはISが採用している熱硬化式の構造用接着剤の適用だ。
田原工場は当初は、接着剤導入に大反対だったそうだ。注入ノズルのメンテ、漏れ出た接着剤の床への付着、注入工程に時間がかかる・・・などが反対理由だ。
構造用接着剤は三菱では約20年以上前に導入されたが、それもそのモデルのみで終わってしまった。やはり工場が抵抗したのが原因だという。 

 レクサスはLSでの試験導入を経て、ISからレーザースクリュー溶接と接着剤の使用を本格導入した。企画・設計側が工場を押し切った形だ。この接着剤によりレーザーシーム溶接と同等の効果が得られる。
もっとも、メルセデス、BMWはかなり以前から、スポット溶接、レーザーシーム溶接、接着剤を組み合わせたボディ作りを行っており、日本でレクサスがようやく・・・といった感じだ。

 最も日本では精密機器用の小型レーザー溶接機の種類は多いが大型のロボット一体型レーザー溶接機は案外少ないらしく、ドイツの溶接機メーカーに圧倒されているのが実情のようだ。こうした生産技術は最近ではフランス、イタリアの自動車メーカーも採用しているという。ドイツでもVWはメルセデス、BMWよりも産業界とのパイプがより太く、材料、生産技術に関しては最先端を走っている。

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 ゴルフ7から採用された、ティッセンクルップのホットスタンプ+ティッセンのテーラーロールドブランク(可変差厚鋼板)、レーザーウォッブル溶接などはその代表だろう。
レーザーウォッブル溶接はゴルフ7が初採用で、スポット溶接より一段高い接合強度が得られるという。

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 ティッセンクルップのマンガンボロン鋼板とその加工技術は日本の自動車メーカーにもプレゼンテーションされているが、現状では門前払いとなっている。

新型ゴルフ7と新Cセグメントカー

 今年は、メルセデスAクラス、ボルボV40シリーズ、そしてVW ゴルフ7とCセグメントのニューモデルが前半に次々に登場した。
 
 メルセデスAクラスは先に登場したBクラスの姉妹車で、1.6Lターボ、2.0Lターボ(250シュポルト)をラインアップしたが、Bクラス同様にサスペンションが異様に硬くて車高が低い、エンジンのトルク、レスポンスが今ひとつ、DCTの変速が普通のATのように遅い、といった不思議なクルマだ。若い世代向けのスポーツ・ハッチバックというのだが、どうにもメルセデスらしくない。
 
 最低地上高がA180で95mmと保安基準ぎりぎり、フェラーリより30mm以上低いってどうなの? さらに謎なのは、AMGがセッティングしたというA250シュポルトの地上高は120mmと少し高い(それでもフェラーリより低い)。
 という感じで不可解な点が多いのだが、業界での表面上の評価はけっこう高い。内心ではかなり違うと思うけど。
 
 ボルボV40は、まさに起死回生のニューモデルだ。低速から強烈なトルクを生み出すフォード・エコブースト1.6Lターボ、抜群の操舵フィーリングの電動パワーステア(TRW製のベルト駆動式ラックアシスト型)、ストローク感と高い減衰力をバランスさせたスポーツ・サスペンション、ドイツ勢を上回るインテリアの仕上げにプラスして世界トップレベルのドライバー支援システムを事実上の標準装備として登場した。
 
 V40はフォード・フォーカスがベースになっており、そのフォーカスはヨーロッパではVWゴルフのライバルなのだが、ボルボのボディの方がさらにしっかりしている。このあたりのこだわりはすごい。
 
 実際に販売店でV40に試乗した人はかなりインパクトを受けるようで、受注台数はAクラスに迫る勢いだ。販売店の数から考えると異例であり、昨年までは存在しなかった需要なので、どのブランドからの乗り換えなのか興味が湧く。

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 そして本命のゴルフ7が6月末に販売店に並ぶ。VWジャパンはゴルフ6を早めに完売にしてしまったため、4月から8月まではタマ不足になったので、7月からの販売には力が入るだろう。すでにメディア向けの試乗会は行われ、当然ながら大絶賛を受け、感激して興奮気味の人も少なくない。
 
 ゴルフ7は、見た目はゴルフ6と間違える変化を避けているが、ボディ骨格、エンジン、シャシーなどすべてが新設計だ。つまりMQB(横置きエンジンモジュール・ベース)戦略による新骨格になっている。VWはゴルフ5の開発時に大幅に製造設備を更新したが、MQBのためにまたもや大変更を行っている。2012年から4年間で5兆円の工場設備更新をするというから驚く。

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 VWがMQB戦略を発表した後に日産は「CMF(Common Module Family)、トヨタは「Toyota New Global Architecture(TNGA)」を発表したが、MQBは似て非なるもので、プラットフォーム以外のコンポーネンツも徹底して共通モジュール化している。ゴルフ7の発表資料でもMQBが大々的にアピールされているが、突き詰めて言えばこれは大幅なコストダウンのために採用され、世界各地の生産工場で採用することで価格競争力を高めということがが主目的だ。つまり新興国市場で価格競争力を備え、韓国車や中国車、日本の低価格車を撃退し、2018年に名実ともに世界No1メーカーになるための手段だ。
 
 だから新型ゴルフは大幅なコストダウンによって成立したクルマなのだが、そのアラを見せず、従来より質感を向上させ、Cセグメントの枠を破るといった狙いがある。そのベースにはパサート・クラスの装備、コンポーネンツを流用できることや、専用の生産設備によりコストダウンと高精度ボディを両立させるという戦略のようだ。
 その一方で、より多くの先進国の人々に、より上質な走りを提供するというVWの理念も強調されている。これはVW タイプ1(ビートル)以来の理念である。
 また同時に、新興国市場の要求に応えられる資質も同時に盛り込まれていると思う。


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 最大100kg、平均で50kgという車両の軽量化も、燃費、運動性能の向上に効果を発揮するが、その一方でこれはコストダウンにも効いている。ボディ骨格の80%に高張力鋼板が使用され、ホットプレスによる超高張力鋼は20%を超えている。これは薄板厚化ができることで使用鉄鋼量を減らし、コストダウンにつなげているわけだ。骨格には薄板による大断面化以外に、日本のメーカでは不可能なレーザーシーム溶接の多用、ホットプレス製法の多用、果ては新工法のテーラーロールドブランク(ローラーがけによる可変板厚+ホットプレス)まで採用している。この他に、強度が求められる溶接部位には新開発のレーザークランプ溶接なども採用されている。
 このあたりはドイツの素材メーカーを上げての生産技術を駆使した感じで、日本はもとよりドイツの他のメーカーも大きく引き離すボディ製造技術といえる。まさにスチールを極めると言うコンセプトで生産技術を追求した感じだ。
 
 エンジンは1.2Lも1.4LもMQBに適合させるために新設計となり、エンジンの軽量化、低フリクション化と低速トルク型の徹底を行っている。両エンジンともに軽量化のためにベルトドライブに戻り、シリンダーヘッドと排気マニホールド/ターボを一体化させ、吸気側は水冷インタークーラー一体型のマニホールドとするなど、強烈なコンパクトエンジンになっている。これで、パワー、トルクが出るのかと思ってしまうのだが、きっちりトルクを出し、しかも恐るべき滑らかさ、低振動を達成し、その上で大幅な燃費向上を果たしている。

 技術的には、高温・低温に分離させた2系統冷却システム、ベルトドライブの復活に注目される。以前のベルトドライブからチェーンドライブへと変更するのがトレンドとされてきた。チェーンドライブは、エンジン全長の短縮とピストン冠面のバルブリセスをなくすことができるのがメリットとされていたが、新型ゴルフは軽量化という目的でベルトドライブに回帰した。ピストンのバルブリセスは設けられているが、耐久保証は無制限とされているようだが。

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 エンジンに関しては、新設計により、200bar直噴、ターボ、水冷インタークーラーを採用し、1.4L版ではシリンダー休止システムなどコストアップ要因はいくつも抱えているが、おそらく長期的な展望でコストカットになっているのだろう。2気筒休止システムは連続可変バルブリフト(スロットルレス)機構よりコストが安いという理由で採用を決定したようだ。燃費は1.2Lターボで21.0km/L、1.4Lターボで19.9km/Lだが、実用燃費はこれを上回ることもできるはずで、プリウスの実用燃費といい勝負になるだろう。実際、日本のマーケットではプリウス・オーナーが最大のターゲットになっている。

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 ゴルフ7は装備面でも大幅に充実させ、他社ライバルを寄せ付けないといった感じだ。この装備も大量採用化によるコストダウン効果を踏まえての戦略だ。
 
 走りも、気持ちよい走り、他車を上回る乗り心地のよさは圧巻だ。さすがに1.2モデルの新開発のトーションビーム式リヤ・サスペンションには少し粗さもあるがおそらくこのあたりも来年モデルではかなり改良されるだろう。
 コストダウンを感じさせない上質な走り、各所に感じられる質感やセグメントの常識を超え、上級セグメントのクルマと同等以上にするためにVWの総力を挙げたという開発力を実感させられる。

メカニカル・ハイブリッドシステム

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 今年2月にプジョー・シトロエングループから、「ハイブリッド・エア」と称する新ハイブリッド・システムを開発していることが公表された。
 実はこれ、ボッシュとの共同開発で、ボッシュの産業機器部門の油圧・空圧システム(ハイドロ・エア)からの転用だという。システムとしては、クルマの減速エネルギーを電気的に回生するのではなく、油圧を介して空気を圧縮して、蓄圧容器=ボンベに圧縮空気としてエネルギーを蓄積するというもの。つまり減速中に油圧モーター=ポンプを作動させて空気を圧縮し、加速時にはその圧縮空気を解放して油圧を高め、油圧モーターにより発進アシストを行う。なお駆動輪はフロントで、油圧モーターの駆動力、エンジンの駆動力はCVTを介してホイールに伝達される。
 このシステムでは新欧州ドライビングサイクルで30%、市街地のみでは45%の燃費向上効果があるという。

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 またこの4月には、ボルボがフライホイール式減速エネルギー回生システムの実験を行い、大きな成果を挙げたと発表している。ボルボのフライホイールシステムは、FF車の後輪に装着され、オンデマンドの4輪駆動システムとなる。システムは、減速エネルギーをカーボン製のフライホイールの高速回転により貯蔵し、発進時にはこのフライホイールの回転エネルギーをCVTを介して使用して後輪を駆動する。
 この後輪駆動によりFF駆動の発進アシストを行うのだ。フライホイールのエネルギーをフルに加速アシストに使用するとプラス80ps分の効果があるという。 

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 燃費は、中型車(ボルボS60)に装備した場合、新欧州ドライビングサイクルで25%の燃費低減項kがあり、もちろん市街地ではさらに効果が大きいという。
 スチール製のフライホイールでは重くなりすぎるが、カーボン製のフライホイールを採用し、これを真空中で回転させることで摩擦抵抗を極限まで落としている。カーボン製フライホイールを使用した減速エネルギー回生はポルシェ、アウディのレース車ですでに実績があるが、これはフライホイールジェネレーターと呼ばれ発電するタイプだが、ボルボのものは純機械式のエネルギー回生システムとしている。

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 いずれも、およそ1分以下という短時間の発進アシストを行うシステムだが、ゴーストップの多い市街地では確かに大きな効果を発揮するだろう。従来の減速エネルギー回生は電気式がメインで、エネルギーの貯蔵のために大容量バッテリーを使用するため、コスト的に量産小型車には厳しすぎるという大問題があった。コストと燃費向上の効果の相関関係はプジョー・シトロエンの発表しているグラフで如実に示されている。
 リチウムイオン電池は大量生産化されても価格の大幅な低減は期待できないというのが現在の評価になっている。
 トヨタ、ホンダはコンパクトカークラスまで電気モーター/バッテリー式ハイブリッドシステムを追求しているが、ヨーロッパにおける機械式のハイブリッドシステムとその燃費向上効果は興味深い。もし燃費レベルが大差ないとしたら、これはインパクトが大きいと思う。
 
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